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特開2020-193889位置決め装置、孔検査装置、位置決め方法及び孔検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-193889(P2020-193889A)
(43)【公開日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】位置決め装置、孔検査装置、位置決め方法及び孔検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/12 20060101AFI20201106BHJP
   G01B 21/00 20060101ALI20201106BHJP
   G01B 11/30 20060101ALI20201106BHJP
【FI】
   G01B11/12 H
   G01B21/00 L
   G01B11/30 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-100098(P2019-100098)
(22)【出願日】2019年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100136504
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 毅彦
(72)【発明者】
【氏名】小野 遼平
(72)【発明者】
【氏名】中畑 達雄
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 政雄
【テーマコード(参考)】
2F065
2F069
【Fターム(参考)】
2F065AA17
2F065AA27
2F065AA50
2F065AA53
2F065BB08
2F065DD02
2F065DD19
2F065FF01
2F065FF04
2F065FF11
2F065FF41
2F065FF52
2F065GG04
2F065JJ03
2F065LL01
2F065LL12
2F065LL13
2F065LL19
2F065LL28
2F065MM08
2F065NN20
2F065PP05
2F065PP22
2F065QQ25
2F065QQ34
2F065RR08
2F065TT02
2F065TT08
2F065UU03
2F069AA13
2F069AA40
2F069AA57
2F069AA60
2F069AA66
2F069CC01
2F069DD12
2F069DD21
2F069DD27
2F069EE11
2F069GG01
2F069GG04
2F069GG07
2F069GG62
2F069JJ10
2F069MM04
2F069MM13
2F069MM32
2F069RR05
(57)【要約】
【課題】孔の中心位置に合わせて検査装置の位置決めを行って孔の直径等の特徴を測定又は検査する場合において、大掛かりな3次元移動装置を用いることなく高精度に孔の特徴を測定又は検査できるようにすることである。
【解決手段】実施形態に係る位置決め装置は、物体に設けられた被検査孔の特徴を測定又は検査するための孔検査装置の基準線と中心軸が同一直線上となる位置決め孔であって前記被検査孔に少なくとも先端が挿入される円筒状又は円柱状の位置決め部材をスライド可能に挿入するための前記位置決め孔と、前記被検査孔の周辺における前記物体の表面又は前記物体に載置される治具の表面を形成する平面に接触させてセットするための平面からなる支持面を有するガイドユニットと、前記ガイドユニットの一部又は全部を前記孔検査装置に取付けるための着脱部材とを有するものである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体に設けられた被検査孔の特徴を測定又は検査するための孔検査装置を前記被検査孔に対して位置決めする位置決め装置であって、
前記被検査孔の特徴を測定又は検査するための前記孔検査装置の基準線と中心軸が同一直線上となる位置決め孔であって前記被検査孔に少なくとも先端が挿入される円筒状又は円柱状の位置決め部材をスライド可能に挿入するための前記位置決め孔と、前記被検査孔の周辺における前記物体の表面又は前記物体に載置される治具の表面を形成する平面に接触させてセットするための平面からなる支持面を有するガイドユニットと、
前記ガイドユニットの一部又は全部を前記孔検査装置に取付けるための着脱部材と、
を有する位置決め装置。
【請求項2】
前記ガイドユニットが少なくとも前記被検査孔の縁に接触しないように前記ガイドユニットに支柱を設け、前記支柱の端面に前記支持面を形成した請求項1記載の位置決め装置。
【請求項3】
前記位置決め孔の直径よりも直径が大きく中心軸が同一直線上にある円柱状の空間であって前記ガイドユニットの前記支柱側に隣接する前記円柱状の空間を少なくとも遮らないように円筒状の支柱又は複数の支柱を前記ガイドユニットに設けた請求項2記載の位置決め装置。
【請求項4】
前記ガイドユニットは、
前記位置決め孔を形成するブッシュと、
前記ブッシュを挿入するための貫通孔及び前記支柱を有するガイド治具と、
を有する請求項2又は3記載の位置決め装置。
【請求項5】
前記支柱に、前記位置決め孔の中心軸と垂直となるように前記支持面を形成した請求項2乃至4のいずれか1項に記載の位置決め装置。
【請求項6】
前記ガイドユニットは、先端に向かって直径が徐々に減少し、かつ直径が一定である部分を有する円筒状又は円柱状の前記位置決め部材を有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の位置決め装置。
【請求項7】
前記ガイドユニットは、前記被検査孔の特徴を測定又は検査するための棒状のプローブを挿入するための貫通孔を中心に有する前記円筒状の前記位置決め部材を有し、前記位置決め部材の直径が徐々に減少する前記先端を前記プローブと同じ方向から前記被検査孔に挿入及び退避できるように前記位置決め部材を前記位置決め孔にスライド可能に配置した請求項6記載の位置決め装置。
【請求項8】
前記ガイドユニットに、前記位置決め部材を前記位置決め孔に対して前記位置決め部材及び前記位置決め孔の中心軸方向に相対的にスライドさせるスライド機構を設けた請求項7記載の位置決め装置。
【請求項9】
前記スライド機構を、
前記位置決め部材の外面及び前記位置決め孔の内面の一方に形成される溝であって前記位置決め部材のスライド方向における位置が変化する前記溝の内部をスライドし、かつ前記位置決め部材の外面及び前記位置決め孔の内面の他方に取付けられる円筒状又は円柱状の部材と、
前記円筒状又は円柱状の部材を前記溝の長さ方向にスライドさせる部材と、
を用いて構成した請求項8記載の位置決め装置。
【請求項10】
前記ガイド治具は、前記ブッシュを挿入するための貫通孔を形成する部材を、前記支柱に対して相対的に前記位置決め孔の中心軸に垂直な方向に平行移動させる調整機構を有する請求項4記載の位置決め装置。
【請求項11】
前記ガイド治具は、前記ブッシュを挿入するための貫通孔を形成する球面滑り軸受を有する請求項4又は10記載の位置決め装置。
【請求項12】
前記ガイド治具は、
前記物体に設けられた少なくとも2つの複数の孔であって各中心軸が前記被検査孔の中心軸と同一平面上となるように設けられた前記複数の孔にそれぞれ挿入されるピンを挿入するための挿入孔を形成する単一又は複数の部材と、
前記ブッシュを挿入するための貫通孔を形成する部材を、前記単一又は複数の部材に対して前記挿入孔の配列方向に相対的に平行移動させる調整機構と、
を有する請求項4又は11記載の位置決め装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の位置決め装置を備えた孔検査装置。
【請求項14】
前記被検査孔の内面にレーザ光を照射し、反射光を入射させる非接触式のプローブを備えた請求項13記載の孔検査装置。
【請求項15】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の位置決め装置を用いて前記孔検査装置の位置決めを行う位置決め方法。
【請求項16】
物体に設けられた被検査孔の特徴を測定又は検査するための孔検査装置の基準線と中心軸が同一直線上となる位置決め孔と、前記被検査孔の周辺における前記物体の表面又は前記物体に載置される治具の表面を形成する平面に接触させてセットするための平面からなる支持面を有するガイドユニットの一部又は全部を着脱部材で前記孔検査装置に取付ける一方、前記支持面を前記物体又は前記治具の表面に接触させることによって前記ガイドユニットをセットし、
円筒状又は円柱状の位置決め部材を前記位置決め孔及び前記被検査孔に同時に挿入することによって前記孔検査装置を前記被検査孔に対して位置決めする位置決め方法。
【請求項17】
前記孔検査装置のプローブを前記被検査孔に挿入する前に前記位置決め部材を前記位置決め孔及び前記被検査孔から引き抜く請求項16記載の位置決め方法。
【請求項18】
請求項15乃至17のいずれか1項に記載の位置決め方法で位置決めされた前記孔検査装置で前記被検査孔の特徴を測定又は検査する孔検査方法。
【請求項19】
前記位置決め部材を前記被検査孔から引き抜いた後に前記被検査孔の縁の形状を含む特徴を測定又は検査する請求項18記載の孔検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、位置決め装置、孔検査装置、位置決め方法及び孔検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
孔の内径を測定するための手持ち式の検査装置として、棒状の検査プローブを備えた非接触式の装置が商品化されている(例えば非特許文献1参照)。この検査装置で孔の直径を測定する場合には、棒状の検査プローブを孔に挿入し、検査プローブの先端に設けられた光源から孔の内面に向けて360度方向にレーザ光が照射される。そして、孔の内面で反射したレーザ光の反射光が検査プローブに内蔵された円錐状のミラーに反射し、検査プローブを構成するガラス棒を伝播した反射光がカメラで撮影される。カメラで撮影される反射光はリング状となり、リング状の反射光の画像解析によって孔の直径を算出することができる。
【0003】
この光学式の孔の検査装置を用いて孔の直径の測定精度を向上させるためには、検査プローブの中心軸と孔の中心軸との間における同軸度を向上させることが必要である。孔の中心軸に合わせて物体を位置決めする装置としては、円錐状の位置決め部材を孔に挿入する芯出し装置が知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−030338号公報
【特許文献2】実開昭57−202692号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】UNITED SCIENCES,LLC、Handheld 3D Scannerのパンフレット、[online],[平成31年4月9日検索]、インターネット<URL:http://www.unitedsciences.com/wp−content/uploads/2015/10/AeroscanSpecSheet−Handheld−20150919pm.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、芯出し装置等を用いて孔の芯出しを行ってワークの位置決めを行ったとしても、検査プローブを孔の中心軸に合わせて位置決めすることが必要となる。このため、手持ち式の検査装置でありながら、孔の直径を良好な精度で測定するためには、検査装置を、工作機械や3次元測定装置のような直交3軸方向への移動機構を備えた大掛かりな3次元移動装置に固定して位置決めすることが必要となる。
【0007】
逆に、検査装置をユーザが手で持って孔の直径等の特徴を測定すると、プローブを孔の中心位置に正確に位置決めできず、低い精度でしか孔の特徴を測定することができない。また、検査装置の位置が不適切であると、孔の特徴が測定できずにエラーとなってしまうことから、ユーザに検査装置を扱うための熟練度が要求される。
【0008】
これは、孔の中心位置に合わせて位置決めを行って孔の直径等の特徴を測定又は検査する他の原理による非接触式の検査装置はもちろん、接触式の検査装置においても同様である。
【0009】
そこで、本発明は、孔の中心位置に合わせて検査装置の位置決めを行って孔の直径等の特徴を測定又は検査する場合において、大掛かりな3次元移動装置を用いることなく高精度に孔の特徴を測定又は検査できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態に係る位置決め装置は、物体に設けられた被検査孔の特徴を測定又は検査するための孔検査装置を前記被検査孔に対して位置決めする位置決め装置であって、前記被検査孔の特徴を測定又は検査するための前記孔検査装置の基準線と中心軸が同一直線上となる位置決め孔であって前記被検査孔に少なくとも先端が挿入される円筒状又は円柱状の位置決め部材をスライド可能に挿入するための前記位置決め孔と、前記被検査孔の周辺における前記物体の表面又は前記物体に載置される治具の表面を形成する平面に接触させてセットするための平面からなる支持面を有するガイドユニットと、前記ガイドユニットの一部又は全部を前記孔検査装置に取付けるための着脱部材とを有するものである。
【0011】
また、本発明の実施形態に係る孔検査装置は、上述した位置決め装置を備えたものである。
【0012】
また、本発明の実施形態に係る位置決め方法は、上述した位置決め装置を用いて前記孔検査装置の位置決めを行うものである。
【0013】
また、本発明の実施形態に係る位置決め方法は、物体に設けられた被検査孔の特徴を測定又は検査するための孔検査装置の基準線と中心軸が同一直線上となる位置決め孔と、前記被検査孔の周辺における前記物体の表面又は前記物体に載置される治具の表面を形成する平面に接触させてセットするための平面からなる支持面を有するガイドユニットの一部又は全部を着脱部材で前記孔検査装置に取付ける一方、前記支持面を前記物体又は前記治具の表面に接触させることによって前記ガイドユニットをセットし、円筒状又は円柱状の位置決め部材を前記位置決め孔及び前記被検査孔に同時に挿入することによって前記孔検査装置を前記被検査孔に対して位置決めするものである。
【0014】
また、本発明の実施形態に係る孔検査方法は、上述した位置決め方法で位置決めされた前記孔検査装置で前記被検査孔の特徴を測定又は検査するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態に係る位置決め装置を備えた孔検査装置の構成図。
図2図1に示す孔検査装置による被検査孔の特徴の測定原理及び詳細構成の一例を説明する被検査孔の拡大縦断面図。
図3図1及び図2に示すカメラで撮影される2次元画像の例を示す図。
図4図1に示す孔検査装置による被検査孔の特徴の測定原理及び詳細構成の別の一例を説明する被検査孔の拡大縦断面図。
図5図1に示すガイドユニットを物体に載置される治具にセットした例を示す図。
図6図1に示すガイド治具の形状例を示す上面図。
図7図1に示すガイド治具の別の形状例を示す上面図。
図8図1に示すブッシュの位置決め孔と被検査孔に1本の位置決め部材を挿入した状態を示す縦断面図。
図9図1に示すガイド治具の貫通孔と被検査孔に複数の部品からなる共通の位置決め部材を挿入した例を示す縦断面図。
図10】本発明の第2の実施形態に係る位置決め装置を備えた孔検査装置の構成図。
図11図10に示す位置決め装置に備えられるガイド治具の上面図。
図12】本発明の第3の実施形態に係る孔検査装置の位置決め装置を構成するガイド治具の位置決め方法を示す被検査孔近傍における縦断面図。
図13】本発明の第4の実施形態に係る位置決め装置を備えた孔検査装置の構成図。
図14図13に示す位置決め装置を構成するガイドユニットの上面図。
図15図13及び図14に示すブッシュの正面図。
図16図13及び図14に示すレバーの正面図。
図17図13に示す位置決め装置で孔検査装置の位置決めを行って物体に設けられた被検査孔の検査を行う手順を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る位置決め装置、孔検査装置、位置決め方法及び孔検査方法について添付図面を参照して説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
(位置決め装置及び孔検査装置)
図1は本発明の第1の実施形態に係る位置決め装置を備えた孔検査装置の構成図である。
【0018】
孔検査装置1は、物体Oに設けられた被検査孔Hの特徴を測定又は検査する手持ち式の装置である。被検査孔Hは、横断面の形状が円形である貫通孔又は貫通しない止まり孔であり、中心軸が物体Oの平坦な表面に垂直となるように設けられた孔である。図1に示す例では、被検査孔Hが物体Oを貫通する貫通孔となっている。
【0019】
測定対象又は検査対象となる被検査孔Hの特徴の具体例としては、被検査孔Hの各深さにおける直径、被検査孔Hの内面の各位置における表面粗さ、被検査孔Hの内面における損傷の有無及び被検査孔Hの内面の3次元形状が挙げられる。尚、C面取りや逆R面取り等の面取りや段差の有無を問わず被検査孔Hの縁を測定対象又は検査対象とすることもできる。従って、被検査孔Hの縁の面取り形状はもちろん、面取り形状を含む被検査孔Hの内面における3次元形状を取得するようにしても良い。
【0020】
このような被検査孔Hの特徴は、被検査孔Hの中心軸を基準線として測定又は検出することができる。従って、孔検査装置1で被検査孔Hの特徴を測定又は検出するためには、孔検査装置1を被検査孔Hに対して位置決めすることが必要である。そこで、孔検査装置1は、位置決め装置2とともに用いられ、位置決め装置2の一部又は全部がアタッチメントとして孔検査装置1に取付けられる。すなわち、孔検査装置1は、装置本体3と、位置決め装置2で構成される。
【0021】
装置本体3は、被検査孔Hの中心軸を基準線として被検査孔Hの特徴を測定又は検出する手持ち式の装置である。このため、装置本体3は、被検査孔Hの特徴を測定又は検出するために必要な構成要素を筐体4に収納し、ユーザが手で握るためのグリップ5を筐体4に設けて構成される。
【0022】
位置決め装置2は、装置本体3を被検査孔Hの中心軸に合わせて位置決めする装置である。具体的には、位置決め装置2は、孔検査装置1の装置本体3に対して定義された基準線RFが、横断面の形状が円形の被検査孔Hの中心軸と同一直線上となるように装置本体3を位置決めできるように構成されている。
【0023】
位置決め装置2の構成は、孔検査装置1による被検査孔Hの特徴の測定原理又は検出原理に応じた構成とすることができる。以降では、孔検査装置1が、非接触式の棒状のプローブ6を備えた光学式の検査装置である場合を例に説明するが、孔検査装置1が、接触式のプローブを備えた3次元測定装置等の検査装置である場合はもちろん、プローブの代わりにセンサ等を備えたタイプの検査装置であっても、被検査孔Hの中心軸を基準線として被検査孔Hの特徴を測定又は検出する手持ち式の検査装置であれば、孔検査装置1に位置決め装置2の一部又は全部を取付けて同様に孔検査装置1の位置決めを行うことができる。
【0024】
図1に例示される孔検査装置1の装置本体3は、棒状のプローブ6、カメラ7及び情報処理回路8を備えている。棒状のプローブ6は、先端を被検査孔Hの内部に挿入して使用される。このため、棒状のプローブ6は、直線移動機構によって検査時には装置本体3の筐体4から被検査孔Hに向けて突出させる一方、検査後には筐体4に収納できるように構成されている。また、棒状のプローブ6は、変形しないように一定の強度を有する剛体で構成される。
【0025】
図2は、図1に示す孔検査装置1による被検査孔Hの特徴の測定原理及び詳細構成の一例を説明する被検査孔Hの拡大縦断面図である。
【0026】
棒状のプローブ6の先端には、光源9、円錐状のミラー10A及び円形のスリット6Aが設けられている。一方、プローブ6の他端には、カメラ7が配置される。また、プローブ6内のミラー10Aとカメラ7との間における部分は、光を伝播させることが可能なガラス等の媒体6Bで構成されている。
【0027】
このため、図2に例示されるようにプローブ6の先端を被検査孔Hの内部に挿入し、光源9からレーザ光Lを発振させると、プローブ6の先端に設けられた円形のスリット6Aからレーザ光Lが360度方向に被検査孔Hの内面に向けて照射される。被検査孔Hの内面に反射したレーザ光Lの反射光は、プローブ6に入射してミラー10Aに反射し、媒体6Bによって形成される光路を伝播してカメラ7に入射する。すなわち、被検査孔Hの横断面における内面の各位置で反射したリング状の反射光がミラー10Aで反射してカメラ7に入射する。
【0028】
図3は、図1及び図2に示すカメラ7で撮影される2次元画像の例を示す図である。
【0029】
プローブ6の長さ方向における光源9及びミラー10Aの位置を変えずに、被検査孔Hの内面からのレーザ光Lの反射光をカメラ7で撮影すると、図3に示すような2次元のリング状の反射光の画像を撮影することができる。プローブ6の中心軸が被検査孔Hの中心軸に一致していれば、リング状の反射光の画像は被検査孔Hの直径と一意の関係にあると考えることができる。
【0030】
従って、図3に一点鎖線で示すように、基準となる既知の孔の直径に対応する基準円を取得して較正しておけば、基準円とリング状の反射光の画像とを比較し、基準円とリング状の反射光の画像との間における距離に基づいて幾何学的に被検査孔Hの直径を算出することができる。このため、被検査孔Hへのプローブ6の挿入深さを変えながらレーザ光Lの反射光をカメラ7で撮影すれば、被検査孔Hの中心軸方向に異なる位置における各直径を算出することができる。すなわち、被検査孔Hの内面形状を表す3次元形状データとして、円筒状のデータを得ることができる。
【0031】
図4は、図1に示す孔検査装置1による被検査孔Hの特徴の測定原理及び詳細構成の別の一例を説明する被検査孔Hの拡大縦断面図である。
【0032】
図4に例示されるように棒状のプローブ6の先端側となる一端に平面状のミラー10Bを設ける一方、プローブ6の根元側となる他端に光源及び光電変換器等の光検出器を含む光信号処理装置11を設けたタイプの孔検査装置1も商品化されている。この孔検査装置1では、直線移動機構のみならず回転機構でミラー10Bのみ或いはミラー10Bとともにプローブ6を中心軸を中心に回転できるように構成されている。
【0033】
光信号処理装置11内の光源からレーザ光Lを出射すると、レーザ光Lはレーザ光Lの光路を形成するガラス等の媒体で構成されるプローブ6を伝播する。プローブ6を伝播するレーザ光Lが被検査孔H内に挿入されたプローブ6の先端部分に到達すると、レーザ光Lはミラー10Bで反射する。その結果、レーザ光Lの伝播方向は、被検査孔Hの半径方向となる。これにより、被検査孔Hの内面に向けてレーザ光Lを照射することができる。
【0034】
被検査孔Hの内面に照射されたレーザ光Lは、被検査孔Hの内面で反射し、被検査孔Hの内面で反射したレーザ光Lの反射光は再びプローブ6に入射する。プローブ6に入射したレーザ光Lの反射光は、ミラー10Bで反射し、プローブ6を伝播して光信号処理装置11に入射する。光信号処理装置11に入射したレーザ光Lの反射光は、光信号処理装置11内において光サーキュレータ等によって分岐する光路を伝播し、光検出器で検出される。
【0035】
このため、光源からのレーザ光Lの発振時刻と、光検出器によるレーザ光Lの反射光の検出時刻との間における時間差や光源から発振されたレーザ光Lと、レーザ光Lの反射光との干渉光の解析によってミラー10B上におけるレーザ光Lの反射位置と、被検査孔Hの内面におけるレーザ光Lの反射位置との間における距離を算出することができる。従って、ミラー10Bの回転と、被検査孔Hの深さ方向へのミラー10Bの移動を行えば、被検査孔Hの内面の各位置における相対的な空間座標を求めることができる。すなわち、被検査孔Hの内面形状を表す3次元形状データとして、被検査孔Hの内面に対応する円筒状の曲面上にある点群データを取得することができる。
【0036】
図2又は図4に示すような孔検査装置1には情報処理回路8を設け、カメラ7で撮影された画像の画像処理や光検出器で検出された反射光の検出信号の信号処理を行えるようにすることができる。具体例として、ノイズ除去処理、3次元補間処理及びエラー除外処理等の様々な情報処理を行うことができる。
【0037】
これにより、0.05mm程度のピッチで被検査孔Hの内面における位置座標を取得することも可能となる。従って、金属はもちろん繊維強化プラスチック(複合材)からなる物体Oに±0.1mm〜±0.01mmの公差で設けられた被検査孔Hの特徴を測定することができる。
【0038】
被検査孔Hの特徴を高精度に測定するためには、円錐状のミラー10Aの中心軸又は平面状のミラー10Bの回転軸と、被検査孔Hの中心軸との間における同軸度を良好にすることが重要である。従って、円錐状のミラー10Aの中心軸又は平面状のミラー10Bの回転軸がプローブ6の中心軸上であれば、プローブ6の中心軸と、被検査孔Hの中心軸を同一直線上とすることが重要である。実際の孔検査装置1では、プローブ6の中心軸と、被検査孔Hの中心軸との間における誤差が大きいと、被検査孔Hの直径等の特徴の算出精度が低下したり、測定不能となる場合があることが確認されている。
【0039】
そこで、プローブ6の中心軸を孔検査装置1の基準線RFとして定義することができる。そして、位置決め装置2を、孔検査装置1の基準線RFと、被検査孔Hの中心軸が同一直線上となるように装置本体3の位置決めを行うように構成することができる。
【0040】
位置決め装置2は、図1に例示されるように、孔検査装置1の基準線RFと被検査孔Hの中心軸が同一直線上となるように装置本体3の位置決めを行うためのガイドユニット12と、ガイドユニット12の一部又は全部を孔検査装置1の装置本体3に取付けるための着脱部材13で構成することができる。
【0041】
図1に示す例では、着脱部材13が円筒状の部材で構成されており、一端が内面に雌ねじを形成した開口端であり、他端が中心に貫通孔を形成し、貫通孔の周囲に環状の端面が形成される形状となっている。そして、着脱部材13の雌ねじが装置本体3の筐体4に形成された雄ねじに締付けられることによって着脱部材13が筐体4に着脱可能に固定されている。また、ガイドユニット12の一部が着脱部材13の内部に収納されることによって筐体4に取付けられている。
【0042】
ガイドユニット12は、孔検査装置1の基準線RFと中心軸が同一直線上となる位置決め孔14と、被検査孔Hの周辺における物体Oの表面を形成する平面に接触させてセットするための平面からなる支持面15を有する。尚、ガイドユニット12の支持面15と接触しない部分における物体Oの表面は平面でなくても良い。
【0043】
図5は、図1に示すガイドユニット12を物体Oに載置される治具16にセットした例を示す図である。
【0044】
図5に例示されるように物体Oの表面に直接ガイドユニット12の支持面15を接触させずに、物体Oに載置される穿孔板等の治具16の表面を形成する平面にガイドユニット12の支持面15を接触させてセットするようにしても良い。この場合、穿孔板等の治具16を使用してドリルで被検査孔Hを穿孔した後、速やかに孔検査装置1をセットして被検査孔Hの特徴を検査することが可能となる。
【0045】
但し、被検査孔Hの周囲における物体Oの表面を露出させれば、被検査孔Hの縁の3次元形状等の特徴を測定することが可能となる。逆に、被検査孔Hの縁の特徴を測定するためには、被検査孔Hの周囲における物体Oの表面に空間を形成することが必要である。
【0046】
そこで、ガイドユニット12が少なくとも被検査孔Hの縁に接触しないようにガイドユニット12に支柱17を設け、支柱17の端面に支持面15を形成することができる。これにより、被検査孔Hの縁を空間に露出させることができる。
【0047】
図1に示す例では、ガイドユニット12が、位置決め孔14を形成する段付のブッシュ18と、ブッシュ18を挿入するための貫通孔19及び支柱17を有するガイド治具20で構成されている。
【0048】
段付のブッシュ18は、一端の直径が着脱部材13の貫通孔の直径よりも大きく、他端の直径が着脱部材13の貫通孔の直径と隙間嵌めの公差で対応している。このため、ブッシュ18の直径が大きい円盤状の部分18Aを着脱部材13の内側に収納する一方、直径が小さい部分を着脱部材13の貫通孔から突出させることができる。その結果、ブッシュ18を装置本体3の筐体4に着脱部材13で着脱及び交換可能に取付けることができる。ブッシュ18は、位置決め孔14の中心軸が、孔検査装置1の基準線RFと同一直線上となるように、装置本体3の筐体4に着脱部材13で固定される。
【0049】
図6図1に示すガイド治具20の形状例を示す上面図であり、図7図1に示すガイド治具20の別の形状例を示す上面図である。
【0050】
ガイド治具20には、図6に例示されるように複数の支柱17を設けても良いし、図7に例示されるように単一の円筒状の支柱17を設けても良い。但し、図6に例示されるように複数の支柱17をガイド治具20に設ければ、被検査孔Hの縁をユーザが視認することが可能となる。
【0051】
ガイド治具20の貫通孔19は、着脱部材13から突出したブッシュ18の直径が小さい部分と隙間嵌めの公差で直径が対応している。このため、図1に例示されるように装置本体3に取付けたブッシュ18の先端を、物体Oに載置したガイド治具20の貫通孔19に差し込むことができる。
【0052】
また、支柱17には、位置決め孔14の中心軸と垂直となるように支持面15が形成される。従って、物体Oの表面が平面である部分にガイド治具20を載置すると、ガイド治具20の貫通孔19及び位置決め孔14の中心軸が、物体Oの表面に垂直となる。その結果、物体Oの表面に中心軸が垂直となるように設けられた被検査孔Hの中心軸と、ガイド治具20の貫通孔19及び位置決め孔14の中心軸は互いに平行となる。
【0053】
図8は、図1に示すブッシュ18の位置決め孔14と被検査孔Hに1本の位置決め部材21を挿入した状態を示す縦断面図である。
【0054】
ブッシュ18の中心軸を中心とする横断面が円形の貫通孔として形成される位置決め孔14は、図8に示すように被検査孔Hに横断面が円形である円筒状又は円柱状の位置決め部材21として挿入されるピン21Aをスライド可能に挿入するために使用される。ピン21Aは、ガイドユニット12の部品としても良いし、汎用品を使用しても良い。ピン21Aの直径は、被検査孔Hに対して隙間嵌めの公差となるように決定される。従って、位置決め孔14の直径も、ピン21Aの直径に対して隙間嵌めの公差となるように決定される。
【0055】
このように、単一かつ共通のピン21Aを被検査孔Hと、装置本体3に取付けたブッシュ18の位置決め孔14の双方に挿入すれば、位置決め孔14の中心軸及び孔検査装置1の基準線RFを、被検査孔Hの中心軸と同一直線上にすることができる。すなわち、円筒状又は円柱状の位置決め部材21を位置決め孔14及び被検査孔Hに同時に挿入することによって孔検査装置1を被検査孔Hに対して位置決めすることができる。
【0056】
尚、図8に示す例では、位置決め孔14に挿入されるピン21Aの部分の直径と、被検査孔Hに挿入されるピン21Aの部分の直径が同一となっているが、互いに異なる直径としても良い。すなわち、ピン21Aを段付けピンとしても良い。但し、ピン21Aを段付けピンとする場合には、位置決め孔14の直径を、被検査孔Hの直径よりも小さくすることが必要である。
【0057】
図9は、図1に示すガイド治具20の貫通孔19と被検査孔Hに複数の部品からなる共通の位置決め部材21を挿入した例を示す縦断面図である。
【0058】
図9に例示されるように被検査孔Hが止まり孔である場合には、ピン21Aを孔検査装置1の装置本体3が配置されない側から被検査孔Hに挿入することができない。また、物体Oの構造によっては、ピン21Aを孔検査装置1の装置本体3が配置されない側から被検査孔Hに挿入することができない場合もある。
【0059】
そのような場合には、着脱部材13でブッシュ18を取付けた装置本体3をガイド治具20にセットする前に、図9に示すように孔検査装置1の装置本体3が配置される側からピン21Aを被検査孔Hに挿入することができる。ピン21Aの直径と、ガイド治具20の貫通孔19の直径が隙間嵌めの公差を有していない場合には、図9に例示されるように段付ブッシュ21Bとピン21Aで位置決め部材21を構成し、共通の位置決め部材21を、ガイド治具20の貫通孔19と被検査孔Hに同時に挿入することができる。もちろん、1本の段付ピンで位置決め部材21を構成し、1本の段付ピンをガイド治具20の貫通孔19と被検査孔Hの双方に同時に挿入するようにしても良い。
【0060】
この場合には、ガイド治具20の貫通孔19及び段付ブッシュ21Bの中心における貫通孔が、被検査孔Hに位置決め部材21を同時に挿入するための位置決め孔として機能することになる。そして、位置決め部材21をガイド治具20の位置決め孔に挿入してガイド治具20の位置決めを行った後に、位置決め部材21を取り外して装置本体3に取付けられたブッシュ18がガイド治具20の貫通孔19にセットされる。
【0061】
また、図8に示すように装置本体3がガイド治具20にセットされた状態で位置決めが行われる場合においても、プローブ6との干渉を回避するためにプローブ6を被検査孔Hに挿入する前にピン21Aが位置決め孔14及び被検査孔Hから引き抜かれることになる。従って、被検査孔Hへの位置決め部材21の挿入方向に関わらず、プローブ6を被検査孔Hに挿入する前に位置決め部材21が位置決め孔14及び被検査孔Hから引き抜かれる。また、位置決め部材21を被検査孔Hから十分離れた位置まで引き抜いた後であれば、被検査孔Hの縁の形状を含む特徴を測定することも可能となる。
【0062】
被検査孔Hの縁の形状を含む特徴を測定する場合、上述したように支柱17の形状及び位置を適切に決定することが重要である。図2又は図4に例示されるようにレーザ光Lを被検査孔Hの内面に照射して被検査孔Hの特徴を測定する場合であれば、レーザ光Lが被検査孔Hの内面以外の部分において反射しないようにするか、仮に反射したとしても被検査孔Hの内面とは判定されない程度に離れた位置からレーザ光Lが反射するように支柱17の形状及び位置を決定することが適切である。
【0063】
そこで、被検査孔H及び位置決め孔14の直径よりも直径が大きく中心軸が同一直線上にある、ガイドユニット12の支柱17側に隣接する円柱状の空間22が、少なくとも遮られないように支柱17をガイドユニット12に設けることが適切である。そして、位置決め孔14及び被検査孔Hへの位置決め部材21の挿入によって、円柱状の空間22を被検査孔Hに隣接させることができる。尚、ガイド治具20の位置決め後にクランプでガイド治具20を物体Oに固定するようにしても良い。
【0064】
(位置決め方法及び孔検査方法)
次に位置決め装置2を用いて孔検査装置1の位置決めを行う位置決め方法及び当該位置決め方法で位置決めされた孔検査装置1で被検査孔Hの特徴を測定する孔検査方法について説明する。
【0065】
物体Oに設けられた被検査孔Hの特徴を測定する場合には、ガイドユニット12の一部又は全部が着脱部材13で孔検査装置1に取付けられる。例えば、図1に例示されうように、段付のブッシュ18を着脱部材13で装置本体3の筐体4に取付けることができる。他方、ガイド治具20の支柱17の端面に形成される支持面15を物体Oの表面に接触させることによって、ガイド治具20が物体Oの上に載置される。
【0066】
物体Oの被検査孔Hに背面側からピン21Aを挿入できない場合には、図9に例示されるように段付ブッシュ21Bとピン21Aからなる位置決め部材21がガイド治具20の貫通孔19と被検査孔Hに同時に挿入される。これにより、ガイド治具20の支柱17が物体Oの表面に対して滑り、位置決め孔として機能するガイド治具20の貫通孔19の中心軸を、被検査孔Hの中心軸に合わせることができる。
【0067】
ガイド治具20の位置合わせが完了すると、位置決め部材21がガイド治具20から取り外され、装置本体3に取付けられた段付のブッシュ18がガイド治具20の貫通孔19に挿入される。これにより、図1に例示されるように、孔検査装置1の位置決めを行うことができる。すなわち、孔検査装置1において定義された基準線RFが、被検査孔Hの中心軸と同一直線上となった状態で、装置本体3をガイド治具20にセットすることができる。
【0068】
一方、物体Oの被検査孔Hに背面側からピン21Aを挿入できる場合には、装置本体3に取付けられた段付のブッシュ18が位置決め前におけるガイド治具20の貫通孔19に挿入される。続いて、物体Oの被検査孔H及びブッシュ18の位置決め孔14の双方に物体Oの背面側からピン21Aが挿入される。これにより、ガイド治具20の支柱17が物体Oの表面に対して滑り、ブッシュ18の位置決め孔14の中心軸を、被検査孔Hの中心軸に合わせることができる。
【0069】
ブッシュ18を取付けた装置本体3及びガイド治具20の位置合わせが完了すると、ピン21Aが物体Oの被検査孔H及びブッシュ18の位置決め孔14から引き抜かれる。これにより、図1に例示されるように、孔検査装置1の位置決めを行うことができる。すなわち、孔検査装置1において定義された基準線RFが、被検査孔Hの中心軸と同一直線上となった状態で、装置本体3をガイド治具20にセットすることができる。
【0070】
孔検査装置1の位置決めが完了すると、被検査孔Hの検査を開始することができる。被検査孔Hの検査を行う場合には、装置本体3の筐体4から被検査孔Hの内部に向かってプローブ6が移動する。そして、プローブ6の先端から被検査孔Hの内面に向けてレーザ光Lが照射される。被検査孔Hの内面で反射したレーザ光Lの反射光は、プローブ6に入射して図1及び図2に例示されるようなカメラ7又は図4に例示されるような光信号処理装置11に入射する。
【0071】
そして、カメラ7で撮影されたレーザ光Lの反射光の画像又は光信号処理装置11で得られた信号処理結果に基づいて被検査孔Hの3次元形状等の特徴を取得することができる。被検査孔Hの特徴を取得するための情報処理は、装置本体3に内蔵される情報処理回路8で行っても良いし、装置本体3と接続される外部の情報処理回路を含む装置で行っても良い。
【0072】
(効果)
以上のような位置決め装置2、孔検査装置1、位置決め方法及び孔検査方法は、装置本体3に位置決め孔14を有するガイドユニット12の一部を取付け、被検査孔Hと位置決め孔14の双方に同時にピン21Aを挿入することによって装置本体3の位置決めを行うものである。このため、大掛かりな3次元移動装置を使用することなく、手持ち式の孔検査装置1を被検査孔Hの中心軸に合わせて簡易に位置決めすることができる。その結果、被検査孔Hの特徴を高精度に測定又は検査することができる。実用的な例として、直径の公差が±0.01mm以上±0.1mm以下である被検査孔Hの形状等の特徴を測定又は検査することができる。
【0073】
(第2の実施形態)
図10は本発明の第2の実施形態に係る位置決め装置2Aを備えた孔検査装置1Aの構成図であり、図11図10に示す位置決め装置2Aに備えられるガイド治具20の上面図である。
【0074】
図10及び図11に示された第2の実施形態における孔検査装置1Aの位置決め装置2Aは、物体Oに被検査孔Hとは別に設けられた少なくとも2つの複数の孔H1を利用してガイド治具20の位置決めを行えるようにした構成と、装置本体3に取付けられるブッシュ18を挿入するためのガイド治具20の貫通孔19の位置と向きを調整できるようにした点が第1の実施形態における位置決め装置2と相違する。第2の実施形態における位置決め装置2Aの他の構成及び作用については第1の実施形態における位置決め装置2と実質的に異ならないため同一の構成又は対応する構成については同符号を付して説明を省略する。
【0075】
物体Oに被検査孔Hと複数の孔H1が一例に設けられている場合、すなわち複数の孔H1の各中心軸が被検査孔Hの中心軸と同一平面上となるように設けられている場合には、複数の孔H1を利用して物体Oに対するガイド治具20の位置決めを行うことができる。
【0076】
具体的には、ガイド治具20に、物体Oの複数の孔H1にそれぞれ挿入されるピン30を挿入するための挿入孔31を形成する単一又は複数の部材32を設けることができる。換言すれば、物体Oの複数の孔H1と同軸状となるようにガイド治具20を構成する部材32に挿入孔31を設けることができる。
【0077】
そうすると、被検査孔Hと中心軸が同一平面上となるように物体Oに平行に設けられた少なくとも2つの孔H1と、各孔H1に対応する挿入孔31に共通のピン30を挿入することによって単一又は複数の部材32を物体Oに位置決めすることができる。原理的には、図10及び図11に例示されるように被検査孔Hと一列に物体Oに設けられた2つの孔H1と、2つの孔H1にそれぞれ同軸状に設けられた部材32の2つの挿入孔31にそれぞれ2本のピン30を挿入すれば、部材32を物体Oに位置決めすることができる。
【0078】
挿入孔31に挿入されるピン30は、典型的な円柱状の段付ではないピンに限らず、ピン30として利用することが可能なピンボルト等の円柱状又は円筒状の部品で構成することができる。ピンボルトを使用する場合には、ナットを締付けることによってガイド治具20の部材32を物体Oに固定することができる。
【0079】
図10に示す例では、ピン30としてWedgelock temporary fastenerが用いられている。Wedgelock temporary fastenerは、例えば日本国特開2013−068297号公報や日本国特開2013−068298号公報等の文献にも記載されているように、2つの物体に設けられた孔に一方向から挿入し、ナットを締付けずに2つの物体を固定することが可能なファスナである。
【0080】
Wedgelock temporary fastenerは、円柱状のグリップを正回転させると鏃形状を有する先端部の太さが大きくなり、グリップを逆回転させると鏃形状を有する先端部の太さが細くなるように構成されている。このため、ピン30としてWedgelock temporary fastenerを用いれば、装置本体3を配置する側からガイド治具20の部材32を物体Oに固定することができる。
【0081】
ピン30が挿入される物体Oの孔H1の直径と、ガイド治具20の部材32に形成される挿入孔31の直径が異なる場合には、段付ピンボルト等のピン30を用いたり、物体Oの背面側からピン30を挿入するようにしても良い。
【0082】
また、被検査孔Hの片側に配置された2つの孔H1と同軸状となるように挿入孔31を設けてピン30で部材32を物体Oに位置決めすることもできる。但し、図10に例示されるように被検査孔Hを挟む両側に線対称となるように2つの孔H1が設けられる場合が多い。被検査孔Hを挟んで被検査孔Hの中心軸から等しい距離となる位置に4つの孔H1が設けられる場合もあるが、そのような場合には、被検査孔Hと中心軸が同一平面上となっている2つの孔H1を選択してピン30の挿入用に用いることができる。
【0083】
2つの孔H1にピン30を挿入すると、被検査孔Hの中心軸は、理想的には、2本のピン30が挿入される部材32の挿入孔31の中心軸と同一平面上となる。従って、装置本体3に取付けられるブッシュ18を挿入するための貫通孔19の中心軸と、部材32の挿入孔31の中心軸との間における距離が、被検査孔Hと孔H1との間における距離となるように、挿入孔31及び部材32をガイド治具20に設ければ、2本のピン30を部材32の挿入孔31と、物体Oの孔H1に挿入するのみでも、ブッシュ18の中心軸と、被検査孔Hの中心軸を同一直線上にすることができる。
【0084】
このため、孔検査装置1の基準線RFを2つの挿入孔31の中心軸に設定し、部材32の2つの挿入孔31を位置決め孔として使用することもできる。その場合には、2本のピン30位置決め部材として機能することになる。
【0085】
但し、実際には被検査孔Hと孔H1との間における位置の誤差が、被検査孔Hの直径の誤差よりも大きい場合が多い。このため、図10に例示されるように、第1の実施形態と同様に、位置決め部材21である共通のピン21Aを、装置本体3に取付けられるブッシュ18の位置決め孔14と、被検査孔Hの双方に同時に物体Oの背面側から挿入することが、被検査孔Hの検査に要求される精度を満たすことに繋がる。もちろん、図9に例示されるように段付ブッシュ21Bとピン21Aで構成される位置決め部材21や段付ピン等で構成される位置決め部材21を、装置本体3側からガイド治具20の貫通孔19と被検査孔Hの双方に同時に挿入するようにしても良い。
【0086】
但し、ピン30を物体Oの孔H1に挿入した状態で位置決め部材21を被検査孔Hに挿入する場合、被検査孔Hの位置の誤差が大きいと、位置決め部材21をガイド治具20の貫通孔19と被検査孔Hの双方に挿入することが困難となる。そこで、ガイド治具20の貫通孔19の位置を微調整できるようにすることが実用的である。また、被検査孔Hの中心軸の角度の誤差が大きい場合に備えて、ガイド治具20の貫通孔19の中心軸の角度を微調整できるようにすることもできる。
【0087】
その場合には、図10及び図11に例示されるようにガイド治具20に貫通孔19の位置や向きを調整するための調整機構33が設けられる。図10及び図11に示す例では、貫通孔19の一方向における位置と、貫通孔19の中心軸の向きを調整することが可能な調整機構33がガイド治具20に設けられている。もちろん、貫通孔19の位置を二方向に調整することが可能な調整機構をガイド治具20に設けるようにしても良い。
【0088】
貫通孔19の向きを調整するための調整機構33は、例えば、球面滑り軸受34で構成することができる。球面滑り軸受34は、ピロボール又はピロボールジョイントとも呼ばれ、本来はリンク機構用のジョイントとして用いられるが、球面滑り軸受34の円筒状の軸受面でブッシュ18を挿入するための貫通孔19を形成することができる。
【0089】
そうすると、ガイド治具20に設けられる貫通孔19の向きを自在に変化させることが可能となる。このため、貫通孔19の中心軸の向きが被検査孔Hの中心軸と同じ向きとなるように、貫通孔19の向きを調整することができる。これにより、被検査孔Hの中心軸の向きに誤差があり、物体Oの表面に正確に垂直でない場合であっても、位置決め部材21をガイド治具20の貫通孔19又はブッシュ18の位置決め孔14と、被検査孔Hの双方にスムーズに挿入することが可能となる。
【0090】
尚、図9に例示されるように、位置決め部材21を装置本体3側から被検査孔Hに挿入する場合には、位置決め部材21を被検査孔Hから抜いた後に貫通孔19の向きを変化させずに、装置本体3に取付けられたブッシュ18を貫通孔19に挿入することが肝要となる。このため、球面滑り軸受34の嵌め合い公差を厳しくして力を作用させないと貫通孔19の向きが変化しないようにしたり、球面滑り軸受34にストッパを設けて調整後における貫通孔19の向きを固定できるようにしても良い。
【0091】
他方、ガイド治具20の貫通孔19の位置を調整するための調整機構33は、例えば、ガイド治具20の本体20Aに設けられた溝又は段差面に沿ってスライドさせることが可能なスライド部材35で構成することができる。図10及び図11に示す例では、矩形の板状のスライド部材35が、ガイド治具20の本体20Aに設けられた段差面上を、2本のピン30を挿入するための部材32の挿入孔31の間を結ぶ方向に平行移動できるようになっている。
【0092】
そして、貫通孔19を形成する球面滑り軸受34がスライド部材35に埋め込まれている。このため、貫通孔19の向きのみならず、貫通孔19の位置をピン30を挿入するための挿入孔31を有する部材32や支柱17等に対して相対的に平行移動させることができる。すなわち、貫通孔19の位置を、位置決め孔14の中心軸に垂直な方向に平行移動させることができる。
【0093】
スライド部材35等の貫通孔19の位置をスライドさせる機構は、球面滑り軸受34等の貫通孔19の向きを調整するための機構を設けるか否かに関わらず、ガイド治具20に設けることができる。従って、スライド部材35に貫通孔19を形成するブッシュを圧入したり、スライド部材35に貫通孔19を直接形成しても良い。すなわち、貫通孔19を形成する球面滑り軸受34やその他の部材を、ピン30を挿入するための挿入孔31を有する単一又は複数の部材32に対して挿入孔31の配列方向に相対的に平行移動させる調整機構33をガイド治具20に設けることができる。
【0094】
これにより、被検査孔Hの位置が孔H1の配列方向にずれていても、位置決め部材21をガイド治具20の貫通孔19又はブッシュ18の位置決め孔14と、被検査孔Hの双方にスムーズに挿入することが可能となる。
【0095】
尚、貫通孔19の位置を孔H1の配列方向に垂直な方向に調整できるようにしても良い。但し、一般に複数の孔を同一直線上に穿孔する場合、各孔の位置の直線からの誤差よりも隣接する孔間における距離の誤差の方が大きくなる場合が多い。このため、図10及び図11に例示されるように、貫通孔19の位置を孔H1の配列方向にのみ平行移動できるようにしても、孔H1に対する被検査孔Hの相対位置の誤差による影響を十分に低減し、位置決め部材21をガイド治具20の貫通孔19又はブッシュ18の位置決め孔14と、被検査孔Hの双方にスムーズに挿入することができる。
【0096】
また、ピン30を挿入するための挿入孔31を有する部材32をガイド治具20の支柱17等の部分に対して相対的に平行移動できるようにしても良い。或いは、ピン30の挿入孔31を横断面が円形の孔ではなく長孔又は貫通する溝としても良い。その場合には、孔H1と被検査孔Hとの間における距離が異なる複数の物体Oの被検査孔Hが検査対象となる場合であっても、ピン30を挿入孔31と孔H1の双方に挿入することが可能となる。挿入孔31を形成する部材32をスライドできるようにする場合には、スライド方向を挿入孔31及び孔H1の配列方向とすることが合理的であり、ガイド治具20の構成の簡易化にも繋がる。
【0097】
以上の第2の実施形態における位置決め装置2Aによれば、物体Oに設けられた複数の孔H1を利用してガイド治具20の位置決めを行うことができるため、装置本体3自体の位置決めも容易となる。例えば、装置本体3に取付けられるブッシュ18を挿入するためのガイド治具20の貫通孔19の位置決めを、1次元の位置決めとすることができる。すなわち、ガイド治具20の貫通孔19の位置決め方向を、孔H1の配列方向に限定することができる。
【0098】
また、ガイド治具20の貫通孔19を球面滑り軸受34等で形成することによって、被検査孔Hの中心軸が僅かに傾いていたとしても、位置決め部材21を被検査孔Hに挿入して孔検査装置1の位置決めを行うことができる。
【0099】
(第3の実施形態)
図12は本発明の第3の実施形態に係る孔検査装置1Bの位置決め装置2Bを構成するガイド治具20の位置決め方法を示す被検査孔H近傍における縦断面図である。
【0100】
図12に示された第3の実施形態における孔検査装置1Bの位置決め装置2Bは、円筒状又は円柱状の位置決め部材21の先端における形状を円錐台とし、位置決め部材21の先端のみを被検査孔Hに挿入することによってガイド治具20の位置決めを行うようにした点が第1の実施形態における位置決め装置2と相違する。第3の実施形態における位置決め装置2Bの他の構成及び作用については第1の実施形態における位置決め装置2と実質的に異ならないためガイド治具20、位置決め部材21及び物体Oのみ図示し、同一の構成又は対応する構成については同符号を付して説明を省略する。
【0101】
図12に示すように、先端に向かって直径が徐々に減少し、かつ直径が一定である部分を有する円筒状又は円柱状のテーパピン21Cを位置決め部材21として用いることができる。テーパピン21Cの先端における逆円錐台の部分におけるテーパ角度は、被検査孔Hの縁に設けられる可能性があるC面取りの面取り角度よりも小さい角度に決定される。
【0102】
そうすると、被検査孔Hの縁に面取りが設けられるか否かを問わず、テーパピン21Cの先端における逆円錐台の部分と被検査孔Hの縁との接触部分の形状が円となるようにテーパピン21Cの先端を被検査孔Hの内部に押し付けることができる。これにより、ガイド治具20の支柱17が物体Oの表面に対して滑り、位置決め孔として機能するガイド治具20の貫通孔19の中心軸を、被検査孔Hの中心軸に合わせることができる。すなわち、被検査孔Hの芯出しを伴ってガイド治具20の位置決めを行い、位置決め後のガイド治具20の貫通孔19に装置本体3に取付けられるブッシュ18を挿入することによって、結果的に装置本体3の位置決めも行うことができる。
【0103】
尚、第2の実施形態においても先端がテーパするテーパピン21Cを位置決め部材21として用いることができる。すなわち、位置決め部材21の直径が一定である部分をガイド治具20の位置決め孔に挿入した状態で位置決め部材21の少なくとも先端を被検査孔Hに挿入すれば、ガイド治具20及び装置本体3の位置決めを行うことができる。
【0104】
(第4の実施形態)
図13は本発明の第4の実施形態に係る位置決め装置2Cを備えた孔検査装置1Cの構成図、図14図13に示す位置決め装置2Cを構成するガイドユニット12の上面図、図15図13及び図14に示すブッシュ18の正面図である。
【0105】
図13及び図14に示された第4の実施形態における孔検査装置1Cの位置決め装置2Cは、主として、先端がテーパするテーパピン21Cを装置本体3側から被検査孔Hに挿入できるようにテーパピン21Cを円筒形状とし、かつテーパピン21Cを中心軸方向に往復移動させるスライド機構40をガイド治具20に設けた点が第3の実施形態における位置決め装置2Bと相違する。第4の実施形態における位置決め装置2Cの他の構成及び作用のうち、他の実施形態における位置決め装置2、2A、2Bと実質的に異ならない構成については同符号を付して説明を省略する。
【0106】
第4の実施形態では、先端がテーパするテーパピン21Cが位置決め部材21として用いられる。すなわち、先端にC面取りを施すことによって先端がテーパする円筒状のテーパピン21Cで構成される位置決め部材21が、装置本体3に取付けられるブッシュ18の貫通孔として形成される位置決め孔14の内部に、スライド可能に配置される。
【0107】
尚、図13及び図14に示す例では、ブッシュ18が段付ブッシュで構成されており、ブッシュ18の直径が大きい開口端側に形成される円盤状の部分18Aが複数の止めネジ41で装置本体3の筐体4に直接固定されている。すなわち、ブッシュ18を装置本体3の筐体4に着脱可能に取付ける着脱部材13がブッシュ18の円盤状の部分18Aと、単純な複数の止めネジ41で構成されている。止めネジ41は、市販のネジであっても良い。
【0108】
また、位置決め部材21を構成するテーパピン21Cの形状が円筒状となっている。このため、テーパピン21Cの中心に形成される貫通孔21Dに被検査孔Hの特徴を測定するための棒状のプローブ6を挿入することができる。その結果、テーパピン21Cの直径が徐々に減少する先端をプローブ6と同じ方向から被検査孔Hに挿入及び退避することができる。
【0109】
すなわち、テーパピン21Cの先端を被検査孔Hから退避させた後、テーパピン21Cの貫通孔21Dを利用して、プローブ6を被検査孔Hに挿入することができる。そのために、テーパピン21Cの貫通孔21Dの太さは、テーパピン21Cがプローブ6と干渉しないように決定される。換言すれば、テーパピン21Cとプローブ6との間には適切な隙間が設けられる。
【0110】
加えて、ブッシュ18とガイド治具20で構成されるガイドユニット12には、テーパピン21Cからなる位置決め部材21を、ブッシュ18の位置決め孔14に対して位置決め部材21及び位置決め孔14の中心軸方向に相対的にスライドさせるスライド機構40を設けることができる。スライド機構40は、テーパピン21Cを軸方向に移動させることが可能な機構であれば、所望の機構で構成することができる。
【0111】
図13乃至図15に示す例では、スライド機構40が、ブッシュ18に形成される螺旋状の貫通する溝40Aに沿ってスライドする円筒状又は円柱状の部材40Bと、円筒状又は円柱状の部材40Bを溝40Aの長さ方向にスライドさせる部材40Cで構成されている。
【0112】
円筒状又は円柱状の部材40Bは、頭がピンとなっている単純なピンボルトやボルトの頭の部分にローラを連結した部品で構成することができる。円筒状又は円柱状の部材40Bは、テーパピン21Cに、長さ方向がテーパピン21Cの半径方向となり、かつピン又はローラとなっている頭の部分が突出するように固定される。
【0113】
円筒状又は円柱状の部材40Bは、テーパピン21Cをスライドさせるための力をテーパピン21Cに伝達させる役割を果たす。従って、テーパピン21Cは1本でも良いが、図示されるように複数本設ければ、十分な力をテーパピン21Cに伝達することができる。
【0114】
一方、ブッシュ18には、テーパピン21Cに固定された円筒状又は円柱状の部材40Bの頭をスライドさせるための溝40Aが設けられる。ブッシュ18には、テーパピン21Cを軸方向にスライドさせる距離だけ、テーパピン21Cのスライド方向における位置が変化する溝40Aが設けられる。その結果、溝40Aは図15に例示されるように螺旋状となる。
【0115】
円筒状又は円柱状の部材40Bの頭の長さは、ブッシュ18の溝40Aから部材40Bの頭の一部がブッシュ18及びテーパピン21Cの半径方向に突出するように決定される。従って、ブッシュ18の溝40Aから突出した円筒状又は円柱状の部材40Bの頭の一部に、ブッシュ18及びテーパピン21Cの軸方向を中心とする回転方向の力を作用させれば、円筒状又は円柱状の部材40Bをブッシュ18の溝40Aに沿ってスライドさせることができる。
【0116】
そこで、図13及び図14に例示されるようにレバー40Dと一体化された部材40Cを、円筒状又は円柱状の部材40Bを溝40Aの長さ方向にスライドさせるために設けることができる。
【0117】
図16図13及び図14に示すレバー40Dの正面図である。
【0118】
レバー40Dの形状はユーザが部材40Cを手で回転させることができるように所望の形状とすることができる。他方、部材40Cは円筒状の構造とし、円筒状又は円柱状の部材40Bの頭に回転方向の力を作用させるスリット40Eを設けることができる。すなわち、ブッシュ18の溝40Aから突出した円筒状又は円柱状の部材40Bの頭の一部を、円筒状の部材40Cのスリット40Eの内部に配置し、円筒状の部材40Cを軸中心に回転させれば、円筒状又は円柱状の部材40Bを回転させることができる。
【0119】
その結果、円筒状又は円柱状の部材40Bをブッシュ18の溝40Aに沿ってスライドさせ、円筒状又は円柱状の部材40Bを固定したテーパピン21Cを回転させながら軸方向に平行移動させることができる。すなわち、レバー40Dを正回転させれば、テーパピン21Cの先端をブッシュ18から突出させて被検査孔Hに挿入する一方、レバー40Dを逆回転させれば、テーパピン21Cを被検査孔Hから退避させてブッシュ18の内部に収納できるようにスライド機構40を構成することができる。
【0120】
従って、テーパピン21Cを往復移動させるストロークの長さと一致するようにテーパピン21Cの往復移動方向における溝40Aの位置の変化量が決定される。尚、レバー40Dを押さえて装置本体3側を回転させても、同様にテーパピン21Cを往復移動させることができる。
【0121】
また、溝40Aをテーパピン21C側に形成し、溝40Aに沿ってスライドする円筒状又は円柱状の部材40Bをブッシュ18の内面から突出するようにブッシュ18に固定するようにしても良い。その場合には、ブッシュ18自体が円筒状又は円柱状の部材40Bを溝40Aの長さ方向にスライドさせるための部材としても機能し、装置本体3側の正回転及び逆回転によってテーパピン21Cをブッシュ18内において往復移動させることができる。
【0122】
つまり、テーパピン21Cをスライドさせる距離だけテーパピン21Cのスライド方向における位置が変化する溝40Aをテーパピン21Cの外面及びブッシュ18の位置決め孔14の内面の一方に形成し、形成した溝40Aの内部をスライドし、かつテーパピン21Cの外面及び位置決め孔14の内面の他方に取付けられるローラ又はピンからなる円筒状又は円柱状の部材40Bでスライド機構40を構成することができる。
【0123】
図13及び図14に示す例では、ブッシュ18を挿入するためのガイド治具20の貫通孔19が円盤状の部材42で形成されており、円筒状又は円柱状の部材40Bを回転させるための円筒状の部材40Cが円盤状の部材42と同軸状に円盤状の部材42の背面側に配置されている。そして、貫通孔19を形成する円盤状の部材42に設けられたスリット42Aから、円盤状の部材42の一部として設けられたレバー40Dの先端が円盤状の部材42の表面側に突出するようになっている。
【0124】
このため、レバー40Dをつまんで回転させると、円盤状の部材42がガイド治具20の本体20Aに設けられた貫通孔の段差面上において回転するようになっている。もちろん、円盤状の部材42と、ガイド治具20の本体20Aとの間に円状のスリットを形成したり、別の部品を設けることによって円盤状の部材42が回転しないようにしてもよい。
【0125】
また、図13及び図14に示す例では、物体Oの表面にガイド治具20を載置するための支柱17が、それぞれ緩衝材17Aを先端に取付けた4つのボルト17Bで構成されている。すなわち、物体Oの表面に対して支柱17を滑らせても物体Oの表面に傷がつかないように、緩衝材17Aで支柱17の支持面15を形成することができる。緩衝材17Aを構成する材料の具体例としては、ナイロン6、6やナイロン4、6等のポリアミド合成樹脂が挙げられる。
【0126】
図13及び図14に例示されるように支柱17を棒状の部品で構成する場合、支柱17の軽量化を図ることができる反面、支持面15の位置に誤差が生じる恐れがある。このため、支柱17の長さを調整する調整機構を設けても良い。
【0127】
また、第2の実施形態と同様に、物体Oに被検査孔Hと、複数の孔H1が一列に設けられている場合において、2つの孔H1をガイド治具20の位置決めに用いることができるように、挿入孔31を設けた部材32をガイド治具20に設けるようにしても良い。図13及び図14に示す例では、挿入孔31を設けた部材32が、ガイド治具20の本体20Aに対して挿入孔31の配列方向に相対的にスライドできるように構成されている。
【0128】
具体的には、横断面が長円形状となっている段付のスリット20Bが、スリット20Bの長さ方向が挿入孔31を設けた部材32のスライド方向となるように、ガイド治具20の本体20Aに設けられている。そして、スリット20Bの段差面に段付ブッシュからなる部材32がスライド可能に配置されている。
【0129】
このため、図13に例示されるように挿入孔31を設けた部材32を物体Oに設けられた孔H1の位置に合わせてスライドさせ、2本のピンボルト等のピン30でガイド治具20の本体20Aを物体Oの孔H1に位置決めすることができる。その結果、テーパピン21Cの先端を被検査孔Hに押し当てることによって、被検査孔Hの芯出しを含むテーパピン21C等のガイドユニット12の位置決めを行った場合に、ガイド治具20の支柱17及び本体20Aの物体Oに対するスライド方向を一方向に限定することができる。
【0130】
図17図13に示す位置決め装置2Cで孔検査装置1Cの位置決めを行って物体Oに設けられた被検査孔Hの検査を行う手順を示す図である。
【0131】
図13に示す位置決め装置2Cで孔検査装置1Cの位置決めを行って物体Oに設けられた被検査孔Hの検査を行う場合には、まず図17(A)に示すように物体O表面に、支柱17を取付けたガイド治具20の本体20Aが載置される。物体Oに被検査孔Hと一例に2つの孔H1が設けられている場合には、部材32を孔H1の位置に合わせてスライドさせ、部材32の挿入孔31と、物体Oの孔H1に共通のピン30を挿入することによってガイド治具20の本体20Aの位置決めを行うことができる。ピン30としては、図17に示すようにピンボルトを使用しても良いし、図10に例示されるように一方向から固定することが可能なWedgelock temporary fastenerを使用しても良い。
【0132】
また、ガイド治具20の本体20Aに、テーパピン21Cを収納したブッシュ18を取付けた孔検査装置1Cの装置本体3がセットされる。ブッシュ18は、円盤状の部材42の貫通孔19に挿入された状態でガイド治具20の本体20Aにセットされる。図示されるように、円盤状の部材42がガイド治具20の本体20Aから取外せるようになっている場合には、ガイド治具20の本体20Aに、円盤状の部材42とともに装置本体3、テーパピン21C及びブッシュ18等をセットすることができるが、円盤状の部材42がガイド治具20の本体20Aと連結されている場合には、ガイド治具20の本体20Aと連結された状態で、円盤状の部材42、装置本体3、テーパピン21C及びブッシュ18等を物体O表面に載置することができる
【0133】
このように孔検査装置1Cを物体Oの表面に載置すると、支柱17の端部に形成される支持面15の法線方向及びピン30の中心軸方向が、物体Oの表面に垂直であることから、ブッシュ18、位置決め孔14及びテーパピン21Cの中心軸方向が、被検査孔Hの中心軸方向と平行になる。
【0134】
次に、図17(B)に示すようにレバー40Dを正回転させてテーパピン21Cの先端をブッシュ18から突出させ、テーパピン21Cの先端が被検査孔Hに押し付けられる。そうすると、被検査孔Hの縁からテーパピン21Cの先端に部分的に抗力が作用する。テーパピン21Cの先端に作用する効力には、被検査孔Hの中心軸方向に垂直な成分も含まれている。従って、テーパピン21Cの先端に作用する抗力が釣り合うまで、テーパピン21Cとともに、ブッシュ18、ガイド治具20の本体20A及び装置本体3等がピン30で位置決めされた部材32のスライド方向にスライドする。
【0135】
その結果、ブッシュ18、位置決め孔14及びテーパピン21Cの中心軸方向が、被検査孔Hの中心軸方向と同一直線上となる。これにより、孔検査装置1Cの基準線RFが被検査孔Hの中心軸方向と同一直線上となり、孔検査装置1Cの位置決めが完了する。
【0136】
次に、図17(C)に示すようにレバー40Dを逆回転させてテーパピン21Cの先端を被検査孔Hから退避させる。これにより、被検査孔Hの縁が空間に露出し、被検査孔Hの縁を含む検査を開始することが可能となる。
【0137】
次に、図17(D)に示すようにテーパピン21Cの貫通孔21Dを利用して孔検査装置1Cのプローブ6を装置本体3の筐体4から突き出し、プローブ6の先端を被検査孔H内に挿入する。そして、プローブ6から被検査孔Hの内面にレーザ光Lを照射して被検査孔Hの検査を行うことができる。この時、テーパピン21Cは、被検査孔Hから退避しているので、レーザ光Lを被検査孔Hの縁に照射することも可能である。このため、被検査孔Hの面取り形状等を測定することもできる。
【0138】
以上の第4の実施形態は、テーパピン21Cの中心にプローブ6を通すための貫通孔21Dを設け、かつテーパピン21Cを軸方向に往復移動できるようにしたものである。このため、第4の実施形態によれば、装置本体3をガイド治具20にセットした状態で、同じ方向からテーパピン21Cの被検査孔Hへの押付けによる位置決めと、プローブ6の被検査孔Hへの挿入による検査を行うことが可能となる。
【0139】
尚、テーパピン21Cの先端のみではなく、図9に例示されるようにピン21Aの直径が一定となっている部分を被検査孔Hに挿入することによって位置決めを行う場合においても、同様に、ピン21Aに貫通孔を設けて軸方向に往復移動できるようにすることができる。その場合、装置本体3をガイド治具20にセットした状態で、同じ方向からピン21Aの被検査孔Hへの挿入による位置決めと、プローブ6の被検査孔Hへの挿入による検査を行うことが可能となる。
【0140】
また、被検査孔Hの縁の特徴の測定や検査が不要であれば、テーパピン21Cや単純なピン21A等の位置決め部材21を中空構造にするのみとし、位置決め部材21を軸方向に往復移動させるスライド機構40を省略しても良い。その場合には、位置決め部材21の少なくとも先端がブッシュ18の位置決め孔14から突出するように位置決め部材21を固定することが必要である。
【0141】
(他の実施形態)
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
【符号の説明】
【0142】
1、1A、1B、1C 孔検査装置
2、2A、2B、2C 位置決め装置
3 装置本体
4 筐体
5 グリップ
6 プローブ
6A スリット
6B 媒体
7 カメラ
8 情報処理回路
9 光源
10A、10B ミラー
11 光信号処理装置
12 ガイドユニット
13 着脱部材
14 位置決め孔
15 支持面
16 治具
17 支柱
17A 緩衝材
17B ボルト
18 ブッシュ
18A 円盤状の部分
19 貫通孔
20 ガイド治具
20A 本体
21 位置決め部材
21A ピン
21B 段付ブッシュ
21C テーパピン
21D 貫通孔
30 ピン
31 挿入孔
32 部材
33 調整機構
34 球面滑り軸受
35 スライド部材
40 スライド機構
40A 溝
40B 円筒状又は円柱状の部材
40C 円筒状の部材
40D レバー
40Eスリット
41 止めネジ
42 円盤状の部材
42A スリット
H 被検査孔
H1 孔
L レーザ 光
O 物体
RF 基準線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17