特許第5832329号(P5832329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5832329
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月16日
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20151126BHJP
【FI】
   H01L21/306 R
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-34671(P2012-34671)
(22)【出願日】2012年2月21日
(65)【公開番号】特開2013-171960(P2013-171960A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2014年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】谷出 敦
【審査官】 溝本 安展
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−165114(JP,A)
【文献】 特開2001−077069(JP,A)
【文献】 特開2002−134401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を略水平姿勢で保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持される基板を回転させる基板回転手段と、
回転する基板の表面にエッチング液を供給するエッチング液供給手段と、
前記基板の裏面に水蒸気を供給して前記基板裏面に凝縮させることで前記基板を加熱する基板加熱手段とを備え、
前記基板加熱手段は、前記基板の回転中心から径方向に向かって互いに異なる距離に配置されて前記基板裏面と対向するノズル口から水蒸気を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルを相互に接続して水蒸気を各ノズルに流通させる配管とを有し、
各ノズル口は、前記距離が長くなるにしたがって大きく開口している
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
基板を略水平姿勢で保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持される基板を回転させる基板回転手段と、
回転する基板の表面にエッチング液を供給するエッチング液供給手段と、
前記基板の裏面に水蒸気を供給して前記基板裏面に凝縮させることで前記基板を加熱する基板加熱手段と、
前記基板裏面への水蒸気の供給を制御する制御手段とを備え、
前記基板加熱手段は、前記基板の回転中心から径方向に向かって互いに異なる距離に位置して前記基板裏面に向けて水蒸気を吐出する複数のノズルを有し、
前記制御手段は、所定時間の間に各ノズルから吐出される水蒸気の総量が前記距離に伴って多くなるように、各ノズルからの水蒸気の吐出を調整する
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
基板を略水平姿勢で保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持される基板を回転させる基板回転手段と、
回転する基板の表面にエッチング液を供給するエッチング液供給手段と、
前記基板の裏面に水蒸気を供給して前記基板裏面に凝縮させることで前記基板を加熱する基板加熱手段と、
前記基板の温度の分布を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された基板温度の分布に基づいて前記基板裏面への水蒸気の供給を制御する制御手段とを備え、
前記基板加熱手段は、前記基板の回転中心から径方向に向かって互いに異なる距離に位置して前記基板裏面に向けて水蒸気を吐出する複数のノズルを有し、
前記制御手段は、所定時間の間に各ノズルから吐出される水蒸気の総量が最低基板温度となっている裏面領域に最も近いノズルで最大となるように、各ノズルからの水蒸気の吐出を調整する
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項またはに記載の基板処理装置であって、
前記制御手段は、各ノズルからの水蒸気の吐出時間を調整することで所定時間当たりの水蒸気の総量を調整する基板処理装置。
【請求項5】
請求項ないしのいずれか一項に記載の基板処理装置であって、
前記制御手段は、各ノズルからの水蒸気の吐出流量を調整することで所定時間当たりの水蒸気の総量を調整する基板処理装置。
【請求項6】
略水平姿勢で基板を回転させながら前記基板の表面にエッチング液を供給してエッチング処理するエッチング液供給工程と、
前記エッチング工程中に前記基板の裏面に水蒸気を供給して前記基板裏面に凝縮させることで前記基板を加熱する基板加熱工程とを備え
前記基板加熱工程は、前記基板の回転中心から径方向に向かって互いに異なる距離に配置されて前記基板裏面と対向し、前記距離が長くなるにしたがって大きく開口しているノズル口から水蒸気を吐出する工程を有する
ことを特徴とする基板処理方法。
【請求項7】
略水平姿勢で基板を回転させながら前記基板の表面にエッチング液を供給してエッチング処理するエッチング液供給工程と、
前記エッチング工程中に前記基板の裏面に水蒸気を供給して前記基板裏面に凝縮させることで前記基板を加熱する基板加熱工程とを備え
前記基板加熱工程は、前記基板の回転中心から径方向に向かって互いに異なる距離に位置して前記基板裏面に向けて水蒸気を吐出する複数のノズルのそれぞれから、所定時間の間に吐出される水蒸気の総量が前記距離に伴って多くなるように、各ノズルからの水蒸気の吐出を調整する工程を有する
ことを特徴とする基板処理方法。
【請求項8】
略水平姿勢で基板を回転させながら前記基板の表面にエッチング液を供給してエッチング処理するエッチング液供給工程と、
前記エッチング工程中に前記基板の裏面に水蒸気を供給して前記基板裏面に凝縮させることで前記基板を加熱する基板加熱工程と
前記基板の温度の分布を検出する検出工程と、
を備え
前記加熱工程は、前記検出工程により検出された基板温度の分布に基づいて、前記基板の回転中心から径方向に向かって互いに異なる距離に位置して前記基板裏面に向けて水蒸気を吐出する複数のノズルのそれぞれから、所定時間の間に吐出される水蒸気の総量が最低基板温度となっている裏面領域に最も近いノズルで最大となるように、各ノズルからの水蒸気の吐出を調整する工程を有する
ことを特徴とする基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(電界放出ディスプレイ:Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等に対してエッチング液を用いてエッチング処理を施す基板処理技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの電子部品の製造工程では、基板の表面に形成されるポリシリコン層、絶縁層や金属層などの被加工層をエッチングするプロセス工程が含まれている。このエッチングプロセスでは、略水平姿勢で回転する基板の表面にエッチング液を供給し、遠心力を利用して基板表面の周縁部にエッチング液を行き渡らせることで、被加工層を有する基板表面全体に対してエッチング処理を施している。このように基板を回転させながらエッチング液を供給する場合、基板表面の周縁側で温度低下が発生し、基板表面の中央部と周縁部とでエッチング液の温度が異なることがあり、この温度差がエッチングプロセスにおける面内均一性を低下させる主要因のひとつとなっている。というのも、エッチング性能はエッチング液の温度と密接に関連しているからである。例えばコンマ数℃の温度差で、エッチング性能において数[nm]の差が生じることがある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に記載の装置では、次のように構成することで温度差の抑制を図っている。複数のノズルを基板の回転中心から外周方向へ向かって互いに異なる距離に配置し、各ノズルから基板表面にエッチング液を供給可能となっている。そして、放射温度計により基板表面の温度分布を検出し、その温度分布に応じて各ノズルからのエッチング液の流量を調整することで、温度が低下している周縁部分へのエッチング液の供給量を中心部分への供給量よりも増やし、これによってエッチング液の温度均一性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−165114号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の装置では、エッチング液の供給量によって基板表面各部でのエッチング液の温度制御しているため、必然的に大量のエッチング液が必要となり、少量のエッチング液で所望のエッチング処理を行うことが難しく、パフォーマンスの低下は避けられない。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、エッチング液を過剰に供給することなく、基板表面に供給されたエッチング液の温度分布を均一化して優れた品質でエッチングを行うことができる基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる基板処理装置は、上記目的を達成するため、基板を略水平姿勢で保持する基板保持手段と、基板保持手段に保持される基板を回転させる基板回転手段と、回転する基板の表面にエッチング液を供給するエッチング液供給手段と、基板の裏面に水蒸気を供給して基板裏面に凝縮させることで基板を加熱する基板加熱手段とを備えることを特徴としている。
【0008】
また、この発明にかかる基板処理方法は、上記目的を達成するため、略水平姿勢で基板を回転させながら基板の表面にエッチング液を供給してエッチング処理するエッチング液供給工程と、エッチング工程中に基板の裏面に水蒸気を供給して基板裏面に凝縮させることで基板を加熱する基板加熱工程とを備えることを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明(基板処理装置および基板処理方法)では、回転する基板の表面にエッチング液が供給されてエッチングが実行されるが、そのエッチング中にエッチング液の温度が不均一になることがある。従来技術では、この問題を解決するために、温度低下部分へのエッチング液の供給を増量しており、エッチング液が過剰に使用されていた。これに対し、本発明では、エッチング液の部分的な温度低下に伴って基板温度が低下した箇所を水蒸気により加熱している。すなわち、水蒸気が基板の裏面に供給されて基板裏面に凝縮し、その時に発生する凝縮熱が基板を部分的に加熱し、さらには基板の部分加熱領域上のエッチング液を加熱する。その結果、エッチング中に発生したエッチング液の温度低下が凝縮熱により補償されてエッチング液の温度が均一化される。このように水蒸気の凝縮熱を用いる場合、次のような利点がある。このように基板を部分加熱する手段としては、加熱された剛体を基板に接触させる、いわゆる接触加熱方式も考えられるが、回転している基板に剛体を接触させることは困難である。しかしながら、水蒸気を用いた直接加熱では、容易に使用することができ、基板を介してエッチング液を効率的に部分加熱することができる。また、凝縮現象は温度の低い部分で強く生じるため、基板裏面に水蒸気を供給した際には、温度低下した部分が優先的に加熱される。このことは温度の均一化を図る上で非常に有利である。
【0010】
ところで、基板を回転させながらエッチング処理を行う場合、基板表面の中心部よりも周縁部でのエッチング液の温度低下が大きい。そこで、水蒸気の凝縮熱による温度上昇が基板の中心部よりも周縁部で大きくなるように構成し、これによってエッチング液の温度均一化をより確実なものとしてもよい。具体的には、次のような構成を採用することができる。
【0011】
本発明にかかる基板処理装置の第1態様では、基板加熱手段が、基板の回転中心から径方向に向かって互いに異なる距離に配置されて基板裏面と対向するノズル口から水蒸気を吐出する複数のノズルと、複数のノズルを相互に接続して水蒸気を各ノズルに流通させる配管とを有し、各ノズル口が、距離が長くなるにしたがって大きく開口する。また、本発明にかかる基板処理方法の第1態様では、基板加熱工程は、基板の回転中心から径方向に向かって互いに異なる距離に位置して基板裏面に向けて水蒸気を吐出する複数のノズルのそれぞれから、所定時間の間に吐出される水蒸気の総量が距離に伴って多くなるように、各ノズルからの水蒸気の吐出を調整する工程を有している。このように基板の周縁部に対し、基板の中心部よりも多くの水蒸気が供給されてエッチング液の温度上昇が基板の中心部よりも周縁部で大きくなり、エッチング中の温度低下が効率的に補償される。
【0012】
本発明にかかる基板処理装置の第2態様では、基板裏面への水蒸気の供給を制御する制御手段をさらに備え、基板加熱手段が、基板の回転中心から径方向に向かって互いに異なる距離に位置して基板裏面に向けて水蒸気を吐出する複数のノズルを有し、制御手段が、所定時間の間に各ノズルから吐出される水蒸気の総量が距離に伴って多くなるように、各ノズルからの水蒸気の吐出を調整する。また、本発明にかかる基板処理方法の第2態様では、基板加熱工程は、基板の回転中心から径方向に向かって互いに異なる距離に位置して基板裏面に向けて水蒸気を吐出する複数のノズルのそれぞれから、所定時間の間に吐出される水蒸気の総量が距離に伴って多くなるように、各ノズルからの水蒸気の吐出を調整する工程を有している。このように基板各部に与える水蒸気の総量が制御されることで基板各部の温度をきめ細かく制御することができ、エッチング液の温度均一化を向上させることができる。なお、この「所定時間の間」とは、エッチングの全期間または一部期間を意味しており、「所定時間の間に各ノズルから吐出される水蒸気の総量」はエッチング中に基板各部に与える凝縮熱の総量に相当する。
【0013】
本発明にかかる基板処理装置の第3態様では、基板の温度の分布を検出する検出手段と、検出手段により検出された基板温度の分布に基づいて基板裏面への水蒸気の供給を制御する制御手段をさらに備え、基板加熱手段が、基板の回転中心から径方向に向かって互いに異なる距離に位置して基板裏面に向けて水蒸気を吐出する複数のノズルを有し、制御手段が、所定時間の間に各ノズルから吐出される水蒸気の総量が最低基板温度となっている裏面領域に最も近いノズルで最大となるように、各ノズルからの水蒸気の吐出を調整する。また、本発明にかかる基板処理方法の第3態様では、基板の温度の分布を検出する検出工程を備え、加熱工程は、検出工程により検出された基板温度の分布に基づいて、基板の回転中心から径方向に向かって互いに異なる距離に位置して基板裏面に向けて水蒸気を吐出する複数のノズルのそれぞれから、所定時間の間に吐出される水蒸気の総量が最低基板温度となっている裏面領域に最も近いノズルで最大となるように、各ノズルからの水蒸気の吐出を調整する工程を有している。この場合、エッチング中に最も温度低下した基板の裏面領域に多くの水蒸気が供給されて温度上昇が図られるため、エッチング液の温度均一化をさらに向上させることができる。
【0014】
なお、制御手段は、各ノズルからの水蒸気の吐出時間を調整することで所定時間当たりの水蒸気の総量を調整してもよく、また各ノズルからの水蒸気の吐出流量を調整することで所定時間当たりの水蒸気の総量を調整してもよい。このように吐出流量や吐出時間を制御することで基板を介してエッチング液に与える熱量を調整し、エッチング液の温度均一化を高精度に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、回転する基板の表面にエッチング液を供給してエッチング処理を行うときに部分的な温度低下が発生するが、その基板の裏面に水蒸気を供給し、基板裏面に凝縮させて温度低下した部分を優先的に加熱している。したがって、エッチング液を過剰に供給することなく、温度低下を補償してエッチング液の温度を均一化することができ、その結果、優れた品質でエッチングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明にかかる基板処理装置の第1実施形態を示す図である。
図2図1の基板処理装置の制御構成を示すブロック図である。
図3】水蒸気供給部の一部およびスピンベースの構造を示す図である。
図4】本発明にかかる基板処理装置の第2実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明にかかる基板処理装置の第1実施形態を示す図である。また、図2図1の基板処理装置の制御構成を示すブロック図である。さらに、図3は水蒸気供給部の一部およびスピンベースの構造を示す図である。この基板処理装置1は半導体ウエハ等の基板Wに対してエッチング処理を施す基板処理装置である。より具体的には、被加工層(図示省略)を有する基板表面Wfに対してエッチング液を供給して被加工層をエッチングし、さらに基板表面Wfに純水やDIW(deionized water;脱イオン水)等のリンス液でリンスした後、基板Wをスピン乾燥する装置である。
【0018】
この基板処理装置1は、基板表面Wfを上方に向けた状態で基板Wを略水平姿勢に保持して回転させるスピンチャック2と、スピンチャック2に保持された基板Wの表面Wfに対向配置された遮断部材3とを有している。このスピンチャック2は、回転支軸21がモータを含むチャック回転機構22の回転軸に連結されており、チャック回転機構22の駆動により回転中心を中心に回転可能となっている。回転支軸21の上端部には、円盤状のスピンベース23が一体的にネジなどの締結部品によって連結されている。したがって、装置全体を制御する制御ユニット4(図2)からの動作指令に応じてチャック回転機構22を駆動させることによりスピンベース23が回転中心軸AXを中心に回転する。
【0019】
スピンベース23の周縁部付近には、基板Wの周縁部を把持するための複数個のチャックピン24が立設されている。チャックピン24は、円形の基板Wを確実に保持するために3個以上設けてあればよく、スピンベース23の周縁部に沿って等角度間隔で配置されている。チャックピン24のそれぞれは、基板Wの周縁部を下方から支持する基板支持部と、基板支持部に支持された基板Wの外周端面を押圧して基板Wを保持する基板保持部とを備えている。各チャックピン24は、基板保持部が基板Wの外周端面を押圧する押圧状態と、基板保持部が基板Wの外周端面から離れる解放状態との間を切り替え可能に構成されている。
【0020】
そして、スピンベース23に対して基板Wが受渡しされる際には、複数個のチャックピン24を解放状態とし、基板Wに対してエッチング処理(エッチング−リンス−スピン乾燥)を行う際には、複数個のチャックピン24を押圧状態とする。押圧状態とすることによって、複数個のチャックピン24は基板Wの周縁部を把持してその基板Wをスピンベース23から所定間隔を隔て、しかも基板Wの回転中心を通る鉛直軸がスピンベース23の回転中心軸AXと一致した状態で略水平姿勢に保持することができる。これにより、基板Wはその表面(被加工面)Wfを上方に向け、裏面Wbを下方に向けた状態で保持される。
【0021】
スピンチャック2の上方には、中心部に開口を有する円盤状の遮断部材3が設けられている。遮断部材3は、その下面(底面)が基板表面Wfと略平行に対向する基板対向面となっており、その平面サイズは基板Wの直径と同等以上の大きさに形成されている。遮断部材3は円筒形状の外管31の下端部に略水平に取り付けられ、外管31は水平方向に延びるアーム(図示省略)によりスピンベース23の回転中心軸AX回りに回転可能に保持されている。なお、このアームには、遮断部材回転機構32と遮断部材昇降機構33が接続されている。
【0022】
遮断部材回転機構32は、制御ユニット4からの動作指令に応じて外管31を基板Wの中心を通る鉛直軸AX回りに回転させる。また、遮断部材回転機構32は、スピンチャック2に保持された基板Wの回転に応じて基板Wと同じ回転方向でかつ略同じ回転速度で遮断部材3を回転させるように構成されている。
【0023】
また、遮断部材昇降機構33は、制御ユニット4からの動作指令に応じて、遮断部材3をスピンベース23に近接して対向させたり、逆に離間させることが可能となっている。具体的には、制御ユニット4は遮断部材昇降機構33を作動させることで、基板処理装置1に対して基板Wを搬入出させる際には、スピンチャック2の上方の離間位置に遮断部材3を上昇させる。その一方で、基板Wに対してエッチング処理を施す際には、スピンチャック2に保持された基板Wの表面Wfのごく近傍に設定された対向位置まで遮断部材3を下降させる(図1に示す位置)。
【0024】
外管31は中空に仕上げられ、その下方端は遮断部材3の開口に連通している。また、外管31の内部には内管34が挿通されている。この内管34は液供給管として機能する。つまり、内管34の下方端は遮断部材3の開口に連通する。一方、内管34の上方端は、開閉弁51を介してエッチング液供給部52と接続されるとともに、開閉弁61を介してDIW供給部62と接続されている。そして、制御ユニット4からの開指令に応じて開閉弁51が開くと、エッチング液が内管34に圧送されて遮断部材3の開口から基板表面Wfの中央部に供給される。また、制御ユニット4からの開指令に応じて開閉弁61が開くと、DIWが内管34に圧送されて遮断部材3の開口から基板表面Wfの中央部にリンス液として供給される。
【0025】
外管31の内壁面と内管34の外壁面の隙間は、円筒状のガス供給路35を形成している。そして、このガス供給路35の下方端は遮断部材3の開口に連通している。また、ガス供給路35の上方端は開閉弁71を介して窒素ガス供給部72と接続されている。このため、制御ユニット4からの開指令に応じて開閉弁71が開くと、窒素ガス供給部72から供給される窒素ガスが乾燥ガスとしてガス供給路35の下方端から遮断部材3と基板表面Wfとの間に形成される上方空間SPfに窒素ガスを供給する。
【0026】
スピンチャック2の回転支軸21は中空軸からなる。回転支軸21の内部には、基板Wの裏面Wbに水蒸気を供給するための水蒸気供給管81の垂直配管811が基板Wの回転中心軸AXと一致するように挿通されている。また、この垂直配管811の上方端部は、図3に示すように、スピンベース23と基板Wとの間に形成される下方空間SPbまで延設され、さらに垂直配管811の上方端部から水平方向に水平配管812が基板Wの径方向にチャックピン24の移動経路の手前まで延設されている。このため、スピンベース23とともに基板Wが回転する際も、水蒸気供給管81はスピンベース23、基板Wおよびチャックピン24と干渉することなく、チャックピン24に支持される基板Wの裏面Wbと対向しながら固定配置される。
【0027】
この水平配管812の上面(基板Wの裏面Wbと対向する面)には、4個のノズル82a〜82dが基板Wの回転中心から径方向に向かって互いに異なる距離に配置されている。つまり、基板Wの回転中心軸AXからノズル82a〜82dまでの距離La〜Ldは、
La<Lb<Lc<Ld
となっている。また、各ノズル82a〜82dは基板裏面Wbと対向するノズル口(図示省略)を有しており、ノズル82a〜82dのノズル口はそれぞれ距離La〜Ldに応じて大きく開口している。すなわち、基板Wの回転中心に最も近くに配置されるノズル82aのノズル口の口径が最も小さく、ノズル82b、82c、82dの順序で次第に口径が大きくなっている。
【0028】
垂直配管811の下方端部は、図1に示すように、開閉弁82を介して水蒸気発生器84と接続されている。この水蒸気発生器84はDIW供給部62からDIWの供給を受けており、制御ユニット4からの動作指令に応じてDIWを加熱して水蒸気を発生させる。そして、制御ユニット4からの開指令に応じて開閉弁83が開くと、水蒸気発生器84で発生した水蒸気が水蒸気供給管81を流通し、各ノズル82a〜82dのノズル口からチャックピン24に支持される基板Wの裏面Wbに向けて吐出される。ノズル82a〜82dから吐出された水蒸気は基板裏面Wbで凝縮して液体に変化するとともに、その際に発生する凝縮熱により基板Wおよび基板表面W上のエッチング液の液膜EFを加熱する。このように本実施形態では、水蒸気供給管81、ノズル82a〜82dおよび水蒸気発生器84からなる水蒸気供給部8が本発明の「基板加熱手段」として機能している。なお、その詳しい動作については、後で詳述する。
【0029】
回転支軸21の内壁面と垂直配管811の外壁面の隙間は、円筒状のガス供給路25を形成している。そして、このガス供給路25の上方端は下方空間SPbに連通している。また、ガス供給路25の下方端は開閉弁73を介して窒素ガス供給部72と接続されている。このため、制御ユニット4からの開指令に応じて開閉弁71が開くと、窒素ガス供給部72から供給される窒素ガスが乾燥ガスとしてガス供給路25の上方端から下方空間SPbに窒素ガスを供給する。
【0030】
次に、上記のように構成された基板処理装置におけるエッチング処理動作について説明する。この装置では、未処理の基板Wが装置内に搬入されると、制御ユニット4が装置各部を制御して該基板Wに対して一連のエッチング処理が実行される。ここで、基板Wがその表面Wfに被加工層を有するものである場合、該基板表面Wfを上方に向けた状態で基板Wが装置内に搬入され、スピンチャック2に保持される。なお、遮断部材3は離間位置にあり、基板Wとの干渉を防止している。
【0031】
スピンチャック2に未処理の基板Wが保持されると、遮断部材3が対向位置まで降下され、基板表面Wfに近接配置される。これにより、基板表面Wfが遮断部材3の基板対向面に近接した状態で覆われ、基板Wの周辺雰囲気から遮断される。そして、制御ユニット4はチャック回転機構22を駆動させてスピンチャック2を回転させるとともに、開閉弁51を開成し、エッチング液を内管34に圧送して遮断部材3の開口から基板表面Wfの中央部に供給する。すると、基板表面Wfに供給されたエッチング液には、基板Wの回転に伴う遠心力が作用し、基板Wの径方向外向きに均一に広げられる。これによって、基板表面Wfの全面にわたって所定厚みのエッチング液の液膜EFが形成され、被加工層のエッチングが進行する。
【0032】
このとき、基板Wの周縁部でのエッチング液の温度が基板表面Wfの中央部よりも低下する。そこで、本実施形態では、制御ユニット4は、エッチング開始前または同時に水蒸気発生器84の作動を開始させて水蒸気を発生させるとともに、エッチング開始と同時、または若干遅れて開閉弁83を開いて水蒸気発生器84で発生した水蒸気を各ノズル82a〜82dに送り込んで各ノズル82a〜82dのノズル口から水蒸気を下方空間SPbに供給する。こうして供給された水蒸気は基板裏面Wbで凝縮されてDIWに戻るが、このときに発生する凝縮熱によって基板Wが加熱され、エッチング液の液膜EFが加熱される。そして、エッチング開始から所定時間が経過して被加工層が所望量だけエッチングされると、制御ユニット4は、開閉弁51、83を閉成してエッチング液および水蒸気の供給を停止して水蒸気によるエッチング液の加熱を停止する。なお、このように本実施形態では、エッチング完了と同時に水蒸気の供給を停止しているが、水蒸気供給の停止タイミングはこれに限定されるものではなく、エッチングの完了前に開閉弁83を閉成して水蒸気供給を停止してもよい。要は、エッチングの全期間または一部期間の間、水蒸気を供給することでエッチング液の温度低下を補償すればよい。
【0033】
こうして被加工層のエッチングが完了すると、制御ユニット4は開閉弁61を開成してDIWをリンス液として回転している基板Wの表面Wfの中央部に供給する。このDIWは遠心力により径方向に広げられ、基板表面Wf上のエッチング液およびエッチング生成物などを洗い流す。これに続いて、基板表面WfへのDIWの供給を停止し、基板を乾燥させる。すなわち、遮断部材3に設けられた開口およびスピンベース23に設けられた開口から窒素ガスを吐出させながら基板Wを高速度で回転させることにより、基板表面Wfに残留するDIW(リンス液)および基板裏面Wbに残留するDIW(水蒸気の凝縮物)を振り切り基板Wを乾燥させる。こうして乾燥処理が終了すると、処理済みの基板Wを搬出することによって1枚の基板に対する処理が完了する。
【0034】
以上のように、本実施形態によれば、回転する基板Wの表面Wfにエッチング液を供給して行われる被加工層のエッチング中に発生するエッチング液の温度低下を、基板裏面Wbへの水蒸気の供給によって補償している。すなわち、基板裏面Wbに供給された水蒸気が温度低下した箇所で優先的に凝縮し、その時に発生する凝縮熱が基板Wを加熱し、さらにエッチング液に伝達されてエッチング液を加熱する。その結果、エッチング処理中に発生したエッチング液の温度低下が凝縮熱により補償されてエッチング液の温度を均一化することができる。
【0035】
また、エッチング中におけるエッチング液の温度低下を詳しく調べると、基板表面Wfの中心部よりも周縁部でのエッチング液の温度低下が大きくなる。これに対し、本実施形態では、ノズル82a〜82dのノズル口をそれぞれ距離La〜Ldに応じて大きく開口させ、これによって単時間当たりの各ノズル82a〜82dからの水蒸気の吐出流量が距離La〜Ldに応じて大きくなる。したがって、基板Wの回転中心から周縁部に離れるにしたがってエッチング液の液膜EFに与えられる凝縮熱の総量も増大する。その結果、エッチング液の温度は基板表面Wfの全体にわたって均一化され、基板表面Wfの被加工層を均一にエッチングすることができる。
【0036】
このように、本実施形態では、スピンチャック2が本発明の「基板保持手段」として機能している。また、チャック回転機構22が本発明の「基板回転手段」として機能している。また、エッチング液供給部52が本発明の「エッチング液供給手段」として機能している。
【0037】
図4は、本発明にかかる基板処理装置の第2実施形態を示す図である。この第2実施形態では、第1実施形態と同様に、4個のノズル82a〜82dが基板Wの回転中心から径方向に向かって互いに異なる距離に配置されている。一方、第1実施形態と異なり、第2実施形態では、各ノズル82a〜82dのノズル口(図示省略)は同一口径であり、基板裏面Wbに向けて同一の吐出流量で水蒸気を吐出するように構成されている。さらに、各ノズル82a〜82dはそれぞれ開閉弁83a〜83dを介して水蒸気発生器84と接続されており、各ノズル82a〜82dから略同一流量の水蒸気の吐出および吐出停止を制御可能となっている。
【0038】
そして、第2実施形態では、回転している基板Wの表面Wfにエッチング液を供給してエッチングを行っている間に、制御ユニット4は各開閉弁83a〜83dを開成して水蒸気を基板裏面Wbに供給し、凝縮熱によってエッチング液の温度低下を補償する。より詳しくは、制御ユニット4は、エッチング中の開閉弁83a〜83dの開成時間をそれぞれ距離La〜Ldに応じて長く設定しており、これによって基板Wの回転中心から周縁部に離れるにしたがってエッチング液の液膜EFに与えられる凝縮熱の総量を増大させている。その結果、エッチング液の温度は基板表面Wfの全体にわたって均一化され、基板表面Wfの被加工層を均一にエッチングすることができる。なお、その他の点については、第1実施形態と同様である。
【0039】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば特許文献1に記載の装置と同様に、放射温度計などの検出手段を設けて基板Wの温度の分布を検出するとともに、検出結果に基づいて基板裏面Wbへの水蒸気の供給を制御してもよい。より詳しくは、エッチング中に各ノズル82a〜82dから吐出される水蒸気の総量が最低基板温度となっている裏面領域に最も近いノズルで最大となるように、制御ユニット4が各ノズル82a〜82dからの水蒸気の吐出を調整する。これによって、エッチング液の温度均一化をさらに向上させることができる。
【0040】
また、上記第2実施形態では、開閉弁83a〜83dの開成時間、つまり吐出時間を独立して制御することで各ノズル82a〜82dから基板裏面Wbに供給する水蒸気の総量を調整しているが、各ノズル82a〜82dに対して流量調整手段を設け、各ノズル82a〜82dに与える水蒸気の流量を制御することで水蒸気の総量を調整するように構成してもよい。また、吐出時間および吐出流量の両方を制御することで水蒸気の総量を調整するように構成してもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、ノズルを4個設けているが、ノズル個数はこれに限定されるものではなく、任意である。また、ノズル82a〜82dを径方向に一列に配置しているが、ノズルの配置態様もこれに限定されるものではなく、複数のノズルを設ける場合、基板Wの回転中心から径方向に向かって互いに異なる距離に配置すればよい。
【0042】
また、上記実施形態では、チャックピン24により基板Wを保持しているが、基板Wの保持方式はこれに限定されるものではなく、任意である。特に複数の支持ピンで基板Wの裏面を支持しながら窒素ガスなどの気体により基板表面を下方に押圧して基板を保持する、いわゆる押付チャック方式を採用した基板処理装置に対して本発明を適用することは非常に有益である。というのも、押付チャック方式においては基板表面側での気体供給によってエッチング液の温度低下を招き易いという問題を効果的に解消することができるからである。
【0043】
また、上記実施形態の基板処理装置は、基板Wの上方に近接配置される遮断部材3を有するものであるが、本発明は遮断部材を有しない装置にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
この発明は、半導体ウエハ等の基板の表面に形成された被加工層をエッチング液でエッチングする基板処理装置および基板処理方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…基板処理装置
2…スピンチャック(基板保持手段)
4…制御ユニット(制御手段)
8…水蒸気供給部(基板加熱手段)
22…チャック回転機構(基板回転手段)
52…エッチング液供給部
81…水蒸気供給管
82a〜82d…ノズル
84…水蒸気発生器
811…垂直配管
812…水平配管
EF…(エッチング液の)液膜
W…基板
Wb…(基板の)裏面
Wf…(基板の)表面
図1
図2
図3
図4