特許第6247456号(P6247456)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247456
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置および地図描画方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20171204BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   G01C21/26 B
   G09B29/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-111541(P2013-111541)
(22)【出願日】2013年5月28日
(65)【公開番号】特開2014-231996(P2014-231996A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2016年2月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】阿部 誠
【審査官】 相羽 昌孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−362184(JP,A)
【文献】 特開2004−219182(JP,A)
【文献】 特開2005−165283(JP,A)
【文献】 特開2006−318387(JP,A)
【文献】 特開平09−304087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
G01C 23/00−25/00
G09B 23/00−29/14
G08G 1/00−99/00
G06T 1/00− 1/40
G06T 3/00− 5/50
G06T 9/00−11/40
G06T 15/00−17/00
G06T 17/10−17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリゴンで構成された背景オブジェクトおよびその他のオブジェクトの描画に必要な地図データを取得する地図データ取得手段と、
前記地図データに基づいて、前記背景オブジェクトおよびその他のオブジェクトに対応する画像情報を生成してフレームメモリに格納する描画手段と、
前記フレームメモリに格納された画像情報を読み出して表示装置に地図画像を表示する表示処理手段と、
を備え、前記描画手段は、前記背景オブジェクトに対応する画像情報を生成する際に、前記背景オブジェクトに対応する画像情報に対して縮小・拡大を1回あるいは複数回繰り返し行うことによりぼかし処理を行い、
前記縮小・拡大の繰り返し回数は、車両の走行速度に応じて変更することを特徴とするナビゲーション装置
【請求項2】
請求項において、
前記描画手段は、前記背景オブジェクトに対応する画像情報と、前記縮小・拡大後の画像情報とをαブレンド処理によって合成することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記フレームメモリと同じ大きさを有し、前記背景オブジェクトに対応する画像情報あるいは拡大後の画像情報を格納する第1の作業領域と、前記第1の作業領域よりも小さく、縮小後の画像情報を格納する第2の作業領域とを用いて前記ぼかし処理が行われることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、
車両の走行速度が所定値以下の場合に前記繰り返し回数を複数回とし、車両の走行速度が所定値を超える場合に前記繰り返し回数を1回とすることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項において、
車両が停車中の場合に前記繰り返し回数を複数回とし、車両の走行中の場合に前記繰り返し回数を1回とすることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
ポリゴンで構成された背景オブジェクトおよびその他のオブジェクトの描画に必要な地図データを地図データ取得手段によって取得する地図データ取得ステップと、
前記地図データに基づいて、前記背景オブジェクトおよびその他のオブジェクトに対応する画像情報を生成してフレームメモリに格納する動作を描画手段によって行う地図描画ステップと、
前記フレームメモリに格納された画像情報を読み出して表示装置に地図画像を表示する動作を表示処理手段によって行う表示処理ステップと、
を有し、前記描画ステップにおいて、前記描画手段は、前記背景オブジェクトに対応する画像情報を生成する際に、前記背景オブジェクトに対応する画像情報に対して縮小・拡大を1回あるいは複数回繰り返し行うことによりぼかし処理を行い、
前記縮小・拡大の繰り返し回数は、車両の走行速度に応じて変更することを特徴とする地図描画方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両位置周辺の地図画像等を表示するナビゲーション装置および地図描画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車載のナビゲーション装置では、地図データベースに格納されている背景データ、道路データ、文字・記号データなどを取得して描画することにより、表示装置に地図画像を表示している。また、従来から、背景データをポリゴンで表すようにしたナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
背景データには、海や湖などの水系ポリゴンや、森林、田、畑、建物密集地などの土地利用ポリゴン、行政界を表す住所ポリゴン、建物を表す建物ポリゴンや施設の敷地を表す敷地ポリゴンなどの多種多様な形状データが存在する。これらの形状要素点が多くなると、地図描画処理の負担が高くなり、円滑な地図表示を行うことができなくなるため、各カーナビゲーション装置の性能に合わせて、形状要素点を間引きして地図データベースに格納している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−58530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、経年変化や新規描画アイテムの追加などによって背景データの種類が増加していくと、描画する形状要素点の数が多くなるため、ナビゲーション装置が円滑に地図描画することができる要素点数になるまで、形状要素点を間引いて地図データベースを作成する必要がある。その結果、本来のポリゴンが持つ曲線に近い滑らかな形状ではなく、角が目立つ多角形形状になってしまい、地図として表示した際に、その形状の荒さが非常に目立つことになって、背景の表示が不自然になるという問題があった。特に、画面上に複数の形状の荒いポリゴンが表示されると、その形状が表す線が目立ち、本来ナビゲーション装置の地図で確認したい道路の線を瞬時に見分けることが困難となり、地図全体としての視認性に影響を与えてしまうことになる。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、ポリゴンで構成された背景データを描画する際の表示の不自然さを改善することができるナビゲーション装置および地図描画方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明のナビゲーション装置は、ポリゴンで構成された背景オブジェクトおよびその他のオブジェクトの描画に必要な地図データを取得する地図データ取得手段と、地図データに基づいて、背景オブジェクトおよびその他のオブジェクトに対応する画像情報を生成してフレームメモリに格納する描画手段と、フレームメモリに格納された画像情報を読み出して表示装置に地図画像を表示する表示処理手段とを備え、描画手段は、背景オブジェクトに対応する画像情報を生成する際にぼかし処理を行っている。
【0008】
また、本発明の地図描画方法は、ポリゴンで構成された背景オブジェクトおよびその他のオブジェクトの描画に必要な地図データを地図データ取得手段によって取得する地図データ取得ステップと、地図データに基づいて、背景オブジェクトおよびその他のオブジェクトに対応する画像情報を生成してフレームメモリに格納する動作を描画手段によって行う地図描画ステップと、フレームメモリに格納された画像情報を読み出して表示装置に地図画像を表示する動作を表示処理手段によって行う表示処理ステップとを有し、描画ステップにおいて、描画手段は、背景オブジェクトに対応する画像情報を生成する際にぼかし処理を行っている。
【0009】
ポリゴンで構成された背景を描画する際にぼかし処理が行われるため、間引きによって形状要素点の数が減った荒いポリゴンを用いた場合であっても、外形部分を示す多角形形状の角や直線状の輪郭が目立つことがなく、背景データを描画する際の不自然さを改善することができる。このため、本来確認したい道路の線などを識別しやすくなり、地図全体としての視認性を向上させることができる。
【0010】
また、上述した描画手段は、背景オブジェクトに対応する画像情報に対して縮小・拡大を1回あるいは複数回繰り返し行うことによりぼかし処理を行う。また、上述した描画手段は、背景オブジェクトに対応する画像情報と、縮小・拡大後の画像情報とをαブレンド処理によって合成することが望ましい。これにより、背景の輪郭を確実にぼかすことが可能となる。
【0011】
また、上述したフレームメモリと同じ大きさを有し、背景オブジェクトに対応する画像情報あるいは拡大後の画像情報を格納する第1の作業領域と、第1の作業領域よりも小さく、縮小後の画像情報を格納する第2の作業領域とを用いてぼかし処理が行われることが望ましい。このように、大きさの異なる2つの作業領域を用いることにより、効率よく縮小・拡大を伴うぼかし処理を行うことができる。
【0012】
また、上述した縮小・拡大の繰り返し回数は、車両の走行速度に応じて変更する。また、車両の走行速度が所定値以下の場合に繰り返し回数を複数回とし、車両の走行速度が所定値を超える場合に繰り返し回数を1回とすることが望ましい。また、車両が停車中の場合に繰り返し回数を複数回とし、車両の走行中の場合に繰り返し回数を1回とすることが望ましい。これにより、車両位置に応じた地図画像のスクロール等によって処理負担が大きい走行時(あるいは高速走行時)にはぼかし処理を行うことによる処理の負担を軽減することができ、処理負担が小さい停車時(あるいは低速走行時)にはぼかし処理によるぼかしの程度を高めて地図全体としての視認性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態のナビゲーション装置の詳細構成を示す図である。
図2】背景オブジェクトに対してぼかし処理を行う動作手順を示す流れ図である。
図3図2に示した動作手順にしたがった描画状態の説明図である。
図4図2に示した動作手順にしたがった描画状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態のナビゲーション装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。図1に示すナビゲーション装置は、ナビゲーションコントローラ1、地図データ記憶装置3、操作部4、車両位置検出部5、表示装置6、オーディオ部7を含んで構成されている。このナビゲーション装置は、車両に搭載されている。
【0015】
ナビゲーションコントローラ1は、CPU、ROM、RAM等を用いて所定の動作プログラムを実行することにより、自車位置周辺の地図画像表示動作や施設検索動作、経路探索・誘導動作などの各種機能を実現する。ナビゲーションコントローラ1の詳細構成については後述する。
【0016】
地図データ記憶装置3は、地図表示、施設検索、経路探索などに必要な地図データが格納されている記憶媒体およびその読み取り装置である。この地図データ記憶装置3には、経度および緯度で適当な大きさに区切られた矩形形状の図葉を単位とした地図データが格納されている。各図葉の地図データは、図葉番号を指定することにより特定され、読み出すことが可能となる。
【0017】
この地図データは、経緯度で表現された点(ノード)の座標集合で表されており、また、道路は2以上のノードの連結からなり、2つのノードを連結した部分はリンクと呼ばれる。地図データは、道路リスト、ノードテーブル、交差点構成ノードリスト、交差点ネットリスト等からなるマップマッチング用及び経路探索用の道路データ、地図画面上に道路、公園、河川、目印となる建物や施設等の各種物件を表示するための背景データ、市町村名などの行政区画名、道路名、交差点名、建物の名前等の文字や地図記号等を表示するための文字・記号データなどから構成されている。
【0018】
地図データを構成する各種データのうち本発明に関連するのは背景データであり、そのデータ構造について特に図示はしないが、背景データには、海や湖などの水系ポリゴンや、森林、田、畑、建物密集地などの土地利用ポリゴン、行政界を表す住所ポリゴン、建物を表す建物ポリゴンや施設の敷地を表す敷地ポリゴンなどの多種多様な形状データが含まれる。また、形状ポリゴンで表された背景画像としてのオブジェクト(背景オブジェクト)の中には、ぼかし処理の対象となる背景オブジェクトが含まれている。
【0019】
地図データ記憶装置3は、ハードディスク装置や半導体メモリによって、あるいは、DVDとその読み取り装置によって実現される。また、地図データ記憶装置3を通信装置に置き換えて、外部の地図配信サーバ(図示せず)から地図データを取得するようにしてもよい。
【0020】
操作部4は、利用者の指示(操作)を受け付けるためのものであり、各種の操作ボタンや操作つまみ類を備えている。また、操作部4は、表示装置6の画面に取り付けられたタッチパネルを含んでおり、画面上の一部を直接利用者が指等で指し示すことにより、操作指示を行うことができるようになっている。車両位置検出部5は、例えば、GPS受信機、方位センサ、距離センサなどを備えており、所定のタイミングで車両位置(経度、緯度)の検出を行い、検出結果を出力する。
【0021】
表示装置6は、例えばLCD(液晶表示装置)によって構成されており、ナビゲーションコントローラ1から出力される映像信号に基づいて自車位置周辺の地図画像や交差点案内画像、あるいは、施設検索によって得られた施設やその周辺駐車場が含まれる検索結果画像などを表示する。例えば、この表示装置6は、ダッシュボード中央あるいはダッシュボード上に配置されたナビゲーション装置の筐体と一体になっている。なお、表示装置6は、ナビゲーション装置の筐体とは分離し、運転者の見やすい位置に離して配置するようにしてもよい。オーディオ部7は、ナビゲーションコントローラ1から入力される音声信号に基づいて生成した案内音声等を車室内に出力する。
【0022】
次に、ナビゲーションコントローラ1の詳細構成について説明する。図1に示すナビゲーションコントローラ1は、地図バッファ10、地図読出制御部12、地図描画部14、車両位置計算部20、目的地設定部22、経路探索処理部24、経路誘導処理部26、入力処理部30、表示処理部40を含んで構成されている。
【0023】
地図バッファ10は、地図データ記憶装置3から読み出された地図データを一時的に格納する。地図読出制御部12は、車両位置計算部20により算出される車両位置や利用者が操作部4を操作して指定した位置に応じて、所定範囲の地図データの読み出し要求を地図データ記憶装置3に出力する。地図描画部14は、地図バッファ10に格納された地図データに基づいて、表示装置6に地図画像を表示するために必要な描画処理を行って地図画像描画データを作成する。地図描画部14の詳細については後述する。
【0024】
車両位置計算部20は、車両位置検出部5から出力される検出データに基づいて自車位置を計算するとともに、計算した自車位置が地図データの道路上にない場合には、自車位置を修正するマップマッチング処理を行う。
【0025】
目的地設定部22は、経路探索処理の目的地を設定する。例えば、目的地設定部22は、利用者によって指定される検索条件を満足する施設を検索して目的地として設定する。経路探索処理部24は、出発地と目的地(あるいは経由地)との間を所定の探索条件にしたがって結ぶ走行経路(誘導経路)を探索する。経路誘導処理部26は、経路探索処理部24による探索処理によって得られた誘導経路を地図上に重ねて表示したり、右左折交差点の拡大図を表示するための誘導経路描画データを作成するとともに、誘導経路に沿って車両を誘導するために必要な交差点案内等の音声信号を生成する。
【0026】
入力処理部30は、操作部4から入力される各種の操作指示に対応する動作を行うための命令をナビゲーションコントローラ1内の各部に向けて出力する。表示処理部40は、地図描画部14によって作成される地図画像描画データが入力されており、この描画データに基づいて所定範囲の地図画像を表示装置6の画面に表示する。
【0027】
次に、地図描画部14の詳細について説明する。図1に示すように、地図描画部14は、ポリゴン演算部50、53、テクスチャ処理部51、54、フレームメモリ52、作業用メモリ55、56、縮小・拡大処理部57、αブレンド処理部58、文字・記号情報描画部59、アイコン描画部60を備えている。本実施形態では、表示対象となる地図画像は、背景画像とその上に表示される文字・記号情報およびアイコンによって構成されているものとする。また、背景画像には、海や湖等の水系と、道路や建物、森林等の陸系とが含まれている。これらの領域の各構成要素はポリゴンによって表現され、各ポリゴンに対してテクスチャ画像を貼り付けるテクスチャマッピングの処理を行うことによって背景画像が生成される。また、森林等の一部の背景オブジェクトについてはぼかし処理が行われる。さらに、背景画像上に、地名や地図記号等の文字・記号情報と、表示が指示された特定施設を示すアイコン画像とが重ねて合成されて、地図画像が生成される。
【0028】
ポリゴン演算部50は、背景オブジェクトを構成する各ポリゴンの頂点座標を計算する。テクスチャ処理部51は、計算されたポリゴンの頂点座標に基づいて、各ポリゴンにテクスチャ画像を貼り付けるテクスチャマッピング処理を行う。例えば、背景画像の一部に森林を表す陸系のオブジェクトが含まれる場合には、テクスチャ処理部51は、この水系のオブジェクトを構成するポリゴンに対して、森林をイメージする色彩のテクスチャ画像(青色の画像)を貼り付ける処理を行って、背景画像に対応する地図画像描画データを生成する。この地図画像描画データは、フレームメモリ52に格納される。フレームメモリ52は、現在の表示縮尺に対応する複数の図葉について地図画像描画データを格納する。例えば、自車位置周辺の地図画像表示を行う際には、自車位置が含まれる図葉と、その周囲に配置される8枚の図葉の合計9枚分の図葉について生成された地図画像描画データが格納される。
【0029】
ポリゴン演算部53は、背景画像にぼかし処理の対象となる背景オブジェクトが含まれる場合に、この背景オブジェクトを構成するポリゴンの頂点座標を計算する。テクスチャ処理部54は、ポリゴン演算部53によって計算されたポリゴンの頂点座標に基づいて、各ポリゴンに所定のテクスチャ画像を貼り付けるテクスチャマッピング処理を行う。作業用メモリ(大)55は、フレームメモリ52と同じ大きさおよび格納位置の作業領域(第1の作業領域)を有し、テクスチャ処理部54によって生成された描画データを格納する。作業用メモリ(小)56は、フレームメモリ52の1/N(水平、垂直のそれぞれの画素数が1/N、Nは2よりも大、例えばN=4)の大きさの作業領域(第2の作業領域)を有し、縮小処理後の描画データを格納する。縮小・拡大処理部57は、作業用メモリ55に格納された描画データに対して、1/N倍あるいは1/2倍の画像の縮小処理と、2倍あるいはN/2倍の画像の拡大処理を行う。αブレンド処理部58は、縮小・拡大処理部57によって拡大された画像と、フレームメモリ52あるいは作業用メモリ55に格納された画像に対してαブレンド処理を行い、処理結果をフレームメモリ52あるいは作業用メモリ55に上書きする。
【0030】
文字・記号情報描画部59は、描画範囲の地図画像上に重ねて表示される地名や建物名称等の各種の文字情報画像を描画する。アイコン描画部60は、表示が指示された特定施設のアイコン画像(例えば、コンビニエンスストアのアイコン表示が指示されている場合にはコンビニエンスストアの種類に応じた各種形状を有するアイコン画像)を描画する。これらの文字情報画像やアイコン画像は、フレームメモリ52に格納された背景画像に対応する地図画像描画データに重ねられる。
【0031】
上述した地図データ記憶装置3、地図バッファ10が地図データ取得手段に、地図描画部14が描画手段に、表示処理部40が表示処理手段にそれぞれ対応する。また、地図データ記憶装置3および地図バッファ10を用いて地図データを取得する動作が地図データ取得ステップの動作に、地図描画部14による描画処理(具体的には、後述する図2に示された動作)が描画ステップの動作に、表示処理部40を用いて地図画像を表示する動作が表示処理ステップの動作にそれぞれ対応する。
【0032】
本実施形態のナビゲーション装置はこのような構成を有しており、次に、一部の背景オブジェクトに対してぼかし処理を行う描画処理について説明する。図2は、背景オブジェクトに対してぼかし処理を行う動作手順を示す流れ図である。また、図3および図4は、図2に示した動作手順にしたがった描画状態の説明図である。
【0033】
まず、フレームメモリ52が背景テクスチャで初期化される(ステップ100)。例えば、この初期化処理がテクスチャ処理部51によって行われ、背景テクスチャとして、フレームメモリ52全体を埋め尽くす規則的な模様が用いられる。
【0034】
また、作業用メモリ55が背景色で初期化される(ステップ104)。例えば、この初期化処理がテクスチャ処理部54によって行われ、背景色として、その上に描画される画像の視認性を害さない色が用いられる。次に、ポリゴン演算部53は、ぼかし対象となる背景オブジェクトを構成する各ポリゴンの頂点座標を計算し、テクスチャ処理部54は、計算されたポリゴンの頂点座標に基づいて、各ポリゴンにテクスチャ画像を貼り付けるテクスチャマッピング処理を行う。このようにして、ぼかし対象の背景オブジェクトに対応する描画処理が行われ、その描画結果が作業用メモリ55に書き込まれる(ステップ106)。
【0035】
次に、縮小・拡大処理部57は、作業用メモリ55に格納された描画データに対して縦横それぞれのサイズを1/Nにする縮小処理を行い、縮小処理後の描画データを作業用メモリ56に格納する(ステップ108)。また、縮小・拡大処理部57は、作業用メモリ56に格納された描画データに対して縦横それぞれのサイズを2倍にする拡大処理を行い、拡大処理後の描画データを作業用メモリ55に格納する(ステップ110)。
【0036】
次に、縮小・拡大処理部57は、車両の走行速度が所定値以下か否かを判定する(ステップ111)。この判定は、地図画像をスクロールする速度の違いによる処理負担を考慮するためのものであり、最も簡単には車両が停車中か否か(この場合は所定値として0km/hが用いられる)が判定される。走行速度が所定値以下の場合には、ステップ111の判定において肯定判断が行われる。
【0037】
次に、縮小・拡大処理部57は、作業用メモリ55に格納された描画データに対して縦横それぞれのサイズを1/2にする縮小処理を行い、縮小処理後の描画データを作業用メモリ56に格納する(ステップ112)。また、縮小・拡大処理部57は、作業用メモリ56に格納された描画データに対して縦横それぞれのサイズを2倍にする拡大処理を行い、αブレンド処理部58は、この拡大処理後の描画データと、作業用メモリ55に格納されている描画データ(ステップ110において格納された描画データ)とを用いてαブレンド処理を行い、αブレンド処理後の描画データを作業用メモリ55に上書きする(ステップ114)。
【0038】
次に、あるいは、ステップ111の判定において否定判断が行われた場合(車両の走行速度が所定値よりも速い場合)にはその後、縮小・拡大処理部57は、作業用メモリ55に格納された描画データに対して縦横それぞれのサイズをN/2倍にする拡大処理を行い、αブレンド処理部58は、この拡大処理後の描画データと、フレームメモリ52に格納されている描画データ(ステップ100において初期化された描画データであって、ぼかし対象の背景オブジェクトに対応する位置に格納された描画データ)とを用いてαブレンド処理を行い、αブレンド処理後の描画データをフレームメモリ52に上書きする(ステップ116)。例えば、フレームメモリ52に格納されている描画データと、拡大処理後の描画データとのそれぞれの割合が8:2となるように合成するαブレンド処理が行われる。
【0039】
このようにして背景オブジェクトに対するぼかし処理が終了した後、その他のオブジェクト(ぼかし対象ではない背景画像のオブジェクトや文字・記号あるいは各種アイコン等)について描画処理が行われる(ステップ118)。
【0040】
このように、本実施形態のナビゲーション装置では、ポリゴンで構成された背景を描画する際に特定の背景オブジェクトについてぼかし処理が行われるため、間引きによって形状要素点の数が減った荒いポリゴンを用いた場合であっても、外形部分を示す多角形形状の角や直線状の輪郭が目立つことがなく、背景データを描画する際の不自然さを改善することができる。このため、本来確認したい道路の線などを識別しやすくなり、地図全体としての視認性を向上させることができる。
【0041】
また、背景オブジェクトに対応する画像情報に対して縮小・拡大を行うことにより、あるいは、縮小・拡大を複数回繰り返し行うことにより、さらには、背景オブジェクトに対応する画像情報と縮小・拡大後の画像情報とをαブレンド処理によって合成することによりぼかし処理を行っており、背景の輪郭を確実にぼかすことが可能となる。特に、大小異なる大きさの作業領域を有する作業用メモリ55、56を用いることにより、効率よく縮小・拡大を伴うぼかし処理を行うことができる。
【0042】
また、縮小・拡大の繰り返し回数を車両の走行速度に応じて変更している。具体的には、車両の走行速度が所定値以下(望ましくは速度が0km/hの停車中)の場合に繰り返し回数を2回とし、車両の走行速度が所定値を超える場合に繰り返し回数を1回としている。これにより、車両位置に応じた地図画像のスクロール等によって処理負担が大きい走行時(あるいは高速走行時)にはぼかし処理を行うことによる処理の負担を軽減することができ、処理負担が小さい停車時(あるいは低速走行時)にはぼかし処理によるぼかしの程度を高めて地図全体としての視認性をさらに向上させることができる。また、走行速度が所定値以下の場合の繰り返し回数「2」を3以上の複数回に変更してもよい。この場合には、ステップ112、114の動作を必要回数繰り返せばよい。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、背景オブジェクトの描画データを最初に1/N倍し、次に2倍したが(2倍する場合には、例えば同じ画素値を2回繰り返すことにより拡大処理を行うことができるため、拡大処理の負担を軽減することが可能となる)、2倍以外の値で拡大するようにしてもよい。例えば、N倍して元の描画データと同サイズに戻すようにしてもよい。
【0044】
また、上述した実施形態では、フレームメモリ52とは別に作業用メモリ55、56を備えるようにしたが、フレームメモリ52の一部を作業用メモリ55、56として用いるようにしてもよい。
【0045】
また、上述した実施形態では、ポリゴンで表された背景オブジェクトについてぼかし処理を行う場合について説明したが、ポリゴン以外で表された各種のオブジェクトについてぼかし処理を行う場合にも本発明を適用することができる。例えば、道路に沿って影画像を生成した後、この影画像についてぼかし処理を行うようにしてもよい。
【0046】
また、上述した実施形態では、図2のステップ116において、拡大処理後の描画データと、初期化された描画データとを用いてαブレンド処理を行うようにしたが、すでにステップ114においてαブレンド処理が行われている場合にはステップ116におけるαブレンド処理を省略して、拡大処理後の描画データをフレームメモリ52に上書きするようにしてもよい。また、ポリゴン演算部50とテクスチャ処理部51とを用いて、ぼかし対象の背景オブジェクトに対応する描画データを生成しておいて、この描画データと、拡大処理後の描画データとを用いてステップ116のαブレンド処理を行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
上述したように、本発明によれば、ポリゴンで構成された背景を描画する際にぼかし処理が行われるため、間引きによって形状要素点の数が減った荒いポリゴンを用いた場合であっても、外形部分を示す多角形形状の角や直線状の輪郭が目立つことがなく、背景データを描画する際の不自然さを改善することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 ナビゲーションコントローラ
3 地図データ記憶装置
6 表示装置
10 地図バッファ
12 地図読出制御部
14 地図描画部
20 車両位置計算部
40 表示処理部
50、53 ポリゴン演算部
51、54 テクスチャ処理部
52 フレームメモリ
55、56 作業用メモリ
57 縮小・拡大処理部
58 αブレンド処理部
59 文字・記号情報描画部
60 アイコン描画部
図1
図2
図3
図4