特開2020-195167(P2020-195167A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2020195167-車両用電源装置 図000003
  • 特開2020195167-車両用電源装置 図000004
  • 特開2020195167-車両用電源装置 図000005
  • 特開2020195167-車両用電源装置 図000006
  • 特開2020195167-車両用電源装置 図000007
  • 特開2020195167-車両用電源装置 図000008
  • 特開2020195167-車両用電源装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-195167(P2020-195167A)
(43)【公開日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】車両用電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/34 20060101AFI20201106BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20201106BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20201106BHJP
   B60R 16/03 20060101ALI20201106BHJP
   B60R 16/033 20060101ALI20201106BHJP
   B60R 16/04 20060101ALI20201106BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20201106BHJP
【FI】
   H02J7/34 B
   H02J7/00 302C
   H02J7/02 J
   B60R16/03 A
   B60R16/033 B
   B60R16/04 W
   H01M10/44 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-97615(P2019-97615)
(22)【出願日】2019年5月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】守屋 史之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大介
(72)【発明者】
【氏名】家邊 裕文
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB01
5G503BB02
5G503CC02
5G503DA08
5G503DA18
5G503FA19
5G503GA15
5H030AS08
5H030BB01
5H030BB23
(57)【要約】
【課題】第1機器バッテリと第2機器バッテリとのいずれか一方が故障した場合に、車両のシステム動作中及び休止中の両方において、故障した機器バッテリが充放電することを抑制でき、かつ、車両のシステム休止状態から正常な機器バッテリの電力でシステムを起動できる車両用電源装置を提供する。
【解決手段】この車両用電源装置(2)は、第1機器バッテリ(21)及び第2機器バッテリ(22)と、第1スイッチ(SW1)と第1ダイオード(D1)とが途中に介在する電源ライン(LB)と、電源ライン(LB)の第3区間(S3)から第1区間(S1)までを第2ダイオード(D2)を介して結ぶ電流路(LC)とを備える。そして、電気機器(11)が電源ライン(LB)の第1区間(S1)に接続され、第2機器バッテリ(22)が第2区間(S2)に接続され、第1機器バッテリ(21)が第2スイッチ(SW2)を介して第3区間(S3)に接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の電気機器に電力を供給する第1機器バッテリ及び第2機器バッテリと、
第1スイッチ並びに前記第1スイッチの方から電流を流す向きの第1ダイオードが途中に介在し、一方の端部から前記第1ダイオードまでの第1区間、前記第1ダイオードから前記第1スイッチまでの第2区間、並びに、前記第1スイッチから他方の端部までの第3区間を含む電源ラインと、
前記第2区間を介さずに前記第3区間から前記第1区間までを、前記第1区間に電流を流す向きの第2ダイオードを介して結ぶ電流路と、
を備え、
前記電気機器が、前記第1区間に接続され、
前記第2機器バッテリが、前記第2区間に接続され、
前記第1機器バッテリが、第2スイッチを介して前記第3区間に接続されていることを特徴とする車両用電源装置。
【請求項2】
前記第1機器バッテリ及び前記第2機器バッテリへ充電電力を供給可能な電力供給機器を更に備え、
前記電力供給機器が、前記第3区間に接続されていることを特徴とする請求項1記載の車両用電源装置。
【請求項3】
前記第1スイッチは非制御時に開くスイッチであり、
前記第2スイッチは非制御時に閉じるスイッチであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用電源装置。
【請求項4】
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを制御する制御部を、更に備え、
前記制御部は、前記電源ラインの前記第1区間に伝送された電力で動作することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用電源装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2機器バッテリの故障と判別した場合、前記車両のシステム動作中、前記第1スイッチを開き、かつ、前記第2スイッチを閉じることを特徴とする請求項4記載の車両用電源装置。
【請求項6】
前記電源ラインの前記第3区間には前記車両のエンジンを再始動するスタータが接続され、
前記制御部は、前記スタータの駆動時に前記第1スイッチを開くことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の車両用電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の電気機器に電力を供給する車両用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の機器バッテリを有し、いずれかの機器バッテリから車両の電気機器へ電力を供給可能に構成された車両がある。車両の電気機器には、車両の走行に寄与する補機等の機器が含まれる。機器バッテリは、例えば12V系の蓄電池であり、エンジン車では補機バッテリとも呼ばれる。
【0003】
特許文献1には、エンジンに連結される電動機に電力を供給する第1蓄電体と第2蓄電体とを有する車両が開示されている。特許文献1の電源装置は、電動機と第1蓄電体とを切り離し可能なスイッチと、電動機と第2蓄電体とを切り離し可能なスイッチとを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018−198519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
2つの機器バッテリを有する車両では、一方の機器バッテリが故障しても、他方の機器バッテリの電力で補機等の電気機器を駆動することで走行を継続できる。このため、一方の機器バッテリが故障したまま、車両の使用が継続されることがある。
【0006】
故障した機器バッテリが電源ラインに接続されたままだと、車両のシステム動作中及びシステム休止中において、正常な機器バッテリから故障した機器バッテリへ電流が流れ込んでしまう。また、車両のシステム動作中、発電器又はDC/DCコンバータから故障した機器バッテリへ電流が流れ込んでしまうことも想定される。したがって、機器バッテリが故障した場合には、車両のシステム動作中及びシステム休止中の両方において、故障した機器バッテリを電源ラインから切り離すことが望ましい。続いて、リレー又は半導体スイッチなどのスイッチを介して機器バッテリを電源ラインに接続する構成について検討する。
【0007】
スイッチを介して機器バッテリが電源ラインに接続された構成では、車両のシステム動作中には、スイッチを制御することで故障した機器バッテリを電源ラインから切り離すことができる。一方、車両のシステム休止中にも、故障した機器バッテリを電源ラインから切り離すには、システム休止中はスイッチを制御できないため、非制御時に開となるスイッチが採用されることになる。しかしながら、2つの機器バッテリそれぞれを2つのスイッチを介して電源ラインに接続し、かつ、両方のスイッチを非制御時に開となる構成とした場合、車両のシステム休止時に、両方の機器バッテリが電源ラインから切り離されてしまう。この場合、電源ラインに電源電圧が供給されなくなり、車両のシステムを起動する際に、起動用の電力も供給されないため、起動不可の状態に陥るという課題が生じる。
【0008】
本発明は、第1機器バッテリと第2機器バッテリとのいずれか一方が故障した場合に、車両のシステム動作中及び休止中の両方において、故障した機器バッテリが充放電することを抑制でき、かつ、車両のシステム休止状態から正常な機器バッテリの電力でシステムを起動できる車両用電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、
車両の電気機器に電力を供給する第1機器バッテリ及び第2機器バッテリと、
第1スイッチ並びに前記第1スイッチの方から電流を流す向きの第1ダイオードが途中に介在し、一方の端部から前記第1ダイオードまでの第1区間、前記第1ダイオードから前記第1スイッチまでの第2区間、並びに、前記第1スイッチから他方の端部までの第3区間を含む電源ラインと、
前記第2区間を介さずに前記第3区間から前記第1区間までを、前記第1区間に電流を流す向きの第2ダイオードを介して結ぶ電流路と、
を備え、
前記電気機器が、前記第1区間に接続され、
前記第2機器バッテリが、前記第2区間に接続され、
前記第1機器バッテリが、第2スイッチを介して前記第3区間に接続されていることを特徴とする車両用電源装置である。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車両用電源装置において、
前記第1機器バッテリ及び前記第2機器バッテリへ充電電力を供給可能な電力供給機器を更に備え、
前記電力供給機器が、前記第3区間に接続されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両用電源装置おいて、
前記第1スイッチは非制御時に開くスイッチであり、
前記第2スイッチは非制御時に閉じるスイッチであることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用電源装置おいて、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを制御する制御部を、更に備え、
前記制御部は、前記電源ラインの前記第1区間に伝送された電力で動作することを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の車両用電源装置おいて、
前記制御部は、前記第2機器バッテリの故障と判別した場合、前記車両のシステム動作中、前記第1スイッチを開き、かつ、前記第2スイッチを閉じることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の車両用電源装置おいて、
前記電源ラインの前記第3区間には前記車両のエンジンを再始動するスタータが接続され、
前記制御部は、前記スタータの駆動時に前記第1スイッチを開くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1スイッチが開き、第2スイッチが閉じることで、第1機器バッテリから第2機器バッテリへ電流が流れ込んだり、第2機器バッテリから第1機器バッテリへ電流が流れ込んだりすることを抑制でき、かつ、第1機器バッテリ又は第2機器バッテリから電気機器へ電力を供給することが可能となる。したがって、車両のシステム休止時に、第1スイッチ及び第2スイッチが上記のように切り替わることで、第1機器バッテリ及び第2機器バッテリのいずれかが故障していても、故障した機器バッテリを切り離しつつ、正常な機器バッテリで車両のシステムを起動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態の車両用電源装置を搭載した車両の要部を示す構成図である。
図2】車両走行時の電流の流れを示す構成図である。
図3】車両停止時の電流の流れを示す構成図である。
図4】エンジンの再始動時の電流の流れを示す構成図である。
図5】第2機器バッテリの故障時の状態を示す構成図である。
図6】第1機器バッテリの故障時の状態を示す構成図である。
図7】システム休止中の状態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態の車両用電源装置を搭載した車両の要部を示す構成図である。
【0018】
本実施形態の車両1は、エンジン自動車であり、エンジン16と、駆動輪18と、エンジン16から駆動輪18までの動力伝達を断続するクラッチ17と、発電及びエンジン16の再始動を行うスタータ・ジェネレータ13とを備える。さらに、車両1は、補機を含む電気機器11と、第1機器バッテリ21と、第2機器バッテリ22と、電気機器11に供給される電力が伝送される電源ラインLBと、電源ラインLBの一端側から他端側へ電流を迂回できる電流路LCとを備える。さらに、車両1は、電源ラインLB上に設けられたダイオードD1及び第1スイッチSW1と、電流路LC上に設けられたダイオードD2と、第1機器バッテリ21と電源ラインLBとの間に介在する第2スイッチSW2を備える。ダイオードD1は、本発明に係る第1ダイオードの一例に相当する。ダイオードD2は、本発明に係る第2ダイオードの一例に相当する。スタータ・ジェネレータ13は、本発明に係る電力供給機器及びスタータの一例に相当する。
【0019】
これらの構成のうち、電力供給機器としてのスタータ・ジェネレータ13、第1機器バッテリ21、第2機器バッテリ22、ダイオードD1を途中に有する電源ラインLB、ダイオードD2を途中に有する電流路LC、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及び制御部12を含む構成が、本実施形態の車両用電源装置2に相当する。
【0020】
電気機器11は、エンジン16の駆動を補助する補機など、車両1の走行に寄与する電動の機器を含む。電気機器11には、電源ラインLBの電源電圧を降圧して制御系の電源電圧(例えば5V)を生成する図示略のレギュレータ回路と、レギュレータ回路の電圧を受けて動作する制御部12とが含まれる。
【0021】
制御部12は、走行制御及び車両1のシステム制御を含む車両1の制御を行う。具体的には、制御部12は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2の開閉制御、クラッチ17の断続の制御、スタータ・ジェネレータ13の動作制御、及び、補機を含む電気機器11の動作制御を行う。制御部12は、1つのECU(Electronic Control Unit)又は通信により連携して動作する複数のECUから構成されてもよい。
【0022】
第1機器バッテリ21は、例えばリチウムイオン二次電池であり、例えば12Vの機器用の電源電圧を出力する。第2機器バッテリ22は、例えば鉛蓄電池であり、第1機器バッテリ21とほぼ同一の電源電圧を出力する。なお、第1機器バッテリ21及び第2機器バッテリ22の種類は特に制限されない。第1機器バッテリ21及び第2機器バッテリ22は、例えば鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池のうち、上記とは別の種類の蓄電池が適用されてもよい。第1機器バッテリ21と第2機器バッテリ22とは、両方とも同じ種類の蓄電池が適用されてもよいし、異なる種類の蓄電池が適用されてもよい。
【0023】
スタータ・ジェネレータ13は、エンジン16の駆動時にエンジン16の動力を一部利用して発電を行い、電源ラインLBに発電した電力を供給する。スタータ・ジェネレータ13は、第1機器バッテリ21の出力電圧及び第2機器バッテリ22の出力電圧よりも僅かに高い電圧を電源ラインLBに出力する。これにより、スタータ・ジェネレータ13は、第1機器バッテリ21及び第2機器バッテリ22に充電電流を供給し、電気機器11に駆動電流を供給できる。スタータ・ジェネレータ13は、電動機としても動作し、例えばエンジン16が停止しかつ温まった状態にあるときに、エンジン16に動力を与えてエンジン16を再始動することができる。スタータ・ジェネレータ13は、発電機とスタータとに分かれていてもよい。
【0024】
電源ラインLBは、機器用の電源電圧(例えば12V)が出力される電力線であり、途中にダイオードD1と第1スイッチSW1とが設けられている。一方の端部からダイオードD1までを第1区間S1、ダイオードD1から第1スイッチSW1までを第2区間S2、第1スイッチSW1からもう一方の端部までを第3区間S3と呼ぶ。電気機器11は、第1区間S1に接続されている。第2機器バッテリ22は、第2区間S2に接続されている。第1機器バッテリ21は第2スイッチSW2を介して第3区間S3に接続されている。スタータ・ジェネレータ13は第3区間S3に接続されている。
【0025】
電源ラインLB上のダイオードD1は、第1区間S1に電流を流す向きに設けられている。すなわち、ダイオードD1のカソードが第1区間S1に接続され、ダイオードD1のアノードが第2区間S2に接続されている。
【0026】
電流路LCは、一端が電源ラインLBの第1区間S1に接続され、他端が電源ラインLBの第3区間S3に接続され、第2区間S2を介さずに第3区間S3から第1区間S1まで電流を流すことができる。電流路LCの途中には、第1区間S1に電流を流す向きのダイオードD2が設けられている。すなわち、ダイオードD2のカソードが電源ラインLBの第1区間S1に接続され、ダイオードD2のアノードが電源ラインLBの第3区間S3に接続されている。
【0027】
第1スイッチSW1は、非制御時に開となる(ノーマリオープン)スイッチである。第1スイッチSW1は、例えばリレーであるが、半導体スイッチであってもよい。非制御時に開とは、リレーであれば非通電時に開となる構成に相当し、半導体スイッチであれば、制御端子への出力が接地電位のときに開となる構成に相当する。
【0028】
第2スイッチSW2は、非制御時に閉となる(ノーマリクローズ)スイッチである。第2スイッチSW2は、例えばリレーであるが、半導体スイッチであってもよい。非制御時に閉とは、リレーであれば非通電時に閉となる構成に相当し、半導体スイッチであれば、制御端子への出力が接地電位のときに閉となる構成に相当する。
【0029】
<動作説明>
図2は、車両走行時の電流の流れを示す構成図である。車両1の走行時、エンジン16が動作して、その動力が駆動輪18に伝達される一方、エンジン16の動力の一部がスタータ・ジェネレータ13に送られ、スタータ・ジェネレータ13が発電動作する。第1機器バッテリ21及び第2機器バッテリ22が正常であれば、制御部12の制御により、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は閉状態にされている。したがって、図2に示すように、スタータ・ジェネレータ13の発電電力は、電源ラインLBを介して第1機器バッテリ21、第2機器バッテリ22及び電気機器11に送られる。
【0030】
図3は、車両停止時の電流の流れを示す構成図である。車両1の起動中、エンジン16が停止すると、スタータ・ジェネレータ13の発電が停止する。第1機器バッテリ21及び第2機器バッテリ22が正常であれば、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は閉状態にされている。そして、第1機器バッテリ21又は第2機器バッテリ22のうち、出力電圧の高い方から、電気機器11へ電力が供給される。例えば第2機器バッテリ22の出力電圧がわずかに高ければ、図3に示すように、電源ラインLBを介して第2機器バッテリ22から電気機器11へ電力が供給される。このように供給される電力によって、制御部12を含む電気機器11が動作して、車両1のシステムの動作が維持される。
【0031】
図4は、エンジンの再始動時の電流の流れを示す構成図である。ここでは、車両1の一時停止によりエンジン16が停止し、再び車両1を走行させるためにエンジン16を再始動する場合を想定する。ただし、第1機器バッテリ21及び第2機器バッテリ22は正常であるとする。この場合、制御部12は、第1スイッチSW1を開状態に切り替え、クラッチ17を切り離し、この状態で、スタータ・ジェネレータ13を電動機として動作させ、エンジン16を再始動する。開状態の第1スイッチSW1及びダイオードD2があることで、第2機器バッテリ22からスタータ・ジェネレータ13の方へは電流が流れず、スタータ・ジェネレータ13は第1機器バッテリ21の電力のみで動作する。スタータ・ジェネレータ13の消費電力は比較的に大きく、このとき、電源ラインLBの第3区間S3では大きな電圧降下が生じるが、第1スイッチSW1が開いていることで、第3区間S3の電圧降下が第1区間S1及び第2区間S2に波及せず、電気機器11に出力されている電源電圧が下限電圧を下回る恐れを低減できる。
【0032】
<第2機器バッテリの故障時>
図5は、第2機器バッテリの故障時の状態を示す構成図である。第2機器バッテリ22が故障している場合、車両1のシステム動作中、制御部12は、第1スイッチSW1を開き、第2スイッチSW2を閉じる制御を継続する。この第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の制御状態を、第2機器バッテリ22の故障時の制御と呼ぶ。
【0033】
図5に示すように、第2機器バッテリ22の故障時の制御において、車両1の走行中にスタータ・ジェネレータ13が発電すると、発電電力は、電源ラインLBの第3区間S3を介して第1機器バッテリ21に供給され、第1機器バッテリ21を充電する。さらに、発電電力は、電流路LCを介して電気機器11へ供給され、電気機器11を動作させる。第2機器バッテリ22は故障により出力電圧が低下するので、電源ラインLBの第1区間S1の電圧よりも第2区間S2の電圧が低下し、ダイオードD1があることで、第2機器バッテリ22からの放電が行われない。また、ダイオードD1と開状態の第1スイッチSW1により、電源ラインLBの第2区間S2には電流が流れ込まないので、故障した第2機器バッテリ22に電流が流れ込むことも抑制される。
【0034】
また、第2機器バッテリ22の故障時の制御において、エンジン16の停止時には、第1機器バッテリ21から電流路LCを介して電気機器11へ電力が供給され、これにより制御部12を含む電気機器11が動作して、車両1のシステムの動作が維持される。第2機器バッテリ22は故障により出力電圧が低下しており、ダイオードD1が電源ラインLBを遮断するように作用するので、第2機器バッテリ22が放電することも第2機器バッテリ22へ電流が流れ込むことも抑制される。
【0035】
続いて、車両1のシステム動作中、それまで第1機器バッテリ21及び第2機器バッテリ22が正常で、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の両方が閉状態にされているときに、第2機器バッテリ22が故障した場合の動作について説明する。この場合、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2が閉じた状態で、故障した第2機器バッテリ22に電源ラインLBの電流が引き込まれ、第1機器バッテリ21が正常でも電源ラインLBの電源電圧が低下することがある。そして、電源ラインLBの電源電圧が、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の制御を維持できる下限電圧を下回った場合、第1スイッチSW1は、自動的に開状態に切り替わる。これにより、故障した第2機器バッテリ22への電流の引き込みが止まり、正常な第1機器バッテリ21の出力により、電源ラインLBの第3区間S3及び第1区間S1の電源電圧が回復する。したがって、制御部12を含む電気機器11が動作し、車両1のシステムの動作を維持できる。
【0036】
<第1機器バッテリの故障時>
図6は、第1機器バッテリの故障時の状態を示す構成図である。第1機器バッテリ21が故障している場合、車両1のシステム動作中、制御部12は、第1スイッチSW1を閉じ、第2スイッチSW2を開く制御を維持する。この第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の制御状態を、第1機器バッテリ21の故障時の制御と呼ぶ。
【0037】
図6に示すように、第1機器バッテリ21の故障時の制御において、車両1の走行中にスタータ・ジェネレータ13が発電すると、発電電力は電源ラインLBを介して第2機器バッテリ22に供給され、第2機器バッテリ22を充電する。さらに、発電電力は、電源ラインLBを介して電気機器11へ供給され、電気機器11を動作させる。故障した第1機器バッテリ21は、電源ラインLBから切り離されているので、放電することも電流が流れ込んでしまうこともない。
【0038】
また、第1機器バッテリ21の故障時の制御において、エンジン16の停止時には、第2機器バッテリ22から電源ラインLBを介して電気機器11へ電力が供給され、これにより制御部12を含む電気機器11が動作して、車両1のシステムの動作が維持される。故障した第1機器バッテリ21は、電源ラインLBから切り離されているので、放電することも電流が流れ込んでしまうこともない。
【0039】
<システム休止中>
図7は、システム休止中の状態を示す構成図である。システム休止中、制御部12は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の制御を行わない、あるいは、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2に制御用の通電がなされない。したがって、ノーマリオープンの第1スイッチSW1は開状態にされ、ノーマリクローズの第2スイッチSW2は閉状態にされる。
【0040】
第1機器バッテリ21及び第2機器バッテリ22の両方が正常であれば、システム休止中、図7に示すように、出力電圧の高いほうから電気機器11に電源電圧が出力される。すなわち、第2機器バッテリ22からは、電源ラインLBを介して電気機器11へ電源電圧が出力可能にされ、第1機器バッテリ21からは、電流路LCを介して電気機器11へ電源電圧を出力可能にされる。そして、この電源電圧により、制御部12が待機動作し、搭乗者が車両1のシステムを起動させる操作を行うと、制御部12が動作して、車両1のシステムを起動することができる。
【0041】
システム休止中、第1機器バッテリ21が故障しており、第2機器バッテリ22が正常である場合、故障している第1機器バッテリ21は、出力電圧が低下するため、ダイオードD2が遮断作用し、電流路LCに電流が流れることがない。また、システム休止中は、スタータ・ジェネレータ13が動作することもない。したがって、故障した第1機器バッテリ21は放電することもなく、第1機器バッテリ21へ電流が流れ込んでしまうこともない。
【0042】
一方、第1機器バッテリ21が故障していても、第2機器バッテリ22から電源ラインLBを介して電気機器11に電源電圧が出力される。この電源電圧により、制御部12が待機動作し、搭乗者が車両1のシステムを起動させる操作を行うと、制御部12が動作して、車両1のシステムを起動することができる。
【0043】
システム休止中、第1機器バッテリ21が正常で、第2機器バッテリ22が故障している場合、故障している第2機器バッテリ22は、出力電圧が低下する。このため、システム休止中、ダイオードD1の遮断作用と、開状態の第1スイッチSW1とにより、電源ラインLBの第1区間S1と第2区間S2との間、並びに、電源ラインLBの第3区間S3と第2区間S2との間に電流が流れることがない。したがって、故障した第2機器バッテリ22は放電することもなく、電流が流れ込んでしまうこともない。
【0044】
一方、第2機器バッテリ22が故障していても、第1機器バッテリ21から電流路LCを介して電気機器11に電源電圧が出力される。この電源電圧により、制御部12が待機動作し、搭乗者が車両1のシステムを起動させる制御を行うと、制御部12が動作して、車両1のシステムを起動することができる。
【0045】
<故障診断>
本実施形態の車両用電源装置2を搭載した車両1においては、次のようにして、第1機器バッテリ21と第2機器バッテリ22の故障診断を行うことができる。
【0046】
第2機器バッテリ22の故障診断において、制御部12は、第1スイッチSW1を開状態に切り替えたときの、電源ラインLBの第1区間S1の電圧を計測する。そして、計測値が所定の閾値電圧以下であれば故障と判定する。また、制御部12は、第2機器バッテリ22の電流を計測し、その充電電流が異常な場合に、第2機器バッテリ22が故障と判定するように構成されてもよい。電流計測に基づく故障診断は、第1スイッチSW1が閉状態のまま、実行できるので、制御部12は、高い頻度で故障診断を行うことができる。
【0047】
第1機器バッテリ21の故障診断において、制御部12は、第2スイッチSW2を開状態に切り替えたときの、第1機器バッテリ21の出力電圧を計測し、所定の閾値電圧以下であれば故障と判定する。また、制御部12は、第1機器バッテリ21の電流を計測し、その充電電流が異常な場合に、第1機器バッテリ21が故障と判定するように構成されてもよい。電流計測に基づく故障診断は、第2スイッチSW2が閉状態のまま、実行できるので、制御部12は、高い頻度で故障診断を行うことができる。
【0048】
以上のように、本実施形態の車両用電源装置2によれば、電源ラインLBが、ダイオードD1と第1スイッチSW1とにより、第1区間S1、第2区間S2及び第3区間S3に分けられている。さらに、第1機器バッテリ21が第2スイッチSW2を介して第3区間S3に接続され、第2機器バッテリ22が第2区間S2に接続されている。さらに、電気機器11が第1区間S1に接続されている。このような構成によれば、第1スイッチSW1を開き、第2スイッチSW2を閉じることで、第1機器バッテリ21から第2機器バッテリ22への電流の流れ込みと、第2機器バッテリ22から第1機器バッテリ21への電流の流れ込みを禁止しつつ、第1機器バッテリ21又は第2機器バッテリ22から電気機器11へ電力を供給することが可能となる。したがって、車両1のシステム休止時に、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2が上記のように切り替わることで、第1機器バッテリ21及び第2機器バッテリ22のいずれかが故障していても、故障した機器バッテリを切り離しつつ、正常な機器バッテリで車両1のシステムを起動することが可能となる。
【0049】
さらに、本実施形態の車両用電源装置2によれば、スタータ・ジェネレータ13が電源ラインLBの第3区間S3に接続されている。したがって、車両1のシステム動作時、スタータ・ジェネレータ13が発電したときに、発電電力を、第1機器バッテリ21、第2機器バッテリ22及び電気機器11に送って、これらの充電及び電気機器11の動作に使用することができる。また、第1機器バッテリ21又は第2機器バッテリ22が故障したときは、第1スイッチSW1又は第2スイッチSW2の切替により、故障した機器バッテリのみを切り離して、発電電力を、正常な機器バッテリへの充電及び電気機器11の動作に使用することができる。
【0050】
さらに、本実施形態の車両用電源装置2によれば、第1スイッチSW1はノーマリオープンのスイッチであり、第2スイッチSW2はノーマリクローズのスイッチである。したがって、車両1のシステム休止時、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の制御が自動的に切れることで、第1スイッチSW1を開き、第2スイッチSW2を閉じることができる。これにより、車両1がシステム休止状態に移行することで、自動的に、第1機器バッテリ21及び第2機器バッテリ22のいずれかの故障に対応可能なシステムの休止状態へ移行することができる。
【0051】
さらに、本実施形態の車両用電源装置2によれば、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を制御する制御部12が、電源ラインLBの第1区間S1に伝送された電力で動作するように構成されている。このような構成によれば、制御部12についても、他のECUと同様の経路で供給された電力を使用することができ、特別な電力供給経路を設ける必要がない。そして、このような構成では、車両1のシステム休止中に、電源ラインLBの電源電圧が絶たれてしまうと、車両1の起動が不能となってしまう。しかし、上記構成により、第1機器バッテリ21及び第2機器バッテリ22のいずれか一方から電力供給がなされるので、一方の機器バッテリが正常であれば、車両1が起動不可の状態に陥ってしまうことを抑制できる。
【0052】
さらに、本実施形態の車両用電源装置2によれば、制御部12は、車両1のシステム動作中、第2機器バッテリ22の故障と判別した場合、第1スイッチSW1を開き、第2スイッチSW2を閉じる(図5を参照)。これにより、故障した第2機器バッテリ22をシステムから切り離し、正常な第1機器バッテリ21から電気機器11へ電力を供給することができる。
【0053】
さらに、本実施形態の車両用電源装置2によれば、電源ラインLBの第3区間S3にスタータとして機能するスタータ・ジェネレータ13が接続され、制御部12は、エンジン16の始動時に、第1スイッチSW1を開く。このような制御により、エンジン16の始動時に、スタータ・ジェネレータ13の大きな消費電力により、電源ラインLBの第3区間S3の電圧が大きく降下しても、この電圧降下が電気機器11にも波及してしまうことを抑制できる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、車両1がエンジン自動車である場合について説明した。しかし、車両1は、EV(Electric Vehicle)又はHEV(Hybrid Electric Vehicle)等であってもよい。EV又はHEV等の場合、電源ラインLBに電力を供給する電力供給機器は、発電機のほか、走行用の電力を蓄積する高電圧の主バッテリから降圧した電圧を出力するDC/DCコンバータが適用されてもよい。また、上記実施形態では、本発明に係る第1ダイオードとして、整流専用の素子であるダイオードD1を示したが、第1ダイオードとしては、例えば、ノーマリオープンの半導体スイッチに含まれる寄生ダイオードが適用されてもよい。この構成によれば、電源ライン(LB)の第2区間(S2)から第1区間(S1)に電流が流れることが既知の期間に、半導体スイッチがオンに制御されることで、第1ダイオードで生じる電力損失が低減し、車両の燃費向上を図ることができる。同様に、上記実施形態では、本発明に係る第2ダイオードとして、整流専用の素子であるダイオードD2を示したが、第2ダイオードとしては、例えば、ノーマリオープンの半導体スイッチに含まれる寄生ダイオードが適用されてもよい。この構成によれば、電流路LCを介して電源ライン(LB)の第3区間(S3)から第1区間(S1)へ電流が流れることが既知の期間に、半導体スイッチがオンに制御されることで、第2ダイオードで生じる電力損失が低減し、車両の燃費向上を図ることができる。その他、実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 車両
2 車両用電源装置
11 電気機器
12 制御部
13 スタータ・ジェネレータ(電力供給機器、スタータ)
16 エンジン
17 クラッチ
18 駆動輪
21 第1機器バッテリ
22 第2機器バッテリ
LB 電源ライン
LC 電流路
S1 第1区間
S2 第2区間
S3 第3区間
D1 ダイオード(第1ダイオード)
D2 ダイオード(第2ダイオード)
SW1 第1スイッチ
SW2 第2スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7