特許第6048221号(P6048221)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6048221シールリング付車輪支持用転がり軸受ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048221
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】シールリング付車輪支持用転がり軸受ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/78 20060101AFI20161212BHJP
   F16C 19/18 20060101ALI20161212BHJP
   F16J 15/3232 20160101ALI20161212BHJP
   F16J 15/453 20060101ALI20161212BHJP
   B60B 35/02 20060101ALI20161212BHJP
   B60B 35/18 20060101ALI20161212BHJP
   F16C 33/80 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   F16C33/78 D
   F16C33/78 E
   F16C19/18
   F16J15/3232 201
   F16J15/453
   B60B35/02 L
   B60B35/18 B
   F16C33/80
   F16C33/78 Z
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-40714(P2013-40714)
(22)【出願日】2013年3月1日
(65)【公開番号】特開2014-169724(P2014-169724A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2015年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】特許業務法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 康博
【審査官】 塚原 一久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−038346(JP,A)
【文献】 特開2008−230607(JP,A)
【文献】 特開2009−098669(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0152275(US,A1)
【文献】 特開2006−010055(JP,A)
【文献】 特開2009−014181(JP,A)
【文献】 特開平08−145189(JP,A)
【文献】 特開2006−037978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 33/72−33/82
F16C 19/00−19/56、33/30−33/66
F16J 15/32
F16J 15/40−15/453
F16J 15/54−15/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に外輪軌道を有し、懸架装置に支持された状態で回転しない外輪と、
外周面のうちで前記外輪軌道と対向する部分に内輪軌道を有し、前記外輪と同心に配置されたハブと、
前記外輪軌道と前記内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体と、
前記ハブの外周面のうちで前記外輪の軸方向外端開口部よりも軸方向外方に突出した部分に設けられた、前記ハブに対し車輪を支持固定する為のフランジと、
前記外輪の内周面と前記ハブの外周面との間に存在する転動体配置空間の軸方向外端開口部を塞ぐ為のシールリングとを備え、
前記フランジは、基端寄り部分に設けられた厚肉部と先端寄り部分に設けられた薄肉部とを、軸方向内側面に形成した段部により連続して成るものであり、
前記シールリングは、
前記外輪の軸方向外端部内周面に内嵌固定される嵌合筒部、及び、この嵌合筒部の軸方向外端縁から径方向外方に直角に折れ曲がった状態で設けられて、その軸方向内側面を前記外輪の軸方向外端面に直接又は間接的に突き当てられ、この外輪の軸方向外端面の外径寸法よりも大きな外径寸法を有する円輪部を有する芯金と、
この芯金により補強された弾性材製のシール材とから成り、
このシール材は、前記フランジの軸方向内側面若しくは前記ハブの外周面に全周に亙り摺接する少なくとも1本のシールリップと、
これら各シールリップのうち最も径方向外側に設けられたシールリップよりも径方向外方に設けられ、その先端部を前記段部よりも径方向外方に位置させると共に、これら先端部と段部とを径方向に重畳させ、この先端部の軸方向外端面を前記フランジの軸方向内側面に対向させると共にこの先端部の内周面を前記段部に対向させて、前記先端部と、前記フランジの内側面及び前記段部との間にラビリンスシールを形成するラビリンスリップとを備えたものである、シールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットに於いて、
前記シール材が、互いに離隔した状態で前記芯金により補強された、絶縁性の弾性材により造られた第一のシール部と、導電性の弾性材により造られた第二のシール部とにより構成されており、
前記第一のシール部は、前記ラビリンスリップを有しており、
前記第二のシール部は、前記シールリップを有し、前記外輪及び前記ハブと接触しており、
前記芯金に少なくとも一つの貫通孔が形成されてれおり、
前記芯金の一方側に設けられた前記第二のシール部の一部と、この芯金の他方側に設けられた前記第二のシール部の残部とが、前記貫通孔を介して連続しており、
前記芯金の一方側に設けられた前記第二のシール部の一部が、前記外輪と接触しており、この芯金の他方側に設けられた前記第二のシール部の残部が、前記ハブと接触している事を特徴とするシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニット。
【請求項2】
内周面に外輪軌道を有し、懸架装置に支持された状態で回転しない外輪と、
外周面のうちで前記外輪軌道と対向する部分に内輪軌道を有し、前記外輪と同心に配置されたハブと、
前記外輪軌道と前記内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体と、
前記ハブの外周面のうちで前記外輪の軸方向外端開口部よりも軸方向外方に突出した部分に設けられた、前記ハブに対し車輪を支持固定する為のフランジと、
前記外輪の内周面と前記ハブの外周面との間に存在する転動体配置空間の軸方向外端開口部を塞ぐ為のシールリングとを備え、
前記フランジは、基端寄り部分に設けられた厚肉部と先端寄り部分に設けられた薄肉部とを、軸方向内側面に形成した段部により連続して成るものであり、
前記シールリングは、
前記外輪の軸方向外端部内周面に内嵌固定される嵌合筒部、及び、この嵌合筒部の軸方向外端縁から径方向外方に直角に折れ曲がった状態で設けられて、その軸方向内側面を前記外輪の軸方向外端面に直接又は間接的に突き当てられ、この外輪の軸方向外端面の外径寸法よりも大きな外径寸法を有する円輪部を有する芯金と、
この芯金により補強された弾性材製のシール材とから成り、
このシール材は、前記フランジの軸方向内側面若しくは前記ハブの外周面に全周に亙り摺接する少なくとも1本のシールリップと、
これら各シールリップのうち最も径方向外側に設けられたシールリップよりも径方向外方に設けられ、その先端部を前記段部よりも径方向外方に位置させると共に、これら先端部と段部とを径方向に重畳させ、この先端部の軸方向外端面を前記フランジの軸方向内側面に対向させると共にこの先端部の内周面を前記段部に対向させて、前記先端部と、前記フランジの内側面及び前記段部との間にラビリンスシールを形成するラビリンスリップとを備えたものである、シールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットに於いて、
前記シール材が、互いに離隔した状態で前記芯金により補強された、絶縁性の弾性材により造られた第一のシール部と、導電性の弾性材により造られた第二のシール部とにより構成されており、
前記第一のシール部は、前記ラビリンスリップを有しており、
前記第二のシール部は、前記シールリップを有し、前記外輪及び前記ハブと接触しており、
前記芯金の一方側にある前記第二のシール部の一部が、この芯金に沿う状態で設けられており、その径方向外端が、前記外輪と接触している事を特徴とするシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車の車輪を懸架装置に支持する為のシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車輪は、例えば図7に示す様な、シールリング付車輪支持用転がり軸受ユニット1により、懸架装置に対し回転自在に支持する。このシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニット1は、外輪2の内径側にハブ3を、複数個の転動体4、4を介して回転自在に支持して成る。このうちの外輪2は、外周面に懸架装置に支持固定する為の静止側フランジ5を、内周面に複列の外輪軌道6、6を、それぞれ設けている。又、前記ハブ3は、ハブ本体7と内輪8とをナット9により組み合わせ固定したもので、外周面に複列の内輪軌道10、10を有する。又、前記各転動体4、4は、これら両内輪軌道10、10と前記両外輪軌道6、6との間に、両列毎に複数個ずつ、それぞれ保持器11、11により保持された状態で転動自在に設けられている。
【0003】
又、前記ハブ本体7の軸方向外端寄り部分で、前記外輪2の軸方向外端開口部から突出した部分には、特許請求の範囲に記載したフランジに相当する、回転側フランジ12を設けている。この回転側フランジ12には複数本のスタッド13の基端部を支持固定しており、これら各スタッド13によりこの回転側フランジ12に、車輪を構成するホイールを支持固定できる様にしている。
【0004】
又、前記外輪2の軸方向外端部内周面と前記ハブ3の中間部外周面との間にシールリング14を装着して、これら外輪2の内周面とハブ3の外周面との間に存在し、前記各転動体4、4を設けた転動体配置空間15の軸方向外端開口部を塞いでいる。又、前記外輪2の軸方向内端開口部をカバー16で塞ぐ事により、この軸方向内端開口部から前記転動体配置空間15内への塵芥や雨水等の異物の侵入防止、及び、この転動体配置空間15内に充填したグリースの外部への漏洩防止を図っている。尚、軸方向に関して内とは、車両への組み付け状態で幅方向中央側で各図の右側を言い、同じく外とは、幅方向外側で各図の左側を言う。
【0005】
又、図示の例では、前記各転動体4、4として玉を使用しているが、重量の嵩む自動車に組み込む、シールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、各転動体として円すいころを使用する場合もある。又、ハブ本体と内輪とを結合固定する為に、図示の様にハブ本体7の軸方向内端部にナット9を螺合固定する構造に代えて、ハブ本体の軸方向内端部を径方向外方に塑性変形させて形成したかしめ部により、このハブ本体に外嵌した内輪の軸方向内端面を抑え付ける事もできる。更に、図示の例は、従動輪(FR車、RR車、MR車の前輪、FF車の後輪)用のシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットである為、ハブ本体7が充実体であるが、駆動輪(FR車、RR車、MR車の後輪、FF車の前輪、4WD車の全輪)用のシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、ハブ本体の中心部にスプライン孔を、このハブ本体を軸方向に貫通する状態で設ける。
【0006】
何れの構造の場合も、各転動体を設置した転動体配置空間の軸方向外端開口部のシールに関しては、外輪の軸方向外端部内周面とハブ本体の中間部外周面との間に設けたシールリング14により図る。これに対して、前記転動体配置空間の軸方向内端開口部のシールに関しては、従動輪用の場合には、図示の様なカバー16、或いは、外輪の軸方向内端部内周面と内輪の軸方向内端部外周面との間に設置した組み合わせシールリングにより、駆動輪用の場合には、組み合わせシールリングにより、それぞれ図る。
【0007】
前記転動体配置空間15内への異物侵入防止と、この転動体配置空間15内に充填したグリースの漏洩防止とを十分に図る為には、この転動体配置空間15の両端開口部を十分にシールする必要がある。特に、この転動体配置空間15の軸方向外端開口部をシールする為のシールリングに就いては、回転側フランジ12の軸方向内側面に沿って径方向内方に導かれた異物が前記転動体配置空間15内に入り込むのを防止する為に、優れたシール性能を要求される。しかも、この転動体配置空間15の軸方向外端開口部に関しては、図7に示す様な、カバー16によるシールは行えない。
【0008】
この様な事情に鑑みて従来から、前記転動体配置空間15の軸方向外端開口部をシールする為のシールリングとして、各種構造のものが考えられている。図8は、特許文献1に記載されたシールリング14aを示している。このシールリング14aは、それぞれが円輪状に形成された芯金17とシール材18とから構成している。このうちの芯金17は、軟鋼板等の金属板を曲げ形成して成るもので、嵌合筒部19と、この嵌合筒部19の軸方向外端縁から径方向外方に折れ曲がった円輪部20と、この嵌合筒部19の軸方向内端縁から径方向内方及び軸方向外方に向けてU字形に折り返された折れ曲がり部21と、前記円輪部20の外周縁から軸方向内方に折れ曲がった円筒部22とを備える、そして、このうちの嵌合筒部19を、外輪2の軸方向外端部内周面に締り嵌めで内嵌固定すると共に、前記円輪部20の軸方向内側面を、この外輪2の軸方向外端面に、前記シール材18の一部を介在させた状態で突き当てている。
【0009】
又、前記シール材18は、ゴムの如きエラストマー等の弾性材製で、前記芯金17に接合固定しており、3本の接触式のシールリップ23a、23b、23cと、非接触式のラビリンスシールを構成する、庇状のラビリンスリップ24とを備える。このうちの各シールリップ23a、23b、23cは、それぞれの先端縁を回転側フランジ12の軸方向内側面或いはハブ3の中間部外周面に、全周に亙り摺接させている。
【0010】
又、前記ラビリンスリップ24の外周面は円筒面状としており、その外径寸法を、前記外輪2の軸方向外端部外周面の外径寸法よりも、十分に大きくしている。この様なラビリンスリップ24の先端部の位置を、回転側フランジ12の軸方向内側面のうちで基端寄り部分(根元部分)に設けられた厚肉部25と、同じく先端寄り部分に設けられ、この厚肉部25よりも肉厚の小さい薄肉部26とを連続する、段部27との関係で規制している。即ち、前記ラビリンスリップ24(の先端部乃至基端部)を、前記段部27よりも径方向外方に位置させると共に、このラビリンスリップ24の先半部と段部27とを径方向に重畳させている。これにより、このラビリンスリップ24の先端縁と前記回転側フランジ12の軸方向内側面との間に、径方向のラビリンスシール28aを形成すると共に、この径方向のラビリンスシール28aに連続する状態で、前記ラビリンスリップ24の先端部内周面と前記段部27の外周面との間に、軸方向のラビリンスシール28bを形成している。この為、ラビリンスシールの全長を十分に長くできて、前記ラビリンスリップ24によるラビリンス効果を良好にできる。尚、図、並びに、後述する図1〜6には、各シールリップの自由状態での形状を示している。
【0011】
更に、本例の場合には、前記シールリング14aを構成するシール材18により、庇部29及び止水部30を設けている。このうちの庇部29は、前記円筒部22を覆う状態で設けられている。又、前記止水部30は、この庇部29の内周面の軸方向外端に連続しており、前記円輪部20の径方向外端寄りから径方向内端に掛けての部分を覆う状態で設けられている。
又、前記庇部29の内径寸法は、前記外輪2の外周面の軸方向外端部の外径寸法よりも大きくして、この庇部29の内周面とこの外輪2の外周面の軸方向外端部との間に環状隙間31を、全周に亙り設けている。言い換えれば、この外輪2の外周面の軸方向外端部の全周に亙って、この外輪2の外周面の軸方向外端部と前記庇部29と前記止水部30とにより三方を囲まれて、軸方向内方が開口した、凹溝を形成している。
【0012】
ところで、前述の様な車輪支持用転がり軸受ユニット1を組み込んだ車両の運転状態に於いて、車両に発生する静電気が、この車輪支持用転がり軸受ユニット1に流れ込む事がある。又、この車輪支持用転がり軸受ユニット1を構成する前記各転動体4、4の転動面と前記内輪、外輪両軌道10、6との間部分には、絶縁性の高い潤滑油膜{EHL(弾性流体潤滑)油膜}が存在する。この為、この間部分の電気抵抗が大きくなり帯電して(外輪2とハブ3との間に電位差が生じて)、この帯電量が多く(外輪2とハブ3との間の電位差が大きく)なると、前記各転動体4、4の転動面と前記内輪、外輪両軌道10、6との間に瞬間的に放電現象が発生する(スパークが発生する)。この様なスパークが発生すると、ラジオに雑音が混じる他、著しい場合には、車載の電子機器を誤作動させる可能性がある。尚、上述の様な帯電は、駆動軸による放電がない従動輪用の車輪支持用転がり軸受ユニットに発生し易い傾向にある。
【0013】
そこで、前記シールリング14aを構成するシール材18を、ゴム材に導電性付与剤を添加した導電性ゴム材で造り、前記シールリング14a(前記芯金17及び前記シール材18)を介して、前記外輪2と前記ハブ3との間に電流を流す事により、上述の様なスパークに起因する雑音や誤作動の発生を防止する事が従来から知られている。但し、前記導電性付与剤等の影響で、前記シールリング14aを構成する前記シール材18の吸水性が高くなる場合がある。この為、前述の車輪支持用転がり軸受ユニット1の様に、前記シールリング14aを構成するラビリンスリップ24が、泥水等に接触し易い位置に設けられていると、このラビリンスリップ24が水分を吸収(膨潤)して、このラビリンスリップ24に膨張等の変形が生じる可能性がある。この結果、変形したこのラビリンスリップ24と、前記回転側フランジ12の段部27とが接触して、前記車輪支持用転がり軸受ユニット1の運転時の摩擦抵抗が増加してしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2012−131452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上述の様な事情に鑑み、外輪の軸方向外端面とハブのフランジの軸方向内側面との間にラビリンスシールを設ける構造に於いて、シールリングを介して、前記外輪と前記ハブとの間に電流を流す事ができる構造を採用した場合でも、前記ラビリンスシールを構成するラビリンスリップが水分を吸収して変形する事の防止を図れる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットは、前述した従来構造のシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットと同様に、外輪と、ハブと、複数個の転動体と、フランジと、シールリングとを備える。
このうちの外輪は、内周面に外輪軌道を有し、懸架装置に支持された状態で回転しない。
又、前記ハブは、外周面のうちで前記外輪軌道と対向する部分に内輪軌道を有し、前記外輪と同心に配置されている。
又、前記各転動体は、前記外輪軌道と前記内輪軌道との間に転動自在に設けられている。
又、前記フランジは、前記ハブの外周面のうちで前記外輪の軸方向外端開口部よりも軸方向外方に突出した部分に設けられたもので、前記ハブに対し車輪を支持固定する為のものである。
又、前記シールリングは、前記外輪の内周面と前記ハブの外周面との間に存在する転動体配置空間の軸方向外端開口部を塞ぐ。
更に、前記フランジは、基端寄り部分に設けられた厚肉部と先端寄り部分に設けられた薄肉部とを、軸方向内側面に形成した段部により連続して成るものである。
又、前記シールリングは、前記外輪の軸方向外端部に固定される芯金と、この芯金により補強された弾性材製のシール材とから構成される。そして、この芯金は、前記外輪の軸方向外端部内周面に内嵌固定される嵌合筒部と、この嵌合筒部の軸方向外端縁から径方向外方に直角に折れ曲がった状態で設けられて、その内側面を前記外輪の軸方向外端面に直接又は間接的に突き当てられ、この外輪の軸方向外端面の外径寸法よりも大きな外径寸法を有する円輪部とを備える。又、前記シール材は、前記フランジの軸方向内側面若しくは前記ハブの外周面に全周に亙り摺接する、少なくとも1本のシールリップと、これら各シールリップのうちで最も径方向外側に設けられたシールリップよりも径方向外方に設けられ、その先端部を前記段部よりも径方向外方に位置させると共に、これら先端部と段部とを径方向に重畳させ、この先端部の軸方向外端面を前記フランジの軸方向内側面に、同じく内周面を前記段部に、それぞれ近接対向させて、これら先端部とフランジの軸方向内側面との間に非接触式のラビリンスシールを形成する、庇状のラビリンスリップとを備える。
【0017】
特に、本発明のシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、前記シール材が、絶縁性の弾性材により造られた第一のシール部と、導電性の弾性材により造られた第二のシール部とにより構成されている。
又、前記第一のシール部は、前記ラビリンスリップを有する。
又、前記第二のシール部は、前記シールリップを有し、前記外輪及び前記ハブと接触している。
【0018】
上述の様な本発明のシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットを実施する場合に例えば、前記第一のシール部と前記第二のシール部とを、互いに離隔した状態で前記芯金により補強する。
又、上述の様な本発明のシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットを実施する場合に具体的には、前記芯金に少なくとも一つの貫通孔を形成する。又、この芯金の一方側に設けられた第二のシール部の一部と、同じく他方側に設けられた第二のシール部の残部とを、前記貫通孔を介して連続させる。
更に、前記芯金の一方側に設けられた前記第二のシール部の一部を、前記外輪に接触させると共に、同じく他方側に設けられたこの第二のシール部の残部を、前記ハブに接触させる。
【0019】
又、上述の様な本発明のシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットを実施する場合に具体的には、前記芯金の一方側にある第二のシール部の一部を、この芯金に沿う状態で設ける。そして、その径方向外端を前記外輪と接触させる。
又、上述の様な本発明のシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットを実施する場合に例えば、前記第二のシール部に添加している導電性付与剤を、イオン導電性付与剤とする。
【発明の効果】
【0020】
上述の様に構成する本発明のシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットによれば、外輪の軸方向外端面とハブのフランジの軸方向内側面との間にラビリンスシールを設けた構造に於いて、シールリングを介して、前記外輪と前記ハブとの間に電流を流す事ができる構造を採用した場合でも、前記ラビリンスシールを構成するラビリンスリップが水分を吸収して変形する事の防止を図れる。
即ち、本発明の場合、導電性の弾性材により造った第二のシール部を前記外輪と前記ハブとに接触させると共に、前記ラビリンスリップを設けた第一のシール部を絶縁性の弾性材により造っている。この様に絶縁性の弾性材により造った第一のシール部は、吸水性を低く抑えられる。この為、前記第二のシール部を介して、前記外輪と前記ハブとの間に電流を流して、各転動体の転動面又は内輪、外輪両軌道にスパークに起因する雑音や誤作動が発生する事の防止を図ると共に、前記ラビリンスリップが水分を吸収して変形する事の防止を図れる。この結果、膨張等により変形したこのラビリンスリップが、回転側フランジの段部に接触して、摩擦抵抗が増加する様な事がない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態の第1例を示す、図7のA部に相当する拡大断面図。
図2】同第2例を示す、図1と同様の図。
図3】同第3例を示す、図1と同様の図。
図4】同第4例を示す、図1と同様の図。
図5】同第5例を示す、図1と同様の図。
図6】同第6例を示す、図1と同様の図。
図7】本発明の対象となるシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットの1例を示す断面図。
図8】従来構造の1例を示す、図7のA部に相当する拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[実施の形態の第1例]
図1、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、シールリング14bを構成するシール材18aの構造を工夫した点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述した従来構造の場合とほぼ同様であるから、重複する説明並びに図示は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
【0023】
本例の場合、シール材18aを、互いに離隔した状態で芯金17aに接合固定した、第一のシール部32と、第二のシール部33とにより構成している。
このうちの第一のシール部32は、絶縁性の弾性材(ゴムの如きエラストマー等)で造られており、前記芯金17aを構成する円輪部20aの軸方向外側面の径方向外端寄り部分に接合固定している。この様な第一のシール部32は、前述の従来構造のラビリンスリップ24と同様に庇状のラビリンスリップ24aを有しており、このラビリンスリップ24aの外周面を軸方向外方に進む程その外径が大きくなる円錐面状にすると共に、その外径寸法を、外輪2の軸方向外端部外周面の外径寸法よりも、十分に大きくしている。
【0024】
又、前記ラビリンスリップ24aの先端部の位置を、回転側フランジ12の軸方向内側面のうちで基端寄り部分(根元部分)に設けられた厚肉部25と、同じく先端寄り部分に設けられ、この厚肉部25よりも肉厚の小さい薄肉部26とを連続する、段部27との関係で規制している。即ち、前記ラビリンスリップ24a(の先端部乃至基端部)を、前記段部27よりも径方向外方に位置させると共に、このラビリンスリップ24aの先半部とこの段部27とを径方向に重畳させている。これにより、このラビリンスリップ24aの先端縁と前記回転側フランジ12の軸方向内側面との間に、径方向のラビリンスシール28aを形成すると共に、この径方向のラビリンスシール28aに連続する状態で、前記ラビリンスリップ24の先端部内周面と前記段部27の外周面との間に、軸方向のラビリンスシール28bを形成している。
【0025】
尚、本例の場合、前記第一のシール部32に前述した従来構造の庇部29及び止水部30(図8参照)を設けていない。但し、本例の場合も、第一のシール部32に、前記芯金17aの円筒部22aを覆う状態で庇部29(図8参照)を形成する事もできる。又、この庇部29の内周面の軸方向外端に連続し、前記芯金17aの円輪部20aのうち、前記外輪2の軸方向外端面外周縁よりも径方向外方に突出した部分を覆う状態で、止水部を設ける事もできる。又、止水部を前述した従来構造と同様の構造にする事もできる。
【0026】
又、前記第二のシール部33は、前述した従来構造のシールリング14a(図8参照)のシール材18のうちの、前記外輪2の内周面よりも径方向内側部分とほぼ同様の構造を有している。即ち、前記第二のシール部33は、前記芯金17aの嵌合円筒部19aと前記円輪部20aとの連続部34からこの芯金17aの径方向内端部分に接合固定しており、3本の接触式のシールリップ35a、35b、35cを有している。又、本例の場合、前記第二のシール部33を、導電性の弾性材(ゴムの如きエラストマー等に導電性付与剤を添加する等したもの)により造っている。尚、本例の場合、この導電性付与剤を、イオン導電性付与剤としている。
【0027】
又、前記芯金17aの嵌合円筒部19aと前記円輪部20aとの連続部34の一方側(図1の右側)に設けられた外輪接触シール部36と、同じくこの連続部34の他方側(図1の左側)に設けられたシール本体部37とを、前記連続部34の円周方向の少なくとも1箇所(好ましくは円周方向等間隔複数箇所)に設けた貫通孔38を介して連続させている。尚、本例の場合、前記外輪接触シール部36の形状を鉤状に形成している。又、前記貫通孔38を円形としているが、その形状は特に限定されるものではない。この為、この貫通孔38は、金属製の板材に加工(プレス加工、曲げ加工等)を施して前記芯金17aを形成した状態、或いは、加工を施す前の金属製の板材の状態の何れかの状態で形成すれば良い。又、前記外輪接触シール部36は、前記芯金17aの連続部34の一方側に全周に亙り設けても良いし、前記貫通孔38が形成された部分の周囲のみに設けても良い。前記外輪接触シール部36を全周に亙り設けた場合には、前記芯金17aの円輪部20aの軸方向内側面と、前記外輪2の軸方向外端面との間を介して、水等の異物が転動体配置空間15に侵入する事をより効果的に防止できる。
【0028】
又、本例の場合、前記第二のシール部33の外輪接触シール部36の先端部を前記外輪2の軸方向外端面と内周面との連続部に接触させると共に、前記各シールリップ35a、35b、35cをハブ3の中間部外周面或いは回転側フランジ12の軸方向内側面に、全周に亙り摺接させている。即ち、本例の場合、導電性を有する前記第二のシール部33を外輪2及びハブ3に接触させている。この為、電流が、この外輪2とこのハブ3との間を、この第二のシール部33を介して流れる事ができる。尚、前記芯金17aとこの第二のシール部33とを加硫接着等により接合固定する為の接着材(例えば、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤等)は、絶縁性を有している為、前記芯金17aを介して、前記外輪2から前記第二のシール部33に電流が流れる事はない。この為に、本例の場合、導電性を有する前記第二のシール部33を前記外輪2及びハブ3に接触させる事により、電流が、前記外輪2と前記ハブ3との間を流れる様にしている。
【0029】
上述の様な本例のシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットによれば、前記外輪2の軸方向外端面と前記ハブ3の回転側フランジ12の軸方向内側面との間に前記ラビリンスシール28a、28bを設けた構造に於いて、前記シールリング14bを介して、前記外輪2と前記ハブ3との間に電流を流す事ができる構造を採用した場合でも、前記ラビリンスシール28a、28bを構成するラビリンスリップ24aが水分を吸収して変形する事を抑えられる。
即ち、本例の場合、導電性の弾性材により造った前記第二のシール部33を前記外輪2と前記ハブ3とに接触させると共に、前記ラビリンスリップ24aを設けた第一のシール部32を絶縁性の弾性材により造っている。この様に絶縁性の弾性材で造った第一のシール部32は、吸水性を低く抑えられる。この為、前記第二のシール部33を介して、前記外輪2と前記ハブ3との間に電流を流し、ラジオの雑音や、電子機器の誤作動に結び付くスパークが発生する事の防止を図ると共に、前記ラビリンスリップ24aが水分を吸収して変形する事を抑えられる。この結果、膨張等により変形したこのラビリンスリップ24aが、前記回転側フランジ12の段部27に接触して、運転時の摩擦抵抗が増加する様な事がない。尚、導電性を有する前記第二のシール部33は、吸水性が高くなる可能性がある。但し、この第二のシール部33は、使用状態に於いて、その表面に潤滑グリースが塗布されており、且つ、この第二のシール部33が設けられた位置には、前記各ラビリンスシール28a、28bの影響で水分が侵入しづらい。又、前記各シールリップ35a、35b、35cの摩擦熱により、前記第二のシール部33の温度も上昇している為、この第二のシール部33が水分を吸収して変形する可能性は低い。
【0030】
[実施の形態の第2例]
図2、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合、シールリング14cを構成する芯金17bを、前述した実施の形態の第1例の芯金17aの円筒部22aを省略した如き形状としている。又、本例の場合、前記芯金17bの円輪部20aの径方向内端寄り部分の円周方向の少なくとも1箇所(好ましくは円周方向等間隔複数箇所)に貫通孔38aを形成している。
【0031】
又、本例の場合も、前記シールリング14cのシール材18bを構成する第一のシール部32aを絶縁性の弾性材により、同じく第二のシール部33aを導電性の弾性材により、それぞれ造っている。
又、前記第一のシール部32aの一部を、前記芯金17bの円輪部20aの軸方向内側面の径方向外端部から径方向中間部を覆う状態で設けて、当該部分を止水部30aとしている。そして、この止水部30aを、前記芯金17bの円輪部20aの軸方向内側面と、外輪2の軸方向外端面との間に配置している。尚、前記止水部30aの軸方向内側面に全周に亙って突出形成した突条を、外輪2の軸方向外端面に当接させて、シール性の確保を図っている。
【0032】
又、前記第二のシール部33aの一部で、前記芯金17bの円輪部20aの一方側(軸方向内側で、図2の右側)に設けられた外輪接触シール部36aを、断面略長方形状に形成している。そして、前述した実施の形態の第1例と同様に、この外輪接触シール部36aと、前記芯金17bの円輪部20aの他方側(軸方向外側、図2の左側)に設けられたシール本体部37aとを、前記貫通孔38aを介して連続させている。尚、前記外輪接触シール部36aは、前記芯金17bの円輪部20aの一方側に全周に亙り設けても良いし、前記貫通孔38aが形成された部分の周囲のみに設けても良い。前記外輪接触シール部36aを全周に亙り設けた場合には、芯金17bの円輪部20aの軸方向内側面と、前記外輪2の軸方向外端面との間を介して、水等の異物が転動体配置空間15に浸入する事を、前記止水部30aと合わせてより効果的に防止できる。その他の部分の構造及び作用・効果は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する説明は省略する。
【0033】
[実施の形態の第3例]
図3、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合、芯金17cの嵌合円筒部19aの軸方向内端部と、この芯金17cの折れ曲がり部21aとの連続部39の円周方向の少なくとも1箇所(好ましくは周方向等間隔複数箇所)に貫通孔38bを形成している。
又、本例の場合も、シールリング14dのシール材18cを構成する第一のシール部32bを、絶縁性の弾性材(ゴムの如きエラストマー等)により、同じく第二のシール部33bを導電性の弾性材(ゴムの如きエラストマー等に導電性付与剤を添加する等したもの)により、それぞれ造っている。
又、前記第一のシール部32bの止水部30bを、前述した実施の形態の第2例の止水部30aよりも、更に径方向内方に延長させた状態で設けている。即ち、本例の場合、前記止水部30bを、芯金17cの円輪部20aの軸方向内側面の径方向外端部から、この円輪部20aと前記嵌合円筒部19aとの連続部34に掛けての部分に設けている。
【0034】
又、前記第二のシール部33bの一部で、前記芯金17cの連続部39の一方側(軸方向内側で、図3の右側)に設けられた外輪接触シール部36bを、前述の実施の形態の第1例と同様に鉤状に形成している。
そして、前記外輪接触シール部36bと、前記芯金17cの連続部39の他方側(軸方向外側、図3の左側)に設けられたシール本体部37bとを、前記貫通孔38bを介して連続させている。
上述の様な本例の構造によれば、前記芯金17cの円輪部20aの軸方向内側面と、外輪2の軸方向外端面との間を介して、水等の異物が転動体配置空間15に浸入する事を、前記止水部30bにより効果的に防止できる。その他の部分の構造及び作用・効果は、前述した実施の形態の第2例と同様であるから、同等部分に関する説明は省略する。
【0035】
[実施の形態の第4例]
図4、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合、前述の実施の形態の第1例の様な貫通孔38(図1参照)を芯金に形成していない。この為に、本例の場合、シールリング14eのシール材18dを構成する第二のシール部33cの一部を、芯金17dの一方側(軸方向内側で、図4の右側)の、折れ曲がり部21aの径方向外端からこの芯金17dの径方向内端に掛けての部分に沿う状態で設けている。そして、当該部分を外輪接触シール部36cとしている。
【0036】
又、この外輪接触シール部36cの径方向外端を外輪2の内周面に接触させると共に、その径方向内端部を、シール本体部37cを構成する各シールリップ35a、35b、35cのうちの最も径方向内方のシールリップ35cの基端部に連続させている。この様な外輪接触シール部36cは、全周に亙り連続した状態で設けている。但し、円周方向の1箇所、或いは、複数箇所に間欠的に設ける事もできる。尚、本例の場合も、前記シールリング14eのシール材18dを構成する第一のシール部32cを絶縁性の弾性材(ゴムの如きエラストマー等)により、同じく前記第二のシール部33cを導電性の弾性材(ゴムの如きエラストマー等に導電性付与剤を添加する等したもの)により、それぞれ造っている。その他の部分の構造及び作用・効果は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する説明は省略する。
【0037】
[実施の形態の第5例]
図5、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合、前述の実施の形態の第1例の様な貫通孔38(図1参照)を芯金に形成していない。
又、本例の場合も、シールリング14fのシール材18eを構成する第一のシール部32dを絶縁性の弾性材(ゴムの如きエラストマー等)により、同じく前記第二のシール部33dを導電性の弾性材(ゴムの如きエラストマー等に導電性付与剤を添加する等したもの)により、それぞれ造っている。
【0038】
又、前記第一のシール部32dの基端部を、芯金17eの円輪部20aの一方側面(軸方向内側面)の径方向外端から径方向中間部で外輪2の外周面より少しだけ径方向内側となる位置に設けている。そして、当該部分を止水部30cとしている。又、前記第一のシール部32dは、前記芯金17eの円輪部20aの他方側面(軸方向外側面)の径方向外端寄り部分に設けたラビリンスリップ24aと、このラビリンスリップ24aよりも径方向内側に設けられた1本のシールリップ35dとを有する。この様なラビリンスリップ24aとシールリップ35dとは、それぞれの基端部同士を、前記芯金17eの他方側面の径方向中間部に設けたシール側連続部41により径方向に連続している。即ち、本例の場合、前述した実施の形態の各例の第二のシール部33〜33cの各シールリップ35a、35b、35cのうちの、径方向外方のシールリップ35aを、前記第一のシール部32dに設けた、前記シールリップ35dとしている。
【0039】
一方、前記第二のシール部33dは、前述した実施の形態の第4例と同様の外輪接触シール部36cと、2本のシールリップ35b、35cとを有する。この様な第二のシール部33dは、前記外輪接触シール部36cの径方向外端を前記外輪2の内周面に接触させると共に、前記各シールリップ35b、35cをハブ3の中間部外周面或いは回転側フランジ12の軸方向内側面の径方向内端に、全周に亙り摺接させている。
【0040】
この様な本例の場合、導電性を有する前記第二のシール部33dを、前記第一のシール部32dのシールリップ35dにより外部空間から完全に隔離する事ができる。この為、前記第二のシール部33dが水分を吸収して変形する事をより効果的に防止できる。その他の部分の構造及び作用・効果は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する説明は省略する。
【0041】
[実施の形態の第6例]
図6、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の芯金17eの構造は、上述した実施の形態の第5例の構造と同様である。又、本例の場合も、シールリング14gのシール材18fを構成する第一のシール部32eを絶縁性の弾性材(ゴムの如きエラストマー等)により、同じく第二のシール部33eを導電性の弾性材(ゴムの如きエラストマー等に導電性付与剤を添加する等したもの)により、それぞれ造っている。
【0042】
又、前記第一のシール部32eは、前記芯金17eの円輪部20aの他方側面(軸方向外側面)の径方向外端寄り部分に設けたラビリンスリップ24aと、このラビリンスリップ24aよりも径方向内側に設けられた2本のシールリップ35d、35eとを有する。即ち、本例の場合、前述した実施の形態の第5例の第一のシール部32d(図5参照)の構造に加えて、この第一のシール部32eのシールリップ35dの径方向内側に前記シールリップ35eを設けている。この様な各シールリップ35d、35eは、前述した実施の形態の各例の第二のシール部33〜33cの各シールリップ35a、35b、35cのうちの、径方向外側に設けられたシールリップ35aと、同じく径方向に関して中間に設けられたシールリップ35bとに相当するものである。更に、前記第一のシール部32eを、芯金17eの円輪部20aの一方側面(軸方向内側面)の径方向外端から径方向内端部に掛けての部分にも設けている。そして、当該部分を止水部30dとしている。
【0043】
一方、前記第二のシール部33eは、前述した実施の形態の第4例と同様の外輪接触シール部36cと、その基端部をこの外輪接触シール部36cに連続させたシールリップ35fとを有する。即ち、本例の場合、前記第二のシール部33eの全体を前記芯金17eの一方側(軸方向内側)に設けている。この様な第二のシール部33eは、前記外輪接触シール部36cの径方向外端を外輪2の内周面に接触させると共に、前記シールリップ35fをハブ3の中間部外周面に、全周に亙り摺接させている。
【0044】
この様な本例の場合、導電性を有する前記第二のシール部33eを、前記第一のシール部32eの各シールリップ35d、35eにより外部空間から完全に隔離する事ができる。この為、前記第二のシール部33eが水分を吸収して変形する事を、前述の実施の形態の第5例の構造よりも、更に効果的に防止できる。その他の部分の構造及び作用・効果は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明を実施する場合、前述した実施の形態の各例の芯金、或いは第一、第二の各シール部の構造は適宜組み合わせて実施する事ができる。
【符号の説明】
【0046】
1 シールリング付車輪支持用転がり軸受ユニット
2 外輪
3 ハブ
4 転動体
5 静止側フランジ
6 外輪軌道
7 ハブ本体
8 内輪
9 ナット
10 内輪軌道
11 保持器
12 回転側フランジ
13 スタッド
14、14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g シールリング
15 転動体配置空間
16 カバー
17、17a、17b、17c、17d、17e 芯金
18、18a、18b、18c、18d、18e、18f シール材
19、19a 嵌合筒部
20、20a 円輪部
21、21a 折れ曲がり部
22、22a 円筒部
23a、23b、23c シールリップ
24、24a ラビリンスリップ
25 厚肉部
26 薄肉部
27 段部
28a、28b ラビリンスシール
29 庇部
30、30a、30b、30c、30d 止水部
31 環状隙間
32、32a、32b、32c、32d、32e 第一のシール部
33、33a、33b、33c、33d、33e 第二のシール部
34 連続部
35a、35b、35c、35d、35e、35f シールリップ
36、36a、36b、36c 外輪接触シール部
37、37a、37b、37c シール本体部
38、38a、38b 貫通孔
39 連続部
41 シール連続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8