特開2019-217763(P2019-217763A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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2019-217763無溶剤接着剤を用いた低溶剤臭ガスバリア積層体、及び該積層体からなる低溶剤臭ガスバリア包装材料と包装袋
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  • 2019217763-無溶剤接着剤を用いた低溶剤臭ガスバリア積層体、及び該積層体からなる低溶剤臭ガスバリア包装材料と包装袋 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-217763(P2019-217763A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】無溶剤接着剤を用いた低溶剤臭ガスバリア積層体、及び該積層体からなる低溶剤臭ガスバリア包装材料と包装袋
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/00 20060101AFI20191129BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20191129BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20191129BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   B32B9/00 A
   B32B27/00 D
   B65D30/02
   B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2019-55901(P2019-55901)
(22)【出願日】2019年3月25日
(31)【優先権主張番号】特願2018-115065(P2018-115065)
(32)【優先日】2018年6月18日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】須田 徹
(72)【発明者】
【氏名】河野 真一朗
【テーマコード(参考)】
3E064
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E064AA09
3E064BA01
3E064BA17
3E064BA28
3E064BA29
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(57)【要約】
【課題】生産時の作業性に優れ、低溶剤臭性とガスバリア性及び耐屈曲性に優れた積層体及び該積層体からなる包装材料とピロー包装体を提供する。
【課題を解決するための手段】少なくとも、基材層(A)と、ガスバリア性有機接着剤層(B)と、ガスバリア無機蒸着層(C)と、シーラント層(D)と印刷層(F)とを有する低溶剤臭ガスバリア積層体であって、ガスバリア無機蒸着層(C)とガスバリア性有機接着剤層(B)とは隣接して積層されており、ガスバリア性有機接着剤層(B)は、無溶剤接着剤組成物が塗布され、更に硬化されて形成された層であり、ガスバリア性有機接着剤層(B)の溶剤含有量は、ゼロまたは6mg/m2以下であり、印刷層(F)は、水性フレキソ印刷層および/または水性グラビア印刷層を含む、低溶剤臭ガスバリア積層体。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、基材層(A)と、ガスバリア性有機接着剤層(B)と、ガスバリア無機蒸着層(C)と、シーラント層(D)と印刷層(F)とを有する低溶剤臭ガスバリア積層体であって、
基材層(A)の厚みは、5〜50μmであり、
ガスバリア無機蒸着層(C)とガスバリア性有機接着剤層(B)とは隣接して積層されており、
ガスバリア性有機接着剤層(B)は、無溶剤接着剤組成物が塗布され、更に硬化されて形成された層であり、
印刷層(F)は、水性フレキソ印刷層および/または水性グラビア印刷層を含み、
前記低溶剤臭ガスバリア積層体の溶剤含有量は、ゼロまたは6mg/m2以下である、
低溶剤臭ガスバリア積層体。
【請求項2】
印刷層(F)は、ガスバリア性有機接着剤層(B)と隣接して設けられている、
請求項1に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
【請求項3】
基材層(A)は、ポリプロピレン系樹脂を含む二軸延伸フィルムからなる、
請求項1または2に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
【請求項4】
基材層(A)は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を含む二軸延伸フィルムからなる、
請求項1〜3の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
【請求項5】
更に、基材層(A)とガスバリア性有機接着剤層(B)との間に、ガスバリア塗布膜層(E)を有する低溶剤臭ガスバリア積層体であって、
ガスバリア塗布膜層(E)は、金属アルコキシドと水溶性高分子とを含む樹脂組成物から生成された、ゾルゲル法加水分解重縮合物を含有する、
請求項1〜4の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
【請求項6】
ガスバリア無機蒸着層(C)は、アルミニウム蒸着層、アルミナ蒸着層、及び、シリカ蒸着層、からなる群から選ばれる1種または2種以上を有する層である、
請求項1〜5の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
【請求項7】
ガスバリア無機蒸着層(C)が、アルミニウム蒸着層を有する層である、
請求項1〜5の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
【請求項8】
ガスバリア無機蒸着層(C)の厚みが、1〜100nmである、
請求項1〜7の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
【請求項9】
前記無溶剤接着剤組成物が、2液硬化型無溶剤接着剤組成物である、請求項1〜8の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
【請求項10】
ガスバリア性有機接着剤層(B)は、厚みが0.6〜6.0μmである、
請求項1〜9の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
【請求項11】
23℃90%RH環境下における酸素透過度が、0.05〜2cc/m2/day/atmであり、
40℃90%RH環境下における水蒸気透過度が、0.01〜2g/m2/dayである、
酸素バリア用及び水蒸気バリア用の、
請求項1〜10の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
【請求項12】
ゲルボフレックステスターで5回の屈曲負荷を与えた後の、23℃90%RH環境下における酸素透過度の、前記屈曲負荷を与える前からの増加値が、ゼロまたは20cc/m2/day/atm以下である、
請求項1〜11の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
【請求項13】
総構成層数が6以下である、請求項1〜12の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
【請求項14】
請求項1〜13の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体を用いた、低溶剤臭ガスバリア包装材料。
【請求項15】
請求項14に記載の低溶剤臭ガスバリア包装材料を用いた、低溶剤臭ガスバリア包装袋。
【請求項16】
請求項14に記載の低溶剤臭ガスバリア包装材料を用いた、低溶剤臭ガスバリアピロー包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア性と、耐屈曲性と、低溶剤臭性に優れた積層体、及び該積層体からなる包装材料、該包装材料を用いた包装袋、特にピロー包装袋に関するものである。
また、本発明の包装材料は、各種包装用袋やレトルト用袋に最適である。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガスバリア性を有する包装材料は、少なくとも、基材層、ガスバリア層、接着剤層、及びシーラント層を有する積層体からなり、特に、酸素バリア性を向上させるためのガスバリア層として、金属箔、金属あるいは金属酸化物の蒸着膜等が使用されている。
【0003】
しかし、ガスバリア層としての金属箔は、高い酸素バリア性を達成することができるが、蒸着膜などに比べて厚く、その結果、金属箔を使用した包装材料も厚くなり、耐折り曲げ性に劣ることが知られている。
【0004】
これに対し、金属あるいは金属酸化物の蒸着膜等を使用すると膜厚を薄くすることができ、折り曲げ性等に優れているが、蒸着膜表面は凹凸を有することからか、十分な酸素バリア性を達成することが困難であるという問題を有していた。
【0005】
更に、特許文献1には、酸素バリア材として、活性水素含有化合物(A)および有機ポリイソシアネート化合物(B)を反応させてなる樹脂硬化物を含む熱硬化型ガス(酸素)バリア性ポリウレタン樹脂が記載されている。
【0006】
該樹脂硬化物中には、メタキシレンジイソシアネート由来の骨格構造が20%質量以上含有され、かつ前記(A)および(B)の内、3官能以上の化合物の占める割合が、(A)と(B)の総量に対して7質量%以上であることを特徴とする熱硬化型酸素バリア性ポリウレタン樹脂を使用したガス(酸素)バリア性複合フィルム(基材フィルム層と熱硬化型ガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む層とを有する)が記載されている。
【0007】
更にまた、特許文献2には、高分子フィルム基材の少なくとも片面に、酸化珪素または酸化アルミニウムの薄膜層を形成した透明性を有する被覆フィルムの該薄膜層面と、ヒートシール性樹脂フィルムとを、無機の酸化珪素及び酸化アルミニウムの材料から選ばれる一種以上の粒子とポリエステルポリオールとイソシアネート化合物を含有するバリア性接着剤を介してドライラミネート法により接着させたことを特徴とするバリア性積層体、及びこれを用いた包装材料が記載されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1においては、該組成物は極性が高い溶剤を使用しなければならないため、作業性に乏しい。例えばアセトンのような溶解性の高い溶剤を使用した場合には、沸点が低く且つ外気の水を取り込みやすいため、水とイソシアネートとの反応によって調整粘度が上昇しやすいといった問題がある。
【0009】
また、特許文献2においては、接着剤に含有されている無機化合物の粒径がナノオーダーの球状ないしは不定形の無機化合物であるため、接着剤自体の酸素バリア性、特に屈曲の負荷を与えた場合の酸素バリア性は高くないという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4054972号公報
【特許文献2】特許第3829526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の問題点を解決して、総構成層数が少なく、積層体生産時の作業性に優れ、ガスバリア性と耐屈曲性と低溶剤臭性に優れた積層体および該積層体からなる包装材料とピロー包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、種々研究の結果、少なくとも、基材層(A)と、ガスバリア性有機接着剤層(B)と、ガスバリア無機蒸着層(C)と、シーラント層(D)と、印刷層(F)とを有する低溶剤臭ガスバリア積層体であって、ガスバリア無機蒸着層(C)とガスバリア性有機接着剤層(B)とが隣接した構成を有し、ガスバリア性有機接着剤層(B)は、無溶剤型接着剤樹脂組成物が塗布され、硬化されて形成された層であり、印刷層(F)は、水性フレキソ印刷層および/または水性グラビア印刷層を含み、積層体の溶剤含有率はゼロまたは6mg/m2以下である、低溶剤臭ガスバリア積層体、更には、ガスバリア塗布膜層(E)を有する低溶剤臭ガスバリア積層体、および該低溶剤臭ガスバリア積層体からなる低溶剤臭ガスバリア包装材料が、上記の目的を達成することを見出した。
【0013】
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.少なくとも、基材層(A)と、ガスバリア性有機接着剤層(B)と、ガスバリア無機蒸着層(C)と、シーラント層(D)と印刷層(F)とを有する低溶剤臭ガスバリア積層体であって、
基材層(A)の厚みは、5〜50μmであり、
ガスバリア無機蒸着層(C)とガスバリア性有機接着剤層(B)とは隣接して積層されており、
ガスバリア性有機接着剤層(B)は、無溶剤接着剤組成物が塗布され、更に硬化されて形成された層であり、
印刷層(F)は、水性フレキソ印刷層および/または水性グラビア印刷層を含み、
前記低溶剤臭ガスバリア積層体の溶剤含有量は、ゼロまたは6mg/m2以下である、
低溶剤臭ガスバリア積層体。
2.印刷層(F)は、ガスバリア性有機接着剤層(B)と隣接して設けられている、
上記1に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
3.基材層(A)は、ポリプロピレン系樹脂を含む二軸延伸フィルムからなる、
上記1または2に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
4.基材層(A)は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を含む二軸延伸フィルムからなる、
上記1〜3の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
5.更に、基材層(A)とガスバリア性有機接着剤層(B)との間に、ガスバリア塗布膜層(E)を有する低溶剤臭ガスバリア積層体であって、
ガスバリア塗布膜層(E)は、金属アルコキシドと水溶性高分子とを含む樹脂組成物から生成された、ゾルゲル法加水分解重縮合物を含有する、
上記1〜4の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
6.ガスバリア無機蒸着層(C)は、アルミニウム蒸着層、アルミナ蒸着層、及び、シリカ蒸着層、からなる群から選ばれる1種または2種以上を有する層である、
上記1〜5の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
7.ガスバリア無機蒸着層(C)が、アルミニウム蒸着層を有する層である、
上記1〜5の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
8.ガスバリア無機蒸着層(C)の厚みが、1〜100nmである、
上記1〜7の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
9.前記無溶剤接着剤組成物が、2液硬化型無溶剤接着剤組成物である、上記1〜8の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
10.ガスバリア性有機接着剤層(B)は、厚みが0.6〜6.0μmである、
上記1〜9の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
【0014】
11.23℃90%RH環境下における酸素透過度が、0.05〜2cc/m2/day/atmであり、
40℃90%RH環境下における水蒸気透過度が、0.01〜2g/m2/dayである、
酸素バリア用及び水蒸気バリア用の、
上記1〜10の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
12.ゲルボフレックステスターで5回の屈曲負荷を与えた後の、23℃90%RH環境下における酸素透過度の、前記屈曲負荷を与える前からの増加値が、ゼロまたは20cc/m2/day/atm以下である、
上記1〜11の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
13.総構成層数が6以下である、上記1〜12の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
14.上記1〜13の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体を用いた、低溶剤臭ガスバリア包装材料。
15.上記14に記載の低溶剤臭ガスバリア包装材料を用いた、低溶剤臭ガスバリア包装袋。
16.上記14に記載の低溶剤臭ガスバリア包装材料を用いた、低溶剤臭ガスバリアピロー包装袋。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る積層体及び該積層体からなる包装材料は、ガスバリア無機蒸着層(C)とガスバリア性有機接着剤層(B)とを隣接して組み合わせることで、ガスバリア無機蒸着層(C)表面に生じている凹凸の凹部が、ガスバリア性有機接着剤層(B)により埋められて平坦化されて面方向のガスバリア性が均一化され、ガスバリア無機蒸着層(C)の層厚を薄くして耐屈曲性を保持しつつ、少ない総構成層数で、従来と同等以上のガスバリア性を発揮することができる。
【0016】
さらに、ガスバリア性有機接着剤層(B)の溶剤含有率が低いことと、印刷層(F)が水性フレキソ印刷層および/または水性グラビア印刷層からなり、印刷層(F)に残留する溶剤も低減できることから、内容物への溶剤臭転移を低減化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る積層体の層構成の一例を示す概略的断面図である。
図2】本発明に係る積層体の層構成の別態様の一例を示す概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る積層体および該積層体からなる包装材料とピロー包装袋について、図面を参照しながら以下に詳しく説明する。
【0019】
本発明における、総構成層数とは、積層体を構成する、基材層、ガスバリア層、接着剤層、及びシーラント層等の層の詳細な数であり、各層における蒸着層やACコート等の特殊処理コート層をも含む層数のことである。例えば、アルミニウム蒸着層付きPETフィルム層は、2層として数える。
【0020】
図1〜2は、本発明の低溶剤臭ガスバリア積層体の層構成の一例を示す概略的断面図である。
【0021】
本発明の低溶剤臭ガスバリア積層体は、図1に示すように、基材層(A)と、ガスバリア性有機接着剤層(B)と、ガスバリア無機蒸着層(C)と、シーラント層(D)と、印刷層(F)とを、積層してなる構成を基本構造とするものである。
【0022】
本発明の低溶剤臭ガスバリア積層体の他の態様としては、図2に示すように、基材層(A)とガスバリア性有機接着剤層(B)との間に、更に、ガスバリア無機蒸着層(C)とは別個のガスバリア無機蒸着層と、ガスバリア塗布膜層(E)とを積層した構成であってもよい。
【0023】
上記の例は、本発明の低溶剤臭ガスバリア積層体の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0024】
次に、本発明に係る積層体および該積層体からなる包装材料とピロー包装袋の材料、それらの製造法等について説明する。
【0025】
本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものを用いることとする。また、本発明は、以降の列記された諸々の具体例に限定されるものでは無い。
【0026】
[基材層(A)]
基材層(A)としては、化学的ないし物理的強度に優れ、無機蒸着膜を形成する条件等に耐え、それら無機蒸着膜等の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができる金属、金属酸化物等の無機材料や樹脂等の有機材料を例えばフィルムやシートとして使用することができる。
【0027】
基材層(A)としては、単層フィルムまたは多層積層フィルムが用いられるが、特に限定されず、各種包装材料に用いられる任意のフィルムを使用することができる。これらの中から、包装する内容物の種類や充填後の加熱処理の有無等の使用条件に応じて、適するものを自由に選択して使用する。
【0028】
基材層(A)として好ましく使用されるフィルムの具体例としては、紙、アルミニウム箔、セロファン、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、オレフィン系樹脂フィルム、酸変性ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリスチレン系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、アセタール系樹脂フィルム、これらを一軸または二軸延伸したフィルム、Kコートフィルム、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテン、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等からなる樹脂フィルム、Kコート延伸ポリプロピレンフィルム、Kコート延伸ナイロンフィルム、これらの2以上のフィルムを積層した複合フィルム等が挙げられる。
【0029】
なかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの一軸または
二軸延伸ポリエステルフィルム、ナイロン6、ナイロン66、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などのポリアミドの一軸または二軸延伸ポリアミドフィルム、そして、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)等を好適に使用することができる。また、シリカ蒸着PET、アルミナ蒸着PETなどの透明蒸着PET、アルミニウム蒸着二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)等も好適である。
【0030】
(厚さ)
基材層(A)の厚さは、成形性、透明性、屈曲後のガスバリア性維持の観点から、好ましくは5μm以上、50μm以下であり、より好ましくは15μm以上、40μm以下である。上記範囲よりも薄いと、積層体の剛性が低すぎる為に屈曲時にガスバリア性に寄与する層が破壊され易く、また、積層体の強度が不足し易い。またこれより厚いと、積層体の剛性が高くなりすぎる為に屈曲時にガスバリア性に寄与する層が破壊され易く、また、積層体の加工が困難になり易い。
基材層(A)の厚みは、基材層(A)がポリプロピレン系樹脂を含む二軸延伸フィルムからなる場合には18〜40μmが好ましく、基材層(A)がポリエチレンテレフタレート系樹脂を含む二軸延伸フィルムからなる場合には5〜40μmが好ましい。
【0031】
(表面処理)
また、基材層(A)及び基材層(A)を構成するフィルム又はシートは、ガスバリア性有機接着剤層(B)等の各接着剤層あるいはガスバリア無機蒸着層(C)等の各無機蒸着層との密着性を向上させるために、ラミネートあるいは蒸着前に基材層(A)及び基材層(A)を構成するフィルム又はシートの密着させる表面に、必要に応じて、前もって、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的な処理や、化学薬品を用いた酸化処理などの化学的な処理や、接着剤層、プライマーコート剤層、アンダーコート層、あるいは、蒸着アンカーコート剤層等を形成する処理、及びその他処理を施してもよく、該表面処理後に無機蒸着層を設け、さらに、該無機蒸着層上に、後述のガスバリア塗布膜層(E)等のバリアコート層を設けた構成としてもよい。
【0032】
(フィルムの成形法)
基材層(A)に用いる樹脂のフィルム又はシートとしては、例えば、前記の樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上の樹脂を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等従来から使用されている製膜化法により、又は、2種以上の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化法により製造することができる。さらに、フィルムの強度、寸法安定性、耐熱性の観点から、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸することができる。
【0033】
(添加剤)
基材層(A)に用いる樹脂のフィルム又はシートは、必要に応じて、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、他の性能に悪影響を与えない範囲で目的に応じて、任意に添加することができる。
【0034】
[ガスバリア性有機接着剤層(B)]
本発明におけるガスバリア性有機接着剤層(B)は、無溶剤接着剤組成物が塗布され、更に硬化されて形成された層であり、積層体中でガスバリア無機蒸着層(C)と隣接して積層されており、ガスバリア性、特に酸素と水蒸気に対するバリア性を有する。
【0035】
ガスバリア性有機接着剤層(B)の厚みは、好ましくは0.6〜6.0μmであり、より好ましくは0.8〜5.0μmであり、更に好ましくは1.0〜4.5μmである。上記範囲よりも薄いとガスバリア性が不十分になりやすく、上記範囲よりも厚いと耐折り曲げ性に劣りやすく、折り曲げ後のガスバリア性が低下することにつながりやすい。
【0036】
ガスバリア性有機接着剤層(B)のガラス転移温度は、好ましくは−30℃〜80℃の範囲であり、より好ましくは0℃〜70℃であり、更に好ましくは25℃〜70℃である。上記範囲よりも高い場合は、室温付近での硬化塗膜の柔軟性が低下して基材への密着性が劣ることで接着力が低下するおそれがある。上記範囲よりも低い場合は、常温付近での硬化塗膜の分子運動が大きくなり得ることによって十分な酸素バリア性が発揮され難いおそれや、凝集力不足による接着力低下のおそれがある。
【0037】
ガスバリア性有機接着剤層(B)を形成する接着剤樹脂組成物としては、例えば、1分子内に水酸基を2個以上有するポリオール(J)と、1分子内にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(K)と、リン酸変性化合物(L)とを含有する接着剤樹脂組成物が挙げられる。
【0038】
また、接着剤樹脂組成物は、更に、板状無機化合物(M)、1分子内に2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(P)、1分子内に1個または2個以上のカルボキシル基と2個以上の水酸基とを有する多価カルボン酸変性ポリエステルポリオール(N)からなる群の1種または2種以上を含有していても良い。
【0039】
特に、多価カルボン酸変性ポリエステルポリオール(N)と、1分子内にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(K)とを含有し、酸価が20mgKOH/g以上であることが好ましい。
【0040】
接着剤樹脂組成物は、2液硬化型接着剤組成物が好ましく、2液硬化型無溶剤型接着剤樹脂組成物組成物がより好ましい。
【0041】
接着剤樹脂組成物は、ラミネート時に、例えば、無溶剤のまま、加熱して低粘度化して用いられる。
【0042】
ここで、本発明において無溶剤とは、溶剤を積極的には含有しないことを意味し、原材料中に残存する溶剤に由来する微量分を、形成された積層体中の溶剤含有量をゼロまたは6mg/m2以下にし得る範囲内で含有していてもよい。
【0043】
或いは、形成されたガスバリア性有機接着剤層(B)の溶剤含有量を上記範囲にし得る溶剤を含んでいてもよい。
【0044】
(ポリオール(J))
ポリオール(J)は、1分子内に水酸基を2個以上有し、主骨格がポリエステル構造、ポリエステルポリウレタン構造、ポリエーテル構造、及びポリエーテルポリウレタン構造からなる群から選ばれる1種または2種以上を有するものである。前記ポリエステル構造は、例えば、多価カルボン酸類と多価アルコールとを公知慣用の方法で重縮合反応させて得ることができるが、合成ルートはこれに限定されない。
【0045】
該ポリエステル構造又は該ポリエステルポリウレタン構造における多価カルボン酸類由来構造部分の70〜100質量%が、オルト配向芳香族ジカルボン酸類由来であることが好ましい。該オルト配向芳香族ジカルボン酸類とは、オルト配向芳香族ジカルボン酸及びその無水物やエステル形成性誘導体を指す。
【0046】
多価カルボン酸類とは、多価カルボン酸及びその無水物やエステル形成性誘導体を指し、例えば、脂肪族多価カルボン酸類と芳香族多価カルボン酸類が挙げられる。
【0047】
具体的な脂肪族多価カルボン酸類としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
【0048】
具体的な芳香族多価カルボン酸類としては、オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p‘−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物あるいはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸等が挙げられる。
【0049】
具体的なオルト配向芳香族ジカルボン酸類としては、オルトフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、及びこれらジカルボン酸の無水物あるいはエステル形成性誘導体等が挙げられる。
【0050】
多価カルボン酸類としては、これらを単独で或いは2種以上を併用することができる。
多価アルコールとしては、脂肪族多価アルコールと芳香族多価フェノールが挙げられる。
【0051】
脂肪族多価アルコールとしては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等を例示することができる。
【0052】
芳香族多価フェノールとしては、具体的には、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらの、エチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族等を例示することができる。
【0053】
(イソシアネート化合物(K))
イソシアネート化合物(K)は、分子内にイソシアネート基を2個以上有し、芳香族または脂肪族のどちらでもよく、低分子化合物または高分子化合物のどちらでもよく、イソシアネート基が2個のジイソシアネート化合物や、3個以上のポリイソシアネート化合物等の公知の化合物が使用できる。イソシアネート化合物(K)としては、公知のイソシアネートブロック化剤を用いて公知慣用の適宜の方法より付加反応させて得られたブロック化イソシアネート化合物であってもよい。
【0054】
中でも、接着性や耐レトルト性の観点から、ポリイソシアネート化合物が好まれ、酸素バリア性付与という点では、芳香族環を有するものが好ましく、特に、メタキシレン骨格を含むイソシアネート化合物が、ウレタン基の水素結合だけでなく芳香環同士のπ−πスタッキングによって酸素バリア性を向上させることができるという理由から好ましい。
【0055】
イソシアネート化合物(K)の具体的な化合物としては、たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート或いはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、メタキシリレンアルコール、1,3−ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4−ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メタキシリレンジアミンなどの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られるアダクト体、ビュレット体、アロファネート体等が挙げられる。
【0056】
(リン酸変性化合物(L))
リン酸変性化合物(L)は、無機系部材に対する接着強度を向上させる効果を有するものであり、公知慣用のものを用いることができる。
【0057】
具体的には、リン酸、ピロリン酸、トリリン酸、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、イソドデシルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0058】
(溶剤)
溶剤は、ポリオール(J)とイソシアネート化合物(K)とを溶解し、リン酸変性化合物(L)や板状無機化合物(M)を均一に分散可能で、積層体の製造工程上の適切な沸点や揮発性を有し、形成された積層体中の溶剤含有量をゼロまたは6mg/m2以下にし得るものならば、特に制限は無い。
【0059】
該接着剤樹脂組成物に、例えば極性が高い溶剤を使用している場合には、作業性に乏しくなりやすい。例えばアセトンのような溶解性の高い溶剤を使用した場合には、沸点が低く且つ外気の水を取り込みやすいため、水とイソシアネートとの反応によって該接着剤樹脂組成物の粘度が上昇しやすいといった問題が発生することがある。
【0060】
また、ガスバリア性有機接着剤層(B)に溶剤が多量に含有されていると、溶剤によって積層体の層間の接着が弱まることが懸念され、更には、得られた積層体を用いた包装材料で作製した包装体において、内容物に溶剤臭が移ることが懸念される。また更には、乾燥時の体積収縮の為に、ガスバリア無機蒸着層(C)表面に生じている凹凸の凹部に埋め込まれているガスバリア性有機接着剤層(B)が剥離して欠陥が生じることでガスバリア性の低下を生じ易く、積層体を折り曲げた際にも凹部からの剥離が大きくなり、ガスバリア性が劣化することにつながりやすい。
よって、本発明においては、溶剤を用いないことが好ましい。
【0061】
(板状無機化合物(M))
板状無機化合物(M)は、ガスバリア性有機接着剤層(B)のラミネート強度とガスバリア性を向上させる効果を有する。
板状無機化合物(M)としては、具体的には、カオリナイト−蛇紋族粘土鉱物(ハロイ
サイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト−タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0062】
(多価カルボン酸変性ポリエステルポリオール(N))
多価カルボン酸変性ポリエステルポリオール(N)は、1分子内に1個または2個以上のカルボキシル基と2個以上の水酸基を有する化合物である。
多価カルボン酸変性ポリエステルポリオール(N)は、例えば、1分子内に3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールの水酸基の一部に、多価カルボン酸類を反応させることにより得ることができる。
【0063】
[ガスバリア無機蒸着層(C)]
ガスバリア無機蒸着層(C)は、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を防ぐガスバリア性を有するバリア膜であり、無機物または無機酸化物からなる蒸着膜が挙げられる。
【0064】
一般的に、無機蒸着層表面には超微細な凹凸が生じており、超微細レベルでは、無機蒸着層の厚みは均一では無く、薄い部分は面方向のガスバリア性が弱い。
【0065】
しかし、本発明の積層体は、ガスバリア無機蒸着層(C)とガスバリア性有機接着剤層(B)とが隣接した構成を有することで、ガスバリア無機蒸着層(C)表面に生じている超微細な凹凸の凹部がガスバリア性を有するガスバリア性有機接着剤層(B)により埋められて平坦化された構造を有することで、面方向のガスバリア性が均一化され、ガスバリア無機蒸着層(C)の層厚を薄くして耐屈曲性を保持しつつ、従来以上の高いガスバリア性を発揮することができる。
【0066】
ガスバリア無機蒸着層(C)は、アルミニウム蒸着層、アルミナ蒸着層、及び、シリカ蒸着層、からなる群から選ばれる1種または2種以上を有する層であることが好ましく、特に、アルミニウム蒸着層を有することが好ましい。
【0067】
ガスバリア無機蒸着層(C)は、シーラント層(D)上に直接、ガスバリア性有機接着剤層(B)等の接着層を介さずに設けることができる。
【0068】
更に、必要に応じて、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性を付与することもできる。また、ガスバリア無機蒸着層(C)は1層または2層以上で構成されていてもよい。2層以上で構成される場合は、それぞれが同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
【0069】
ガスバリア無機蒸着層(C)の厚さは、好ましくは1〜200nmであり、更に好ましい厚みは蒸着種によって異なるが、アルミニウム蒸着膜の場合には、更に好ましくは1〜100nmであり、また更に好ましくは15〜60nmであり、特に好ましくは10〜40nmである。ケイ素酸化物またはアルミナ蒸着膜の場合には、更に好ましくは1〜100nmであり、また更に好ましくは10〜50nmであり、特に好ましくは20〜30nmである。
【0070】
ガスバリア無機蒸着層(C)は、従来公知の無機物または無機酸化物を用いて、従来公知の方法により形成することができ、その組成および形成方法は特に限定されない。
【0071】
形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレーティング法等の物理気相成長法(PhysicalVaporDeposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長
法等の化学気相成長法(ChemicalVaporDeposition法、CVD法)等を挙げることができる。
【0072】
本発明において、ガスバリア無機蒸着層(C)は、シーラント層(D)の、ガスバリア性有機接着剤層(B)側の表面に設けることができる。
【0073】
また、その際に、シーラント層(D)表面に必要に応じて前処理が可能であり、具体的には、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的な処理や、化学薬品などを用いて処理する酸化処理などの化学的な処理を施してもよい。
【0074】
また更に、酸素ガスおよび水蒸気等に対するガスバリア性を更に高めるために、ガスバリア無機蒸着層(C)と同様なガスバリア無機蒸着層を、基材層(A)の、ガスバリア性有機接着剤層(B)と接する側にも設けることができる。前処理、蒸着種、蒸着膜形成方法等は、ガスバリア無機蒸着層(C)と同様である。
【0075】
[シーラント層(D)(ヒートシール層)]
シーラント層(D)は、本発明に係る積層体及び該積層体からなる包装材料にヒートシール性と耐屈曲性、耐衝撃性等の機能を付与するものであり、特に耐屈曲性を付与することで屈曲後のガスバリア性の低下を抑制することができるものが望ましい。
【0076】
本発明においては、シーラント層(D)は、ヒートシール性の樹脂層を有することが望ましい。ヒートシール性の樹脂層は、熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよい。
【0077】
シーラント層(D)に好適な樹脂としては、例えば、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸その他等の不飽和カルボン酸で変性したポリオレフィン系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、環状オレフィンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリロニトリル(PAN)などが挙げられ、これらの樹脂の1種または2種以上からなる樹脂のフィルムないしシートあるいはその他塗布膜等を使用することができる。
【0078】
上記の樹脂層を形成するフィルムないしシートとしては、未延伸フィルムないしシート、あるいは1軸方向または2軸方向に延伸した延伸フィルムないしシート等のいずれのものでも使用することができる。
【0079】
2軸方向に延伸した延伸フィルムは、例えば50〜100℃のロール延伸機により2〜4倍に縦延伸し、更に90〜150℃の雰囲気のテンター延伸機により3〜5倍に横延伸せしめ、引き続いて同テンターにより100〜240℃雰囲気中で熱処理して得ることができる。また、延伸フィルムは、同時二軸延伸、逐次二軸延伸をしても良い。
【0080】
シーラント層(D)の層構成としては、ポリエチレン/ポリプロピレン&ポリエチレンの混合物/ポリプロピレンの多層フィルムが好適である。また、アルミニウム膜をヒートシール可能な無延伸ポリプロピレン(CPP)、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンに蒸着したフィルムを用いることもできる。
【0081】
上記の樹脂には、必要に応じて、公知の耐屈曲性改良剤、無機又は有機添加剤等を配合することができる。
【0082】
本発明においては、上記のような諸条件を充足する材料を任意に使用することができる。
【0083】
(シーラント層(D)の膜厚)
シーラント層(D)の厚さは、任意に選択し得るが、包装材料としての強度等の観点から、5〜500μm位の範囲から選択して使用することができ、好ましくは10〜250μm、更に好ましくは15〜100μmの範囲である。これより薄いとヒートシールしても充分なラミネート強度が得られず、包装材料としては機能しないし耐突き刺し性等が抵下する。また、これより厚いと、コスト上昇を招くと共にフィルムが硬くなり作業性が悪くなる。
【0084】
[ガスバリア塗布膜層(E)]
本発明においては、基材層(A)とガスバリア性有機接着剤層(B)との間に、酸素ガスおよび水蒸気等のガスへのバリア性を高めるために、更に、ガスバリア塗布膜層(E)を設けることができる。ガスバリア塗布膜層(E)は、基材層(A)に積層されたガスバリア無機蒸着層の上に設けられてもよい。
【0085】
ガスバリア塗布膜層(E)は、金属アルコキシドと水溶性高分子とを含む樹脂組成物から、ゾルゲル法触媒、水及び有機溶剤等の存在下で生成された、ゾルゲル法加水分解重縮合物を含有する層であることが好ましい。
【0086】
金属アルコキシドとしては、下記一般式で表される、1種または2種以上を好ましく用いることができる。
1nM(OR2m
(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す。)
ここで、金属原子Mとしては、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムその他を使用することができる。また、R1及びR2で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基等のアルキル基を挙げることができる。同一分子中において、これらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
【0087】
このような金属アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシランSi(OCH34、テトラエトキシシランSi(OC254、テトラプロポキシシランSi(OC374、テトラブトキシシランSi(OC494等、及び、有機物と結合する官能基を有するシランカップリング剤が挙げられる。
金属アルコキシドは、1種ないし2種以上を混合して用いてもよい。
【0088】
シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができるが、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、あるいは、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を用いることができる。
【0089】
上記のようなシランカップリング剤は、1種ないし2種以上を混合して用いてもよい。本発明において、上記のようなシランカップリング剤は、上記のアルコキシドの合計量1
00質量部に対して1〜20質量部程度の範囲内で含有することができる。
【0090】
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール系樹脂若しくはエチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか又はその両方を好ましく用いることができる。これら樹脂は市販のものを用いてもよく、例えばエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、株式会社クラレ製、エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)、日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)等を用いることができる。
【0091】
また、ポリビニルアルコール系樹脂としては、株式会社クラレ製のRSポリマーであるRS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)等を用いることができる。
【0092】
水溶性高分子の含有量は、金属アルコキシド100質量部に対して5〜500質量部の範囲であることが好ましい。5質量部より少ないと、ガスバリア塗布膜層(E)の製膜性が劣って脆性が大きくなり、耐侯性等も低下する傾向になり、500質量部を越えると、ガスバリア性向上効果が低くなる傾向になる。
【0093】
ゾルゲル法触媒としては、酸またはアミン系化合物が好適である。
アミン系化合物としては、水に実質的に不溶であり、且つ有機溶媒に可溶な第3級アミンが好適である。具体的には、例えば、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン等を使用することができる。特に、N,N−ジメチルべンジルアミンが好適であり、金属アルコキシド100質量部当り、例えば0.01〜1.0質量部、特に0.03〜0.3質量部を含有することが好ましい。0.01質量部よりも少ないと触媒効果が小さすぎ、1.0質量部よりも多いと触媒効果が強すぎて反応速度が速くなり過ぎ、不均一になり易い傾向になる。
【0094】
酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、ならびに、酢酸、酒石酸な等の有機酸等を用いることができる。酸の含有量は、金属アルコキシドのアルコキシ基の総モル量に対して、好ましくは0.001〜0.05モルであり、より好ましくは0.01〜0.03モルである。0.001モルよりも少ないと触媒効果が小さすぎ、0.05モル部よりも多いと触媒効果が強すぎて反応速度が速くなり過ぎ、不均一になり易い傾向になる。
【0095】
有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等を用いることができる。
【0096】
ガスバリア塗布膜層(E)は、該樹脂組成物からなる塗工液を、通常用いられる、グラビアロールコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコード、アプリケータ等の従来公知の手段により、1回あるいは複数回塗布して形成される。
ガスバリア塗布膜層(E)の形成方法の具体例について以下に説明する。
【0097】
まず、金属アルコキシド、水溶性高分子、ゾルゲル法触媒、水、有機溶媒、および、必要に応じてシランカップリング剤等を混合して、樹脂組成物から成る塗工液を調製する。該塗工液中では次第に重縮合反応が進行する。
【0098】
次いで、基材層(A)に積層されたガスバリア無機蒸着層の上に、常法により、該塗工
液を通常の方法で塗布し、乾燥する。乾燥により、上記アルコキシドおよびビニルアルコールポリマー(およびシランカップリング剤)の重縮合がさらに進行し、複合ポリマーの層が形成される。好適には、上記の操作を繰り返して、複数の複合ポリマー層を積層することもできる。
【0099】
最後に、該塗工液を塗布した積層体を20〜250℃、好ましくは50〜220℃の温度で、1秒〜10分間加熱する。これにより、ガスバリア無機蒸着層上にガスバリア塗布膜層(E)を形成することができる。
【0100】
ガスバリア塗布膜層(E)は、1層または2層以上を重層した複合ポリマー層であってよい。また、乾燥後のガスバリア塗布膜層(E)の厚さは0.01〜100μmの範囲が好ましく、更に好ましくは0.1〜50μmである。乾燥後の厚さが0.01μmより小さいとガスバリア性の向上は小さすぎ、100μmより大きいと、クラックが発生しやすくなる。
【0101】
[印刷層(F)]
印刷層(F)は、水性フレキソ印刷層および/または水性グラビア印刷層を含むことができ、印刷絵柄としては、文字、図形、記号、その他の所望の絵柄を、任意に形成することができる。
【0102】
水性フレキソ印刷層および/または水性グラビア印刷層を含むことによって、油性フレキソ印刷層や油性グラビア印刷層を含む場合よりも、印刷層(F)中の溶剤残存量を低減することで積層体の溶剤含有量を低減でき、包装体内容物への溶剤臭転移を低く抑えることができる。
【0103】
水性グラビア印刷とは、一般的に凹版印刷に区分される印刷方式である。先ず、版に水性インキを転移し、ドクターブレードで版の表面の水性インキをそぎ落とした後に、印刷する印刷対象フィルムと版を接着させ、印刷対象フィルムの上から圧力をかけ凹版部分に残った水性インキを基材に転移させ、乾燥させることで印刷物が得られる。
【0104】
グラビア印刷の版は、凹版部の深さや形状の自由度が高く、水性インキの転移量を幅広く調節することが可能であり、細かい濃淡の表現を再現することに優れ、鮮やかな印刷絵柄を得ることに優れている。
【0105】
印刷対象フィルムはロール巻き状のものを使用可能であり、印刷後もロール巻き状で保管でき、印刷変動要因が少なく、版の耐久性が高いことから、大ロットを安定稼働させて印刷できる。
【0106】
水性グラビア印刷は希釈溶剤として水およびアルコールを用いる為、溶剤臭を低減した印刷層とすることができる。
【0107】
水性フレキソ印刷とは、凸版印刷の1種である。先ず、樹脂でできた版の凸部にアニロックスロールを介して水性インキを付着し、印刷対象フィルムに転移させることで印刷物が得られる。
【0108】
フレキソ印刷は凸版印刷であるため、グラビア印刷と比較して、細かい文字やシャープな表現を再現することに優れ、平滑性の低い印刷対象フィルムに印刷する事にも適している。さらに、インキの使用量が少なく、乾燥風量が少ないことから、エネルギー消費量が少なく、エコロジカルである。
【0109】
フレキソ印刷はインキ使用量が少ない為、印刷層に残留する溶剤臭を低減することができる。また、水性フレキソインキを用いることで、さらに溶剤臭を低減することができる。
【0110】
本発明に係る積層体の一態様として、印刷層(F)を、ガスバリア性有機接着剤層(B)と隣接して設けることも可能である。例えば、基材層(A)とガスバリア性有機接着剤層(B)との間に、特に例えば、図2に示すように、ガスバリア塗布膜層(E)とガスバリア性有機接着剤層(B)との間に設けることができる。
【0111】
[積層体および該積層体からなる包装材料]
積層体中の溶剤含有量は、ゼロまたは6mg/m2以下である。上記範囲よりも多量に含有されていると、該積層体を用いた包装材料で作製した包装体において、内容物に溶剤臭が移るおそれがある。
【0112】
さらには、溶剤によって積層体の層間の接着が弱まるおそれがあり、乾燥時の体積収縮の為に、ガスバリア無機蒸着層(C)表面に生じている凹凸の凹部に埋め込まれているガスバリア性有機接着剤層(B)が剥離して欠陥が生じることでガスバリア性の低下を生じ易く、積層体を折り曲げた際にも凹部からの剥離が大きくなり、ガスバリア性が劣化することにつながりやすい。
【0113】
従来の積層体においては、十分なガスバリア性を得る為には、AC(アンカーコート)層や金属蒸着層等を含めると、総構成層数に8層程度以上が必要であり、そのために製造工程が長く、複雑化していたが、本発明に係る積層体は、総構成層数を従来よりも少なくすることが可能であり、6層以下で従来と同等以上のガスバリア性を発現することが可能である。
【0114】
7層以上の構成にすることも可能であり、相対的に従来材よりも少ない総構成層数で同等以上のガスバリア性を発現することが可能である。また、総構成層数が少なく、無機蒸着層を薄くできることで、工程を短縮して簡略化でき、積層体を薄くすることが可能であり、積層体の柔軟性が向上して、耐屈曲性が向上する。
【0115】
本発明に係る積層体および該積層体からなる包装材料は、図1のように、印刷層(F)が設けられた基材層(A)の印刷層(F)面と、隣接して積層されているガスバリア無機蒸着層(C)とシーラント層(D)のガスバリア無機蒸着層(C)面とを、ガスバリア性有機接着剤層(B)を介してラミネートされていることができる。また、図2のように、印刷層(F)は、ガスバリア塗布膜層(E)上に設けられていてもよい。
【0116】
本発明に係る積層体は、積層体の構成に応じた温度と時間によるエージングを施してもよい。エージング処理によって、積層体の層界面の接着性を向上することができる。
【0117】
エージングは、30〜50℃で、1〜3日が好ましい。上記範囲よりも低温又は短時間だと、エージングの効果が充分には発揮され難い場合が有り、上記範囲よりも高温または長時間だと、エネルギーまたは長時間を要する割にはエージングの効果がそれ以上には向上され難く、生産性が悪化し易い。
【0118】
本発明に係る積層体及び該積層体からなる包装材料は、ガスバリア性に優れ、好ましくは、23℃90%RH環境下における酸素透過度が、0.05〜2cc/m2/day/atmであり、40℃90%RH環境下における水蒸気透過度が、0.01〜2g/m2/dayである。
【0119】
更に、包装材料を用いて包装袋を作製して内容物を縦ピロー充填した際に、包装袋は熱や摩擦や圧力等によって物理的な負荷に曝される為に、一般的には、包装袋のガスバリア性は低下する。
【0120】
しかしながら、本発明に係る包装材料を用いて作製された包装袋は、縦ピロー充填後のガスバリア性の低下が少なく、好ましくは、ゲルボフレックステスターで5回の屈曲負荷を与えた後の、23℃90%RH環境下における酸素透過度の、前記屈曲負荷を与える前からの増加値がゼロまたは20cc/m2/day/atm以下であり、40℃90%RH環境下における水蒸気透過度の、前記屈曲負荷を与える前からの増加値が、ゼロまたは20g/m2/day以下であることができる。
【0121】
[包装体]
本発明に係る包装袋は、本発明に係る包装材料から作製されたものであり、ガスバリア性と低溶剤臭性と耐屈曲性に優れる。包装袋の具低例としては、例えば、ピロー包装袋等が挙げられる。
本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
【実施例】
【0122】
<原材料の準備>
PETフィルム1:東洋紡社製PETフィルム、T4100。片面コロナ処理。12μm厚。
PETフィルム2:東レフィルム加工(株)社製PETフィルム、1310。片面アルミニウム蒸着処理(40nm厚)。12μm厚。
OPPフィルム1〜3:東洋紡(株)社製OPP(2軸延伸ポリプロピレン)フィルム、2161。片面コロナ処理。厚さ20、30、40μm。
ACコート剤1:(株)日本触媒社製、エポミンP−1000。
無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1:下記で調製。
無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物2:DIC(株)社製無溶剤型PASLIM
含溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1:下記で調製。
2液硬化型ウレタン接着剤1:東洋モートン(株)社製、トモフレックスTM−340/東洋モートン(株)社製CAT−29
低密度ポリエチレン1:日本ポリエチレン(株)製低密度ポリエチレン、LC600A。CPPフィルム1:東レフィルム加工(株)社製、2703。片面アルミニウム蒸着処理(40nm厚)。25μm厚。
CPPフィルム2:下記で作製。
CPPフィルム3:下記で作製。
CPPフィルム4:三井化学東セロ(株)社製CPPフィルム、TAF−511。厚さ18μm。
【0123】
[ガスバリア塗布膜用樹脂組成物1の調製]
下記の原料を混合して、ガスバリア塗布膜層(E)用の、ガスバリア塗布膜用樹脂組成物1を調製した。
テトラエトキシシラン 100質量部
エバールEP−F101 20質量部
N,N−ジメチルべンジルアミン 0.2質量部
イソプロピルアルコール 300質量部
【0124】
[無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1の調製]
下記のように操作して、ガスバリア性有機接着剤層(B)用の、無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1を調製した。
【0125】
先ず、精留管と水分分離器を備えたポリエステル反応容器に下記原料を投入して徐々に加熱し、窒素雰囲気下で、反応液の液温220℃、蒸気温100℃を維持しながらエステル化反応を進行させ、反応液の酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、液温を120℃まで冷却した。
無水フタル酸 241.9質量部
エチレングリコール 105.4質量部
グリセリン 75.2質量部
チタニウムテトライソプロポキシド 0.042質量部
【0126】
次いで、反応液に下記原料を投入し、液温120℃を維持しつつ、多価カルボン酸変性化反応を進行させ、酸価が無水マレイン酸の仕込み量から計算した酸価の概ね半分になったところでエステル化反応を終了して、冷却して、多価カルボン酸変性ポリエステルポリオールAを得た。
無水マレイン酸 77.5質量部
得られた多価カルボン酸変性ポリエステルポリオールAの特徴は下記の通り。
数平均分子量:約520、
水酸基価:216.6mgKOH/g、
酸価:96.2mgKOH/g
1分子当たりの水酸基数:2個 (設計値)
1分子当たりのカルボキシル基数:1個 (設計値)
【0127】
次いで、イソシアネート化合物として、住化バイエルウレタン製「デスモジュールN3200」(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体。1分子当たりのイソシアネート基数:2個)と、三井化学製「タケネート500」(メタキシリレンジイソシアネート。1分子当たりのイソシアネート基数:2個)とを用いて、上記で得た多価カルボン酸変性ポリエステルポリオールAと、下記配合比で80℃に加熱して均一に混合して、冷却し、無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1を得た。
多価カルボン酸変性ポリエステルポリオールA 100質量部
デスモジュールN3200 49.5質量部
タケネート500 28.9質量部
【0128】
[含溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1の調製]
下記の接着剤と溶剤を混合して、含溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1を調製した。接着剤:PASLIM VM001/VM102CP(DIC(株)社製) 19質量部溶剤:酢酸エチル 15質量部
【0129】
[CPPフィルム2の作製]
CPPフィルム4のコロナ処理面に、下記条件でアルミナ蒸着膜(20nm厚)を形成した。
真空チャンバ―内の真空度;2〜6×10-6mBar
蒸着チャンバ―内の真空度:2〜5×10-3mBar
冷却・電極ドラム供給電力:10kW
ライン速度:100m/min
【0130】
次いで、アルミナ蒸着膜を形成した直後に、そのアルミナ蒸着膜面に、下記条件でプラズマ処理を行って、アルミナ蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理面を形成して、CPPフィルム2を得た。
プラズマ発生装置:グロー放電プラズマ発生装置
パワー:9kw
混合ガス流量:酸素ガス/アルゴンガス=7.0/2.5(単位:slm)
混合ガス圧:6×10-3Torrで
【0131】
[CPPフィルム3の作製]
CPPフィルム4のコロナ処理面に、下記条件で酸化珪素蒸着膜(20nm厚)を形成した。
導入ガス:ヘキサメチルジシロキサン/酸素ガス/ヘリウム=1.0/3.0/3.0(単位:s1m)
真空チャンバ―内の真空度;2〜6×10-6mBar
蒸着チャンバ―内の真空度:2〜5×10-3mBar
冷却・電極ドラム供給電力:10kW
ライン速度:100m/min
【0132】
次いで、酸化珪素蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素蒸着膜面に、下記条件でプラズマ処理を行って、酸化珪素蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理面を形成して、CPPフィルム3を得た。
プラズマ発生装置:グロー放電プラズマ発生装置
パワー:9kw
混合ガス流量:酸素ガス/アルゴンガス=7.0/2.5(単位:slm)
混合ガス圧:6×10-3Torrで
【0133】
[実施例1]
基材層(A)としてOPPフィルム4、ガスバリア性有機接着剤層(B)として無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1、シーラント層(D)としてCPPフィルム1を用いた。
まず、OPPフィルム4のコロナ処理面に、水性フレキソ印刷層からなる印刷層(F)を設けた。
【0134】
次に、印刷層(F)面と、CPPフィルム1のアルミニウム蒸着面とを、無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1を介して、ラミネートし、次いで40℃で2日間エージング処理し、積層体を得た。
【0135】
このときの無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1の塗布量は、硬化後のガスバリア性有機接着剤層(B)の厚さが2μmになる量とした。
得られた積層体について各種評価を実施した。結果を表1に示す。
【0136】
層構成:OPPフィルム4(30μm)/水性フレキソ印刷層(1μm)/無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1硬化物(2μm)/アルミニウム蒸着膜(40nm)/CPPフィルム1(25μm)
【0137】
[実施例2〜4、6〜11]
各層の構成を表1に記載の内容に変えた以外は、実施例1と同様に操作して、同様に評価した。結果を表1、2に示す。
【0138】
[実施例5]
基材層(A)としてOPPフィルム4、ガスバリア性有機接着剤層(B)として無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1、シーラント層(D)としてCPPフィルム1、ガスバリア塗布膜層(E)としてガスバリア塗布膜用樹脂組成物1を用いた。
まず、OPPフィルム4のコロナ処理面に、水性フレキソ印刷層からなる印刷層(F)を設けた。
【0139】
次に、該ガスバリア塗布膜層(E)面と、CPPフィルム1のアルミニウム蒸着面とを、無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1を介して、ラミネートし、次いで40℃で2日間エージング処理し、積層体を得た。
【0140】
このときの、ガスバリア塗布膜用樹脂組成物1の塗布量は、乾燥後のガスバリア塗布膜層(E)の厚さが2μmになる量、無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1の塗布量は、硬化後のガスバリア性有機接着剤層(B)の厚さが2μmになる量とした。
得られた積層体について、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0141】
[比較例1]
印刷層を油性グラビア印刷層によって形成した以外は実施例1と同様に操作して、積層体を得て、同様に評価した。結果を表3に示す。
【0142】
[比較例2]
ガスバリア性有機接着剤層(B)を無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1を用いて形成する代わりに、含溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1を用いて接着層を形成し、エージング条件を40℃3日に変えた以外は、比較例1と同様に操作して、積層体を得て、同様に評価した。結果を表3に示す。
【0143】
[比較例3]
基材層(A)にPETフィルム1を用いた以外は比較例2と同様に操作して、積層体を得て、同様に評価した。結果を表3に示す。
【0144】
[比較例4]
ガスバリア性有機接着剤層(B)に、2液硬化型ウレタン接着剤1を塗布、乾燥して接着層を形成してから、ドライラミネーションによってCPPフィルム1のアルミニウム蒸着面を接着して積層し、エージング条件を25℃1日間に変えた以外は、比較例1と同様に操作して、積層体を得て、同様に評価した。結果を表3に示す。
【0145】
[比較例5]
基材層(A)としてOPPフィルム2、シーラント層(D)としてCPPフィルム4を用いた。
まず、OPPフィルム2のコロナ処理面に、油性グラビア印刷層からなる印刷層を設けた。
【0146】
次に、印刷層面に、ACコート剤1を乾燥後の厚さが1μmになるように塗布、乾燥して、次いで、厚さが10μmになるように溶融押出された低密度ポリエチレン1を介して、PETフィルム2のアルミニウム蒸着層を接着して積層した。
【0147】
次に、PETフィルム面に、ACコート剤1を乾燥後の厚さが1μmになるように塗布、乾燥して、次いで、厚さが10μmになるように溶融押出された低密度ポリエチレン1を介して、CPPフィルム4を接着して積層して、積層体を得た。
得られた積層体について、実施例1と同様に評価した。結果を表3に示す。
【0148】
<評価>
[ガスバリア性]
(1)酸素透過度
各積層体をA4サイズに裁断し、米国MOCON社製OXTRAN2/20を使用し、23℃、90%RHの条件下での酸素透過度(cc/m2/day/atm)を測定した
。2cc/m2/day/atm以下を合格とした。
(2)水蒸気透過度
各積層体をA4サイズに裁断し、米国MOCON社製PERMATRAN3/31を使用し、40℃、90%RHの条件下での水蒸気透過度(g/m2/day)を測定した。
2g/m2/day以下を合格とした。
(3)屈曲負荷後
ゲルボフレックステスターで5回の屈曲負荷を与えた後に、酸素透過度と水蒸気透過度を、上記と同一の方法及び条件下で測定した。前記屈曲負荷を与える前からの増加値が、酸素透過度は20cc/m2/day/atm以下、水蒸気透過度は20g/m2/day以下を合格とした。
【0149】
[縦ピロー充填性]
下記条件で、内容物無しの空袋で、縦ピロー充填性を評価した。
充填機:KBF−6100(株式会社川島製作所社製)
包装袋サイズ:巾200mm×高さ240mm
シール条件:縦シール140℃、横シール150℃
ショット数:30個/分
【0150】
[ラミネート強度]
積層体から、幅15mmの短冊状の試験片を切り出し、テンシロン引張試験機((株)オリエンテック製RTC−1310A)を用いて、25℃雰囲気下、T字剥離方式(引張速度50mm/分)により、基材層とシーラント層間を剥離した際の最大荷重を測定し、ラミネート強度(N/15mm)とした。更には、剥離界面部位を確認した。表1内の表記は下記の意味である。ラミネート強度は、1N/15mm以上を合格とした。
蒸/シ:ガスバリア無機蒸着層(C)/シーラント層(D)の界面で剥離
接/蒸:ガスバリア性有機接着剤層(B)/ガスバリア無機蒸着層(C)の界面で剥離
蒸着膜=アルミニウム、アルミナ、酸化珪素の蒸着膜。
接着剤=無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1、無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物2、含溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1、2液硬化型ウレタン接着剤1、低密度ポポリエチレン1。
シーラント部=CPPフィルム1〜4のCPP部。
【0151】
[積層体中の残留溶剤量]
ガスクロマトグラフィーにて積層体中の、トルエン、酢酸エチル、IPA、メタノール、MEKの総量(mg/m2)を測定した。総量がゼロまたは6mg/m2以下を合格とした。
【0152】
【表1】
【0153】
【表2】
【0154】
【表3】
【0155】
[結果まとめ]
実施例1〜11は、総構成層数が5〜6層構成でありながらも、良好な、縦ピロー充填性と、屈曲負荷前後の酸素透過度と水蒸気透過度と、ラミネート性とのバランスを示し、従来のガスバリア積層体であり総構成層数が9層で多い比較例5よりも高いガスバリア性を示した。
しかし、油性グラビア印刷層や含溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物、2液硬化型ウレタン接着剤、ACコート剤等を含む比較例1〜5は、総じて高い残留溶剤量を示した。
比較例4は、屈曲負荷後の酸素透過度は、測定装置の測定可能範囲を超えた酸素透過度
を示し、測定値を得ることはできなかった。
【符号の説明】
【0156】
1 低溶剤臭ガスバリア積層体
2 基材層(A)
3 ガスバリア性有機接着剤層(B)
4 ガスバリア無機蒸着層(C)
5 シーラント層(D)
6 ガスバリア無機蒸着層
7 ガスバリア塗布膜層(E)
8 印刷層(F)
図1
図2