特許第6802993号(P6802993)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802993
(24)【登録日】2020年12月2日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】プラスチック成形容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 21/02 20060101AFI20201214BHJP
   B65D 1/26 20060101ALI20201214BHJP
   B65D 1/34 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   B65D21/02 410
   B65D1/26 110
   B65D1/34
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-61998(P2016-61998)
(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2017-171378(P2017-171378A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年1月30日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】村 上 順 一
(72)【発明者】
【氏名】佐 宗 卓
(72)【発明者】
【氏名】遠 藤 憲 二
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−031051(JP,A)
【文献】 特開2014−201362(JP,A)
【文献】 特開2014−162527(JP,A)
【文献】 特開2002−085234(JP,A)
【文献】 実開平03−126834(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/02
B65D 1/26
B65D 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタッキングされた状態で減圧殺菌処理を受けるプラスチック成形容器において、
開口を規定する上端縁と、この上端縁に設けられたフランジ部とを有する胴部と、
前記胴部に連結された底部とを備え、
前記胴部の外面にスタッキング時に下方のプラスチック成形容器の上端縁に当接するとともに円周方向に延びる環状のスタッキングリブを設け、
当該スタッキングリブにスタッキング時に下方のプラスチック成形容器の上端縁との間に連通空間を形成する複数の通気路が形成され、
各通気路は前記スタッキングリブの下端を始点として前記スタッキングリブの中央を終点とする範囲に延びる、ことを特徴とするプラスチック成形容器。
【請求項2】
前記スタッキングリブの下面に下方のプラスチック成形容器の上端縁が当接することを特徴とする請求項記載のプラスチック成形容器。
【請求項3】
前記スタッキングリブは、縦方向に延びて前記フランジ部まで達することを特徴とする請求項1または2記載のプラスチック成形容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッキングされた状態で減圧殺菌を受けるプラスチック成形容器に係り、とりわけ、減圧殺菌処理後に容器をスムーズに引き離すことができ、かつスタッキングした状態で容器をまんべんなく滅菌することができるプラスチック成形容器に関する。
【背景技術】
【0002】
カップ、トレー等のプラスチック成形容器に対して無菌充填する場合、装置内で容器を殺菌する手法と、装置外で予め殺菌した容器を持ち込む手法があり、具体的な方法として薬剤・ガンマ線照射・EB照射等々がある。
【0003】
従来、カップ、トレー等のプラスチック成形容器をインラインで殺菌する場合、スタッキングされた状態から容器を一つ一つ取り出し(切り離し)、容器の内面、或いは外面に薬剤を噴き付け、滞留後、乾燥工程を経て所定の殺菌が完了する。一方、オフラインで殺菌する場合は、2次汚染が発生しないように、ガンマ線照射、EB照射、或いはエチレンオキサイドガス(以下EOG)で滅菌されたものが供給されてきた。
【0004】
その中で、バッチ式で滅菌を行う、EOGや過酸化水素ガスを用いる場合、処理槽内を真空状態にしてから、各薬剤をチャンバー内にスプレーする。真空状態下でスプレーをすることにより、容器を含め処理槽の隅々まで殺菌剤が行き渡り、滅菌が可能となる。
【0005】
このようにカップやトレーのようなプラスチック成形容器は荷重や密着に関係なくスタックの切り離しができるようにスタッキングリブを設けている。スタッキングされた状態で処理されるが、スタッキングの状況では真空時に容器が変形する、または殺菌剤が十分に入り込まない場合がある。すなわち、従来のスタッキングリブでは真空状態で殺菌を行うとスタック時の荷重や密着によってスタックの切り離しができなくなることがある。このような場合は、装置による減圧・復圧には対応しきれずに、真空時に容器が変形したり、または殺菌剤が充分に入り込まなくなる。
【0006】
特に、シート成形(真空成型)やインジェクションブロー成形されたスタッキング可能な容器では、それらが発生することが多い。
【0007】
過酸化水素ガス滅菌装置はEOG滅菌装置と比較して、高真空状態、短時間処理となるため、その影響が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−1824号公報
【特許文献2】特開2005−193908号公報
【特許文献3】特開2005−280329号公報
【特許文献4】特開2006−103725号公報
【特許文献5】特開2010−222028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、スタッキングされた状態で減圧殺菌処理を受けるプラスチック成形容器であって、減圧殺菌時に万遍なく殺菌することができるとともに変形が生じることなく、かつ減圧殺菌後にスムーズに引き離すことができるプラスチック成形容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、スタッキングされた状態で減圧殺菌処理を受けるプラスチック成形容器において、開口を規定する上端縁と、この上端縁に設けられたフランジ部とを有する胴部と、前記胴部に連結された底部とを備え、前記胴部の外面にスタッキング時に下方のプラスチック成形容器の上端縁に当接するとともに円周方向に延びる環状のスタッキングリブを設け、当該スタッキングリブにスタッキング時に下方のプラスチック成形容器の上端縁との間に連通空間を形成する複数の通気路が形成されていることを特徴とするプラスチック成形容器である。
【0011】
本発明は、スタッキングされた状態で減圧殺菌処理を受けるプラスチック成形容器において、開口を規定する上端縁と、この上端縁に設けられたフランジ部とを有する胴部と、前記胴部に連結された底部とを備え、前記胴部の外面にスタッキング時に下方のプラスチック成形容器の上端縁に当接する複数のスタッキングリブを設け、各スタッキングリブ間に、スタッキング時に下方のプラスチック成形容器の上端縁との間に連通空間を形成する通気路が形成されていることを特徴とするプラスチック成形容器である。
【0012】
本発明は、前記スタッキングリブの下面に下方のプラスチック成形容器の上端縁が当接することを特徴とするプラスチック成形容器である。
【0013】
本発明は、前記スタッキングリブは、縦方向に延びて前記フランジ部まで達することを特徴とするプラスチック成形容器である。
【0014】
本発明は、前記通気路は縦方向に延びて前記フランジ部まで達することを特徴とするプラスチック成形容器である。
【0015】
本発明は、スタッキングされた状態で減圧殺菌処理を受けるプラスチック成形容器において、開口を規定する上端縁と、この上端縁に設けられたフランジ部とを有する胴部と、前記胴部に連結された底部とを備え、前記胴部の内面にスタッキング時に上方のプラスチック成形容器の底部周縁に当接する環状のスタッキングリブを設け、当該スタッキングリブにスタッキング時に上方のプラスチック成形容器の底部周縁との間に連通空間を形成する複数の通気路が形成されていることを特徴とするプラスチック成形容器である。
【0016】
本発明は、スタッキングされた状態で減圧殺菌処理を受けるプラスチック成形容器において、開口を規定する上端縁と、この上端縁に設けられたフランジ部とを有する胴部と、前記胴部に連結された底部とを備え、前記胴部の内面にスタッキング時に上方のプラスチック成形容器の底部周縁に当接する複数のスタッキングリブを設け、各スタッキングリブ間に、スタッキング時に上方のプラスチック容器の底部周縁との間に連通空間が形成されていることを特徴とするプラスチック成形容器である。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によれば、減圧殺菌時にプラスチック成形容器の内面、外面に対して万遍なく殺菌することができるとともに変形が生じることはなく、かつプラスチック成形容器を減圧殺菌時にスムーズに引き離すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は本発明によるプラスチック成形容器の第1の実施の形態を示す斜視図。
図2図2はスタッキングされる前のプラスチック成形容器を示す側断面図。
図3図3はスタッキングされた後のプラスチック成形容器を示す側断面図。
図4図4図1に示すプラスチック成形容器の変形例を示す斜視図。
図5図5はスタッキングされる前のプラスチック成形容器を示す側断面図。
図6図6はスタッキングされた後のプラスチック成形容器を示す側断面図。
図7図7は本発明によるプラスチック成形容器の第2の実施の形態を示す斜視図。
図8図8図7に示すプラスチック成形容器の変形例を示す斜視図。
図9図9は本発明によるプラスチック成形容器の第3の実施の形態を示す側断面図。
図10A図10Aは本発明によるプラスチック成形容器の第4の実施の形態を示す斜視図。
図10B図10B図10AのB−B線矢視図。
図11図11はプラスチック成形容器の比較例を示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施の形態>
次に図1乃至図3により本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0020】
図1乃至図3に示すように、本発明の第1の実施の形態によるプラスチック成形容器10は、スタッキングされた状態で減圧殺菌処理を受けるものである。
【0021】
このようなプラスチック成形容器10は開口15を規定する(形成する)上端縁13と、この上端縁13に設けられたフランジ部14とを有する胴部11と、胴部11に連結されるとともに底部周縁12aを有する底部12とを備えている。この場合、プラスチック成形容器10はシート成型、射出成形、またはブロー成形により得ることができる。
【0022】
また胴部11の外面に、スタッキング時に下方のプラスチック成形容器10の上端縁13に当接するとともに円周方向に延びる環状のスタッキングリブ20が胴部11から外方へ突出して設けられている。
【0023】
このスタッキングリブ20は胴部11から外方へ突出し、その下面20aにおいてスタッキング時に下方のプラスチック成形容器10の上端縁13に当接する。
【0024】
またスタッキングリブ20に、スタッキング時に下方のプラスチック成形容器10の上端縁13との間に連通空間25を形成する複数、例えば6個の通気路21が形成されている。
【0025】
すなわち、プラスチック成形容器10の胴部11に形成されたスタッキングリブ20は円周方向に沿って延びており、このスタッキングリブ20は胴部11から外方へ突出している。そしてプラスチック成形容器10をスタッキングした場合、上方のプラスチック成形容器10のスタッキングリブ20の下面20aが下方のプラスチック成形容器10の上端縁13に当接して、上方のプラスチック成形容器10が下方のプラスチック成形容器10により支持される。
【0026】
この場合、スタッキング時に下方のプラスチック成形容器10の上端縁13との間に、スタッキングリブ20に設けられた通気路21により連通空間25が形成されるため、スタッキング時において下方のプラスチック成形容器10の内部は外方と連通することになる。図1乃至図3に示すように、スタッキングリブ20の連通空間25はスタッキングリブ20の下面から縦方向上方に延びて、スタッキングリブ20の縦方向の中間部で終了している。
【0027】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0028】
図1乃至図3において、プラスチック成形容器10を複数準備し、互いに重ね合わせる(スタッキングする)。次にスタッキングされたプラスチック成形容器10は、真空容器(図示せず)内に搬入され、この真空容器は真空状態となる。その後真空容器内において、真空状態を保ったまま、プラスチック成形容器10に対してエチレンオキサイドガス(EOG)または過酸化水素ガス等の殺菌剤を噴き付ける。
【0029】
このように真空状態下でプラスチック成形容器10に対して殺菌剤を噴き付けることにより、スタッキングされた各プラスチック成形容器10の内面および外面に殺菌剤が行き渡り、プラスチック成形容器10の内面および外面を殺菌剤により殺菌することができる。この場合、スタッキングされた各プラスチック成形容器10の内部は、通気路21により形成された連通空間25を介して外方に連通しているため、各々のプラスチック成形容器10の内面および外面に渡って殺菌剤を確実に行き渡すことができる。また各プラスチック成形容器10の内部は連通空間25を介して外方に連通しているため、プラスチック成形容器10を真空状態としても、プラスチック成形容器10が外圧によりへこんだり変形することはない。
【0030】
次に図11により比較例としてのプラスチック成形容器10を示す。図11に示すプラスチック成形容器10は胴部11と底部12とを有し、胴部11に円周方向に延びるスタッキングリブ20が胴部11から外方へ突出して設けられている。
【0031】
図11に示すプラスチック成形容器10において、スタッキング時において上方のプラスチック成形容器10のスタッキングリブ20の下面が下方のプラスチック成形容器10の上端縁13に当接し、各プラスチック成形容器10の内部が外方から密閉される。
【0032】
このとき、スタッキングされた各プラスチック成形容器10に対して真空状態下で殺菌剤を噴出した場合、各プラスチック成形容器10の内部はスタッキングリブ20により密閉されるため、殺菌剤をプラスチック成形容器10の内面および外面に行き渡らせることはむずかしく、またプラスチック成形容器10が外圧によりへこんだり変形することも考えられる。
【0033】
これに対して本実施の形態によれば、スタッキングされたプラスチック成形容器10に対して真空状態で殺菌処理した場合、プラスチック成形容器10の内面および外面に渡って殺菌剤を確実に行き渡すことができ、かつ真空状態の下で殺菌処理してもプラスチック成形容器10が変形することはない。さらにまた各プラスチック成形容器10の内部は外方に連通しているため、殺菌処理の終了後にプラスチック成形容器10に対する真空状態を解除した場合、各プラスチック成形容器10を1つ1つ容易に引き離すことができる。
【0034】
次にプラスチック成形容器10の変形例について図4乃至図6により説明する。図4乃至図6に示すプラスチック成形容器10の変形例は、胴部11の外面にスタッキング時に下方のプラスチック成形容器10の上端縁13に当接する複数、例えば6個のスタッキングリブ22を胴部11から外方へ突出させて設けるとともに、各スタッキングリブ22間にスタッキング時に下方のプラスチック成形容器10の上端縁13との間に連通空間25を形成する通気路23を設けたものである。
【0035】
他の構成は図1乃至図3に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0036】
図4乃至図6に示す変形例において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0037】
図4乃至図6において、複数のプラスチック成形をスタッキングした場合、上方のプラスチック成形容器10の各スタッキングリブ22の下面22aが下方のプラスチック成形容器10の上端縁13に当接して、上方のプラスチック成形容器10が下方のプラスチック成形容器10により支持される。
【0038】
この場合、プラスチック成形容器10に、スタッキング時に下方のプラスチック成形容器10の上端縁13との間に、スタッキングリブ22間に設けられた通気路21により連通空間25が形成されるため、スタッキング時において、下方のプラスチック成形容器10の内部は外方と連通する。図4乃至図6に示すように、各スタッキングリブ22は、胴部11から縦方向に延びてフランジ部14まで達している。このため各スタッキングリブ22間の通気路23もフランジ部14まで達する。
【0039】
<実施例>
次に第1の実施の形態の具体的実施例について述べる。
【0040】
(加圧・減圧試験)
a.バッチ式過酸化水素ガス滅菌装置内に本実施の形態によるプラスチック成形容器10を所定数スタッキングして搬入し、バッチ処理(減圧・復圧処理)を開始した。
b.バッチ処理終了後直ちに取り出し、容器10のスタッキングの状況を確認した。
【0041】
(評価内容)
1.目的
従来形状のスタッキングリブを持つプラスチック成形容器10(図11参照)と本実施の形態によるプラスチック成形容器10(図1乃至図6)をバッチ式過酸化水素ガス殺菌装置で処理することで、スタッキングリブの形状の違いによる加圧・減圧時の容器変形への影響を比較した。
【0042】
2.テスト方法
(1)評価サンプル
(i)従来の容器(図11):フランジ部下方に環状かつ平滑なスタッキングリブを有する。
(ii)本実施の形態による容器(図1乃至図3):環状のスタッキングリブに6個の通気路を設け、前記各6個の通気路以外で上下の容器が接する。
(iii)本実施の形態による容器(図4乃至図6):フランジ部下方の円周部に均等に6個のスタッキングリブを設け、前記各スタッキングリブにおいて上下の容器が接する。
(2)成形品スタック数:10
(3)バッチ式過酸化水素ガス滅菌装置:Amsco V-PRO1(STERIS Corporation)
(4)テスト条件 処理時間 20分/薬剤処理用減圧回数1回/排気用減圧回数5回/減圧レベル最大減圧時50Pa以下
処理条件(減圧→薬剤注入→復圧)×1回(減圧→復圧)×5回→終了
ここで過酸化水素ガス滅菌装置では一定量の薬剤を複数回投入し殺菌効果を増減することが一般的であり、本処理条件は薬剤投入1回時の試験条件を基にしている。
圧力50Paとは大気圧の2000分の1であり、エチレンオキサイドガス滅菌の場合の7分の1と比べ高い減圧レベルといえる。
【0043】
3.結果
(i)図11に示す従来のプラスチック成形容器では、スタッキングリブが復圧時に締まりこんだ結果、密封部が発生し大多数の容器の底部が大きく変形した。また、ほぼすべての容器で噛みこみが確認され、切り離しが困難であった。
(ii)図1乃至図3に示す本実施の形態のプラスチック成形容器、および図4乃至図6に示す本実施の形態のプラスチック成形容器では、切り離し不可能な変形および噛み込みは発生しなかった。
(iii)これらの結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
(バッチ式過酸化水素ガス滅菌装置を用いた薬剤付着試験)
a.薬剤の付着量に従って色が変色するケミカルインジケーター(CI)をプラスチック成形容器の底部に貼付した。
b.バッチ式過酸化水素ガス滅菌装置内に所定数の容器をスタッキングして搬入し、バッチ処理を開始した。
c.バッチ処理終了後直ちに取り出し、色差計にてCIの変色の度合いを確認、殺菌効果を算出した。
【0046】
(評価内容)
1.目的
従来形状のスタッキングリブを持つプラスチック成形容器と本実施の形態によるプラスチック成形容器をバッチ式過酸化水素ガス殺菌装置で処理することで、スタッキングリブの形状の違いによる過酸化水素の付着量を比較した。
【0047】
2.テスト方法
(1)評価サンプル
(i)従来の容器(図11):フランジ部下方に環状かつ平滑なスタッキングリブを有する。
(ii)本実施の形態による容器(図1乃至図3):環状のスタッキングリブに6個の通気路を設け、前記各6個の通気路以外で上下の容器が接する。
(iii)本実施の形態による容器(図4乃至図6):フランジ部下方の円周部に均等に6個のスタッキングリブを設け、前記スタッキングリブにおいて上下の容器が接する。
(2)成形品スタック数:10
(3)バッチ式過酸化水素ガス滅菌装置:Amsco V-PRO1(STERIS Corporation)
(4)CI:e−CARD(株式会社エルクエスト)過酸化水素付着量が増すと赤色→黄色と変色が進む。
(5)色差計(分光測色計):CM−700d(コニカミノルタ株式会社)L表記法
(6)評価基準 CIの変色量が殺菌効果6相当の付着量を上回ること
過去にバッチ式過酸化水素ガス滅菌装置を用いて包材を殺菌した際に、表面殺菌で殺菌効果6を達成したテスト条件におけるCIの色差の変化量がL*a*b*表記にてΔE*ab≒6であったため、プラスチック成形容器の滅菌の達成基準として採用した。
(7)テスト条件 処理時間 25分/過酸化水素噴霧及び減圧回数 4g×2回/排気用減圧回数5回/減圧レベル最大減圧時50Pa以下(大気圧の2000分の1)
ここで過酸化水素ガス滅菌装置では一定量の薬剤を複数回投入し殺菌効果を増減することが一般的である。本条件は一般プラスチック用品の表面の殺菌効果6以上であると試験結果を得ていた薬剤2回投入時の試験条件を基にしている。
【0048】
3.結果
(i)従来の容器では色差が基準を満たさない容器が存在したが、本実施の形態の容器(図1乃至図3)および本実施の形態の容器(図4乃至図6)では計測したすべての容器で基準を上回った。
(ii)これらの結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
(具体的実施例の考察)
(i)従来の容器ではスタッキングした容器が減圧(真空)状態下に放置し、復圧した場合に、変形・噛み込みによる引き離しが不可能になるといった不良が発生したが、本実施の形態による容器では形成された通気路により、噛み込みが発生せず、減圧・復圧処理後でもスタックした容器を容易に切り離しが可能であった。
(ii)本実施の形態によればスタッキングリブが有する利点に加え、スタッキングリブの形状を変更したことにより、圧力変化時の通気性が確保されるため、変形が発生せず容器の良品率が向上した。
(iii)圧力変化時の通気性が確保されることにより密封された部位を作らないため、スタッキングした状態で減圧(真空)状態で薬剤を付着し、減圧と復圧を繰り返してエアーレーションする滅菌装置で処理すると、プラスチック成形容器の外面、内面がまんべんなく殺菌することが可能となった。
(iv)圧力変化時の通気性が確保されるため、バッチ式での殺菌時にスタッキングした容器全体に薬剤が行きわたり、全体の殺菌効果が引き上げられた。
【0051】
<第2の実施の形態>
次に図7および図8により本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0052】
図7に示すように、本発明の第2の実施の形態によるプラスチック成形容器10は、スタッキングされた状態で減圧殺菌処理を受けるものである。
【0053】
このようなプラスチック成形容器10は開口15を規定する(形成する)上端縁13と、この上端縁13に設けられたフランジ部14とを有する胴部11と、胴部11に連結されるとともに底部周縁12aを有する底部12とを備えている。この場合、プラスチック成形容器10はシート成形による得られる。
【0054】
また胴部11の外面に、スタッキング時に下方のプラスチック成形容器10の上端縁13に当接する複数、例えば6個のスタッキングリブ26が胴部11から外方へ突出して設けられている。
【0055】
このスタッキングリブ26は胴部11から外方へ突出し、その下面においてスタッキング時に下方のプラスチック成形容器10の上端縁13に当接するものである。
【0056】
また各スタッキングリブ26間に、スタッキング時に下方のプラスチック成形容器10の上端縁13との間に連通空間25を形成する複数、例えば6個の通気路27が形成されている。図7において、スタッキングリブ26の円周方向長さは、通気路27の円周方向長さよりも短くなっている。
【0057】
すなわち、プラスチック成形容器10の胴部11に形成されたスタッキングリブ26は円周方向に沿って6個設けられ、各スタッキングリブ26は胴部11から外方へ突出している。そしてプラスチック成形容器10をスタッキングした場合、上方のプラスチック成形容器10のスタッキングリブ26の下面が下方のプラスチック成形容器10の上端縁13に当接して、上方のプラスチック成形容器10が下方のプラスチック成形容器10により支持される。
【0058】
この場合、スタッキング時に下方のプラスチック成形容器10の上端縁13との間に、各スタッキングリブ26間に設けられた通気路27により連通空間25が形成されるため、スタッキング時において下方のプラスチック成形容器10の内部は外方と連通されることになる。
【0059】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0060】
図7において、プラスチック成形容器10を複数準備し、互いに重ね合わせる(スタッキングする)。次にスタッキングされたプラスチック成形容器10は、真空容器(図示せず)内に搬入され、この真空容器は真空状態となる。その後真空容器内において、真空状態を保ったまま、プラスチック成形容器10に対してエチレンオキサイドガス(EOG)または過酸化水素ガス等の殺菌剤を噴き付ける。
【0061】
このように真空状態下でプラスチック成形容器10に対して殺菌剤を噴き付けることにより、スタッキングされた各プラスチック成形容器10の内面および外面に殺菌剤が行き渡り、プラスチック成形容器10の内面および外面を殺菌剤により殺菌することができる。この場合、スタッキングされた各プラスチック成形容器10の内部は、通気路21により形成された連通空間25を介して外方に連通しているため、各々のプラスチック成形容器10の内面および外面に渡って殺菌剤を確実に行き渡すことができる。また各プラスチック成形容器10の内部は連通空間25を介して外方に連通しているため、プラスチック成形容器10を真空状態としても、プラスチック成形容器10が外圧によりへこんだり変形することはない。
【0062】
このように本実施の形態によれば、殺菌処理した場合、プラスチック成形容器10の内面および外面に渡って殺菌剤を確実に行き渡すことができ、かつ真空状態の下で殺菌処理してもプラスチック成形容器10が変形することはない。さらにまた各プラスチック成形容器10の内部は外方に連通しているため、殺菌処理の終了後プラスチック成形容器10に対する真空状態を解除した場合、各プラスチック成形容器10を1つ1つ容易に引き離すことができる。
【0063】
なお、図7に示す第2の実施の形態において、スタッキングリブ26の円周方向長さを通気路27の円周方向長さより短くした例を示したが、これに限らず、図8に示すようにスタッキングリブ26の円周方向長さを通気路27の円周方向長さより長くとって、上方のプラスチック成形容器10を下方のプラスチック成形容器10により安定して支持してもよい。
【0064】
<第3の実施の形態>
次に図9により本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0065】
図9に示す本発明の第3の実施の形態は、胴部11の外面に、スタッキング時に下方のプラスチック成形容器10の上端縁13に当接するとともに円周方向に延びる環状のスタッキングリブ28を胴部11から外方へ突出させて設け、スタッキングリブ28の下面28aを湾曲状に形成したものである。
【0066】
このようにプラスチック成形容器10のスタッキングリブ28の下面28aを湾曲状に形成することにより、スタッキングリブ28に、スタッキング時に下方のプラスチック成形容器10の上端縁13との間に連通空間25を形成する通気路29が設けられる。
【0067】
図9に示す第3の実施の形態において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0068】
図9において、プラスチック成形容器10をスタッキングした場合、上方のプラスチック成形容器10のスタッキングリブ28の下面28aが下方のプラスチック成形容器10の上端縁13に当接して、上方のプラスチック成形容器10が下方のプラスチック成形容器10により支持される。この場合、スタッキング時に下方のプラスチック成形容器10の上端縁13との間にスタッキングリブ20に設けられた通気路29により連通空間25が形成されるため、スタッキング時において下方のプラスチック成形容器10の内部は外方と連通することになる。
【0069】
<第4の実施の形態>
次に図10Aおよび図10Bにより本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0070】
図10Aおよび図10Bに示すように、本発明の第4の実施の形態によるプラスチック成形容器10は、スタッキングされた状態で減圧殺菌処理を受けるものである。
【0071】
このようなプラスチック成形容器10は開口15を規定する(形成する)上端縁13と、この上端縁13に設けられたフランジ部14とを有する胴部11と、胴部11に連結されるとともに底部周縁12aを有する底部12とを備えている。この場合、プラスチック成形容器10は射出成形、またはブロー成形により得ることができる。
【0072】
また胴部11の内面に、スタッキング時に上方のプラスチック成形容器10の底部周縁12aに当接するとともに円周方向に延びる6個のスタッキングリブ30が胴部11から内方へ突出して設けられている。
【0073】
このスタッキングリブ30は胴部11から内方へ突出し、その上面30aにおいてスタッキング時に上方のプラスチック成形容器10の底部周縁12aに当接するものである。
【0074】
また胴部11に、スタッキング時に上方のプラスチック成形容器10の底部周縁12aとの間に連通空間25を形成する複数、例えば6個の円周方向に延びる環状の通気路31が形成されている。
【0075】
すなわち、プラスチック成形容器10の胴部11に形成されたスタッキングリブ30は円周方向に沿って6個設けられ、このスタッキングリブ30は胴部11から内方へ突出している。そしてプラスチック成形容器10をスタッキングした場合、下方のプラスチック成形容器10のスタッキングリブ30の上面30aが上方のプラスチック成形容器10の底部周縁12aに当接して、上方のプラスチック成形容器10が下方のプラスチック成形容器10により支持される。
【0076】
この場合、スタッキング時に上方のプラスチック成形容器10の底部周縁12aとの間に、胴部11に設けられた通気路31により連通空間25が形成されるため、スタッキング時において、下方のプラスチック成形容器10の内部は外方と連通されることになる。
【0077】
なお、図10Aおよび図10Bに示す実施の形態において、胴部11の内面にスタッキング時に上方のプラスチック成形容器10の底部周縁12aに当接する6個のスタッキングリブ30を設け、この胴部11に円周方向に延びる6個の通気路31を設けた例を示したが、これに限らず胴部11の内面に上方のプラスチック成形容器10の底部周縁12aに当接する複数のスタッキングリブ30を円周方向に沿って設けてもよい。この場合、各スタッキングリブ30間に通気路が形成される。
【符号の説明】
【0078】
10 プラスチック成形容器
11 胴部
12 底部
12a 底部周縁
13 上端縁
14 フランジ部
15 開口
20 スタッキングリブ
21 通気路
22 スタッキングリブ
23 通気路
25 連通空間
26 スタッキングリブ
27 通気路
28 スタッキングリブ
29 通気路
30 スタッキングリブ
31 通気路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11