特許第6802988号(P6802988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802988
(24)【登録日】2020年12月2日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】ブリスター包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/36 20060101AFI20201214BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   B65D75/36
   B65D77/20 H
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-71628(P2019-71628)
(22)【出願日】2019年4月3日
(62)【分割の表示】特願2015-2121(P2015-2121)の分割
【原出願日】2015年1月8日
(65)【公開番号】特開2019-104550(P2019-104550A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2019年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】河本 明子
(72)【発明者】
【氏名】辻本 隆亮
(72)【発明者】
【氏名】反保 雅博
(72)【発明者】
【氏名】柏原 健
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−142535(JP,A)
【文献】 特開2006−290438(JP,A)
【文献】 特開平10−230971(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/008061(WO,A1)
【文献】 実開昭62−132944(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/36
B65D 77/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最内層に熱接着性樹脂層を備えた積層体からなる蓋材と最内層に熱接着性樹脂層を備えた積層体からなり内容物収納部が形成された容器材とからなり、
蓋材及び容器材の前記熱接着性樹脂層同士を対向させて周縁に剥離可能な熱接着部が設けられた四角形状のブリスター包装体であって、
前記剥離可能な熱接着部が、一対の相対向する一方の端縁部に形成された第一熱接着部及び当該端縁部に直交し一対の相対向する他方の端縁部に形成された第二熱接着部を備え、
前記剥離可能な熱接着部が交差する角部の少なくとも一か所に前記蓋材及び前記容器材の前記熱接着性樹脂層同士が接着されていない第一剥離開始部が形成され、
前記第一剥離開始部が、前記角部から前記角部と隣り合う一方の端縁部の角部に向かって長く延びて形成されており、前記第一剥離開始部の長く伸びて形成された側の外縁に少なくとも前記蓋材を貫通する切込が設けられており、
前記切込が、Iノッチからなり、前記第一剥離開始部の長く伸びて形成された側の外縁から内側に向かって伸び、前記第一剥離開始部の長く伸びて形成された側の外郭線内側に接することなく、且つ、前記角部と隣り合ういずれか一方の角部側の前記第一剥離開始部の端縁より前記角部側に寄った位置に1つのみ設けられており、前記Iノッチと前記端縁との間に未熱接着部を有しており、
前記蓋材の積層体が前記熱接着性樹脂層と一軸延伸フィルムが積層されており、前記一軸延伸フィルムの延伸方向が、一対の前記一方の端縁部が相対向する方向と一致している構成であり、
前記第一剥離開始部の前記切込を引き裂き起点として前記蓋材を引き裂いたとき、
前記第一剥離開始部の長く伸びて形成された側の外郭線内側の前記第一熱接着部及び前記角部側の当該第一熱接着部に直交する前記第二熱接着部が剥離されることを特徴とするブリスター包装体。
【請求項2】
前記第一剥離開始部の長く伸びて形成された側の外郭線内側と、前記剥離開始部の短い側の外縁との角部に略三角形状の第二剥離開始部が、前記第一剥離開始部と連接して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のブリスター包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一軸延伸フィルムが積層された積層体からなる蓋材と容器材とからなり、周縁に剥離可能な熱接着部が設けられたブリスター包装体に関し、詳しくは一軸延伸フィルムの延伸方向と蓋材の剥離方向が一致している構成のブリスター包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スライスハム、スライスチーズ等のスライスした畜肉製品、乳製品、かに風味かまぼこ等の棒状魚肉ねり製品等の内容物を収納する、蓋材と柔軟な容器材からなり蓋材と容器材を周縁の熱接着部にて剥離可能に密封したブリスター包装体においては、容器材を圧空成形、真空成形、真空圧空成形等して内容物収納部と周縁にフランジ部を形成し、内容物を収納した後に、蓋材を被せて周縁をフランジ部と熱接着して密封する際に、剥離開始部となる角部を非熱接着部とした構成とされており、内容物を取り出すには、剥離開始部から蓋材と容器材の剥離を開始し、蓋材を全て剥がし取るか、蓋材を部分的に剥がし容器材と一部が一体となった状態で内容物を取り出すブリスター包装体が広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記の構成のブリスター包装体においては、蓋材を剥がし取ってしまうと内容物が収納部から飛び出してしまうので取扱いにくく、また、蓋材を部分的に剥がし容器材と一体となった状態では内容物を取出しにくく、蓋材がカールするので見栄えも良くないという問題があり、この問題を改良した包装形態として、蓋材と容器材を剥離させて蓋材に形成された切目線に沿って切り取り開封して取り出し口とすることができる形態が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
上記特許文献2に開示された蓋材の切目線は蓋材の厚さの範囲内の深さで蓋材を貫通しないように形成されているものであり、蓋材に切目線を形成する工程で蓋材の厚さにバラツキがあると深さに誤差を生じる恐れがあり、深いと蓋材の強度の低下やバリア性の低下を引き起こし、浅いと、蓋材が切目線に沿って切り取り難いという問題がある。また、切目線形成工程が別途必要となり、納期が長くなったり、コストアップになるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−205769号公報
【特許文献2】特開2003−40329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは蓋材に切目線を形成することなく、剥離開始部から蓋材と容器材の熱接着部を剥離させながら切込を起点として蓋材を開封し、取り出し口が形成できると共に蓋材と熱接着されたフランジ部や開封された蓋材のカールを抑制できるブリスター包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を達成するために、最内層に熱接着性樹脂層を備えた積層体からなる蓋材と最内層に熱接着性樹脂層を備えた積層体からなり内容物収納部が形成された容器材とからなり、蓋材及び容器材の前記熱接着性樹脂層同士を対向させて周縁に剥離可能な熱接着部が設けられた四角形状のブリスター包装体であって、前記剥離可能な熱接着部が、一対の相対向する一方の端縁部に形成された第一熱接着部及び当該端縁部に直交し一対の相対向する他方の端縁部に形成された第二熱接着部を備え、前記剥離可能な熱接着部が交差する角部の少なくとも一か所に前記蓋材及び前記容器材の前記熱接着性樹脂層同士が接着されていない第一剥離開始部が形成され、前記第一剥離開始部が、前記角部から前記角部と隣り合う一方の端縁部の角部に向かって長く延びて形成されており、前記第一剥離開始部の長く伸びて形成された側の外縁に少なくとも前記蓋材を貫通する切込が設けられており、前記切込が、Iノッチからなり、前記第一剥離開始部の長く伸びて形成された側の外縁から内側に向かって伸び、前記第一剥離開始部の長く伸びて形成された側の外郭線内側に接することなく、且つ、前記角部と隣り合ういずれか一方の角部側の前記第一剥離開始部の端縁より前記角部側に寄った位置に1つのみ設けられており、前記Iノッチと前記端縁との間に未熱接着部を有しており、前記蓋材の積層体が前記熱接着性樹脂層と一軸延伸フィルムが積層されており、前記一軸延伸フィルムの延伸方向が、一対の前記一方の端縁部が相対向する方向と一致している構成であり、前記第一剥離開始部の前記切込を引き裂き起点として前記蓋材を引き裂いたとき、前記第一剥離開始部の長く伸びて形成された側の外郭線内側の前記第一熱接着部及び前記角部側の当該第一熱接着部に直交する前記第二熱接着部が剥離されることを特徴とするブリスター包装体である。
【0008】
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のブリスター包装体において、前記第一剥離開始部の長く伸びて形成された側の外郭線内側と、前記剥離開始部の短い側の外縁との角部に略三角形状の第二剥離開始部が、前記第一剥離開始部と連接して設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のブリスター包装体は、最内層に熱接着性樹脂層を備えた積層体からなる蓋材と最内層に熱接着性樹脂層を備えた積層体からなり内容物収納部が形成された容器材とからなり、蓋材及び容器材の前記熱接着性樹脂層同士を対向させて周縁に剥離可能な熱接着部が設けられた四角形状のブリスター包装体であって、前記剥離可能な熱接着部が、一対の相対向する一方の端縁部及び当該端縁部に直交し一対の相対向する他方の端縁部に形成され、前記剥離可能な熱接着部が交差する角部の少なくとも一か所に前記蓋材及び前記容器材の前記熱接着性樹脂層同士が接着されていない第一剥離開始部が形成され、前記蓋材の積層体が前記熱接着性樹脂層と一軸延伸フィルムが積層されており、前記一軸延伸フィルムの延伸方向が、一対の前記一方の端縁部が相対向する方向または一対の前記他方の端縁部が相対向する方向と一致している構成とすることにより、熱接着部が形成されない第一剥離開始部から蓋材と容器材を摘まんで引っ張り、熱接着部を剥離させることにより開封でき、内容物を取り出すことができる。また、一軸延伸フィルムの延伸方向と交差して設けられた相対向する熱接着部の内、剥離した熱接着部と反対側の熱接着部を剥離しないで容器材と一体化した状態とすることにより、剥離開封された蓋材のカールが抑制されているので剥離開封された蓋材を元に戻すことができる。したがって、内容物を必要なだけ取り出した後、剥離開封された蓋材で再封することができる。また、蓋材と熱接着された容器材のフランジ部のカールが抑制されるので見栄えがよい。また、蓋材の積層体の表面に切目線が形成されていないので切目線を形成する工程が不要になる、蓋材の強度の低下やバリア性の低下がない、という効果がある。
【0011】
また、上記のブリスター包装体において、角部に形成された第一剥離開始部が、前記角部から前記角部と隣り合ういずれか一方の角部に向かって長く延びて形成されており、前記第一剥離開始部の長く伸びて形成された側の外縁に少なくとも前記蓋材を貫通する切込が設けられている構成とすることにより、蓋材を一軸延伸フィルムの延伸方向に引っ張り、熱接着部を剥離させながら、切込を起点として、延伸方向に沿って積層体が引裂かれ、部分的に開封ができ、例えば、内容物が複数枚のスライスハムや複数本のかに風味かまぼこが充填されている場合、必要な枚数を取り出し、残ったスライスハムやかに風味かまぼこは引裂き開封された蓋材で再び蓋をすることができるので一時保存に便利である。
【0012】
また、前記第一剥離開始部の長く伸びて形成された側の外郭線内側と、前記剥離開始部の短い側の外縁との角部に略三角形状の第二剥離開始部が、前記第一剥離開始部と連接して設けられている構成とすることにより、上記効果に加え、角部より対角の角部に向かって、蓋材を引っ張ることにより第二剥離開始部から熱接着部を剥離して全部開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るブリスター包装体の第一実施形態を示す平面図である。
図2図1のX−X線断面図である。
図3】本発明に係るブリスター包装体の第二実施形態を示す平面図である。
図4】本発明に係るブリスター包装体の参考形態を示す平面図である。
図5】第一実施形態の開封状態を示す平面図である。
図6】本発明に係るブリスター包装体の蓋材の積層体の積層構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明に係るブリスター包装体の第一実施形態を示す平面図、図2図1のX−X線断面図、図3は本発明に係るブリスター包装体の第二実施形態を示す平面図、図4は本発明に係るブリスター包装体の参考形態を示す平面図、図5は第一実施形態の開封状態を示す平面図、図6は本発明に係るブリスター包装体の蓋材の積層体の積層構成例を示す断面図であり、図中の1、1’、1’’はブリスター包装体、2は熱接着部、3、3’’ は第一剥離開始部、3aは第一剥離開始部の長く伸びて形成された側の外郭線内側、3bは第一剥離開始部の外郭線の短い側の外縁、4は一方の端縁部、5は他方の端縁部、6、6’’は切込、7は第二剥離開始部、8は開口、9は内容物、10は蓋材、10aは引裂かれた蓋材、11、21は積層体、12は一軸延伸フィルム、13は中間層、14は熱接着性樹脂層、15はバリア層、16、17は接着層、20は容器材、22は内容物収納部、23はフランジ部、aは剥離開始部が設けられた角部、bは剥離開始部が設けられた角部に隣り合う角部をそれぞれ示す。
【0015】
図1は本発明に係るブリスター包装体の第一実施形態を示す平面図、図2図1のX−X線断面図である。図1に示すように本発明の第一実施形態は外郭形状が四角形状のブリスター包装体1であり、平坦な蓋材10と、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法等により熱成形され、中央部に内容物収納部22が形成され周縁に平坦なフランジ部23を備えた容器材20で構成されている。
【0016】
蓋材10を構成する積層体11及び容器材20を構成する積層体21の熱接着性樹脂層同士を対向させて容器材20の周縁に備えたフランジ部23で熱接着して剥離可能な熱接着部2が設けられている。
剥離可能な熱接着部2は、一対の相対向する一方の端縁部4、4及び当該端縁部4、4に直交し一対の相対向する他方の端縁部5、5に形成され、剥離可能な熱接着部2(4)、2(5)が交差する角部の一か所に第一剥離開始部3が形成されている。第一剥離開始部3は蓋材10を構成する積層体11及び容器材20を構成する積層体21の熱接着性樹脂層同士が接着されておらず分離した状態で形成され、蓋材10を容器材20から剥離する際、摘み部の役目を果たす。第一剥離開始部3は少なくとも一か所の角部に形成されていればよいものであるが、その他の角部にも形成することができる。図1には、熱接着部2を斜線、第一剥離開始部3を網点で蓋材10を透した状態で示し、第一剥離開始部3が上部左側の角部aに形成した例を示す。
【0017】
さらに、角部aに形成された第一剥離開始部3は、当該角部aから一方の端縁部4と他方の端縁部5とが交差し隣り合ういずれか一方の角部bに向かって長く延びる長方形状に形成されている。図1には第一剥離開始部3の長辺が一方の端縁部4に沿って形成されている例を示している。さらに、第一剥離開始部3の長辺が形成された一方の端縁部4の外縁に少なくとも蓋材10を貫通する切込6が設けられ、切込6は前記外縁から内側に向かって伸びており第一剥離開始部の長く伸びて形成された側の外郭線内側3aまでは至らず、上方の熱接着部2(4)に接していない。切込6を設ける位置は、剥離開始部3の角部b側の端縁より角部a側の端縁に向かって1〜5mmの範囲内に設けることが好ましく、1〜3mmの範囲内に設けることがより好ましい。また、切込6は、図1にはIノッチを示したが、Vノッチ、Uノッチ、亀甲ノッチ等も使用できる。なお、第一剥離開始部3の長く伸びて形成された側の外郭線内側3aは、直線に限定されるものではなく、曲線であってもよい。また、左側の他方の端縁部5に向かって下る斜線でもよい。
【0018】
第一実施形態のブリスター包装体1の断面形状は、図2に示すように平坦な蓋材10と、熱成形により中央部に凹状の内容物収納部22が形成された容器材20とが、内容物収納部22に例えば内容物9として複数枚のスライスハムが収納された後、フランジ部23で剥離可能に熱接着された熱接着部2により密封されている。
蓋材10の積層体11は、図2の円内に示す拡大図のとおり、一軸延伸フィルム12と、バリア層15を備えた熱接着性樹脂層14とが、バリア層15が一軸延伸フィルム12と対向するように接着層16を介して積層され一軸延伸フィルム12が表出するように熱接着性樹脂層14が容器材20と剥離可能に熱接着されている。
【0019】
図5は第一実施形態の開封状態を示す平面図である。図5に示すように第一実施形態のブリスター包装体1を開封方法は、第一剥離開始部3において分離した状態となっている蓋材10と容器材20を摘み、一方の端縁部4から相対向する端縁部4に向かい(図5の上下方向)蓋材10を引っ張りながら熱接着部2(4)及び熱接着部2(5)の内、図1の左側の熱接着部2(5)を剥離していくと、蓋材10は切込6を引裂き起点として蓋材10が引裂かれる。引裂かれる蓋材10は、一軸延伸フィルム12の延伸方向が一対の一方の端縁部4が相対向する方向(図5の上下方向)と一致させているので熱接着部2(5)と略平行に蓋材10が引裂かれ、下方の熱接着部2(4)の内縁に達すると引裂かれた蓋材10aを折り返すことにより、左側に開口8を形成することができる。開口8より内容物9を容易に取り出せる。必要数取出した後、引裂かれた蓋材10aを元の位置に戻すことにより開口8の再封が可能となる。このように蓋材10の積層体11において一軸延伸フィルム12を表出する構成を採用することにより、容器材20のフランジ部23と蓋材10が熱接着された熱接着部2のカールが抑制されると共に引裂かれた蓋材10aのカール発生も抑制されるので再封が可能となるものである。もちろん、内容物9を全て取り出す場合、蓋材10を下方の熱接着部2(4)でも剥離させて引裂かれた蓋材10aを取り除いてもよい。なお、図示しないが第一剥離開始部3の長辺が他方の端縁部5に沿って形成される場合には引裂かれる蓋材10は、図5において左右方向となるので一軸延伸フィルム12の延伸方向は一対の他方の端縁部5が相対向する方向(図5の左右方向)と一致させる。
【0020】
本発明の第二実施形態のブリスター包装体1’は、図3に示す通りであって、第一剥離開始部3の長く伸びて形成された側の外郭線内側3aと、第一剥離開始部3の外郭線の短い側の外縁3bとの角部に略直角三角形状の第二剥離開始部7が、直角を挟む一方の一辺が第一剥離開始部の長く伸びて形成された側の外郭線内側3aと連接し、他方の一辺が左側の他方の端縁部5の外縁と一致して斜辺が内容物9と対峙して設けられている。それ以外は第一実施形態と同じ構成である。なお、第一剥離開始部3の長く伸びて形成された側の外郭線内側3aが左側の他方の端縁部5に向かって下る斜辺とした場合、第一剥離開始部3の長く伸びて形成された側の外郭線内側3aと、第一剥離開始部3の外郭線の短い側の外縁3bとの交点に位置させる第二剥離開始部7の略三角形状の頂点を挟む角度は鈍角にすればよい。また、曲線の場合であっても、第一剥離開始部3と第二剥離開始部7は連接していればよく、略三角形状の第二剥離開始部7の第一剥離開始部3と連接する辺を曲線とすればよい。
【0021】
本発明の第二実施形態のブリスター包装体1’は、第一剥離開始部3と略直角三角形状第二剥離開始部7を設けることにより、蓋材10の部分開封と全部開封の2通りの開封が可能となる。第1は第一実施形態のブリスター包装体1の開封方法と同じ部分開封であり、第一剥離開始部3において分離した状態となっている蓋材10と容器材20を摘み、開封すると蓋材10は切込6で引裂かれ部分開封され図5に示すように開口8を形成することができる。第2は全部開封であり、第二剥離開始部7より分離した状態となっている蓋材10と容器材20を摘み、剥離開始部が設けられた角部aと対角の角部に向かい蓋材10を引っ張ることにより図3における上側の熱接着部2(4)、左側の熱接着部2(5)を剥離し、さらに右側の熱接着部2(5)を剥離し、下側の熱接着部2(4)のみ残しその内縁で剥離された蓋材を折り返すことにより、全部開封することができる。
【0022】
図4に示す参考形態のブリスター包装体1’’は、剥離可能な熱接着部2(4)、2(5)が交差する左側上部の角部aの一か所に略三角形状の第一剥離開始部3’’が形成された構成である。参考形態は、第一剥離開始部3’’に切込が設けられていないので上部の一方の端縁部4に蓋材10の引裂き起点となる所定の位置に少なくとも蓋材10を貫通する切込6’’を設けることにより部分開封が可能となる。開封方法は第一剥離開始部3’’より、分離した状態となっている蓋材10と容器材20を摘み、剥離開始部が設けられた角部aと対角の角部に向かい蓋材10を引っ張ることにより上側の熱接着部2(4)、左側の熱接着部2(5)を剥離し、剥離が切込6’’の箇所に達すると、切込6’’を引裂き起点として蓋材10が引裂かれる。つぎに剥離された蓋材を上下方向に引っ張ることにより一軸延伸フィルム12の延伸方向が蓋材10の剥離方向と一致しているので熱接着部2(5)と略平行に蓋材10が引裂かれ、下方の熱接着部2(4)の内縁に達すると引裂かれた蓋材を折り返すことにより、図示しないが図5に示すような開口8が左側に形成される。なお、全部開封する場合には切込6’’を設けない。全部開封の場合の開封方法は第二実施形態と同様であり説明を省略する。
【0023】
つぎに、蓋材10の積層体11について説明する。本発明において、蓋材10の積層体11の表面に一軸延伸フィルム12が積層され、容器材20と剥離可能に熱接着された状態において一軸延伸フィルム12が表出していることが好ましく、そうすることにより
蓋材10が容器材20のフランジ部23に熱接着された際、発生するカールが抑制されると共に引裂かれた蓋材10aまたは剥離開封された蓋材10のカールを抑制することができるので蓋材に再封機能を付与することができる。また、一軸延伸フィルム12を備えた構成とし、一軸延伸フィルム12の延伸方向と、蓋材10の剥離方向を一致させることにより、蓋材の積層体の表面に切目線を形成することなく、蓋材10に設けた切込より引裂き開封できる。さらに切目線を形成する工程が不要になり、蓋材の強度の低下やバリア性の低下がないという効果が得られる。
【0024】
図6は蓋材10の積層体11の2〜3の積層構成例を示す断面図である。図6(イ)は一軸延伸フィルム12と、バリア層15を備えた熱接着性樹脂層14とが、バリア層15が一軸延伸フィルム12と対向するように接着層16を介して積層された構成であり、図2の円内に示した例に相当する。図6(ロ)はバリア層15を備えた一軸延伸フィルム12と、熱接着性樹脂層14とが、バリア層15が熱接着性樹脂層14と対向するように接着層16を介して積層された構成である。図6(ハ)は一軸延伸フィルム12と中間層13と熱接着性樹脂層14が接着層16、17を介して順に積層された構成である。
【0025】
積層体11の一軸延伸フィルム12とは、樹脂を押出機により押出しシート状とし、シートを少なくとも一軸方向に延伸して得られるフィルムであり、延伸方向に沿って直線カット性を有するフィルムを指す。このような一軸延伸フィルムを構成する樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、及びポリエチレン等の樹脂が使用できる。
【0026】
具体的には、一軸延伸ポリプロピレンフィルムとして、三井ノーブレンフィルムASCM(三井化学プラテック株式会社製)、YT42トレファン(商標登録)(東レ株式会社製)等が挙げられる。1軸延伸ポリエチレンフィルムとして、三井ハイブロンフィルム(三井化学プラテック株式会社製)、カラリヤンY/YA2フィルム(電気化学工業株式会社製)等が挙げられる。また、直線カット性を有する延伸フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルムとして、エンブレットPC(ユニチカ株式会社製)、ナイロンフィルムとしてエンブレムNC(ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。なお、一軸延伸フィルム12にはシリカやアルミナ等の無機酸化物を蒸着してバリア層15として設けてもよい。
【0027】
熱接着性樹脂層14としては、熱接着性樹脂を主成分として含有し、加熱することにより熱接着可能な層であれば限定されず、延伸又は未延伸フィルム状で構成されていてもよい。ただし、熱接着性樹脂は、容器材20の積層体21が最内層に備える熱接着性樹脂層の熱接着性樹脂の材質を考慮して剥離可能な熱接着部が形成される樹脂を選択することが肝要である。例えば、熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンとアクリル酸との酸コポリマー、エチレンとアクリル酸エステルとのエステルコポリマー等の周知の熱接着性樹脂、ないしは易剥離性熱接着性樹脂(EPR)等が挙げられる。熱接着性樹脂層14は、これらの熱接着性樹脂をフィルム又はエクストルージョンラミネーションして形成される。また、熱接着性樹脂層をフィルムで使用する場合、熱接着性樹脂層14にはアルミ蒸着あるいはシリカやアルミナ等の無機酸化物を蒸着してバリア層15として設けることができる。
【0028】
中間層13としては、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の二軸延伸されたプラスチックフィルム並びにこれらのフィルムにポリビニルアルコール、塩化ビニリデン等のバリア性を有する樹脂組成物がコートされたフィルム及び酸化珪素、酸化アルミ等の無機物が蒸着されたフィルムが使用される。また、エチレンビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等からなるバリアフィルム、アルミ箔、アルミ等の金属が蒸着されたフィルムも使用できる。
【0029】
積層体11は、一軸延伸フィルム、バリア層を有する一軸延伸フィルム、中間層、熱接着性樹脂層、バリア層を有する熱接着性樹脂層が、目的に応じて適宜選択して積層される。積層方法は、例えば、ドライラミネ−ション法、無溶剤ラミネ−ション法、押し出しラミネ−ション法、共押し出しラミネ−ション法等で行うことができる。具体的には、本発明においては、ラミネ−ト用接着剤等を用いて接着層16、17として積層するドライラミネ−ト方式、あるいは、ポリエチレン等の樹脂を溶融押出しして積層する押し出しラミネーション方式等を用いて積層体を製造することができる。通常、蓋材10には印刷が施され、容器材20の内容物収納部22に位置合わせして剥離可能に熱接着されるため、蓋材10の印刷には寸法(ピッチ)の精度の高い管理が要求されるのでドライラミネ−ション法や無溶剤ラミネ−ション法により積層することが好ましい。
【0030】
容器材20としては、外層とガスバリヤー性の優れた中間層と熱接着性樹脂層からなる積層体21が使用される。積層体21は優れた熱成形性、耐ピンホール性、耐衝撃性、柔軟性等が要求されるため、外層としては、未延伸ナイロン(CN)、非晶質ポリエステル(A−PET)、未延伸ポリプロピレン(CPP)等が使用される。ガスバリヤー性の優れた中間層としては、一般的にエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデンが使用される。熱接着性樹脂層としては、低密度ポリエステル(PE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等が使用される。容器材20の構成としては、未延伸ナイロン(CN)とエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)とエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)からなる共押出フィルムや非晶質ポリエステル(A−PET)と未延伸ナイロン(CN)とエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)とポリオレフィン系のイージーピール性樹脂(EP)からなる共押出フィルムが一般的に使用される。CN/EVOH/EVAやPET/CN/EVOH/EPからなる共押出フィルムの厚さとしては60〜180μmである。上記の共押出フィルムは熱成形性、ガスバリヤー性に優れたフィルムである。上記の共押出フィルムCN/EVOH/EVAのCN面に未延伸ポリプロピレン(CPP)を積層した構成も使用される。
【実施例】
【0031】
つぎに実施例を挙げて、本発明のブリスター包装体について詳述するが、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。実施例において、積層構成に略称(記号)を用いて説明するが、略称の内容は次の通りである。
【0032】
TOPP:一軸延伸ポリプロピレン(三井ノーブレンフィルムASCM 三井化学プラテック株式会社製)
VMPET:片面シリカ蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(IBPET 大日本印刷株式会社製)
TPE:易開封ポリエチレンフィルム(LL−MTNST フタムラ化学株式会社製)
PE:ポリエチレンフィルム(LL−XMTN フタムラ化学株式会社製)
VMPE:片面アルミ蒸着ポリエチレンフィルム(MLTUXF 三井化学東セロ株式会社製)
TPET:直線カット性延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(エンブレットPC ユニチカ株式会社)
DL:接着剤を用いてドライラミネーション法により形成される接着層
【0033】
〔評価方法〕
以下に示す実施例及び比較例で示す蓋材及び容器材を用いて図1図2に示すブリスター包装体1を作製した(上下外寸130mm、左右外寸120mm、左右及び下部の熱接着部の幅10mm、剥離部を設けた上部熱接着部の幅20mm、剥離開始部の左右寸法60mm×上下寸法10mm)。ブリスター包装体は、深絞り型真空包装機(FV6700 大森機械工業株式会社製)により、容器材を深絞り成形し内容物収納部22を設け、内容物収納部22に丸形スライスハム6枚を充填し、その上を蓋材で全面に覆い、周縁を熱接着し真空包装した。その後、引裂き開封性、カール性について、つぎの評価を行った。なお、容器材には、ポリエステル樹脂(PET)、ナイロン樹脂(Ny)、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)、ポリエチレン系イージーピール性樹脂(EP)を共押出し積層したPET/Ny/EVOH/EPなる構成の厚さ80μの無延伸共押出多層フィルム(グレード:A463 三菱樹脂株式会社製)を積層体として用いた。
【0034】
(引裂き開封性)
第一剥離開始部より分離した状態となっている蓋材と容器材を摘み、一方の端縁部4から相対向する端縁部4に向かい蓋材を引っ張りながら熱接着部2(4)を剥離していくと、蓋材は切込を引裂き起点として蓋材が引裂かれると共に、図1における左側の熱接着部2(5)が剥離され下方の熱接着部2(4)の内縁に達した時点で開封操作を終了し、蓋材が引裂かれた状態を目視検査し、剥離方向に平行な他方の端縁部2(5)に沿ってほぼ平行に蓋材が引裂かれたもの、すなわち、蓋材の切り口と他方の端縁部2(5)との間隔を測定しその最大値と最低値の差が10mm以内であったものを○、10mmを超えた場合を×とした。
【0035】
(カール性)
容器材を深絞り成形し設けた内容物収納部に内容物を充填し、その上を蓋材で全面に覆い、周縁を熱接着し真空充填包装した際に発生するフランジ部のカールについて目視検査し、フランジ部がフラットないしは見栄えを損なわない程度の若干のカールのものを○、フランジ部が著しくカールし、見栄えが劣るものを×とした。
【0036】
〔実施例1〕
厚さ20μmの一軸延伸ポリプロピレンフィルム(三井ノーブレンフィルムASCM 三井化学プラテック株式会社製)と、厚さ12μmの片面シリカ蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(IBPET 大日本印刷株式会社製)と、厚さ30μmのPEとをドライラミネーション法によりラミネートした積層体(TOPP/DL/VMPET/DL/PE)の蓋材を作製した。一軸延伸ポリプロピレンの延伸方向は流れ方向である。
【0037】
〔実施例2〕
厚さ20μmの一軸延伸ポリプロピレンフィルム(三井ノーブレンフィルムASCM 三井化学プラテック株式会社製)と、厚さ30μmのVMPEのアルミ蒸着面とをドライラミネーション法によりラミネートした積層体(TOPP/DL/VMPE)の蓋材を作製した。一軸延伸ポリプロピレンの延伸方向は流れ方向である。
【0038】
〔実施例3〕
厚さ20μmの一軸延伸ポリプロピレンフィルム(三井ノーブレンフィルムASCM 三井化学プラテック株式会社製)と、厚さ30μmのPEをドライラミネーション法によりラミネートした積層体(TOPP/DL/PE)の蓋材を作製した。一軸延伸ポリプロピレンの延伸方向は流れ方向である。
【0039】
〔比較例1〕
実施例1の蓋材の積層体において、TOPPとVMPETの積層順を逆にし、VMPET/DL/TOPP/DL/PEなる構成とした以外は実施例1と同じとした。
【0040】
〔比較例2〕
厚さ12μmの直線カット性延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(エンブレット(商標登録)PC ユニチカ株式会社)と、厚さ12μmの片面シリカ蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(IBPET 大日本印刷株式会社製)と、厚さ30μmのPEとをドライラミネーション法によりラミネートした積層体(TPET/DL/VMPET/DL/PE)の蓋材を作製した。直線カット性延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのカット性方向は流れ方向である。
【0041】
〔比較例3〕
比較例2の蓋材の積層体において、TPETとVMPETの積層順を逆にし、VMPET/DL/TPET/DL/PEなる構成とした以外は比較例2と同じとした。
【0042】
上記で作製した実施例1〜3、および、比較例1〜3について前記の方法で引裂き開封性、引裂かれた蓋材のカール性について評価した。結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1に示すように、実施例1〜3の表面に一軸延伸ポリプロピレンを用いた積層体を蓋材に用いると、引裂き開封性、カール性とも良好であった。また、引裂き開封された蓋材を元に戻すことにより再封することができた。比較例1のTOPPを中間に積層した積層体を用いた蓋材は、引裂き開封性は良好であったが、フランジ部が容器材側に著しくカールし著しく外観を損なうものであった。比較例2、3のTPETを用いた積層体の蓋材は、いずれも引裂き開封性は良好であったが、カール性において、フランジ部が容器材側に著しくカールし著しく外観を損なうものであった。
【符号の説明】
【0045】
1、1’、1’’ ブリスター包装体
2 熱接着部
3、3’’ 第一剥離開始部
3a 第一剥離開始部の長く伸びて形成された側の外郭線内側
3b 第一剥離開始部の外郭線の短い側の外縁
4 一方の端縁部
5 他方の端縁部
6、6’’ 切込
7 第二剥離開始部
8 開口
9 内容物
10 蓋材
10a 引裂かれた蓋材
11、21 積層体
12 一軸延伸フィルム
13 中間層
14 熱接着性樹脂層
15 バリア層
16、17 接着層
20 容器材
22 内容物収納部
23 フランジ部
a 剥離開始部が設けられた角部
b 剥離開始部が設けられた角部に隣り合う角部
図1
図2
図3
図4
図5
図6