特許第6796253号(P6796253)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立金属株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6796253-接着フィルム及びフラット配線材 図000006
  • 特許6796253-接着フィルム及びフラット配線材 図000007
  • 特許6796253-接着フィルム及びフラット配線材 図000008
  • 特許6796253-接着フィルム及びフラット配線材 図000009
  • 特許6796253-接着フィルム及びフラット配線材 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796253
(24)【登録日】2020年11月18日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】接着フィルム及びフラット配線材
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/08 20060101AFI20201130BHJP
   H01B 17/56 20060101ALI20201130BHJP
   H01B 3/42 20060101ALI20201130BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20201130BHJP
   C09J 201/08 20060101ALI20201130BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20201130BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20201130BHJP
   C09J 175/06 20060101ALI20201130BHJP
   C09J 167/00 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   H01B7/08
   H01B17/56 A
   H01B3/42 F
   C09J7/30
   C09J201/08
   C09J11/06
   C09J11/04
   C09J175/06
   C09J167/00
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-255344(P2016-255344)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2017-186519(P2017-186519A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2019年9月13日
(31)【優先権主張番号】特願2016-75241(P2016-75241)
(32)【優先日】2016年4月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(72)【発明者】
【氏名】社内 大介
(72)【発明者】
【氏名】中山 明成
(72)【発明者】
【氏名】村上 賢一
(72)【発明者】
【氏名】笹田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山野辺 正伸
【審査官】 澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−084005(JP,A)
【文献】 特開2008−019375(JP,A)
【文献】 特開2004−051970(JP,A)
【文献】 特開2014−129544(JP,A)
【文献】 特開平03−179069(JP,A)
【文献】 特開2006−104344(JP,A)
【文献】 特開2014−114373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
H01B 3/16− 3/56
H01B 7/04− 7/16
H01B 17/56− 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体と、前記導体を挟み込むように設けられた接着フィルムとを備えるフラット配線材において、
前記接着フィルムは、樹脂フィルムと、前記樹脂フィルム上に設けられた接着剤層とを備え、
前記接着剤層は、溶媒に可溶で分子中に複数のカルボキシル基を有し、ガラス転移温度が100℃以下かつ酸価が5KOHmg/g以上である非晶性樹脂100質量部に対して、分子中に2個よりも多いエポキシ基を有し、エポキシ当量が300g/eq以下であるエポキシ樹脂を2質量部以上含む樹脂組成物からなり、前記樹脂組成物は、前記非晶性樹脂100質量部に対して、BET法による比表面積(m2/g)が90以上であるフィラー(A)を0.3質量部以上10質量部以下含むフラット配線材。
【請求項2】
前記樹脂組成物は、前記非晶性樹脂100質量部に対して、レーザー回折法による平均粒径(メジアン径)が1μm以上10μm以下であるフィラー(B)を5質量部以上150質量部以下含む請求項1に記載のフラット配線材
【請求項3】
前記非晶性樹脂は、飽和ポリエステル樹脂及びポリエステルウレタン樹脂から選ばれる1種以上である請求項1又は2に記載のフラット配線材
【請求項4】
前記樹脂フィルムは、ポリイミドフィルムである請求項1〜のいずれか1項に記載のフラット配線材
【請求項5】
前記請求項1〜のいずれか1項に記載の接着フィルムにおいて、前記樹脂組成物は、更に難燃剤を含み、前記難燃剤の比重は、1.5以下であることを特徴とするフラット配線材
【請求項6】
前記請求項に記載の接着フィルムにおいて、
前記非晶性樹脂及び前記エポキシ樹脂は透明な材料からなり、前記難燃剤は、ジエチルホスフィン酸アルミニウムからなることを特徴とするフラット配線材
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着フィルム及びフラット配線材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フラットケーブル、フレキシブルフラットケーブル及びMFJ(Multi Frame Joiner)に代表されるフラット配線材は、薄くて軽いという特徴を活かし、電気・電子機器や自動車の配線材として、広く用いられている。
【0003】
フラットケーブルは、例えば、図2に示すように、2枚の接着フィルムの間に断面が平角状の導体を複数本、並べて挟み、加熱させたロールを用いて連続的に加熱、加圧し、一体化することにより製造している。
【0004】
フラットケーブルの構成要素として使用される接着フィルムは、例えば、図1に示すように、基材となる樹脂フィルム上に接着剤層が形成されたものである。
【0005】
フラットケーブルは、多くの場合、端子部に嵌合するコネクタを介してデバイスに接続される。その際、端子部はコネクタから常時圧力が加わる。この状態で、接着剤層を構成する接着剤の軟化温度を超える高温環境に置かれると、端子部において、コネクタから受ける圧力により接着剤が流動し、接着剤層が薄くなったり、端子部の導体が浮いたりする
。その結果、コネクタと端子部の接触が不安定になり、機器の動作に支障をきたす恐れがある。
【0006】
フラットケーブルを高温環境で使用するために、耐熱性を付与する方法として、例えば、特定の結晶性のポリエステル樹脂及び特定の有機溶剤からなる接着層を用いる方法が開示されている(特許文献1参照)。また、接着層を存在させないでポリカーボネートを主成分とするフィルムを直接融着する方法が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−74172号公報
【特許文献2】特開2006−286389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電気・電子機器の高密度実装化や自動車用配線材としての適用拡大に伴い、フラットケーブルに代表されるフラット配線材には従来よりも更に高温の環境で使用できることが求められている。例えば、自動車のエンジンルームなどで使用される場合には、150℃程度の高温環境でフラット配線材が使用されることがある。
【0009】
上記したような更なる高温環境で使用される場合、上記特許文献1に記載されるような結晶性のポリエステル樹脂を接着剤に用いたフラットケーブルでは、接着剤の持つ融点やガラス転移温度といった軟化温度を超えてしまい、極端に流動性が高くなってしまう。そのため、このような高温環境で使用するには不向きである。
【0010】
また、結晶の融点やガラス転移温度が使用環境よりも極端に高い樹脂を選択すると、熱ロールによる加工性が損なわれ、生産性が低くなることが懸念されるため、結晶の融点やガラス転移温度が高い樹脂を選択することにより耐熱性を付与する方法は好ましくない。
【0011】
従って、本発明の目的は、フラット配線材が高温環境で使用される際に、高温環境でコネクタからの圧力がかかった状態においても流動しにくい接着剤層を備えた接着フィルム及び当該接着フィルムを用いたフラット配線材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、高温環境(例えば150℃程度の環境)で使用する際に、上記の方法以外の方法で接着剤層の流動性を抑える方法として、接着剤を架橋することに着目し、そして、この方法によって作製されたフラット配線材に使用されている接着剤層を熱機械分析(TMA)による軟化温度試験で評価すると、軟化温度を超えた後でも、TMA装置の検出棒(プローブ)が接着剤層を貫通しないことを見出した。なお、本発明において、接着フィルムの接着剤層の高温環境における流動し難さを評価する方法としては、熱機械分析(TMA)による軟化温度試験方法を採用すると簡便に評価することが出来る。また、接着フィルムの軟化温度を測る手法としては、日本工業規格に規定のJIS K7196「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」がある。
【0013】
本発明は、上記目的を達成するために、下記接着フィルム及びフラット配線材を提供する。
【0014】
[1]樹脂フィルムと、前記樹脂フィルム上に設けられた接着剤層とを備え、前記接着剤層は、溶媒に可溶で分子中に複数のカルボキシル基を有し、ガラス転移温度が100℃以下かつ酸価が5KOHmg/g以上である非晶性樹脂100質量部に対して、分子中に2個よりも多いエポキシ基を有し、エポキシ当量が300g/eq以下であるエポキシ樹脂を2質量部以上含む樹脂組成物からなる接着フィルム。
[2]前記樹脂組成物は、前記非晶性樹脂100質量部に対して、BET法による比表面積(m2/g)が90以上であるフィラー(A)を0.3質量部以上10質量部以下含む前記[1]に記載の接着フィルム。
[3]前記樹脂組成物は、前記非晶性樹脂100質量部に対して、レーザー回折法による平均粒径(メジアン径)が1μm以上10μm以下であるフィラー(B)を5質量部以上150質量部以下含む前記[1]又は前記[2]に記載の接着フィルム。
[4]前記非晶性樹脂は、ポリエステル樹脂及びポリエステルウレタン樹脂から選ばれる1種以上である前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の接着フィルム。
[5]前記樹脂フィルムは、ポリイミドフィルムである前記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の接着フィルム。
[6]前記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の接着フィルムにおいて、前記樹脂組成物は、更に難燃剤を含み、前記難燃剤の比重は、1.5以下であることを特徴とする接着フィルム。
[7]前記[6]に記載の接着フィルムにおいて、前記非晶性樹脂及び前記エポキシ樹脂は透明な材料からなり、前記難燃剤は、ジエチルホスフィン酸アルミニウムからなることを特徴とする接着フィルム。
[8]導体と、前記導体を挟み込むように設けられた接着フィルムとを備え、前記接着フィルムは、樹脂フィルムと、前記樹脂フィルム上に設けられた接着剤層とを備え、前記接着剤層は、非晶性樹脂が有するカルボキシル基とエポキシ樹脂が有するエポキシ基との反応からなる架橋構造を有し、JIS K7196によって得られるTMA曲線(ただし、検出棒の先端の圧子の直径が0.5mm、荷重が0.5N、昇温速度が5℃/分)において、200℃のときに前記接着剤層の厚さに対して前記検出棒が侵入する割合が50%以内であるフラット配線材。
[9]前記接着剤層は、溶媒に可溶で分子中に複数のカルボキシル基を有し、ガラス転移温度が100℃以下かつ酸価が5KOHmg/g以上である非晶性樹脂100質量部に対して、分子中に2個よりも多いエポキシ基を有し、エポキシ当量が300g/eq以下であるエポキシ樹脂を2質量部以上含む樹脂組成物からなる前記[8]に記載のフラット配線材。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、フラット配線材が高温環境で使用される際に、高温環境でコネクタからの圧力がかかった状態においても流動しにくい接着剤層を備えた接着フィルム及び当該接着フィルムを用いたフラット配線材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る接着フィルムの一例を示す断面図である。
図2】本発明の実施の形態に係るフラットケーブルの一例を示す断面図である。
図3】接着剤層の厚さが30μmで架橋していない接着フィルムのTMA曲線を示す図である。
図4】接着剤層の厚さが30μmで架橋した接着フィルムのTMA曲線を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係るMFJの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔接着フィルム〕
図1は、本発明の実施の形態に係る接着フィルムの一例を示す断面図である。以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1に示される本発明の実施の形態に係る接着フィルム10は、樹脂フィルム1と、樹脂フィルム1上に設けられた接着剤層2とを備え、接着剤層2は、溶媒に可溶で分子中に複数のカルボキシル基を有し、ガラス転移温度が100℃以下かつ酸価が5KOHmg/g以上である非晶性樹脂100質量部に対して、分子中に2個よりも多いエポキシ基を有し、エポキシ当量が300g/eq以下であるエポキシ樹脂を2質量部以上30質量部以下含む樹脂組成物からなる。
【0019】
特に、非晶性樹脂の酸価が5KOHmg/g以上で、かつ、エポキシ樹脂が分子中に2個よりも多いエポキシ基を有し、エポキシ当量が300g/eq以下であることにより、例えば、自動車のエンジンルームなどで使用される場合に、150℃程度の高温環境にフラット配線材が曝されても流動しにくい接着剤層2を得ることができる。
【0020】
(樹脂フィルム1)
接着フィルム10の基材となる樹脂フィルム1としては、種々のフィルムを使用可能であるが、耐熱性と難燃性に優れたポリイミドフィルムが特に好ましい。
【0021】
ポリイミドフィルムとして、東レ・デュポン製の商品名:カプトン(登録商標)、宇部興産製の商品名:ユーピレックス(登録商標)、カネカ製の商品名:アピカル(登録商標)を挙げることが出来る。これらの中で、強度と伸びのバランスが取れたカプトン(登録商標)が好ましい。
【0022】
使用環境が、連続で150℃を超えるような環境では、ポリイミドフィルムなどの高温環境での耐久性の高い樹脂フィルムを用いることが必要であるが、ここまでの耐熱性が不要の場合には、コストを抑えるため、高価なポリイミド以外の樹脂フィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フ
ィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルムを適用することが出来る。
【0023】
樹脂フィルム1の厚さは、9μm〜100μmが好ましく、12μm〜50μmがより好ましい。9μm以上であると強度と耐圧が不十分であり、100μm以内であるとフラットケーブルとしての柔軟性を確保できるためである。
【0024】
(接着剤層2)
(1)非晶性樹脂
接着剤層2の形成に使用される樹脂組成物は、溶媒に可溶で分子中に複数のカルボキシル基を有し、ガラス転移温度が100℃以下かつ酸価が5KOHmg/g以上である非晶性樹脂をベース樹脂として含む。
【0025】
樹脂フィルム1上への接着剤層2の形成は、高速で連続的な作業が可能なウェットコーティングによって行われるため、ベース樹脂は、溶媒に可溶である必要がある。
【0026】
溶媒としては、メチルエチルケトンやトルエンなどの沸点が75〜120℃の汎用溶媒が特に好ましい。沸点が75℃以上の溶媒を使用すると、室温でも気化する量が適量であり、作業環境を悪化させることがなく、また、沸点が120℃以下の溶媒を使用すると、乾燥温度も高くなりすぎず、乾燥中に加水分解が進んだり、乾燥後に接着フィルムがカールしたりする懸念がない。
【0027】
非晶性樹脂は、分子中に複数のカルボキシル基を有する。複数のカルボキシル基は、後述するエポキシ樹脂のエポキシ基と架橋構造を形成する。カルボキシル基の数は、非晶性樹脂1分子中に3個以上であることが好ましい。
【0028】
また、一般的に、フラット配線材は熱ロールを用いた連続ラミネート加工により成形され、その加工温度は、ベース樹脂のガラス転移温度よりも高い温度で行われる。そのため、ガラス転移温度が100℃を超えてくると、ラミネートロールの材質によっては長期寿命性が損なわれる可能性があり、非晶性樹脂は、ガラス転移温度が100℃以下の樹脂を用いることが好ましい。
【0029】
また、非晶性樹脂は、分子量が10,000以上であることが好ましい。分子量がこの範囲であることにより、接着剤層の形状をより一層保持しやすくすることができる。
【0030】
更に、非晶性樹脂として、酸価が5KOHmg/g以上である樹脂を用い、より好ましくは、酸価が10KOHmg/g以上である樹脂を用いるのが良い。
【0031】
上記条件を満たす非晶性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂が挙げられ、好適なものとして、飽和ポリエステル樹脂やポリエステルウレタン樹脂を挙げることが出来る。これらは単独で使用しても併用しても良い。
【0032】
飽和ポリエステル樹脂の例としては、東洋紡製のバイロン(登録商標)シリーズ、ユニチカ製のエリーテル(登録商標)シリーズ、日本合成化学工業製のポリエスター(登録商標)、日立化成製のエスペル(登録商標)9940系を挙げることが出来る。
【0033】
ポリエステルウレタン樹脂の例としては、東洋紡製のバイロン(登録商標)URシリーズを挙げることが出来る。
【0034】
(2)エポキシ樹脂
接着剤層2の形成に使用される樹脂組成物は、分子中に2個よりも多いエポキシ基を有し、エポキシ当量が300g/eq以下であるエポキシ樹脂を、上記非晶性樹脂100質量部に対して2質量部以上の配合割合で含む。2質量部よりも少ないと、架橋度が不足する。非晶性樹脂の酸当量とエポキシ樹脂のエポキシ当量にもよるが、30質量部よりも多いと、過剰添加分は硬化に寄与せず意味がないため、上記エポキシ樹脂を上記非晶性樹脂100質量部に対して2質量部以上30質量部以下、より好ましくは3質量部以上30質量部以下含むことが好ましい。
【0035】
分子中に2個よりも多いエポキシ基を含むエポキシ樹脂の形態としては、三官能型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、グリシジルアミン型、パラアミノフェノール型、トリスフェノールメタン型、テトラフェニルエタン型、ジシクロペンタジエン型、四官能ナフタレン型を挙げることが出来る。
【0036】
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、300g/eq以下である必要がある。好ましくは、260以下であり、より好ましくは、220以下である。
【0037】
上記条件を満たすエポキシ樹脂の例としては、三菱化学製の多官能タイプのエポキシ樹脂(グレード:152、154、157S70、1031S、1032H60、604、630など)を挙げることが出来る。なお、「多官能タイプのエポキシ樹脂」とは、分子中に2個よりも多いエポキシ基を有するエポキシ樹脂を意味する。
【0038】
(3)フィラー(A)
接着剤層2の形成に使用される樹脂組成物は、必要に応じてBET法による比表面積(m2/g)が90以上であるフィラー(A)を上記非晶性樹脂100質量部に対して0.3質量部以上10質量部以下含んでいてもよい。BET法による比表面積(m2/g)が90以上であるフィラー(A)を塗料に添加することにより、樹脂組成物の粘度を高くすることが出来る。0.3質量部より少ないと、樹脂組成物の粘度の増粘効果が得られず、特に接着剤層2を厚めにする際に安定した樹脂組成物の塗布が出来なくなる場合がある。10質量部よりも多いと、樹脂組成物の粘度が著しく上昇し、かえって加工性が悪くなる。
【0039】
上記を満たすフィラー(A)の例としては、合成シリカであるEVONIK製のAEROSIL(登録商標)シリーズ、旭化成ワッカーシリコーン製のHDK(登録商標)シリーズを挙げることが出来る。
【0040】
(4)フィラー(B)
さらに、接着剤層2の形成に使用される樹脂組成物は、必要に応じてレーザー回折法による平均粒径(メジアン径)が1μm以上10μm以下のフィラー(B)を上記非晶性樹脂100質量部に対して5質量部以上150質量部以下の配合割合で含むことが出来る。
【0041】
接着フィルム10の接着剤層2に、フィラー(B)が含有されている場合、接着剤層2の表面の滑り性が良く、接着フィルム10を形成するときの接着フィルム10の巻き取り時に空気を抱き込みにくくできるため、接着フィルム10のハンドリング性が良くなる。フィラー(B)を添加しない場合、接着フィルム10の接着剤層2の表面にセパレーター
となるフィルムを施し、接着剤層2の表面の滑り性を確保することもできる。
【0042】
樹脂フィルム1として不燃性のポリイミドフィルムを用いる場合、接着剤層2に難燃性を付与する必要はないが、ポリイミド以外の樹脂フィルムを適用する場合、接着剤層2に難燃性を持たせることが必要となる。すなわち、フィラー(B)として、難燃剤を添加し、接着フィルム10に難燃性を付与することも可能である。
【0043】
難燃剤を用いる場合、難燃性が特に高い、塩素系難燃剤、臭素系難燃剤、三酸化アンチモン、金属水酸化物、メラミンシアヌレート、リン系難燃剤の単体、又はこれらの組み合わせを用いると、少ない添加量で高い難燃性を付与できる。
【0044】
接着剤層の形成に用いられる接着剤塗料中の難燃剤は、樹脂フィルムに接着剤塗料を塗布する前工程で接着剤塗料の保管中に沈降しやすい傾向があるため、接着剤塗料の保管時に難燃剤の沈降が遅くポットライフが長いものが望まれる。かかる作用を実現するために、難燃剤として、その比重がベース樹脂である非晶性樹脂の比重に近いものと選定することが望ましい。非晶性樹脂として、飽和ポリエステル樹脂及びポリエステルウレタン樹脂を用いる場合、その比重は、1.1〜1.3程度であることを考慮すると、接着剤塗料中で沈殿しない為には、難燃剤の比重は、1.5以下1.0以上であることが望ましい。
【0045】
また、難燃剤の粒子径が大きいと接着フィルム及びこれを用いる配線部品の機械的特性を損なうおそれがある。そのため、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定による平均粒子径(d50)が5μm以下のものを用いることが望ましい。このような難燃剤として、Clariant製のExolit OP900シリーズを挙げることが出来る。
【0046】
また、高い難燃性を付与するために多量の難燃剤を添加すると難燃剤のもつ隠蔽性により、接着フィルムの透明性が失われるおそれがある。外側から配線部品内部の異常を発見する観点から、透明性を有することが望ましい。そのため、非晶性樹脂及びエポキシ樹脂は透明なものを使用することが望ましく、難燃剤も透明性の高いものが望ましい。このような難燃剤として、例えば、ジエチルホスフィン酸アルミニウムを用いることができる。ここに「透明」には、外側から配線部品内部の異常を発見することができる作用を実現することができうる限りにおいて半透明のようなものを含む。
【0047】
(5)層厚
樹脂フィルム1上に形成する接着剤層2の厚さは、使用する導体3の厚さに応じて変えるが、12μm〜75μmが好ましく、18μm〜50μmがより好ましい。12μm以上であると、フラットケーブルを製造する際に導体3の周囲を隙間なく埋めることができ、75μm以下であると、ラミネート時の接着剤のはみ出すことがない。さらにウェットコーティングも良好である。
【0048】
(製造方法)
接着フィルム10は、基材となる樹脂フィルム1の片面上にウェットコーティングにより接着剤層2を形成することにより作成される。具体的には以下の通りである。
(1)前述の非晶性樹脂を溶媒に溶かし、前述のエポキシ樹脂を添加して接着剤塗料を得る。必要に応じ、フィラー(A)、フィラー(B)、難燃剤、酸化防止剤、着色剤、銅害防止剤、レべリング剤等を添加する。
(2)この接着剤塗料を樹脂フィルム1上に塗布、乾燥し、接着剤層2を形成させて、接着フィルム10を作製する。なお、接着フィルム10を加熱すると、カルボキシル基とエポキシ基が反応し、架橋構造が形成される。
【0049】
(本発明の実施の形態の効果)
本発明の実施の形態に係る接着フィルム10は、加熱によりカルボキシル基とエポキシ基が反応し、架橋構造が形成される。この架橋構造により、高温環境でコネクタからの圧力がかかっても接着剤層が流動し難くなる。
【0050】
また、本発明の実施の形態に係る接着フィルム10は、カルボキシル基とエポキシ基の反応が室温環境下では、ほとんど進まないため、室温環境において長期(例えば1か月程度)保存することが可能となる。すなわち、接着フィルムの保存性が短いということがない。
【0051】
また、本発明の実施の形態に係る接着フィルム10は、冷蔵保存することにより長期(例えば6か月程度)保存することが可能となる。
【0052】
さらに、本発明の実施の形態によれば、ポリオレフィン樹脂を電子線照射により架橋する場合とは異なり、汎用の有機溶媒に溶ける樹脂を採用したため、ウェットコーティングによる高速での接着フィルム10の作製ができ、生産性が非常に高い。
【0053】
また、接着剤層2に難燃剤を添加することで、接着フィルム10に難燃性を付与することができる。
【0054】
難燃剤の比重が1.5以下のものを用いることにより、樹脂フィルムに接着剤塗料を塗布する前工程における接着剤塗料の保管時に難燃剤の沈降が遅くポットライフが長くすることができる。
【0055】
非晶性樹脂及びエポキシ樹脂として透明なものを使用し、難燃剤としてジエチルホスフィン酸アルミニウムを用いることにより、接着フィルムの透明性を確保でき、外側からフラット配線材内部の異常を発見することができる。
【0056】
本発明の実施の形態に係る接着フィルム10は、例えば、フラットケーブルやMFJ(Multi Frame Joiner)等のフラット配線材に適用することができる。
【0057】
〔フラット配線材〕
図2は、本発明の実施の形態に係るフラットケーブルの一例を示す断面図である。図5は、本発明の実施の形態に係るMFJの一例を示す断面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0058】
図2に示される本発明の実施の形態に係るフラットケーブル20は、導体3と、導体3を挟み込むように設けられた本発明の実施の形態に係る上記接着フィルム10とを備える。接着フィルム10は、前述の通り、樹脂フィルム1と、樹脂フィルム1上に設けられた接着剤層2とを備える。
図5に示される本発明の実施の形態に係るMFJ30は、上下方向に互いに電気的に接続された複数の導体3を有し、複数の導体3の夫々を挟み込むように設けられた本発明の実施の形態に係る上記接着フィルム10とを備える。
【0059】
接着剤層2は、非晶性樹脂が有するカルボキシル基とエポキシ樹脂が有するエポキシ基との反応からなる架橋構造を有し、JIS K7196によって得られるTMA曲線(ただし、検出棒の先端の圧子の直径が0.5mm、荷重が0.5N、昇温速度が5℃/分)において、200℃のときに接着剤層2の厚さに対して上記検出棒が侵入する割合が50%以内である。上記検出棒が侵入する割合は、40%以内であることが好ましく、30%以内であることがより好ましく、25%以内であることが更に好ましい。
【0060】
なお、本実施の形態においては、接着フィルム10として、本発明の実施の形態に係る前述の接着フィルム10を用いているが、接着剤層2が上記架橋構造を有し、上記条件における検出棒が侵入する割合が50%以内であれば、これに限られない。
【0061】
接着剤層2の上記架橋構造は、フラットケーブル20及びMFJの製造工程における加熱によりカルボキシル基とエポキシ基が反応して形成される。
【0062】
導体3の材質としては、銅、軟銅、銀、アルミニウムなどが挙げられる。また、耐熱性を向上させるため、これらの表面には錫めっき、ニッケルめっき、銀めっき、金めっきなどが施されていてもよい。また、導体3は、平角状、円形状等、種々の断面形状のものを採用し得るが、図2に示す実施形態で採用している平角状の導体が好適である。
【0063】
フラットケーブル20は、2枚の接着フィルム10の接着剤層2の間に、並行に並べた複数本の導体3を挟み込み、ラミネート加工により一体化することで製造できる。MFJは、樹脂フィルム1の両面に接着剤層2を備えた接着フィルムの夫々に導体を配し、導体を挟み込むように接着フィルムをラミネート加工により一体化し、導体間を電気的に接続することにより製造することができる。
【0064】
なお、本発明の実施の形態に係るフラットケーブルは、複数本の導体3を用いるものとして説明したが、導体の本数については特に制限がなく、1本の単線からなる導体であってもよい。
【実施例】
【0065】
以下に、本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0066】
(1)接着剤塗料の調製
実施例1〜4及び比較例1〜4については、150質量部の溶媒に100質量部の表1〜2に記載のベース樹脂(非晶性樹脂)を溶解させた。その後、所定の組成で表1〜2に記載の各成分を添加し、粘度が高すぎる場合は溶媒を追加し、接着剤塗料を調製した。但し、実施例2〜4について、下記(3)のTMA耐久性評価用接着フィルムの作製に用いる接着剤塗料には、フィラー(A)及びフィラー(B)を添加しなかった。また、実施例5〜9及び比較例5及び6については、300質量部の溶媒に100質量部の表3〜4に記載のベース樹脂(非晶性樹脂)を溶解させた。その後、所定の組成で表3〜4に記載の各成分を添加し、粘度が高すぎる場合は溶媒を追加し、接着剤塗料を調製した。溶媒としては、メチルエチルケトンとトルエンを単独で、もしくはこれらを任意の割合で混合して用いた。
【0067】
(2)接着フィルムの作製
樹脂フィルム上に上記(1)で調製した接着剤塗料を滴下し、所定のギャップを有するアプリケーターを用いて塗布した。熱風オーブンを用いて、100〜130℃の温度で10分乾燥し、接着剤層を形成させ、接着フィルムを作製した。乾燥温度は、メチルエチルケトンとトルエンの割合に応じ、選択した。
【0068】
(3)TMAによる接着剤層の軟化挙動評価(TMA耐久性)
(2)で作製した接着フィルムを熱風オーブンで、145℃で180分加熱することで架橋させ、TMA耐久性評価用接着フィルムを作製した。尚、樹脂フィルムとしてPETフィルムを用いる実施例5〜7及び比較例5及び6については、120℃で8時間加熱することで架橋させた。接着フィルムの軟化温度を測る手法として、日本工業規格にて、JIS K7196「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」が規定されている。これに準拠し、接着フィルムの評価を行った。
なお、後述する図3〜4に示すTMA耐久性の測定例において、接着フィルムの接着剤層は、実施例2〜4と同様に、フィラー(A)、フィラー(B)を添加せず、ベース樹脂とエポキシ樹脂のみで構成された樹脂組成物を用いた。フィラー(A)やフィラー(B)が樹脂組成物に存在するサンプルでTMA耐久性を評価することもできるが、フィラー(
A)やフィラー(B)が樹脂組成物に存在することで検出棒(プローブ)が侵入しにくくなると考えられるため、これらを含有しないサンプル、すなわち、最も過酷な条件(プローブが最も侵入しやすい条件)のサンプルでTMA耐久性を評価することとした。当該サンプルにてプローブの侵入量が50%以内であれば、フィラー(A)やフィラー(B)を含有させてもプローブの侵入量は50%以内となる。
【0069】
装置はRigaku社製Thermo EVO IIを用い、針入モードのTMA曲線(横軸に温度、縦軸に変形量)で評価した。検出棒(プローブ)の先端の圧子の直径は0.5mm、荷重は0.5N、昇温速度は5℃/分とした。測定温度は、室温から200℃までとした。
【0070】
接着剤層が架橋されていない接着フィルムの測定では、非晶性樹脂のガラス転移温度を超えると急激に接着剤層の軟化が進み、接着剤の厚さまでプローブが侵入し、接着剤層を貫通した。測定例を図3に示す。
【0071】
図3は、接着剤層の厚さが30μmで架橋していない接着フィルムのTMA曲線を示したものである。縦軸は、プローブの侵入量(μm)、横軸は、温度(℃)である。60℃を超えたところから軟化が進み、130℃付近で侵入量が30μmに到達し、貫通していることが分かる。
【0072】
一方、接着剤層が架橋されている接着フィルムの測定では、非晶性樹脂のガラス転移温度を超えて軟化しても、接着剤層の厚さまでプローブは侵入せず、接着剤層を貫通することは無かった。測定例を図4に示す。
【0073】
図4は、接着剤層の厚さが30μmで架橋した接着フィルムのTMA曲線を示したものである。縦軸及び横軸は図3と同じである。最大で2μmほどプローブが接着剤層へ侵入しているが、温度が上がって行っても侵入する量がほとんど変化していないことが分かる。これは、架橋により、接着剤層のベース樹脂が流動しにくくなったためである。
【0074】
架橋した接着フィルムの接着剤層の厚さに対して、TMAで200℃まで測定した際にプローブが侵入した割合をTMA耐久性として評価した。200℃において、プローブが侵入した割合が、50%以内のものは○(合格)、50%を超えたものは×(不合格)とした。評価結果を表1及び表2に示す。
【0075】
(4)塗料の保存性評価
実施例5〜9及び比較例5及び6については、接着剤塗料に難燃剤を分散した後、この接着剤塗料をガラス容器に封入し、室温で8時間静置後の難燃剤の沈降を評価した。難燃剤の著しい沈降が認められなかったものを合格(○)とした。著しい沈降がみとめられたものを不合格(×)とした。
【0076】
(5)透明性評価
実施例5~9及び比較例5及び6については、作製した接着フィルムの光透過率を評価した。透過率30%以上を合格(○)とした。透過率30%未満を不合格(×)とした。
【0077】
(6)難燃性評価
実施例5~9及び比較例5及び6については、その難燃性をUL94VTMにより評価した。VTM-2を満たしたものを合格(○)とした。満たさなかったものを不合格(×)とした。
【0078】
(7)導体の準備
厚さ35μm、幅300μmの平角状の導体の表面に0.1μmのNiめっき層を電気めっきにより形成させた。このめっきで被覆された導体をUVオゾン処理で5分洗浄した。
【0079】
(8)初期サンプルと耐熱性評価サンプルの作製
上記(2)で作製した接着フィルムの接着剤層上に上記(7)で得た導体を複数並べ、160℃、1MPaの条件で30秒加圧し接着させ貼り合せた。さらに、熱風オーブンで、145℃で180分加熱することで架橋させ、初期サンプルを作製した。また、初期サンプルを180℃で400時間、熱老化したものを耐熱性評価サンプルとした。
【0080】
(9)初期接着力、耐熱接着力の評価
上記(8)で作製したサンプルの導体と接着フィルム間の接着力を180°剥離試験で評価した。測定条件は、23℃、RH50%の環境で、引張速度50mm/分で行った。初期サンプルの接着力は、0.7N/mm以上を○(合格)、0.7N/mm未満を×(不合格)とした。実施例1~4及び比較例1~4については、耐熱接着力の評価を実施した。耐熱性評価サンプルの接着力は、0.5N/mm以上を○(合格)、0.5N/mm未満を×(不合格)とした。評価結果を表1及び表2に示す。
【0081】
(使用した材料)
<ベース樹脂(非晶性樹脂)>
・バイロン(登録商標)GK150(東洋紡製)〔溶媒可溶性、ガラス転移温度:20℃、分子量:13,000、酸価:5KOHmg/g〕
・バイロン(登録商標)UR3500(東洋紡製)〔溶媒可溶性、ガラス転移温度:10℃、分子量:40,000、酸価:35KOHmg/g〕
・バイロン(登録商標)500(東洋紡製)〔溶媒可溶性、ガラス転移温度:4℃、分子量:23,000、酸価:2KOHmg/g未満〕
・バイロン(登録商標)GK890(東洋紡製)〔溶媒可溶性、ガラス転移温度:17℃、分子量:11,000、酸価:5KOHmg/g〕
【0082】
<エポキシ樹脂>
・1032H60(多官能タイプ)(三菱化学製)〔トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、エポキシ当量:163〜175g/eq〕
・1031S(多官能タイプ)(三菱化学製)〔テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、エポキシ当量:180〜220g/eq〕
・154(多官能タイプ)(三菱化学製)〔フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量:176〜180g/eq〕
・1001(2官能タイプ)(三菱化学製)〔ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:450〜500g/eq〕
ここで、「2官能タイプ」とは、エポキシ樹脂が2個のエポキシ基を有することを意味する。
【0083】
<フィラー(A)>
・疎水性フュームドシリカであるAEROSIL(登録商標)R972(EVONIK製)〔BET比表面積:110m2/g〕
<フィラー(B)>
・臭素系難燃剤であるSAYTEX(登録商標)8010(ALBEMARLE製)〔平均粒径:5.6μm〕
・リン系難燃剤であるExolit OP930 (Clariant製)〔平均粒径(d50):3μm、比重1.35〕
・リン系難燃剤であるExolit OP935 (Clariant製)〔平均粒径(d50):3.5μm、比重1.35〕
・臭素系難燃剤であるSaytex8010(Albemarle製)〔平均粒径:3.5μm、比重3.25〕
・金属水酸化物系難燃剤であるキスマ5A(協和化学工業製)〔平均粒径:0.94μm、比重2.3〕
・窒素系難燃剤であるMC−2010N(堺化学工業製)〔平均粒径:3μm、比重1.7〕
【0084】
<樹脂フィルム>
・ポリイミドフィルムであるカプトン(登録商標)100V(東レ・デュポン製)
・ポリエチレンナフタレートフィルムであるテオネックス(登録商標)Q83(帝人デュポンフィルム製)
・ポリエチレンテレフタレートであるルミラー(登録商標)S10(東レ製)
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
実施例1〜4は、TMA耐久性、初期接着力、耐熱接着力において、いずれも良好な結果を得られた。また、実施例5~9は、塗料保存性、初期接着力、難燃性、透明性、TMA耐久性いずれも良好な結果を得られた。
特に、実施例1〜9では、TMA耐久性が良好である(つまり、200℃におけるプローブの侵入割合が50%以内である)ため、実施例1〜9で作製したサンプルの端子部にコネクタを嵌合させ、端子部がコネクタから常時圧力が加わる状態にして接着剤層の軟化温度を超える高温環境に置いた場合においても接着剤層が流動しにくく、接着剤層がうすくなったり、端子部の導体が浮いたり位置が変化したりしにくくすることができる。
【0089】
比較例1、2及び6は、エポキシ樹脂を使用しない例である。架橋構造が導入されないため、TMA耐久性が足りない。
比較例3は、エポキシ当量が、300g/eqを超える2官能エポキシ樹脂を用いた例である。架橋構造が少ないため、TMA耐久性が足りない。
比較例4及び5は、酸価が5KOHmg/g未満の非晶性樹脂を用いた例である。架橋構造が少ないため、TMA耐久性が足りない。
すなわち、比較例1〜6では、TMA耐久性が不足している(つまり、200℃におけるプローブの侵入割合が50%を超えている)ため、比較例1〜6で作製したサンプルの端子部にコネクタを嵌合させ、端子部がコネクタから常時圧力が加わる状態にして接着剤層の軟化温度を超える高温環境に置いた場合において、接着剤層が流動し、接着剤層がう
すくなったり、端子部の導体が浮いたり位置が変化したりする。
【0090】
なお、本発明は、上記実施の形態及び実施例に限定されず種々に変形実施が可能である。例えば、接着フィルム10は、接着剤層2に加えて別の接着剤層等を有していても良い。
【符号の説明】
【0091】
1:樹脂フィルム、2:接着剤層、3:導体
10:接着フィルム、20:フラットケーブル
30:MFJ
図1
図2
図3
図4
図5