特開2020-203446(P2020-203446A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-203446(P2020-203446A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】インクジェットヘッド及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20201127BHJP
   B41J 2/16 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   B41J2/14 611
   B41J2/14 613
   B41J2/16 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-112784(P2019-112784)
(22)【出願日】2019年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 廣信
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF35
2C057AF65
2C057AF93
2C057AG89
2C057AG90
2C057AP25
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明の課題は、スタッドバンプとペーストとによって配線基板とヘッドチップを電気的に接続するときに、特定構造を有するスタッドバンプを用いることで、十分なペーストの保持量を確保しながら、配線基板へのペーストの延出を防止し、機械的接続及び電気的接続の信頼性が向上したインクジェットヘッド及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明のインクジェットヘッドは、ヘッドチップ10と配線基板20と調整部材30とが設けられ、配線基板とヘッドチップが、スタッドバンプ25,26とペースト251,261を介し電気的に接続されており、スタッドバンプが、スタッド形状を有する第1のバンプと、第1のバンプに積重ねて形成されたスタッド形状を有する第2のバンプとを有し、かつ、第1のバンプの先端部と第2のバンプの底面との間にくびれ部を有すること特徴とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的接続部にスタッドバンプ及びペーストが用いられたインクジェットヘッドであって、
前記スタッドバンプが、スタッド形状を有する第1のバンプと、当該第1のバンプに積重ねて形成されたスタッド形状を有する第2のバンプとを有し、かつ、前記第1のバンプの先端部と前記第2のバンプの底面との間にくびれ部を有すること特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】
前記インクジェットヘッドが、ヘッドチップと、配線基板と調整部材とで構成され、
前記ヘッドチップが、ノズルから吐出されるインクが収容される圧力室と、前記圧力室に対応して設けられ、上面に第1電極部が形成されると共に、下面に第2電極部が形成された圧電素子と、前記第2電極部から前記圧電素子の外側に電気的に引き出された引出部とを有し、
前記配線基板が、前記ヘッドチップの上方に配置され、前記ヘッドチップの前記第1電極部と電気的に接続される第1接続部材と、前記引出部を介して前記第2電極部と電気的に接続される第2接続部材とを有し、
前記調整部材が、前記引出部に、前記第1電極部の高さと略等しい高さに配置された上面を備えると共に少なくとも該上面が前記引出部と導通しているように設けられ、
前記配線基板の前記第1接続部材が前記スタッドバンプであり、ペーストを介して前記第1電極部の上面に接触することにより、該第1電極部と電気的に接続されると共に、前記第2接続部材が前記スタッドバンプであり、ペーストを介して前記調整部材の前記上面に接触することにより、該調整部材及び前記引出部を介して前記第2電極部と電気的に接続されていること特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記スタッドバンプが、金を主成分とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記ペーストが、導電性接着剤であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
前記ペーストが、前記第1のバンプの先端部と前記第2のバンプの底面との間に形成されたくびれ部の少なくとも一部を充填するように保持され、かつ当該ペーストの上面は前記第1のバンプの底面で留まり、前記配線基板へは延出していないことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドを製造するインクジェットヘッドの製造方法であって、少なくとも、
前記スタッドバンプに、ペーストを転写する工程と、
電気的接続部として前記スタッドバンプをボンディングする工程と、
を有することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッド及びその製造方法に関し、より詳しくは、スタッドバンプとペーストとによって配線基板とヘッドチップを電気的に接続するときに、特定構造を有するスタッドバンプを用いることで、十分なペーストの保持量を確保しながら、配線基板へのペーストの延出を防止し、機械的接続及び電気的接続の信頼性が向上したインクジェットヘッド及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェットヘッドからインクを吐出して形成される画像について、高精度かつ高品質なものが求められている。例えば、記録媒体の幅方向に亘って複数の記録ヘッドを配置して形成されたラインヘッドを用い、記録媒体をラインヘッドの記録領域に搬送して画像を形成する場合、ラインヘッドに備えられるノズルに吐出不良が生じるとスジやムラが生じ、画像が劣化してしまう。従って、画像の劣化を防止し、高精度かつ高品質な画像を提供するためには、インクジェットヘッドに備えられる各々のノズルの吐出不良等を防止する必要がある。
【0003】
ノズルの吐出不良を防止する技術としては様々な技術が知られている。圧電素子の駆動によってノズルに連通する圧力室内のインクを加圧してインクを吐出させるインクジェットヘッドの場合、圧電素子を確実に駆動させるため、圧電素子の各々に確実に電力供給できることが必要である。このために、圧電素子を挟むように形成される駆動電位が入力される第1電極部(個別電極)とGND電位が入力される第2電極部(共通電極)とを、圧電素子の上方に積層される配線基板の各配線と確実に電気的接続することが重要である。
【0004】
具体的には、圧電素子の第1電極部と配線基板の配線とを確実に接続させる技術として、例えば圧電素子を備えるヘッドチップと配線を備える配線基板との間を、圧電素子を取り囲むように形成された樹脂材料からなる隔壁部材によって一定間隔に保ち、配線基板の各配線と各圧電素子に形成された電極との間の電気的接続を、圧電素子に形成された電極表面に設けたスタッドバンプを配線と接触させることによって行うことが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
一方、スタッドバンプに係る技術として、特許文献2には、導電性バンプが弾性を有するバンプコアとバンプコアの周囲に保持されたペーストとを少なくとも備え、バンプコアが導電ペースト捕獲部を備えた構成によって、電子部品同士の接続時に、高い導電性を備えるに必要な量の導電ペーストを高いアスペクト比で形成することを可能とし、電子部品などの実装時の加圧力を、弾性を有するバンプコアによって吸収することにより、電子部品表面の平坦性に起因する接続不良や半導体素子の破損を防止することができるとの技術が開示されている。
【0006】
しかしながら、弾性を有するバンプコアは、シリコーン樹脂やブタジエンゴム、シリコーンゴムなどのゴム系樹脂又はウレタン系樹脂やシリコーン分散型エポキシウレタン変性エポキシ樹脂から形成されているため、電気的な接続はもっぱら導電ペーストによるものであり、導電ペーストの保持量によって電気的な接続のばらつきを生じるとの問題がある。さらに、導電ペーストの保持量が少ないと接続の信頼性が低くなり、多いとバンプから導電ペーストが延出して配線基板に付着してショートすることがあり、スタッドバンプに対する導電ペーストの保持量の制御は、厳しい精度が要求されている現状がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−83705号公報
【特許文献2】特開2009−16633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、スタッドバンプとペーストとによって配線基板とヘッドチップを電気的に接続するときに、特定構造を有するスタッドバンプを用いることで、十分なペーストの保持量を確保しながら、配線基板へのペーストの延出を防止し、機械的接続及び電気的接続の信頼性が向上したインクジェットヘッド及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、特定の形状を有するスタッドバンプとペーストを用いて、配線基板とヘッドチップを接続することによって、十分なペーストの保持量を確保しながら、配線基板へのペーストの延出を防止し、機械的、電気的接続の信頼性が向上したインクジェットヘッドが得られることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
【0011】
1.電気的接続部にスタッドバンプ及びペーストが用いられたインクジェットヘッドであって、
前記スタッドバンプが、スタッド形状を有する第1のバンプと、当該第1のバンプに積重ねて形成されたスタッド形状を有する第2のバンプとを有し、かつ、前記第1のバンプの先端部と前記第2のバンプの底面との間にくびれ部を有すること特徴とするインクジェットヘッド。
【0012】
2.前記インクジェットヘッドが、ヘッドチップと、配線基板と調整部材とで構成され、
前記ヘッドチップが、ノズルから吐出されるインクが収容される圧力室と、前記圧力室に対応して設けられ、上面に第1電極部が形成されると共に、下面に第2電極部が形成された圧電素子と、前記第2電極部から前記圧電素子の外側に電気的に引き出された引出部とを有し、
前記配線基板が、前記ヘッドチップの上方に配置され、前記ヘッドチップの前記第1電極部と電気的に接続される第1接続部材と、前記引出部を介して前記第2電極部と電気的に接続される第2接続部材とを有し、
前記調整部材が、前記引出部に、前記第1電極部の高さと略等しい高さに配置された上面を備えると共に少なくとも該上面が前記引出部と導通しているように設けられ、
前記配線基板の前記第1接続部材が前記スタッドバンプであり、ペーストを介して前記第1電極部の上面に接触することにより、該第1電極部と電気的に接続されると共に、前記第2接続部材が前記スタッドバンプであり、ペーストを介して前記調整部材の前記上面に接触することにより、該調整部材及び前記引出部を介して前記第2電極部と電気的に接続されていること特徴とする第1項に記載のインクジェットヘッド。
【0013】
3.前記スタッドバンプが、金を主成分とすることを特徴とする第1項又は第2項に記載のインクジェットヘッド。
【0014】
4.前記ペーストが、導電性接着剤であることを特徴とする第1項から第3項のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
【0015】
5.前記ペーストが、前記第1のバンプの先端部と前記第2のバンプの底面との間に形成されたくびれ部の少なくとも一部を充填するように保持され、かつ当該ペーストの上面は前記第1のバンプの底面で留まり、前記配線基板へは延出していないことを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
【0016】
6.第1項から第5項までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドを製造するインクジェットヘッドの製造方法であって、少なくとも、
前記スタッドバンプに、ペーストを転写する工程と、
電気的接続部として前記スタッドバンプをボンディングする工程と、
を有することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上記手段により、スタッドバンプとペーストとによって配線基板とヘッドチップを電気的に接続するときに、特定構造を有するスタッドバンプを用いることで、十分なペーストの保持量を確保しながら、配線基板へのペーストの延出を防止し、機械的、電気的接続の信頼性が向上したインクジェットヘッド及びその製造方法を提供することができる。
【0018】
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
【0019】
本発明に係るスタッドバンプは、スタッド形状を有する第1のバンプと、当該第1のバンプに積重ねて形成されたスタッド形状を有する第2のバンプとを有するスタッドバンプであり、かつ、前記第1のバンプの先端部と前記第2のバンプの底面との間にくびれ部を有する。当該形状にすることにより、ペーストの保持量(転写量)を第2のバンプと圧電素子との接合強度を高めるために多量に転写しても、前記くびれ部においてペーストを十分に保持できる。また、前記第1のバンプ底面から前記ペーストが延出して配線基板に付着することを防止し、電気的ショートの発生等を抑制することができる。したがって、インクジェットヘッドの接続強度と電気的接続の信頼性が向上するものと推察される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来のスタッドバンプ形状とペーストの転写工程の一例を示す模式図
図2】従来のスタッドバンプにペーストが保持されている状態を示す模式図
図3】本発明の実施形態に係るスタッドバンプの形状を示す断面図
図4】本発明のインクジェットヘッドの一例を示す断面図
図5】インクジェットヘッドのヘッドチップの平面図
図6】インクジェットヘッドの部分拡大断面図
図7】(a)〜(c)は配線基板の第2接続部材と調整部材との接続構成の他の態様を示す断面図
図8】(a)〜(c)は本発明のインクジェットヘッドの製造工程を説明する図
図9】(a)〜(c)は本発明のインクジェットヘッドの製造工程を説明する図
図10】(a)及び(b)は本発明のインクジェットヘッドの製造方法を説明する図
図11】本発明のインクジェットヘッドの製造方法を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のインクジェットヘッドは、電気的接続部にスタッドバンプ及びペーストが用いられたインクジェットヘッドであって、前記スタッドバンプが、スタッド形状を有する第1のバンプと、当該第1のバンプに積重ねて形成されたスタッド形状を有する第2のバンプとを有するスタッドバンプであり、かつ、前記第1のバンプの先端部と前記第2のバンプの底面との間にくびれ部を有すること特徴とする。この特徴は、下記実施態様に共通する又は対応する技術的特徴である。
【0022】
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、本発明のインクジェットヘッドは、インクジェット記録装置のヘッドモジュールに搭載され、ノズルから吐出されるインクが収容される圧力室と、前記圧力室に対応して設けられ、上面に第1電極部が形成されると共に、下面に第2電極部が形成された圧電素子と、前記第2電極部から前記圧電素子の外側に電気的に引き出された引出部とを有するヘッドチップと、前記ヘッドチップの上方に配置され、前記ヘッドチップの前記第1電極部と電気的に接続される第1接続部材と、前記引出部を介して前記第2電極部と電気的に接続される第2接続部材とを有する配線基板と、前記引出部に、前記第1電極部の高さと略等しい高さに配置された上面を備えると共に少なくとも該上面が前記引出部と導通している調整部材とが設けられ、前記配線基板の前記第1接続部材が前記スタッドバンプであり、ペーストを介して前記第1電極部の上面に接触することにより、該第1電極部と電気的に接続されると共に、前記第2接続部材が前記スタッドバンプであり、ペーストを介して前記調整部材の前記上面に接触することにより、該調整部材及び前記引出部を介して前記第2電極部と電気的に接続されていることが、好ましい。
【0023】
さらに、前記スタッドバンプが、金を主成分とすることが、導電性及び加工性の観点から、好ましい。
【0024】
また、前記ペーストが、導電性接着剤であることが、圧電素子と配線基板との接続強度を高める観点から、好ましい。
【0025】
さらに、前記ペーストが、前記第1のバンプの先端部と前記第2のバンプの底面との間に形成されたくびれ部の少なくとも一部を充填するように保持され、かつ当該ペーストの上面は前記第1のバンプの底面で留まり、前記配線基板へは延出していないことが、配線基板の電気的ショートを抑制する観点から、好ましい。
【0026】
本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、少なくとも、前記スタッドバンプに、ペーストを転写する工程と、電気的接続部として前記スタッドバンプをボンディングする工程と、を有することを特徴とする。
【0027】
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
【0028】
≪本発明のインクジェットヘッドの概要≫
本発明のインクジェットヘッドは、電気的接続部にスタッドバンプ及びペーストが用いられたインクジェットヘッドであって、前記スタッドバンプが、スタッド形状を有する第1のバンプと、当該第1のバンプに積重ねて形成されたスタッド形状を有する第2のバンプとを有するスタッドバンプであり、かつ、前記第1のバンプの先端部と前記第2のバンプの底面との間にくびれ部を有すること特徴とする。
【0029】
さらに、本発明のインクジェットヘッドは、インクジェット記録装置のヘッドモジュールに搭載され、ノズルから吐出されるインクが収容される圧力室と、前記圧力室に対応して設けられ、上面に第1電極部が形成されると共に、下面に第2電極部が形成された圧電素子と、前記第2電極部から前記圧電素子の外側に電気的に引き出された引出部とを有するヘッドチップと、前記ヘッドチップの上方に配置され、前記ヘッドチップの前記第1電極部と電気的に接続される第1接続部材と、前記引出部を介して前記第2電極部と電気的に接続される第2接続部材とを有する配線基板と、前記引出部に、前記第1電極部の高さと略等しい高さに配置された上面を備えると共に少なくとも該上面が前記引出部と導通している調整部材とが設けられ、前記配線基板の前記第1接続部材が前記スタッドバンプであり、ペーストを介して前記第1電極部の上面に接触することにより、該第1電極部と電気的に接続されると共に、前記第2接続部材が前記スタッドバンプであり、ペーストを介して前記調整部材の前記上面に接触することにより、該調整部材及び前記引出部を介して前記第2電極部と電気的に接続されていることが、好ましい。
【0030】
〔スタッドバンプ形状〕
図1は、従来のスタッドバンプ形状とペーストの転写工程の一例を示す模式図である。
【0031】
従来のスタッドバンプ形状は円錐型のバンプであることが主流であり、図1(a)にその代表例を示す。当該円錐型のスタッドバンプa1は、配線基板a2上に形成され、ガラス基板a3に設けられたペーストa4に押圧しながら挿入され、当該ペーストa4が円錐型のスタッドバンプa1に転写される(図1(b))。その際、配線基板a2にペーストa4が延出しない程度に配線基板a2とペーストa4転写上部間に間隙xが必要である。転写後、前記バンプは引き上げられ、前記円錐型のスタッドバンプa1の側面にペーストa4が転写保持される(図1(c))。
【0032】
スタッドバンプa1の高さyは、これに限られるものではないが、おおむね80〜85μmの範囲であり、ガラス基板a3上のペーストa4の厚さzはおおむね50〜60μmの範囲であり、間隙xはおおむね5〜10μmの範囲に設定される。
【0033】
間隙xはバンプ形成時の平面精度(例えば、±3μmの範囲)とペースト転写精度(例えば、±5μmの範囲)の合計である±8μmの範囲の許容精度を含めて転写されるものであり、個々のスタッドバンプへの転写繰り返し精度としては極めて要求が厳しいといえる。
【0034】
図2は、従来のスタッドバンプにペーストが保持されている状態を示す模式図である。
【0035】
図2(a)は、前記円錐型のスタッドバンプa1の側面にペーストa4が先端部のみに保持され、ペーストa4の保持量が少ない場合であるが、少ないと接合強度に対する信頼性が低下する。図2(b)は、接合強度を高めようとして、前記円錐型のスタッドバンプa1の側面にペーストa4が多く転写された場合であるが、スタッドバンプa1からペーストa4が延出して配線基板a2に付着すると、ペーストが導電性の場合、電気的なショートが発生し電気的な接続の信頼性が低下する。
【0036】
したがって、前記スタッドバンプa1に対するペーストa4の保持量の制御は、前述のとおり、厳しい精度が要求されている。
【0037】
図3は、本発明の実施形態に係るスタッドバンプの形状を示す断面図である。
【0038】
以下、「スタッドバンプ」を簡単に「バンプ」と呼称する場合がある。
【0039】
パンプ構造b1は、配線基板a2上に形成された第1のバンプb3と、この第1のバンプb3の上に積重ねて形成された第2のバンプb4を有している。第1のバンプb3と第2のバンプb4はいずれも金を主成分とする金バンプであることが好ましく、かつ台座部b3a及びb4aの上にそれより細径の突出部b3b及びb4bが連接して形成されたスタッド(鋲)形状を呈している。そして、第1のバンプb3の突出部b3bの上に、この突出部b3bを完全には潰すことなく第2のバンプb4が形成されており、第1のバンプb3の細径の突出部b3bと第2のバンプb4の台座部b4aの底面との間にくびれ部b5が形成されている。
【0040】
そして、ペーストa4転写の際に、第2のバンプb4にペーストa4を接続に十分な量を転写しても、第1のバンプb3のとのくびれ部b5及び台座部b3aの底面がストップ部となり、ペーストa4の上面が第1のバンプb3の台座部より上方へ這い上がり、又は延出することがないので、配線基板a2にペーストa4が接することはない。
【0041】
なお、ペーストa4は、必ずしも第1のバンプb3と第2のバンプb4との間のくびれ部b5を完全に埋めていなくてもよい。すなわち、第1のバンプb3の細径の突出部b3bと第2のバンプb4の台座部b4aの底面との間のくびれ部b5の一部を充填するように転写されていても、十分に効果を上げることができる。
【0042】
バンプ構造b1は、以下に示すように製造することができる。
【0043】
すなわち、キャピラリを用いたボールボンディング法により、配線基板a2の電極パッド上にスタッド形状を有する第1のバンプb3を形成した後、この第1のバンプb3の上に、同様にボールボンディング法により、スタッド形状を有する第2のバンプb4を積重ねて形成する。なお、第2のバンプb4の形成時に、第1のバンプb3の突出部b3bの一部(先端部)が潰れるが、完全には潰れることがなく、第1のバンプb3の細径の突出部b3bと第2のバンプb4の台座部b4aの底面との間にくびれ部b5を有する2段のバンプが得られる。
【0044】
ペーストa4が第1のバンプb3の底面より上の部分を被覆していないので、フリップチップ接続の際に第1のバンプb3の突出部b3bが十分に変形して潰れることで、強固な接合を達成することができる。
【0045】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については、概略的に示したものにすぎず、また各構成の組成(材質)等については例示にすぎない。したがって、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り、さまざまな形態に変更することができる。
【0046】
〔ペースト〕
本発明に係るペーストは、配線基板とヘッドチップを機械的及び電気的に接続するために、半田や導電性接着剤であることが好ましく、中でも導電性接着剤であることがより好ましい。
【0047】
導電性接着剤は、導電性を有する金属粉末(例えば、銀粉等)が混入された樹脂系接着剤であり、導電性を有する。銀などの導電性粒子が添加された接着剤は、市販品を用いることができる。
【0048】
〔インクジェットヘッド〕
図4は、本発明に係るインクジェットヘッドの一例を示す断面図、図5はインクジェットヘッドのヘッドチップの平面図、及び図6はインクジェットヘッドの部分拡大断面図である。
【0049】
インクジェットヘッド1は、ヘッドチップ10と配線基板20とが、両者の間にスペーサー基板30を介して積層一体化されている。配線基板20の上面には、内部がインク貯留室41である箱型形状のマニホールド40が設けられている。
【0050】
なお、本発明において「上」又は「下」を示す場合、図4図6におけるインクジェットヘッド1の状態を基準にして、図4図6中に矢印で示すZ方向を「下」とし、その反対の方向を「上」とする。従って、「上方」は、インクジェットヘッド1においてZ方向と反対の方向であり、「下方」は、Z方向に沿う方向である。また、「上面」は、インクジェットヘッド1においてZ方向と反対の方向に向けて配置される面であり、「下面」は、Z方向に向けて配置される面である。
ヘッドチップ10は、図6中の下から順に積層されたノズルプレート11、中間プレート12、圧力室プレート13、振動板層14によって構成されている。
【0051】
圧力室プレート13は、例えばSi(ケイ素)基板によって形成されている。圧力室プレート13には、ノズルプレート11に形成されたノズル111から吐出されるインクが収容される圧力室131が形成されている。圧力室131の数は特に問わず、少なくとも1つあればよい。本実施形態では複数の圧力室131を有するインクジェットヘッド1を例示している。
【0052】
複数の圧力室131は、ヘッドチップ10を平面視した場合に、該ヘッドチップ10のXY方向(図5参照)に配列されている。圧力室131は、圧力室プレート13を貫通するように形成されている。従って、圧力室131の上壁は振動板層14によって形成され、下壁は中間プレート12によって形成されている。
【0053】
振動板層14は、例えばSiO膜(酸化ケイ素膜)によって形成されている。振動板層14には、圧力室131に対応して、ヘッドチップ10の上面に開口するインク流入口132が設けられている。
【0054】
中間プレート12は、例えばガラス基板によって形成されている。中間プレート12には、圧力室131に対応して、圧力室131の内部と連通する複数の連通路121が形成されている。
【0055】
ノズルプレート11は、例えばSi基板によって形成されている。ノズルプレート11には、中間プレート12の各連通路121に対応して、複数のノズル111が、ノズルプレート11の下面に開口するように形成されている。従って、本実施形態に示すインクジェットヘッド1は、ノズル111から下方に向けてインクを吐出する。
【0056】
ヘッドチップ10の上面に、圧電素子15が設けられている。圧電素子15は、各圧力室131に対応して、該圧力室131の上壁を構成している振動板層14の上面に配置されている。本実施形態に示す圧電素子15は、薄膜チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)によって所定の厚みで形成されている。薄膜PZTは、フォトリソグラフィー技術を利用してエッチングすることができるので、所定パターンで配列された複数の圧電素子15を簡単に形成することができる。
【0057】
圧電素子15には、第1電極部151と第2電極部152とがそれぞれ形成されている。第1電極部151は、圧電素子15毎に個別に設けられる個別電極であり、圧電素子15の上面に形成されている。第2電極部152は、複数の圧電素子15に共通に設けられるGND用の共通電極であり、圧電素子15の下面に形成されている。第2電極部152は、振動板層14の上面に形成され、この第2電極部152の上面に圧電素子15が載置されている。
【0058】
これにより、第1電極部151の上面は、所定の高さH1(図6参照)に配置されている。なお、本発明において第1電極部151の上面が配置される高さH1は、圧電素子15の真下の振動板層14の上面を基準として、該上面から第1電極部151の上面までの高さと定義する。第1電極部151の上面にはバンプは設けられていない。
【0059】
第2電極部152は、圧電素子15の形成領域の外側に大きくはみ出すように形成されている。具体的には、第2電極部152は、図6に示すヘッドチップ10のY方向に配置される端部と、その反対方向に配置される端部とに向けて、圧電素子15の形成領域の外側にはみ出すように形成されている。これにより、振動板層14の上面に、第2電極部152と同じ電極膜からなる引出部153が形成されている(図6参照)。すなわち、第2電極部152は、振動板層14の上面において、引出部153によって、圧電素子15の形成領域の外側に電気的に引き出されている。
【0060】
また、第2電極部152は、複数の圧電素子15に共通の引出部153に電気的に引き出されている。これにより、複数の圧電素子15に形成された第2電極部152を引出部153にまとめることができるため、複数の第2電極部152に対する電気的接続を簡略化できる。
【0061】
引出部153の上面に、調整部材16が設けられている。調整部材16は、引出部153と後述する配線基板20の接続部材との導通を図るための電気的接続部位の高さを調整する部材である。例えば本実施形態に示す調整部材16は、ヘッドチップ10の両端部近傍に引き出された引出部153の上面に、図6に示すX方向に沿って延びるように形成されている。
【0062】
調整部材16は、引出部153の上面に単一部材によって形成されるものであってもよいし、引出部153の上面に複数の層が積層されることによって形成されるものであってもよい。
【0063】
ヘッドチップ10の両端部近傍の各調整部材16は、それぞれX方向に2つに分割されている。これにより、調整部材16が長尺化しすぎることによる変形や破損を防止している。しかし、本発明において調整部材16は少なくとも1つあればよい。
【0064】
調整部材16は、ポアソン比が0.4以下の材料を使用して形成されていることが好ましい。圧電素子15のポアソン比は一般に0.3程度であり、また、後述する配線基板20の第1接続部材25及び第2接続部材26として、本発明に係るくびれ部を有する2段形状のバンプのポアソン比が0.44程度であるため、圧電素子15と調整部材16に対して、これと電気的に接続される第1接続部材25及び第2接続部材26である、本発明に係るくびれ部を有する2段形状のバンプの方を潰れ易くすることができる。これにより、電気的接続の信頼性の向上と圧電素子15に掛かる負荷の軽減を図ることができる。
【0065】
調整部材16に使用される上記材料のポアソン比は、圧電素子15との関係でより好ましい値が規定される。すなわち、調整部材16は、圧電素子15と同程度のポアソン比を有する材料を使用することがより好ましい。これにより、圧電素子15の第1電極部151の上面と調整部材16の上面に対してそれぞれ第1接続部材25及び第2接続部材26が電気的に接続される際、両接続部材25、26の潰れ具合を同程度にすることができる。従って、圧電素子15と調整部材16に掛かる圧力をほぼ均一にすることができ、電気的接続の信頼性をさらに向上させ、圧電素子15に掛かる負荷をさらに軽減することができる。
【0066】
本実施形態に示す調整部材16は、圧力室131毎に設けられた圧電素子15と同一材料の圧電素子、すなわち薄膜PZTを用いて形成された好ましい態様を例示している。これにより、調整部材16に使用される材料と圧電素子15のポアソン比を容易に同程度にすることができる。また、両者を同一工程でパターン形成することが可能である。
【0067】
本実施形態に示す調整部材16は、圧電素子の上面に第3電極部161が設けられることによって形成されている。第3電極部161は、圧電素子15の上面に第1電極部151を形成する際、同一工程で形成することができる。具体的には、圧電素子15と調整部材16は、第1電極部151と第3電極部161を含めて、同一工程でパターン形成されている。
【0068】
なお、圧電素子15の上面には第1電極部151が設けられ、調整部材16も上面に第3電極部161を有しているが、これら電極部151、161は、その下の圧電素子に比べて十分に薄い薄膜状に形成されるため、配線基板20の第1接続部材25及び第2接続部材26が第1電極部151及び第3電極部161に電気的に接続される場合の圧電素子
15と調整部材16の硬さ(ポアソン比)において、これら電極部151、161の存在は無視することができる。
【0069】
調整部材16の上面は、第1電極部151の上面の高さH1と略等しくなるように配置されている。両者を同一工程でパターン形成すれば、両者の上面の高さが略等しい高さに配置されるように形成することが容易である。従って、配線基板20の配線と電気的に接続されるヘッドチップ10上の第1電極部151の上面と第3電極部161の上面の高さを簡易な方法で均一にすることができる。
【0070】
なお、本発明において調整部材16の上面の高さは、圧電素子15の真下の振動板層14の上面の高さを基準として、該上面の高さから調整部材16の第3電極部161の上面までの高さと定義する。第3電極部161の上面にはバンプは設けられていない。
【0071】
ここで、調整部材16の上面の高さが第1電極部151の上面の高さH1と「略等しい」とは、両者の間に、本発明の課題を解決できる程度に高さのばらつきを有していてもよいことをいう。具体的には、第1電極部151の上面の高さH1の値から調整部材16の上面の高さの値を減じた値が、第1電極部151の上面の高さH1の値±3%以内であることをいう。もちろん、調整部材16の上面の高さは、第1電極部151の上面の高さH
1と等しいことが好ましい。
【0072】
なお、圧電素子15及び調整部材16がそれぞれ複数である場合、第1電極部151及び調整部材16のそれぞれの上面の高さは、それぞれの平均値をいう。
【0073】
図6に示すように、調整部材16の上面は十分に大きい面積を有している。具体的には、調整部材16の上面の第3電極部161は、1つの圧電素子15の上面の第1電極部151の面積と同等以上の面積を有している。これにより、後述する配線基板20の接続部材との電気的接続を行う際のXY方向の位置決めが容易になり、配線基板20の接合作業を楽に行うことができる。
【0074】
調整部材16の少なくとも一部に、調整部材16を上下に貫通する貫通孔162が形成されている。これにより、貫通孔162の内部に引出部153が臨んでいる。そして、貫通孔162内に163が十分な量で充填されている。ペースト163は、好ましくは、充填時にはペースト状で、充填後に加熱によって硬化するペーストであり、より好ましくは導電性接着剤である。
【0075】
充填されたペースト163の一部は、貫通孔162から盛り上がるように溢れ出し、貫通孔162の周囲の第3電極部161上に広がっている。これにより、ペースト163を介して、第3電極部161と引出部153とが導通している。引出部153は、圧電素子15の下面の第2電極部152と導通しているため、第3電極部161は引出部153を介して第2電極部152と導通する。なお、貫通孔162内に充填されたペースト163は、配線基板20の接合後に硬化される。
【0076】
配線基板20は、例えばSi基板からなる基板本体21を有し、この基板本体21の下面に、複数の圧電素子15の第1電極部151に対して個別に電気的接続するための第1配線22と、複数の圧電素子15の第2電極部152に対して共通に電気的接続するための第2配線23とを有している。
【0077】
第1配線22は、基板本体21を貫通する貫通配線部221を介して、基板本体21の上面に引き出され、第1の上部配線部222に電気的に接続されている。また、第2配線23は、基板本体21を貫通する貫通配線部231を介して、基板本体21の上面に引き出され、第2の上部配線部232に電気的に接続されている。第1の上部配線部222及び第2の上部配線部232は、配線基板20の端部において、図4に示すFPC50と電気的に接続される。
【0078】
図6において、符号24は、基板本体21の上面及び下面に設けられ、第1配線22、第2配線23、第1の上部配線部222、第2の上部配線部232を保護するための、例えばSiOやポリイミドからなる保護層である。
【0079】
配線基板20の下面には、第1接続部材25と第2接続部材26が設けられている。第1接続部材25は、ヘッドチップ10上の第1電極部151と接続される電気的接続部材であり、第2接続部材26は、ヘッドチップ10上の第3電極部161及び引出部153を介して第2電極部152と接続される電気的接続部材である。これら第1接続部材25及び第2接続部材26が設けられる部位の保護膜24は除去され、第1配線22及び第2配線23が配線基板20の下面に露出している。第1接続部材25は第1配線22と導通し、第2接続部材26は第2配線23と導通している。
【0080】
本発明に係るくびれ部を有する2段形状のバンプである、第1接続部材25及び第2接続部材26は、配線基板20の下面からヘッドチップ10が配置される方向であるZ方向に凸の形状に形成されている。また、第1接続部材25の先端の位置と第2接続部材26の先端の位置は、ヘッドチップ10が配置される方向であるZ方向に略等しい高さH2(図6参照)となるように配置されている。このため、ヘッドチップ10上の第1電極部151及び第3電極部161との電気的接続をより容易に行うことができる。
【0081】
なお、第1接続部材25と第2接続部材26のそれぞれの先端の位置の高さは、第1の接続部材25と第1配線22の下面との接触面を基準として、該接触面から第1接続部材
25と第2接続部材26のそれぞれの先端の位置までの高さと定義する。
【0082】
ここで、第1接続部材25の先端の位置と第2接続部材26の先端の位置とが「略等しい」とは、両者の間に、本発明の課題を解決できる程度に高さのばらつきを有していてもよいことをいう。具体的には、第1接続部材25の先端の位置の高さから第2接続部材26の先端の位置の高さを減じた値が、第1接続部材25の先端の位置の高さの±10%以内であることをいう。もちろん、第1の接続部材25と第2の接続部材26の先端の位置の高さは等しいことが好ましい。
【0083】
なお、第1の接続部材25及び第2の接続部材26がそれぞれ複数である場合、第1の接続部材25及び第2の接続部材26のそれぞれの先端の位置の高さは、それぞれの平均値をいう。
【0084】
本発明に係るくびれ部を有する2段形状のスタッドバンプである第1接続部材25及び第2接続部材26は、導電部材によって形成されている。
【0085】
導電部材は、前述のとおり好ましくは金を主成分とする金バンプである。スタッドバンプは、例えばAu等の金属細線の先端を放電溶融して形成した金属ボールを、熱と超音波によって第1配線22及び第2配線23の表面に接合させる。スタッドバンプの先端部側は、肩部から突出する金属細線の一部によって形成された突起部を有している。突起部は、容易に塑性変形可能であるため、圧電素子が破損する恐れがない。スタッドバンプは、金属ボールの大きさを可変することによって、様々な肩部の高さのバンプを容易に形成することができるが、スタッドバンプの大きさにより、先端部及び肩部の大きさが異なるため、塑性変形の程度が異なる。したがって、電気的接続を行う際に第1接続部材と第2接続部材の塑性変形を同程度としてより確実に電気的接続を行う観点から、第1接続部材及び第2接続部材の大きさを同程度とすることが好ましい。なお、スタッドバンプの先端の位置とは、金属ボールから引きちぎられた金属細線によって形成される突起部の先端の位置である。
【0086】
インクジェットヘッドの製造時には、前記スタッドバンプに、ペーストを転写する工程と、電気的接続部として前記スタッドバンプをボンディングする工程と、を有することを特徴とする。
【0087】
第1接続部材25及び第2接続部26には、図6に示すように、それぞれペースト251、261が塗布されている。これにより、第1接続部材25及び第2接続部26の相互間の高さに僅かに誤差があっても、その誤差を吸収でき、第1接続部材25と第1電極部151及び第2接続部26と第3電極部161との電気的接続をより確実にすることができる。また、電気的接続の際に過度の圧力をかける必要もない。
【0088】
ペースト251、261は、好ましくは、塗布時にはペースト状で、塗布後に加熱によって硬化するペーストであり、より好ましくは導電性接着剤である。導電性接着剤を用いることにより、第1接続部材25と第1電極部151及び第2接続部26と第3電極部161との電気的接続と同時に接着を行うことができる。このため、ヘッドチップ10と配線基板20との接続を含むインクジェットヘッド1の製造工程をより簡易なものとすることができる。
【0089】
なお、図6において、符号27は、インク貯留室41(図1参照)内のインクを、配線基板20を貫通してヘッドチップ10の各圧力室131に供給するためのインク流路である。
【0090】
スペーサー基板30は、ヘッドチップ10と配線基板20との間隔を所定の間隔に維持し、両者の間に圧電素子15と第1接続部材25及び調整部材16と第2接続部材26の接続領域を確保する。この接続領域を確保するため、スペーサー基板30は、ヘッドチップ10上の圧電素子15の配設位置に応じて形成された開口部31と、調整部材16の配設位置に応じて形成された開口部32とを有している。
【0091】
開口部31、32は、図6に示すように、スペーサー基板30を貫通している。ヘッドチップ10の圧電素子15及び配線基板20の第1接続部材25は開口部31内に収容され、ヘッドチップ10の調整部材16及び配線基板20の第2接続部材26は開口部32内に収容されている。
【0092】
本実施形態に示すヘッドチップ10には、図5に示すように、X方向に配列された8つの圧電素子15がY方向に4列に配列されている。一つの開口部31は、X方向に配列された8つの圧電素子15を含む大きさに形成されている。従って、開口部31はY方向に
4つ配列されている。また、開口部32は、ヘッドチップ10の各端部近傍の2つずつの調整部材16を含む大きさにそれぞれ形成されている。
【0093】
また、スペーサー基板30には、ヘッドチップ10の上面に開口するインク流入口132と配線基板20に形成されたインク流路27とを連通させる貫通孔33が形成されている。
【0094】
スペーサー基板30の材質は特に問わない。ここでは42アロイ(42Ni)からなる合金を用いている。スペーサー基板30には、適宜の表面処理、例えば絶縁処理、防錆処理等が施されている。
【0095】
図5において、符号34は、スペーサー部材30を挟んでヘッドチップ10と配線基板20とが接合された際、開口部31、32内の空気を外部に逃がすための空気逃がし溝である。また、符号35は、スペーサー基板30を不図示の移動装置によって移動する際に吸着するための吸着溝である。空気逃がし溝34及び吸着溝35は、スペーサー基板30の上面から、スペーサー基板30を貫通しない程度の深さで形成されている。
【0096】
ヘッドチップ10と配線基板20は、スペーサー基板30を挟んで接合されている。この接合によって、圧電素子15の第1電極部151上に配線基板20の第1接続部材25が接触して電気的に接続されると同時に、調整部材16の第3電極部161上に配線基板
20の第2接続部材26が接触して電気的に接続される。
【0097】
このとき、圧電素子15の第1電極部151の上面と調整部材16の第3電極部161の上面は、略等しい高さH1に配置されているため、両者の接触面の高さはほぼ均一である。また、第1電極部151及び第3電極部161の上面にバンプは設けられていない。従って、ヘッドチップ10と配線基板20との圧着時に、第1電極部151及び第3電極部161に対して不均一な圧力がかかることがない。これにより、圧電素子15等の破損を防止するために高精度な圧力制御を行う必要はなく、確実な電気的接続を容易に行うことができる。
【0098】
また、第1接続部材25の先端の位置と第2接続部材26の先端の位置も略等しい高さH2に配置されているため、確実な電気的接続をさらに容易に行うことができる。
【0099】
一つの調整部材16の第3電極部161と電気的に接続される第2接続部材26は、図7(a)に示すように、複数であることが好ましい。複数の第2接続部材26を使用することで、電流密度を下げることができる。また、第2接続部材26と第3電極部161との圧着時の圧力が1点に集中することを回避できる。
【0100】
また、複数の第2接続部材26のうちの一部の第2接続部材26は、図7(b)に示すように、貫通孔162に充填された導電ペースト163のみと接触して電気的に接続されるように配置させることも好ましい。一部の第2接続部材26を硬化前の導電ペースト163と接触させることで、第2接続部26と第3電極部161との電気的接続と同時に、第2接続部26と第3電極部161との間の確実な固定を行うことができる。
【0101】
さらに、図7(c)に示すように、第2接続部材26を第3電極部161の上面に接触させることに加えて、配線基板20の第2配線23を調整部材16上の導電ペースト163と直接接触させて電気的に接続するようにしてもよい。この場合、第2配線23を覆っている保護層24の除去部241を形成し、導電ペースト163に対応する部位の第2配線23を露出させておく。また、導電ペースト163は、第2接続部26と第3電極部161とが電気的に接続された際、除去部241内に露出する第2配線23と接触し得る十分な高さに形成される。
(インクジェットヘッドの製造方法)
次に、インクジェットヘッドの製造方法の一例について、図8図11を用いて説明する。
【0102】
まず、配線基板20について説明する。
【0103】
従来公知の方法によって基板本体21に第1配線22及び第2配線23が形成された配線基板20を用意する(図8(a))。
【0104】
そして、配線基板20の下面に露出させた第1配線22と第2配線23の各々に、本発明に係るスタッドバンプによって第1接続部25及び第2接続部26を形成する(図8(b))。具体的には、ヘッドチップ10が配置される方向に凸の形状を有し、且つ、第1接続部25の先端の位置と第2接続部26の先端の位置とが、ヘッドチップ10が配置される方向であるZ方向に略等しい高さH2に配置されるように、第1接続部材25及び第2接続部材26を形成する(接続部材形成工程)。
【0105】
スタッドバンプを形成した後、図8(c)に示すように、第1接続部材25と第2接続部材26の各々にペースト251、261を塗布する。
【0106】
ペースト251、261の塗布は、例えば次のようにして行うことができる。まず、ガラス基板上に所定の厚みでペーストの膜を形成する。そして、配線基板20をガラス基板上に重ね合わせ、第1接続部材25及び第2接続部材26の先端をペーストの膜と接触させる。その後、配線基板20とガラス基板とを離すことで、第1接続部材25及び第2接続部材26の先端にガラス基板上のペーストを転写する。これによれば、複数の第1接続部材25及び複数の第2接続部材26の先端に、一括してペーストを塗布することができる。
【0107】
次に、ヘッドチップ10について説明する。
【0108】
まず、従来公知の方法によって、ノズルプレート11、中間プレート12、圧力室プレート13、振動板層14を積層したヘッドチップ10を用意する(図9(a))。
【0109】
そして、このヘッドチップ10の振動板層14の上面に、第2電極部152を積層する。第2電極部152は例えばスパッタリング法によって所定のパターンとなるように形成することができる。このとき、第2電極部152のパターンをヘッドチップ10の両端部近傍まで延長することにより、第2電極部152から圧電素子15の形成領域の外側に電気的に引き出される引出部153を同時に形成する(引出部形成工程;図9(b))。これにより、引出部形成工程を簡略化することができる。
【0110】
次いで、第2電極部152の上面に圧電素子15と、引出部153の上面に調整部材16をそれぞれ積層する。具体的には、第2電極部152の上面に薄膜PZTを所定の厚みで積層し、さらに、この薄膜PZTの上面の全面に第1電極部151となる電極膜を所定の厚みで積層する。薄膜PZTと電極膜は、引出部153の上面にも同時に積層される。
【0111】
その後、電極膜を、図2に示す圧電素子15と調整部材16の配置態様及び形状となるようにエッチングすることにより、第1電極部151及び第3電極部161をパターン形成する。そして、第1電極部151及び第3電極部161をマスクとして、薄膜PZTをエッチングすることにより、圧力室131上の圧電素子15と、引出部153上の調整部材16を形成する(圧電素子形成工程、調整部材形成工程;図9(c))。
【0112】
これにより、ヘッドチップ10の上面に、圧力室131に対応して、第2電極部152上の圧電素子15及び第1電極部151と、引出部153上の調整部材16とが同一工程で同時に形成される。このため、製造工程を簡略化できると共に、第1電極部151の上面と第3電極部161の上面の高さが略等しい高さH1に揃えられた圧電素子15と調整部材16を容易に形成することができる。
【0113】
次いで、ヘッドチップ10の上面にスペーサー基板30を接合する(図10(a))。スペーサー基板30には、予め開口部31、32及び貫通孔33が形成されている。ヘッドチップ10の圧電素子15及び調整部材16は開口部33、32に収容され、貫通孔33はインク流入孔132と連通される。
【0114】
その後、調整部材16の貫通孔162内に、例えばニードル60を用いて導電ペースト163を充填する(図10(b))。導電ペースト163を十分な量で充填することにより、貫通孔162の上端から盛り上がるように溢れ出させ、貫通孔162の周囲の第3電極部161上に広げることができる。
【0115】
これにより、導電ペースト163を介して、第3電極部161と引出部153とを容易に導通させることができる。また、調整部材16は開口部32内に配置されているため、調整部材16の周囲はスペーサー部材30によって囲まれている。これにより、導電ペースト163が調整部材16の上面から溢れ出しても、開口部32内にとどめることができ、ショートを発生させるおそれはない。
【0116】
次いで、ヘッドチップ10とスペーサー基板30との積層物に、その上方から配線基板20を接合する(接合工程;図11)。このとき、配線基板20の第1接続部材25は圧電素子15上の第1電極部151と接触し、第2接続部材26は調整部材16の第3電極部161と接触し、それぞれ電気的に接続される。
【0117】
ヘッドチップ10において、圧電素子15上の第1電極部151の上面と調整部材16の第3電極部161の上面は略等しい高さであり、また、配線基板20において、第1接続部材25の先端の位置と第2接続部材26の先端の位置は略等しい高さであるため、これらの接触面の高さはほぼ均一になる。従って、ヘッドチップ10と配線基板20とを圧着した時、各電気的接続部位に不均一な圧力がかかることがない。これにより、圧電素子15等の破損を防止するために高精度な圧力制御を行う必要はなく、確実な電気的接続をより容易に行うことができる。
【0118】
その後、配線基板20の上面に、配線基板20の上面に開口する全てのインク供給孔27が、マニホールド40内のインク貯留室41に臨むように、図1に示したマニホールド40を接合する。これにより、インク貯留室41から全ての圧力室131に共通にインクが供給されるインクジェットヘッド1が完成する。
【0119】
以上、本発明に係るくびれ部を有するスタッドバンプを用いることにより、十分なペーストの保持量を確保しながら、配線基板へのペーストの延出を防止することができ、機械的接続及び電気的接続の信頼性が向上したインクジェットヘッドを製造することが可能となる。
【0120】
(調整部材の他の態様)
以上説明した調整部材16は、貫通孔162を形成したが、貫通孔162に代えて、調整部材16の側面から内方に向けて凹となるように、調整部材16の高さ方向に亘って切欠された溝を形成してもよい。この場合、導電ペースト163は、引出部153と第3電極部161とを電気的に接続するように、溝内に充填される。
【0121】
また、圧電素子15は、予め所定の大きさ及び厚みで形成されたバルクの圧電素子であってもよい。バルクの圧電素子は、振動板層14上の圧力室131に対応する位置にそれぞれ個別に貼着される。この場合、調整部材16に使用される圧電素子も、予め圧電素子15と同一の厚みに形成されたバルクの圧電素子を使用し、引出部153の上面に貼着することによって調整部材16が形成されるようにすることが好ましい。これにより、圧電素子15の第1電極部151の上面の高さと調整部材16の上面の高さを略等しい高さに容易に合わせることができる。
【0122】
また、調整部材16を単一部材とする場合、全体を金属によって形成することもできる。例えばNi、Cu、Al等の金属を用いて所定の厚み、所定の形状で形成された金属材を引出部153上に積層することによって、調整部材16自体を引出部153と導通させることができる。引出部153の上面に金属材を設けた後に、圧電素子15の上面と略等しい高さとなるように研摩することによって、調整部材16の上面の高さを圧電素子15の第1電極部151の上面の高さと略等しくなるように調整することができる。調整部材16の全体を金属によって形成することにより、導電ペースト163を充填する作業を不要にすることができる。
【0123】
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。インクジェットヘッドの細部構成に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0124】
a1 スタッドバンプ
a2 配線基板
a3 ガラス板
a4 ペースト
b1 バンプ構造
b3 第1のバンプ
b3a 台座部
b3b 突出部
b4 第2のバンプ
b4a 台座部
b4b 突出部
b5 くびれ部
1 インクジェットヘッド
10 ヘッドチップ
11 ノズルプレート
111 ノズル
12 中間プレート
121 連通路
13 圧力室プレート
131 圧力室
132 インク流入孔
14 振動板層
15 圧電素子
151 第1電極部
152 第2電極部
153 引出部
16 調整部材
161 第3電極部
162 貫通孔
163 ペースト
20 配線基板
21 基板本体
22 第1配線
221 貫通配線部
222 第1の上部配線部
23 第2配線
231 貫通配線部
232 第2の上部配線部
24 保護層
241 除去部
25 第1接続部材(スタッドバンプ)
251 ペースト
26 第2接続部材(スタッドバンプ)
261 ペースト
27 インク供給孔
30 スペーサー基板
31、32 開口部
33 貫通孔
34 空気逃がし溝
35 吸着溝
40 マニホールド
41 インク貯留室
50 FPC
60 ニードル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11