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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-203691(P2020-203691A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】包装材、包装容器及び蓋体
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20201127BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20201127BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   B65D65/40 D
   B65D30/02
   B65D30/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-111427(P2019-111427)
(22)【出願日】2019年6月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】特許業務法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 靖也
(72)【発明者】
【氏名】仙頭 和佳子
【テーマコード(参考)】
3E064
3E086
【Fターム(参考)】
3E064AB23
3E064BA26
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA54
3E064BA55
3E064BB03
3E064GA01
3E064HE02
3E064HM01
3E064HN05
3E064HP01
3E064HP02
3E064HS05
3E086AA23
3E086AC15
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA44
3E086BB55
3E086BB90
3E086CA03
3E086CA35
3E086CA40
3E086DA01
(57)【要約】
【課題】手が水で濡れた状態でも、耐滑り性を良好にし得る包装材、これを用いた包装容器及び蓋体を提供する。
【解決手段】プラスチックフィルムを有する包装材であって、前記包装材は、面内の少なくとも一部に、バインダー樹脂及びマット剤を含むマット層を有し、下記(1)及び(2)を満たす、包装材。
(1)前記包装材の面内の少なくとも一つの方向において、前記マット層の組成及び高さの少なくとも何れかが異なる領域を有する。
(2)前記(1)を満たす方向のうち少なくとも一つの方向Dにおいて、「前記方向Dの全長さをL」、「前記マット層の組成及び高さが連続して同一する、長さ0.1mm未満の領域の合計長さをL1」、「前記マット層の組成及び高さが連続して同一する、長さ10mmを超える領域の合計長さをL2」と定義した際に、(L1+L2)/Lが0.10以下である箇所を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルムを有する包装材であって、前記包装材は、表面の少なくとも一部に、バインダー樹脂及びマット剤を含むマット層を有し、下記(1)及び(2)を満たす、包装材。
(1)前記包装材の面内の少なくとも一つの方向において、前記マット層の組成及び高さの少なくとも何れかが異なる領域を有する。
(2)前記(1)を満たす方向のうち少なくとも一つの方向Dにおいて、「前記方向Dの全長さをL」、「前記マット層の組成及び高さが連続して同一する、長さ0.1mm未満の領域の合計長さをL1」、「前記マット層の組成及び高さが連続して同一する、長さ10mmを超える領域の合計長さをL2」と定義した際に、(L1+L2)/Lが0.10以下である箇所を有する。
【請求項2】
前記マット剤の吸油量が250[g/100g]以上である、請求項1に記載の包装材。
【請求項3】
外層側から、前記マット層及び前記プラスチックフィルムをこの順に有する、請求項1又は2に記載の包装材。
【請求項4】
さらに印刷層を有し、外層側から、前記マット層、前記プラスチックフィルム、前記印刷層をこの順に有する、請求項3に記載の包装材。
【請求項5】
前記プラスチックフィルムよりも内層側にシーラント層を有する、請求項1〜4の何れか1項に記載の包装材。
【請求項6】
包装容器であって、
前記包装容器はプラスチック製の包装材を有し、前記プラスチック製の包装材は、表面の少なくとも一部に、バインダー樹脂及びマット剤を含むマット層を有し、下記(1)及び(2)を満たす、包装容器。
(1)前記包装材の面内の少なくとも一つの方向において、前記マット層の組成及び高さの少なくとも何れかが異なる領域を有する。
(2)前記(1)を満たす方向のうち少なくとも一つの方向Dにおいて、「前記方向Dの全長さをL」、「前記マット層の組成及び高さが連続して同一する、長さ0.1mm未満の領域の合計長さをL1」、「前記マット層の組成及び高さが連続して同一する、長さ10mmを超える領域の合計長さをL2」と定義した際に、(L1+L2)/Lが0.10以下である箇所を有する。
【請求項7】
前記包装容器が開封部又はつまみ部を有し、前記開封部又は前記つまみ部内において前記(1)及び(2)を満たすように形成されてなる、請求項6に記載の包装容器。
【請求項8】
包装容器の縦方向及び横方向の少なくとも何れかの方向において前記(1)及び(2)を満たすように形成されてなる、請求項6又は7に記載の包装容器。
【請求項9】
前記包装容器が切り取り指示線を有し、前記切り取り指示線の延伸方向と略平行な方向において前記(1)及び(2)を満たすように形成されてなる、請求項6又は7に記載の包装容器。
【請求項10】
前記包装容器がパウチである、請求項6〜9の何れか1項に記載の包装容器。
【請求項11】
請求項1〜5の何れか1項に記載の包装材で形成されてなる蓋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材、これを用いた包装容器及び蓋体に関する。
【背景技術】
【0002】
レトルト食品や洗剤などを収容する包装材には、開封の際の手指の滑りを防ぎ、開封をより容易なものとするために、耐滑り性が求められている。
例えば、手を洗った後などの手が濡れた状態で包装材を開封する際には、包装材が滑りやすくなるため、耐滑り性が重要となる。
【0003】
耐滑り性を付与するために、特許文献1及び2には、マット剤およびバインダーを含む滑り止め層を形成した包装材が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-96778号公報
【特許文献2】特開2017-154459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2の包装材は、耐滑り性をある程度改善できるものの、耐滑り性が十分なものとはいえなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、特許文献1及び2の包装材の耐滑り性が十分ではない原因について検討した。
その結果、本発明者らは、特許文献1及び2の包装材の包装材では、一旦指が滑り出した場合、その先に滑り防止層が存在しても、指が滑ることを止められないことを見出した。そして、本発明者らは、さらに検討を重ねた結果、マット層に特定の条件を満たす複数の領域を形成することにより、耐滑り性が極めて良好な包装材を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[11]を提供するものである。
[1]プラスチックフィルムを有する包装材であって、前記包装材は、表面の少なくとも一部に、バインダー樹脂及びマット剤を含むマット層を有し、下記(1)及び(2)を満たす、包装材。
(1)前記包装材の面内の少なくとも一つの方向において、前記マット層の組成及び高さの少なくとも何れかが異なる領域を有する。
(2)前記(1)を満たす方向のうち少なくとも一つの方向Dにおいて、「前記方向Dの全長さをL」、「前記マット層の組成及び高さが連続して同一する、長さ0.1mm未満の領域の合計長さをL1」、「前記マット層の組成及び高さが連続して同一する、長さ10mmを超える領域の合計長さをL2」と定義した際に、(L1+L2)/Lが0.10以下である箇所を有する。
[2]前記マット剤の吸油量が250[g/100g]以上である、[1]に記載の包装材。
[3]外層側から、前記マット層及び前記プラスチックフィルムをこの順に有する、[1]又は[2]に記載の包装材。
[4]さらに印刷層を有し、外層側から、前記マット層、前記プラスチックフィルム、前記印刷層をこの順に有する、[3]に記載の包装材。
[5]前記プラスチックフィルムよりも内層側にシーラント層を有する、[1]〜[4]の何れかに記載の包装材。
[6]包装容器であって、前記包装容器はプラスチック製の包装材を有し、前記プラスチック製の包装材は、表面の少なくとも一部に、バインダー樹脂及びマット剤を含むマット層を有し、下記(1)及び(2)を満たす、包装容器。
(1)前記包装材の面内の少なくとも一つの方向において、前記マット層の組成及び高さの少なくとも何れかが異なる領域を有する。
(2)前記(1)を満たす方向のうち少なくとも一つの方向Dにおいて、「前記方向Dの全長さをL」、「前記マット層の組成及び高さが連続して同一する、長さ0.1mm未満の領域の合計長さをL1」、「前記マット層の組成及び高さが連続して同一する、長さ10mmを超える領域の合計長さをL2」と定義した際に、(L1+L2)/Lが0.10以下である箇所を有する。
[7]前記包装容器が開封部又はつまみ部を有し、前記開封部又は前記つまみ部内において前記(1)及び(2)を満たすように形成されてなる、[6]に記載の包装容器。
[8]包装容器の縦方向及び横方向の少なくとも何れかの方向において前記(1)及び(2)を満たすように形成されてなる、[6]又は[7]に記載の包装容器。
[9]前記包装容器が切り取り指示線を有し、前記切り取り指示線の延伸方向と略平行な方向において前記(1)及び(2)を満たすように形成されてなる、[6]又は[7]に記載の包装容器。
[10]前記包装容器がパウチである、[6]〜[9]の何れかに記載の包装容器。
[11][1]〜[5]の何れかに記載の包装材で形成されてなる蓋体。
【発明の効果】
【0008】
本発明の包装材、これを用いた包装容器及び蓋体は、手が水で濡れた状態でも、パウチ等の包装容器を開封する際の耐滑り性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の包装材の実施の形態を示す概略断面図である。
図2】本発明の包装材の他の実施の形態を示す概略断面図である。
図3】本発明の包装材の実施の形態を示す概略平面図である。
図4図3の包装材のD方向のマット層の断面形状の実施の形態を示す拡大図である。
図5図3の包装材のマット層の実施の形態を示す拡大平面図である。
図6】本発明の包装容器の実施の形態を示す概略正面図である。
図7】本発明の包装容器の他の実施の形態を示す概略正面図である。
図8】本発明の包装容器の他の実施の形態を示す概略断面図である。
図9】マット層の高さを説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の包装材、並びに前記包装材を用いた包装容器及び蓋体について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書中の「AA〜BB」との数値範囲の表記は、「AA以上BB以下」であることを意味する。
【0011】
[包装材]
本発明の包装材は、プラスチックフィルムを有する包装材であって、前記包装材は、表面の少なくとも一部に、バインダー樹脂及びマット剤を含むマット層を有し、下記(1)及び(2)を満たすものである。
(1)前記包装材の面内の少なくとも一つの方向において、前記マット層の組成及び高さの少なくとも何れかが異なる領域を有する。
(2)前記(1)を満たす方向のうち少なくとも一つの方向Dにおいて、「前記方向Dの全長さをL」、「前記マット層の組成及び高さが連続して同一する、長さ0.1mm未満の領域の合計長さをL1」、「前記マット層の組成及び高さが連続して同一する、長さ10mmを超える領域の合計長さをL2」と定義した際に、(L1+L2)/Lが0.10以下である箇所を有する。
【0012】
図1及び図2は、本発明の包装材10の積層構成の実施の形態を示す概略断面図である。
これらの図においては、上が外層側(表面側)であり、下が内層側(裏面側)である。図1及び図2に示すように、本発明の包装材10は、プラスチックフィルム30を有し、表面の少なくとも一部に、バインダー樹脂及びマット剤を含むマット層20を有している。
【0013】
包装材10の積層構成においては、その他の層を構成層として含んでいてもよい。
例えば、図1及び図2に示す包装材10は、プラスチックフィルム30の内層側(裏面)に印刷層40を有している。また、図1及び図2では、印刷層40として、絵柄印刷層41及び地色印刷層42を有している。さらに、図2では、絵柄印刷層41として、有彩色層41a及び光輝性印刷層41bを有している。
また、図1及び図2に示す包装材10は、印刷層40の内層側(裏面)に、中間基材層70及びシーラント層80を備えている。
また、図1に示す包装材は、マット層20の外層側(表面側)の一部にクリア層60を有している。
【0014】
図3は、本発明の包装材10の実施の形態を示す概略平面図である。図3の包装材10は、表面の外周縁部にマット層20を有している。
また、図4は、図3の包装材のD方向のマット層の断面形状の実施の形態を示す拡大図である。図4の(i)は、D方向において、マット層20の高さが異なる領域を有している。また、図4の(ii)は、D方向において、マット層20aとマット層20bとを交互に有している。すなわち、図4の(ii)は、D方向において、マット層の組成が異なる領域を有している。
【0015】
<プラスチックフィルム>
プラスチックフィルムは、主として、包装材の支持体としての役割を有する。
プラスチックフィルムは、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、印刷層を裏刷りする場合には、印刷層を外層側から視認できるようにする観点から、プラスチックフィルムは透明性を有することが好ましい。
【0016】
プラスチックフィルムの厚みは、特に限定されるものではなく、包装材の用途に応じて適宜設定することができる。プラスチックフィルムの厚みは、通常、5〜50μm程度であることが好ましく、より好ましくは8〜40μm、さらに好ましくは10〜25μmである。
【0017】
プラスチックフィルムは、JIS K7361−1:1997の全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、プラスチックフィルムは、JISK7136:2000のヘイズが1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.3%以下であることがさらに好ましい。
【0018】
プラスチックフィルムの材料としては、ポリエチレン(PE)系やポリプロピレン(PP)系等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、各種ナイロン(Ny)等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)等が挙げられる。これらの中でも、汎用性の観点からは、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、耐熱性や強度等の観点からは、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂が好ましい。
【0019】
プラスチックフィルムは、一軸延伸又は二軸延伸されたものであってもよい。また、上記のうちの2種以上の樹脂のフィルムが積層された複合フィルムであってもよい。また、プラスチックフィルムは、インフレーション法、溶融押出しコーティング法で形成されたものであってもよい。
【0020】
包装材が電子レンジ用及びレトルト容器として用いられる場合、プラスチックフィルムは耐熱性に優れるものが好ましい。耐熱性に優れたプラスチックフィルムを構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂及びポリアミド系樹脂等が挙げられる。
電子レンジ用及びレトルト容器用の包装材のプラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルムの単体、ナイロン等のポリアミドフィルムの単体、ポリエステルフィルム及びポリアミドフィルムの一種以上を含む複合フィルムが挙げられる。前記複合フィルムの例としては、PET/Ny/PET、外層側からPET/Nyの構成からなる共押出し延伸フィルムが挙げられる。また、前記複合フィルムとしては、ポリエステルフィルム及びポリアミドフィルムの何れか1種以上と、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム及びポリ塩化ビニリデンフィルムの何れか1種以上とを組み合わせることも好ましい。
【0021】
<マット層>
本発明の包装材は、表面の少なくとも一部に、バインダー樹脂及びマット剤を含むマット層を有し、下記(1)及び(2)を満たすことを要する。かかる構成により、本発明の包装材は、手が水で濡れた状態でも、パウチ等の包装容器を開封する際の耐滑り性を良好にすることができる。
(1)前記包装材の面内の少なくとも一つの方向において、前記マット層の組成及び高さの少なくとも何れかが異なる領域を有する。
(2)前記(1)を満たす方向のうち少なくとも一つの方向Dにおいて、「前記方向Dの全長さをL」、「前記マット層の組成及び高さが連続して同一する、長さ0.1mm未満の領域の合計長さをL1」、「前記マット層の組成及び高さが連続して同一する、長さ10mmを超える領域の合計長さをL2」と定義した際に、(L1+L2)/Lが0.10以下である箇所を有する。
【0022】
上記の構成により耐滑り性を良好にすることができる原因は、以下のように考えられる。
まず、手が濡れた状態で指が滑りやすくなる理由は、包装材と指との間に入り込んだ水が潤滑材として作用するためと考えられる。
そして、包装材の表面の形状および組成が均一の場合、包装材表面の潤滑力は面内で均一であるため、一旦指が滑り始めた際に止まりにくいと考えられる。一方、包装材の面内の少なくとも一つの方向において、マット層の組成及び高さの少なくとも何れかが異なる領域を有することにより((1)を満たすことにより)、(1)を満たす方向においては、面内で潤滑力の大きさ及び方向等が変位し、指が滑りにくくなるきっかけが付与されると考えられる。
しかし、(1)を満たす場合であっても、マット層の組成及び高さが連続して同一である領域の長さが0.1mm未満又は10mm超の箇所の割合が多い場合、耐滑り性を良好にすることができない。マット層の組成及び高さが連続して同一である領域が0.1mm未満である箇所は、指紋の幅(約0.4m)よりも小さすぎるため、潤滑力の変位に殆ど影響しない。また、マット層の組成及び高さが連続して同一である領域が10mmを超える箇所は、包装材に接する指の腹が当該箇所内に入り込みやすくなり、指が滑りやすくなる。したがって、耐滑り性を良好にするためには、(1)を満たす方向のうち少なくとも一つの方向において、マット層の組成及び高さが連続して同一である箇所が0.1mm未満の領域(微小領域)と、マット層の組成及び高さが連続して同一である箇所が10mm超の領域(巨大領域)とを合計した長さの割合を小さくすること((2)を満たすこと)、を要する。
【0023】
(1)及び(2)は、少なくとも一つの方向で満たせばよいが、包装材の縦方向及び横方向の少なくとも何れかで満たすことが好ましい。
また、いかなる持ち方に対しても耐滑り性を良好にしやすくする観点からは、多くの方向かつランダムな方向で(1)及び(2)を満たすことが好ましい。
また、(2)において、マット層の組成及び高さが連続して同一である領域の長さは0.2mm以上7mm以下であることが好ましく、0.3mm以上5mm以下であることがより好ましい。
また、方向Dのうち、(1)及び(2)を満たす箇所の長さは15mm以上であることが好ましく、20mm以上であることがより好ましい。
【0024】
(1)及び(2)において、組成が異なるとは、例えば、「バインダー樹脂が異なること」、「マット剤の材質が異なること」、「マット剤の平均粒子径が異なること」、「マット剤の配合量が異なること」、「バインダー樹脂及びマット剤以外の添加剤が異なること」などが挙げられる。
【0025】
本明細書において、マット層の高さが異なるか否かの基準は、以下のように判定するものとする。
(i)まず、マット層表面の所定の方向の高さを汎用の粗さ計で測定し、粗さ曲線を得る。
(ii)得られた粗さ曲線の高さの平均値をNとして、「N±0.1mmの高さを有する平均領域」、「N−0.1mm未満の高さを有する凹領域」、「N+0.1mm超の高さを有する凸領域」、の3つの領域に区分した際に、同じ領域に関しては高さが同一と判定し、異なる領域に関しては高さが異なると判定する(図9参照)。
【0026】
粗さ曲線は、例えば、光学式の非接触表面形状測定機(例えば、レーザー顕微鏡方式、白色光干渉方式)で表面形状を測定し、得られた表面形状のデータから任意の方向の断面プロファイル(≒粗さ曲線)を抜き出すことにより得ることができる。
【0027】
(1)では、隣り合う領域の組成及び高さの少なくとも何れかが異なればよいが、高さが異なることが好ましい。隣り合う領域の高さが異なるようにすることにより、上述した潤滑力の変位を生じさせやすくすることができる。また、隣り合う領域の組成を異ならせるよりも、高さを異ならせる方が製造上簡易である。
すなわち、本発明の包装材は、下記(1’)を満たすことが好ましい。
(1’)前記包装材の面内の少なくとも一つの方向において、前記マット層の高さが異なる領域を有する。
【0028】
同様の観点から、本発明の包装材は、下記(2’)を満たすことが好ましい。
(2’)前記(1’)を満たす方向のうち少なくとも一つの方向D’において、「前記方向D’の全長さをL’」、「前記マット層の組成及び高さが連続して同一する、長さ0.1mm未満の領域の合計長さをL1’」、「前記マット層の組成及び高さが連続して同一する、長さ10mmを超える領域の合計長さをL2’」と定義した際に、(L1’+L2’)/L’が0.10以下である箇所を有する。
【0029】
(1)及び(2)を満たす方向に存在する領域の少なくとも一部は、図5に示すように、平面視した際の領域の形状が不定形であることが好ましい。当該構成とすることにより、潤滑力の変位がランダムに生じやすくなり、より指を滑りにくくしやすくできる。また、当該構成とすることにより、多くの方向かつランダムな方向で(1)及び(2)を満たしやすくなり、いかなる持ち方に対しても耐滑り性を良好にしやすくできる点で好ましい。
上述した効果を発揮しやすくする観点からは、(1)及び(2)を満たす方向に存在する領域のうち、平面視形状が不定形である領域の割合は、個数基準で50%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、よりさらに好ましくは90%以上である。(1’)及び(2’)に関しても同様である。
【0030】
(1)及び(2)を満たす包装材は、例えば、「プラスチックフィルム上の任意の箇所に、マット層用インキAを塗布、乾燥してマット層Aを形成し、マット層Aに隣接する箇所に、マット層用インキAとは組成が異なるマット層用インキBを塗布、乾燥してマット層Bを形成すること」、「プラスチックフィルム上にマット層を形成する際に、面内の場所ごとでマット層の厚みを変えること」、「プラスチックフィルム上に、厚みが同一のマット層を形成した後に、シボ加工等により物理的な負荷をかけ、マット層の高さを変えること」などにより得ることができる。
【0031】
<<バインダー樹脂>>
マット層のバインダー樹脂としては、汎用の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂を用いることができる。これらの樹脂の中でも硬化性樹脂が好ましく、2液硬化型樹脂がより好ましい。2液硬化型樹脂としては、ポリオールとイソシアネートとの2液硬化型樹脂が好ましい。
【0032】
ポリオールとしては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、エポキシポリオール等が挙げられ、これらのうち、アクリルポリオールが好ましい。
アクリルポリオールとしては、塩化ビニル変性アクリルポリオール、塩化ビニル−酢酸ビニル変性アクリルポリオール、塩素化ポリオレフィン変性アクリルポリオール、メチル(メタ)アクリレート−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、オクチル(メタ)アクリレート−エチルヘキシル(メタ)アクリレート−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等が挙げられ、これらのうち、塩化ビニル変性アクリルポリオールが好ましい。
【0033】
また、イソシアネートとしては、汎用のイソシアネート系化合物を使用することができる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(略称:TDI)、ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(略称:HMDI)、イソホロンジイソシアネート(略称:IPDI)、メチレンジイソシアネート(略称:MDI)、キシリレンジイソシアネート(略称:XDI)、水素添加トリレンジイソシアネート;水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式イソシアネート等のポリイソシアネートが挙げられる。また、これらのイソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリメチルプロパンのTDI付加体、TDIの3量体等も挙げられる。
【0034】
<<マット剤>>
マット剤としては、有機粒子及び無機粒子の何れであってもよいが、無機粒子が好ましい。
無機粒子を構成する無機物としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、アルミノシリケート及び硫酸バリウム等が挙げられ、これらの中でも透明性に優れるシリカが好ましい。
マット剤の形状は、球形、多面体、鱗片状、不定形等が挙げられる。これらの中でも、滑り抑制の観点から不定形が好ましい。
【0035】
また、マット剤は、吸油量が250[g/100g]以上のものが好ましい。マット剤の吸油量を250[g/100g]以上とすることにより、マット層の表面に水の薄膜が形成されにくくなり、より手を滑りにくくしやすくできる。
マット剤の吸油量は270[g/100g]以上であることが好ましく、280[g/100g]以上であることがより好ましい。
なお、マット剤の吸油量が大き過ぎると、マット剤の凝集性が強くなり過ぎ、マット感を制御しにくくなる傾向がある。このため、マット剤の吸油量は600[g/100g]以下であることが好ましく、500[g/100g]以下であることがより好ましく、400[g/100g]以下であることがさらに好ましい。
【0036】
本明細書において、吸油量とは、JISK5101−13−2の「顔料試験法−第13部:吸油量−第2節:煮あまに油法」により測定したものである。
【0037】
マット層の全固形分に対する、マット剤の含有割合は、2.0〜50.0質量%であることが好ましく、5.0〜40.0質量%であることがより好ましく、15.0〜30.0質量%であることがさらに好ましい。
マット剤の含有量を2.0質量%以上とすることにより、マット効果によって手の滑りを抑制しやすくできる。また、マット剤の含有量を50.0質量%以下とすることにより、マット層中におけるマット剤の結着性を良好にしやすくできるとともに、マット層の内層側の印刷層の視認性が低下することを抑制できる。
【0038】
マット剤の平均粒子径は0.1〜15.0μmであることが好ましく、1.0〜10.0μmであることがより好ましく、2.0〜7.5μmであることがさらに好ましく、2.7〜5.0μmであることがよりさらに好ましい。
マット剤の平均粒子径を0.1μm以上とすることにより、マット効果によって手の滑りを抑制しやすくできる。また、マット剤の平均粒子径を15.0μm以下とすることにより、マット層の表面が過度に凹凸化されることによって、意匠性が低下すること(例えば、包装材が印刷層を有する場合、印刷層の絵柄の視認性が低下すること)を抑制できる。
本明細書において、マット剤の粒子の平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値d50として測定したものである。
【0039】
マット層の厚みは1.0〜15.0μmであることが好ましく、1.5〜10.0μmであることがより好ましく、1.8〜6.0μmであることがさらに好ましい。
マット層の厚みを1.0μm以上とすることにより、マット層からマット剤が欠落することを抑制しやすくできる。また、マット層の厚みを15.0μm以下とすることにより、意匠性が低下すること(例えば、包装材が印刷層を有する場合、印刷層の絵柄の視認性が低下すること)を抑制できる。
【0040】
マット剤の平均粒子径dと、マット層の厚みhとの比(d/h)は、手の滑りの抑制と、マット剤の欠落の抑制とのバランスの観点から、0.5〜2.0であることが好ましく、0.7〜1.8であることがより好ましく、0.9〜1.6であることがさらに好ましい。
【0041】
<<形成箇所>>
マット層は、包装材の表面の少なくとも一部に形成されていればよい。言い換えると、マット層は、包装材の表面の少なくとも一部に露出して形成されていればよい。
例えば、図1の場合、マット層20はプラスチックフィルム30上の全面に形成されているが、クリア層60を有する箇所ではマット層は表面に露出していない。したがって、図1の場合、マット層20は、クリア層60を有する箇所以外の箇所において、包装材の表面に形成されている。
また、図2の場合、マット層20は、プラスチックフィルム30上に部分的に形成されており、当該部分において包装材の表面に形成されている。
【0042】
<<形成手法>>
マット層は、例えば、バインダー樹脂及びマット剤を含むマットインキ(マット層用インキ)を用いた印刷により形成することができる。印刷方式は、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷等が挙げられる。これらのうち、グラビア印刷が好ましい。
【0043】
マットインキにおける溶剤としては、上記の絵柄印刷層におけるインキについてのものと同様のものを用いることができる。
また、マットインキには、さらに、必要に応じて、本発明の効果を妨げない範囲において、安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の光安定剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤等の任意の添加剤を添加することができる。
【0044】
<印刷層>
包装材は、意匠性を高めること等を目的として、印刷層を有していてもよい。
印刷層は、プラスチックフィルムの外層側に形成してもよいが、意匠性を良好にしつつ、印刷層を保護する観点から、プラスチックフィルムの内層側に形成することが好ましい。なお、プラスチックフィルムの外層側に印刷層を形成する場合、マット層を有する箇所では、マット層とプラスチックフィルムの間に印刷層を配置することが好ましい。
【0045】
印刷層としては、絵柄印刷層及び地色印刷層が挙げられる。絵柄印刷層及び地色印刷層を併用する場合、地色印刷層は絵柄印刷層よりも内層側に形成することが好ましい。
【0046】
<<絵柄印刷層>>
絵柄印刷層は、例えば、文字(商品名、製品表示、品質表示等)、図形、写真、記号、模様、パターン等を含む広い概念である。
絵柄印刷層は、例えば、「他の基材層やシーラント層等に表刷りで形成した後、プラスチックフィルムの裏面に接着剤で貼り合わせること」、「プラスチックフィルムに裏刷りで形成すること」、「プラスチックフィルムに表刷りで形成すること」により形成できる。これらの中でも、外層側から絵柄をよりシャープに視認できるようにする観点から、プラスチックフィルムに裏刷りで形成されることが好ましい。絵柄印刷層は、1層で構成されても、2層以上の多層で構成されてもよい。
【0047】
絵柄印刷層の総厚みは、特に限定されるものではないが、通常、1〜10μm程度であることが好ましく、より好ましくは1.5〜5μmである。また、絵柄印刷層41は、図1に示すようにプラスチックフィルム30に対して全面印刷であってもよいし、図2に示すようにプラスチックフィルム30に対して部分印刷であってもよい。
【0048】
絵柄印刷層は、通常、バインダー樹脂や溶剤からなるビヒクルを主成分とし、これに、染料や顔料等の着色剤が添加混合されたインキを用いた印刷により形成される。印刷方式としては、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷等が挙げられる。これらのうち、グラビア印刷が好ましい。
【0049】
絵柄の光沢感による装飾効果を高める観点から、絵柄印刷層41は、有彩色層41a及び光輝性印刷層41bの少なくとも何れかを含むことが好ましい。
有彩色層41a及び光輝性印刷層41bの両方が形成される場合、図2に示すように包装材の厚み方向の同じ位置に並列して形成されてもよく、あるいはまた、一部が厚み方向に重なるように形成されていてもよい。
【0050】
有彩色層41aの着色剤としては、汎用の染料や顔料(例えば、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料)を使用することができる。
【0051】
光輝性印刷層41bは、光輝性顔料を含むインキを用いて印刷された層である。光輝性顔料としては、パール顔料及び金属鱗片が挙げられる。これらのうち、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。包装材に電子レンジ加熱に対する耐性を付与する観点からは、パール顔料が好ましい。一方、絵柄により高い金属光沢性を付与する観点からは、金属鱗片が好ましい。
【0052】
パール顔料としては、例えば、白色パール顔料、干渉パール顔料、着色パール顔料等が挙げられる。
白色パール顔料は、雲母、アルミニウム、ガラス等の鱗片状の母体を、二酸化チタン等の無色高屈折率材料かなる被覆層で覆ったものであり、かつ被覆層の厚みが0.1〜0.15μm程度と比較的小さいものであり、光のほぼすべての波長を反射するため、白色もしくは銀色に見える。
干渉パール顔料は、被覆層が二酸化チタン等の無色高屈折率材料であり、かつ被覆層の厚みが白色パール顔料よりも大きく、0.15μm超のものである。この厚みによって、反射光及び透過光が変化し、種々の干渉色を生じる。虹彩色パールと呼ばれる場合もある。
着色パール顔料は、有彩色であり、被覆層を酸化第二鉄等の有色高屈折率材料としたもの、白色パール顔料の周囲をさらに酸化第二鉄等の有色高屈折率材料もしくはその他の有色顔料で被覆したもの、又は、被覆層中に顔料やその他の着色剤を添加したもの等がある。
【0053】
パール顔料は、平均長さが5〜70μmであることが好ましく、より好ましくは10〜40μmである。
なお、パール顔料の平均長さ及び金属鱗片の平均長さは、包装材の平面方向から光学顕微鏡又は電子顕微鏡で観察した任意の20個の粒子(パール顔料又は金属鱗片)の長さの平均値として求められる。なお、1個のパール顔料及び金属鱗片の長さは、1個のパール顔料及び金属鱗片の平面方向の最大長さを意味する。
【0054】
また、パール顔料の平均厚みは、0.01〜1μmであることが好ましく、0.02〜0.7μmであることがより好ましく、0.05〜0.5μmであることがさらに好ましい。
パール顔料及び金属鱗片の平均厚みは、包装材の断面を光学顕微鏡又は電子顕微鏡で観察した任意の20個の粒子(パール顔料又は金属鱗片)の厚みの平均値として求められる。なお、1個のパール顔料及び金属鱗片の厚みは、1個のパール顔料及び金属鱗片の断面像を長さ方向に均等な長さで5つの領域に分割し、各領域の中央部の厚み(t、t、t、t、t)を測定し、t〜tを平均したものを意味する。
【0055】
光輝性印刷層中のパール顔料の含有量は、光沢性を得るのに十分な量とする観点から、光輝性印刷層の全固形分の40〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは50〜85質量%、さらに好ましくは60〜80質量%である。
【0056】
金属鱗片の材質としては、アルミニウム、金、銀、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等の金属や合金が挙げられる。
金属鱗片は、例えば、前記金属又は合金をプラスチックフィルム上に真空蒸着してなる金属薄膜をプラスチックフィルムから剥離し、剥離した金属薄膜を粉砕、撹拌した得られたものや、前記金属又は合金の粉末と溶剤とを混合し、媒体撹拌ミル、ボールミル、アトライター等で、該粉末を展延及び/又は粉砕して得られたもの、さらに、これらの表面が樹脂コートされたもの等を用いることができる。
【0057】
金属鱗片は、光輝性印刷層4b中での均一な分散性の観点から、平均長さが1〜50μmであることが好ましく、より好ましくは2〜30μm、さらに好ましくは5〜20μmである。また、取り扱い性及び高い金属光沢性を得る観点から、平均厚みが0.01〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.02〜3μm、さらに好ましくは0.05〜1μmである。また、金属鱗片のアスペクト比(平均長さ/平均厚み)は15〜500であることが好ましい。
【0058】
光輝性印刷層中の金属鱗片の含有量は、包装材で電子レンジ用の容器が形成される場合の電子レンジ耐性の観点からは、光輝性印刷層の全固形分の3質量%以上50質量%以下であることが好ましく、3質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。
【0059】
インキに用いられるバインダー樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂や塩素化ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、フッ化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化型ポリ(メタ)アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロースやエチルセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルオキシエチルセルロース等の繊維素系樹脂、塩化ゴムや環化ゴム等のゴム系樹脂、石油系樹脂、ロジン、カゼイン等の天然樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0060】
インキの溶剤は、汎用の溶剤の中から適宜選択して用いればよい。
また、インキには、必要に応じて、例えば、充填剤、安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の光安定剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤、架橋剤等の任意の添加剤を添加することができる。
【0061】
<<地色印刷層>>
地色印刷層は、絵柄印刷層の絵柄を引き立てたり、外層側から被包装物への光の透過を遮断したりする等の観点から、必要に応じて、絵柄印刷層の内層側に形成される。地色印刷層は、上述した絵柄印刷層と同様の方法を用いて形成することができ、絵柄印刷層の裏面に裏刷りして形成されることが好ましい。地色印刷層を形成するための印刷用インキのバインダー樹脂、溶剤及び添加剤は、上記の絵柄印刷層についてのものと同様のものを用いることができる。
地色印刷層は、絵柄印刷層の裏面全面に形成されてもよく、絵柄印刷層の裏面の一部に形成されてもよい。地色印刷層の総厚みは、1.5〜5μm程度であることが好ましく、より好ましくは1.5〜3μmである。
【0062】
地色印刷層は、黒色地色層及び白色地色層の少なくとも何れかを含むことが好ましい。また、絵柄印刷層の絵柄を引き立てる役割や、印刷効率等の観点から、地色印刷層は、単色ベタ印刷であることが好ましい。なお、絵柄印刷層の絵柄を有していない部分の外層側から見える地色印刷層が、文字、図形、記号、模様、パターン等として視認されるものとすることもできる。
【0063】
<クリア層>
マット層20上の外層側の一部には、図1に示すようにクリア層60を有していてもよい。かかる構成とすることにより、クリア層を有する箇所と、クリア層を有さない箇所とで光沢の差が生じ、意匠性を高くできる点で好ましい。
クリア層の厚みは、0.5〜15μm程度であることが好ましく、より好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは2〜7μmである。
【0064】
クリア層は、光沢性を付与する絵柄の領域のマット層の外層側表面に、例えば、グロスニス(OPニス)でコーティングすることにより形成することができる。このような部分的なコーティングは、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷により行うことができる。これらのうち、グラビア印刷、フレキソ印刷が好ましい。
【0065】
グロスニスとしては、水性ニス及び油性ニスのいずれを用いることもできる。
水性ニスとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル−スチレン共重合体等の樹脂成分を、水と少量の揮発性有機溶剤に溶解又は分散させたものを用いることができる。揮発性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類やアセトン、メチルエチルケトン、エチルアセテート等が挙げられる。
油性ニスとしては、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂等の樹脂成分を、揮発性有機溶剤に溶解又は分散させたものを用いることができる。揮発性溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、トルエン、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
水性ニス及び油性ニスには、さらに、必要に応じて、潤滑剤や界面活性剤等の添加剤を添加することができる。水性ニス及び油性ニス中の樹脂成分は、40〜85質量%であることが好ましい。
【0066】
<ガスバリア層>
ガスバリア層は、包装材による被包装物と包装材の外部環境との間で、酸素や水蒸気等の透過を遮断するものである。また、可視光や紫外線等の透過を遮断する遮光性をも付与するものであってもよい。ガスバリア層は、1層で構成されていても、2層以上の多層で構成されていてもよい。
ガスバリア層は、プラスチックフィルムよりも内層側に形成することが好ましい。また、包装材がプラスチックフィルムよりも内層側にシーラント層を有する場合には、プラスチックフィルムとシーラント層との間にガスバリア層を有することが好ましい。また、包装材がプラスチックフィルムよりも内層側に印刷層及びシーラント層を有する場合には、印刷層とシーラント層との間にガスバリア層を有することが好ましい。
ガスバリア層は、プラスチックフィルム又は後述する中間基材に形成することが好ましい。
【0067】
ガスバリア層は、公知の方法により、蒸着膜や塗布膜として形成することができる。なお、ガスバリア層を形成する表面は、該ガスバリア層の密着性向上の観点から、予め表面処理を施しておいてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスや窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、酸化剤処理、アンカーコート剤の塗布等が挙げられる。
【0068】
ガスバリア層の一例である蒸着膜としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の無機物又はこれらの酸化物により形成することができる。これらの中でも、包装材が電子レンジ用である場合には、被包装物の食品等を電子レンジのマイクロ波で十分に加熱できるようにする観点から、ケイ素酸化物やアルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等の無機酸化物が好ましい。
蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着やスパッタリング、イオンプレーティング等の物理蒸着(PVD)法、プラズマ化学気相成長や熱化学気相成長、光化学気相成長等の化学蒸着(CVD)法等が挙げられる。
【0069】
蒸着膜の膜厚は、成膜材料や要求されるガスバリア性能等によって異なるが、通常、5〜200nm程度であることが好ましく、より好ましくは5〜150nm、さらに好ましくは10〜100nmである。ケイ素酸化物やアルミニウム酸化物等の無機酸化物の場合は、5〜100nm程度であることが好ましく、より好ましくは5〜50nm、さらに好ましくは10〜30nmである。
【0070】
ガスバリア層の一例であるガスバリア性塗布膜としては、例えば、一般式R1M(OR2m(式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基、Mは金属原子である。nは0以上の整数、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価である。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン−ビニルアルコール共重合体とを、ゾル−ゲル法触媒、酸、水及び有機溶剤の存在下で、ゾル−ゲル法により重縮合して得られたインキを塗布し、50〜300℃で、0.05〜60分間加熱処理することにより形成することができる。
塗布方法としては、例えば、グラビアロールコーター等のロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコート、アプリケータ等の塗布手段により行うことができる。1回又は複数回の塗布で、塗布膜の乾燥膜厚が0.01〜30μm程度となることが好ましく、より好ましくは0.05〜20μm、さらに好ましくは0.1〜10μmである。
ガスバリア性塗布膜は、ガスバリア性の向上の観点から、蒸着膜の表面に形成されることが好ましい。
【0071】
<中間基材層>
中間基材層は、包装材1の強度の向上や加工適性の向上、包装材の風合いの変化を目的としたり、他の層を形成するための基材として用いたりするために、必要に応じて設けられる層である。中間基材層の構成材料としては、例えば、プラスチックフィルムや紙等が挙げられる。
【0072】
包装材がシーラント層80を有する場合、中間基材層70は、プラスチックフィルム30とシーラント層80との間に形成することが好ましい(図1及び図2)。また、包装材がプラスチックフィルムよりも内層側に印刷層を有する場合には、印刷層よりも内層側に中間基材層を形成することが好ましい。また、包装材がプラスチックフィルムよりも内層側に印刷層及びシーラント層を有する場合には、印刷層40とシーラント層80との間に中間基材層70を形成することが好ましい(図1及び図2)。
【0073】
中間基材層としてのプラスチックフィルムは、上述したプラスチックフィルムと同様のものを用いることができる。
紙は汎用のものを用いることができる。紙の坪量は、通常、50〜600g/m2程度のものが好ましく、より好ましくは60〜500g/m2、さらに好ましくは70〜450g/m2である。包装材1が軟包装用途である場合は、150g/m2未満であることが好ましく、紙カップや液体紙容器等の紙容器用途の場合は、200g/m2以上であることが好ましい。
【0074】
電子レンジでの加熱やレトルト処理を考慮して、包装材の耐熱性を高めるために、中間基材層は耐熱性に優れるものが好ましい。耐熱性に優れる中間基材層の具体例としては、紙、及び、耐熱性に優れるプラスチックフィルムとして例示した各種プラスチックフィルムが挙げられる。
【0075】
<接着剤層>
包装材の各構成層は、各層間の接合強度の向上の観点から、接着剤層を介して積層されていてもよい。
接着剤層の各厚みは、0.01〜20μm程度であることが好ましく、より好ましくは0.05〜15μm、さらに好ましくは0.1〜10μmである。
【0076】
接着剤層は、例えば、汎用のドライラミネート用接着剤を用いた方法により形成することができる。
ドライラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂やメラミン樹脂等によるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤(例えば、ポリオールとイソシアネートとの硬化物)、反応型(メタ)アクリル酸系接着剤、クロロプレンゴムやニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等によるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケートや低融点ガラス等による無機系接着剤等が挙げられる。
【0077】
<シーラント層>
包装材はシーラント層を有することが好ましい。
シーラント層は、プラスチックフィルムよりも内層側に位置することが好ましい。また、包装材がプラスチックフィルムよりも内層側に印刷層を有する場合には、図1及び図2に示すように、印刷層40の内層側にシーラント層80が位置することが好ましい。
【0078】
シーラント層は、包装材の最内層に形成され、内層側の面が被包装物と直接接触し、被包装物を保護するものであり、特に、包装材で液状物の包装容器が形成される場合には、シーラント層は液状物に対する耐浸透性を有していることが好ましい。また、包装材で密閉容器が形成される場合には、シーラント層がヒートシールされることにより、密封性を確保できることが好ましい。シーラント層は、1層で構成されても、2層以上の多層で構成されてもよい。
【0079】
シーラント層の総厚みは、特に限定されるものではなく、包装材の用途及び被包装物の種類や性質等に応じて適宜設定されるが、通常、10〜200μm程度であることが好ましい。包装材でパウチ(特にレトルトパウチ)が形成される場合、シーラント層の厚みは、より好ましくは20〜150μm、さらに好ましくは30〜100μmである。また、包装材で蓋体が形成される場合、シーラント層の総厚みは、より好ましくは15〜80μm、さらに好ましくは20〜60μmである。
【0080】
シーラント層を構成する材料としては、例えば、低密度PE(LDPE)、直鎖状低密度PE(LLDPE)、中密度PE(MDPE)、高密度PE(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上の樹脂を用いることができる。シーラント層は、単層で構成されても、2層以上の多層で構成されてもよい。なお、シーラント層は、ヒートシールの際の収縮を抑制するために、前述した樹脂からなる無延伸のフィルムであることが好ましい。
【0081】
電子レンジでの加熱やレトルト処理の観点から、耐熱性を高めるために、シーラント層は耐熱性に優れる樹脂から構成することが好ましく、具体的には、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体等のプロピレン系樹脂及びHDPEが好ましい。
また、上記プロピレン系樹脂は、目的に応じて使い分けることが好ましい。具体的には、耐寒性能を重視する場合(例えば冷凍食品の包装材)にはエチレン−プロピレンブロック共重合体が好ましく、透明性を重視する場合にはエチレン−プロピレンランダム共重合体が好ましく、耐熱性重視の場合はプロピレン単独重合体が好ましい。また、自動蒸通機構を備えた容器の場合、高温時にシール強度が低下することによって蒸気抜けさせやすくできるという観点から、エチレン−プロピレンブロック共重合体が好ましい。
【0082】
また、包装材で蓋体が形成される場合、シーラント層は、イージーピール性を有していることが好ましい。
イージーピール性とは、例えば、蓋付容器の蓋体の包装材のシーラント層が容器本体と接合される場合、蓋付容器を開封する際、蓋体を容器本体から剥離しやすいという特性を言う。
イージーピール性を有するシーラント層は、2種以上の樹脂を用いて、一の樹脂(容器本体との密着性が良好な樹脂)と他の樹脂(容器本体との密着性が良好ではなく、前記一の樹脂と非相溶な樹脂)とを混合することにより形成することができる。このような樹脂は容器の素材によって異なるため一概には言えないが、容器がPPから形成されている場合、一の樹脂(容器本体との密着性が良好な樹脂)であるPPと、他の樹脂(容器本体との密着性が良好ではなく、前記一の樹脂と非相溶な樹脂)であるPE、ポリブテン及びポリスチレンから選ばれる一種以上とを混合した樹脂からシーラント層を形成することにより、PP製の容器に対してイージーピール性を付与できる。
なお、シーラント層を多層構成として、シーラント層の容器本体と接合される側(包装材における最内層)のみにイージーピール性を付与してもよい。
【0083】
<包装材の層構成>
本発明の包装材は、外層側から、マット層及びプラスチックフィルムをこの順に有することが好ましい。また、本発明の包装材が印刷層を有する場合、外層側から、マット層、プラスチックフィルム、印刷層をこの順に有することが好ましい。
【0084】
以下に、包装材の層構成の実施の形態を示す。なお、下記(A1)〜(A5)では、左側の層が外層側であり、「/」は各層の境界を示す。
(A1)マット層/プラスチックフィルム/印刷層/接着剤層/中間基材層/接着剤層/シーラント層
(A2)マット層/プラスチックフィルム/ガスバリア層/印刷層/接着剤層/シーラント層
(A3)マット層/プラスチックフィルム/ガスバリア層/印刷層/接着剤層/中間基材層/接着剤層/シーラント層
(A4)マット層/プラスチックフィルム/印刷層/接着剤層/ガスバリア層/中間基材層/接着剤層/シーラント層
(A5)マット層/プラスチックフィルム/印刷層/接着剤層/シーラント層
【0085】
[包装容器]
本発明の包装容器は、プラスチック製の包装材を有し、前記プラスチック製の包装材は、面内の少なくとも一部に、バインダー樹脂及びマット剤を含むマット層を有し、下記(1)及び(2)を満たすものである。
(1)前記包装材の面内の少なくとも一つの方向において、前記マット層の組成及び高さの少なくとも何れかが異なる領域を有する。
(2)前記(1)を満たす方向のうち少なくとも一つの方向Dにおいて、「前記方向Dの全長さをL」、「前記マット層の組成及び高さが連続して同一する、長さ0.1mm未満の領域の合計長さをL1」、「前記マット層の組成及び高さが連続して同一する、長さ10mmを超える領域の合計長さをL2」と定義した際に、(L1+L2)/Lが0.10以下である箇所を有する。
【0086】
(1)及び(2)を満たす本発明の包装容器は、例えば、包装容器を構成する部材の少なくとも一部に、上述した本発明の包装材を用いることにより得ることができる。
また、包装容器を構成する部材(材料)として、上述した本発明の包装材を用いなくても、シボ加工等により物理的な負荷をかけてマット層の高さを変えることにより、(1)及び(2)を満たす本発明の包装容器を得ることができる。より具体的には、マット層を有するが、(1)及び(2)を満たさない包装材から形成してなる胴部と、底部とをヒートシールしてなるパウチを作製し、この状態で、マット層を有する箇所にシボ加工等により物理的な負荷をかけることにより、(1)及び(2)を満たす本発明の包装容器を得ることができる。
【0087】
包装容器としては、例えば、パウチや蓋付容器が挙げられる他、カップやトレーが挙げられる。パウチ(特にスタンディングパウチ)は開封時に比較的大きな力を要し、手が水で濡れている場合には滑りやすいため、本発明が極めて有効である。
パウチは、いわゆる袋状の容器であり、三方シールや四方シールの平袋、スタンディングパウチ、ガゼット袋及びピロー袋等が挙げられる。
【0088】
本発明の包装容器は、開封部又はつまみ部を有し、前記開封部又は前記つまみ部内において前記(1)及び(2)を満たすように形成されてなることが好ましい。開封部又はつまみ部は滑りやすいため、該部分内において前記(1)及び(2)を満たすことにより、耐滑り性の効果を発揮しやすくできる。
【0089】
本発明の包装容器は、包装容器の縦方向及び横方向の少なくとも何れかの方向において前記(1)及び(2)を満たすように形成されてなることが好ましい。包装材を持ち運んだり、開封したりする際には、包装容器の縦方向又は横方向に力がかかりやすいため、縦方向又は横方向に滑りやすくなる。このため、包装容器の縦方向及び横方向の少なくとも何れかの方向で前記(1)及び(2)を満たすことにより、耐滑り性の効果を発揮しやすくできる。
【0090】
本発明の包装容器は、切り取り指示線を有し、前記切り取り指示線の延伸方向と略平行な方向において前記(1)及び(2)を満たすように形成されてなることが好ましい。包装容器の開封時には、切り取り指示線の延伸方向と略平行な方向に力がかかる。このため、切り取り指示線の延伸方向と略平行な方向において前記(1)及び(2)を満たすことにより、耐滑り性の効果を発揮しやすくできる。なお、略平行とは、±10度以内であり、好ましくは±5度以内、より好ましくは±3度以内である。
【0091】
図6及び図7に、本発明の包装容器の実施形態であるスタンディングパウチ形式のパウチを示す。
図6及び図7の包装容器100は、胴部101と底部102とをヒートシールして形成されている。図6及び図7において、網点が付された箇所はヒートシールされた領域を示している。図示しないが、図6及び図7の包装容器において、胴部は、互いに対向して配置された表主面シートと裏主面シートとからなる一対の主面シートを含み、重ね合わせられた一対の主面シートの側縁近傍が互いにヒートシールされている。また、図示しないが、図6及び図7の包装容器は、一対の主面シートの下縁間に、底部を形成する底面シートが配置されている。
図6及び図7の包装容器は、一対の主面シート及び底面シートによって囲まれる領域内に、内容物を収容する収容空間(不図示)が形成される。底面シートは、収容空間側に向かって凸状に曲げられ、その周縁近傍を、重なり合う主面シートの下部とともにヒートシールされている。底面シートが一対の主面シートの下端の形状を保持することにより、パウチに自立性が付与され、スタンディング形式のパウチとすることができる。
図6及び図7の包装容器は、表主面シートと裏主面シートの上縁108の間に開口が形成されており、開口から内容物を収容することができる。内容物を収容後、開口が形成されている上縁108近傍をヒートシールすることにより包装容器を密封することができる。
【0092】
図6の包装容器100は、側縁の左側の上部に開封部(ノッチ部)103を有している。図6の包装容器から内容物を取り出す際は、開封部(ノッチ部)103から上縁18近傍を引き裂いて開封すればよい。
図6の包装容器100は、開封部(ノッチ部)内において前記(1)及び(2)を満たすように形成されてなることが好ましい。
【0093】
図7の包装容器100は、上端角部に、斜め上方に突出する切取り部106が設けられている。また、切取り部106には、当該切取り部106を横断する切取り指示線105が斜めに延設されるとともに、切取り指示線106よりも外側につまみ部104を有している。図7の包装容器から内容物を取り出す際は、切り取り指示線105に沿って切り取り部106を除去して開封すればよい。
図7の包装容器100は、つまみ部内において前記(1)及び(2)を満たすように形成されてなることが好ましい。また、図7の包装容器100は、切り取り指示線の延伸方向と略平行な方向において前記(1)及び(2)を満たすように形成されてなることが好ましい。
【0094】
図8に、本発明の包装容器の実施形態である蓋付き容器を示す。
図8の包装容器100は、容器本体93と、蓋体95とを有している。また、蓋体95は、容器本体の収容部94を封止するように容器本体93に接合されている。また、蓋体95は、容器本体93から突出するつまみ部92を有している。
【0095】
図8の包装容器100を構成する蓋体95として、条件(1)及び(2)を満たすプラスチック製の包装材を用いることにより、蓋体を開封する際の耐滑り性を良好にすることができる。
また、図8の包装容器100は、つまみ部92内において前記(1)及び(2)を満たすように形成されてなることが好ましい。
【0096】
[蓋体]
本発明の蓋体は、上述した本発明の包装材で形成されてなるものである。
本発明の蓋体は、つまみ部となる箇所を有し、当該箇所内において前記(1)及び(2)を満たすように形成されてなることが好ましい。
【実施例】
【0097】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は、これにより限定されるものではない。
【0098】
1.包装材及びパウチの作製
[実施例1]
プラスチックフィルムの内層側(裏面)の全面に、下記処方の有彩色層用インキをグラビア印刷で裏刷りし、厚み1.0μmの有彩色層を形成し、絵柄印刷層を形成した。
次いで、プラスチックフィルムの外層側(表面)の全面に、下記処方のマット層用インキ1をグラビア印刷し、厚み3.0μmのマット層を形成した。
そして、絵柄印刷層の内層側(裏面)に、中間基材層(遮光性を有するガスバリア層)として厚み12μmのアルミ蒸着PETをドライラミネート用接着剤で貼り合わせ、さらに、シーラント層として厚み100μmのポリエチレンフィルムをドライラミネート用接着剤で貼り合わせ、包装材Aを得た。
包装材Aの積層構成の概略は、外層側から順に、マット層(3.0μm)/プラスチックフィルム(15μm)/絵柄印刷層(1.0μm)/接着剤層(3.0μm)/中間基材層(12μm)/接着剤層(3.0μm)/シーラント層(100μm)である。カッコ内の数値(単位:μm)は各層の厚みを表している(以下、同様。)。
【0099】
次いで、包装材Aを図7の平面視形状となるように打ち抜いてなる包装材Bを一組準備した。包装材Bのシーラント層同士を対向させ、上縁を除く縁部(側縁、底縁、つまみ部の縁)の近傍を加熱してシーラント層同士を接着し、上部が開口した状態の包装容器Aを得た。
次いで、包装容器Aのつまみ部のうちのヒートシールされた箇所にシボ加工を施し、マット層に凹凸を付与し、実施例1の包装容器を得た。
シボ加工の型の平面視の模様は不定形である(シボ加工されたマット層の高さの異なる各領域の平面視形状は不定形である)。また、シボ加工により形成されたマット層の凹領域の最深部と、凸領域の最高部との標高差は約2mmであった。
実施例1の包装容器は、つまみ部のマット層の殆どの方向において、マット層の高さが異なる領域を有し、(1)を満たすものであった。また、実施例1の包装容器は、(1)を満たす方向の殆どの方向において、(L1+L2)/Lが0.10以下である箇所を有し、(2)を満たすものであった。
【0100】
各層の構成材料の詳細及びインキの処方等を以下に示す。
<プラスチックフィルム>
二軸延伸ナイロンフィルム:出光ユニテック株式会社製「ユニロンG−100」
<有彩色層用インキ>
・有機系赤色顔料:3質量部
・沈降防止剤(微粒子シリカ):2質量部
・バインダー樹脂(ポリウレタン系樹脂):20質量部
・溶剤1(ミネラルスピリット):7質量部
・溶剤2(プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸エチル、イソプロパノールの混合溶剤):70質量部
<マット層用インキ1>
・不定形シリカ粒子(平均粒径3.0μm、吸油量240[g/100g]):30質量部
・バインダー樹脂(ポリオールとイソシアネートとの2液硬化型ポリウレタン樹脂):100質量部
・溶剤(酢酸ノルマルプロピル、酢酸エチル)
注:マット層用インキ1の全固形分に対するシリカ粒子の割合は23.1質量%である。
<中間基材層>
アルミ蒸着PET:尾池工業株式会社製「EXC」
<シーラント層>
ポリエチレンフィルム:大日本印刷株式会社製「DP−402」
<ドライラミネート用接着剤>
ポリウレタン系接着剤
【0101】
[実施例2]
マット層用インキ1の不定形シリカ粒子を、吸油量290[g/100g]のものに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の包装容器を得た。
実施例2の包装容器は、つまみ部のマット層の殆どの方向において、マット層の高さが異なる領域を有し、(1)を満たすものであった。また、実施例2の包装容器は、(1)を満たす方向の殆どの方向において、(L1+L2)/Lが0.10以下である箇所を有し、(2)を満たすものであった。
【0102】
[実施例3]
プラスチックフィルムの外層側(表面)の全面に形成するマット層を、下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の包装容器を得た。
実施例3の包装容器は、つまみ部のマット層の少なくとも上下方向において、マット層の高さが異なる領域を有し、(1)を満たすものであった。また、実施例3の包装容器は、(1)を満たす方向の殆どの方向において、(L1+L2)/Lが0.10以下である箇所を有し、(2)を満たすものであった。
【0103】
<実施例3のマット層>
プラスチックフィルムの外層側(表面)に、下記処方のマット層用インキ2をストライプ状(幅5mm、端部同士の間隔:5mm、向きは図7の左右方向)に塗布、乾燥し、厚み3.0μmのマット層Aを形成した。次いで、プラスチックフィルムの外層側の残部に、下記処方のマット層用インキ3を塗布、乾燥し、厚み3.0μmのマット層Bを形成した。
<マット層用インキ2>
・不定形シリカ粒子(平均粒径2.0μm、吸油量240[g/100g]):15質量部
・バインダー樹脂(ポリオールとイソシアネートとの2液硬化型ポリウレタン樹脂):100質量部
・溶剤(酢酸ノルマルプロピル、酢酸エチル)
<マット層用インキ3>
・不定形シリカ粒子(平均粒径4.0μm、吸油量240[g/100g]):30質量部
・バインダー樹脂(ポリオールとイソシアネートとの2液硬化型ポリウレタン樹脂):100質量部
・溶剤(酢酸ノルマルプロピル、酢酸エチル)
【0104】
[比較例1]
包装容器Aに対してシボ加工を行わなかったものを、比較例1の包装容器とした。
【0105】
[比較例2]
プラスチックフィルムの外層側(表面)にマット層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例2の包装容器を得た。
【0106】
2.評価
2−1.滑りの抑制
両手を濡らした状態で、実施例及び比較例の包装容器のつまみ部を利き手の親指と人差し指とでつまみ、他方の手の親指と人差し指とで包装容器の胴部をつまんだ。この状態から、つまみ部の親指と人差し指とを上側にスライドさせた。20歳代、30歳代、40歳代、50歳代の4つの年代から、男女5名ずつ合計40名が前記動作を行い、前記動作時の手の滑りやすさを評価した。
手が滑りにくいと感じるものを3点、どちらとも言えないものを2点、手が滑ると感じるものを1点として、上記40人の評価の平均点を算出した。結果を表1に示す。
<評価基準>
A:平均点が2.6超
:平均点が2.3超2.6以下
B:平均点が2.0超2.3以下
C:平均点が1.5以上2.0以下
D:平均点が1.5未満
【0107】
2−2.絵柄印刷層の視認性
実施例及び比較例の包装容器を蛍光灯の照明下において目視で観察し、絵柄印刷層の絵柄が明りょうに視認できるか否かを評価した。その結果、絵柄が明りょうに視認できるものを「A」、絵柄が明りょうに視認できないものを「C」とした。
【0108】
【表1】
【0109】
表1に示した結果から、本発明の包装材及びこれを用いた包装容器は、手が水で濡れた状態でも、耐滑り性を良好にし得ることが確認できる。
【符号の説明】
【0110】
10:包装材
20:マット層
30:プラスチックフィルム
40:印刷層
41:絵柄印刷層
41a:有彩色層
41b:光輝性印刷層
42:地色印刷層
60:クリア層
70:中間基材層
80:シーラント層
91:ノッチ部
92:つまみ部
93:容器本体
94:収容部
95:蓋体
100:包装容器
101:胴部
102:底部
103:開封部
104:つまみ部
105:切り取り指示線
106:切り取り部
107:側縁
108:上縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9