特許第6986551号(P6986551)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986551
(24)【登録日】2021年12月1日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】光学装置用ケースおよび光学装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/118 20150101AFI20211213BHJP
   G02B 1/18 20150101ALI20211213BHJP
   G08G 1/095 20060101ALI20211213BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   G02B1/118
   G02B1/18
   G08G1/095 D
   H05K5/02 L
   H05K5/02 J
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-509183(P2019-509183)
(86)(22)【出願日】2018年3月12日
(86)【国際出願番号】JP2018009505
(87)【国際公開番号】WO2018180421
(87)【国際公開日】20181004
【審査請求日】2019年9月24日
(31)【優先権主張番号】特願2017-66068(P2017-66068)
(32)【優先日】2017年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591124765
【氏名又は名称】ジオマテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【弁理士】
【氏名又は名称】北 倫子
(72)【発明者】
【氏名】林 秀和
(72)【発明者】
【氏名】菅原 浩幸
【審査官】 渡邉 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−108882(JP,A)
【文献】 特開2016−122352(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101007645(CN,A)
【文献】 特開平04−230906(JP,A)
【文献】 特開昭56−087001(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/087139(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/183576(WO,A1)
【文献】 米国特許第05489371(US,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0055839(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0110785(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/118
G02B 1/18
G03B 17/56
G08G 1/095
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性の窓部材と、
受光素子および/または発光素子を収容する空間を有する筺体と、
を有し、
前記窓部材は、透光性部材と、前記透光性部材の外側表面に設けられた高分子フィルムであって、表面にモスアイ構造を有し、前記表面の水に対する接触角は140°以上である高分子フィルムと、前記透光性部材の内側表面に設けられた抵抗発熱体とを備え、
前記抵抗発熱体の前記透光性部材と反対側に設けられた親水性層をさらに有し、前記親水性層の表面の水に対する接触角は20°以下であり、
前記親水性層は、ポーラスアルミナ層を含み、
前記ポーラスアルミナ層は、表面に反転されたモスアイ構造を有する、光学装置用ケース。
【請求項2】
前記抵抗発熱体は、前記透光性部材の内側表面に形成された透明導電層を含み、前記ポーラスアルミナ層は、前記透明導電層上に形成されている、請求項1に記載の光学装置用ケース。
【請求項3】
前記透明導電層は、インジウムドープスズ酸化物層と、前記インジウムドープスズ酸化物層と前記ポーラスアルミナ層との間に形成されたアンチモンドープスズ酸化物層および/またはフッ素ドープスズ酸化物層とを含む、請求項2に記載の光学装置用ケース。
【請求項4】
前記ポーラスアルミナ層は、Tiを含む、請求項1から3のいずれかに記載の光学装置用ケース。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の光学装置用ケースと、前記光学装置用ケース内に配置されたLED素子とを有する、信号機用ランプ。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の光学装置用ケースと、前記光学装置用ケース内に配置された撮像素子とを有する、カメラ。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかに記載の光学装置用ケースと、前記光学装置用ケース内に配置された光センサとを有する、光学検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置用ケース、特に、発光素子および/または受光素子を内部に収容する光学装置用ケースおよび光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外に設置される光学装置は、光を受けるおよび/または光を出射する透光性の窓部材に着雪すると、その機能を果たせないので、着雪を防止する、および/または融雪することができるように、工夫がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、表面に反射防止性能と着雪防止性能とを有する微細な凹凸構造を備えた信号機器部材を開示している。特許文献1によると、微細凹凸構造を有する表面の水に対する接触角を135°以上とすることによって、着雪を防止できる。
【0004】
特許文献2には、融雪型のLED交通信号機が開示されている。特許文献2によると、遠赤外線面状発熱体によってレンズカバー(窓部材)を加熱することによって、レンズカバーに着雪するのを抑制できる。
【0005】
ここで例示した交通信号機は、発光素子としてLEDが用いられるようになり、発光素子からの発熱量が少なくなり、および/または、電源の電力が低下し(例えば、20W以下)、発光素子として電球を利用していたころよりも、着雪を防止することが難しくなっている。着雪の問題は、これに限られず、屋外に設置される種々の光学装置、例えば、各種信号機用ランプ、カメラ(例えば、監視カメラ、車載カメラ)、光学検出装置(例えば、車両検出装置)に共通の問題である。
【0006】
一方、本出願人は、陽極酸化ポーラスアルミナ層を用いて、モスアイ構造を有する反射防止膜(反射防止表面)を製造する方法を開発した。陽極酸化ポーラスアルミナ層を用いることによって、反転されたモスアイ構造を有する型を高い量産性で製造することができる(例えば、特許文献3〜7)。参考のために、特許文献3〜7の開示内容のすべてを本明細書に援用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015−108882号公報
【特許文献2】特開2014−109970号公報
【特許文献3】特許第4265729号公報
【特許文献4】特開2009−166502号公報
【特許文献5】国際公開第2011/125486号
【特許文献6】国際公開第2012/137664号
【特許文献7】国際公開第2013/183576号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本発明者の検討によると、特許文献1および2に記載の方法では、着雪を十分に抑制できないおそれがある。特許文献1の構成によると、表面に一旦水滴または氷が付着すると、着雪を有効に防止できない。特許文献2の構成によると、遠赤外線面状発熱体からの輻射熱だけでは、環境温度によっては十分に融雪できないことが懸念される。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来技術よりもより確実に着雪を防止することが可能な光学装置用ケースおよび光学装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある実施形態による光学装置用ケースは、透光性の窓部材と、受光素子および/または発光素子を収容する空間を有する筺体とを有し、前記窓部材は、透光性部材と、前記透光性部材の外側表面に設けられた高分子フィルムであって、表面にモスアイ構造を有し、前記表面の水に対する接触角は140°以上である高分子フィルムと、前記透光性部材の内側表面に設けられた抵抗発熱体とを備える。
【0011】
ある実施形態において、前記抵抗発熱体の内側に設けられた親水性層をさらに有し、前記親水性層の表面の水に対する接触角は20°以下である。
【0012】
ある実施形態において、前記親水性層は、表面にモスアイ構造を有する高分子層を含む。
【0013】
ある実施形態において、前記親水性層は、ポーラスアルミナ層を含む。
【0014】
ある実施形態において、前記ポーラスアルミナ層は、表面に反転されたモスアイ構造を有する。
【0015】
ある実施形態において、前記抵抗発熱体は、前記透光性部材の内側表面に形成された透明導電層を含み、前記ポーラスアルミナ層は、前記透明導電層上に形成されている。
【0016】
ある実施形態において、前記ポーラスアルミナ層は、Tiを含む。
【0017】
本発明のある実施形態による光学装置は、上記のいずれかの光学装置用ケースと、前記光学装置用ケース内に配置されたLED素子とを有する、信号機用ランプである。
【0018】
本発明のある実施形態による光学装置は、上記のいずれかの光学装置用ケースと、前記光学装置用ケース内に配置された撮像素子とを有する、カメラである。前記カメラは例えば監視カメラ(または防犯カメラ)、車載カメラである。
【0019】
本発明のある実施形態による光学装置は、上記のいずれかの光学装置用ケースと、前記光学装置用ケース内に配置された光センサとを有する、光学検出装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明のある実施形態によると、上記従来技術よりもより確実に着雪を防止することが可能な光学装置用ケースおよび光学装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態1による光学装置用ケース100Aの模式的な断面図である。
図2】本発明の実施形態2による光学装置用ケース100Bの模式的な断面図である。
図3】本発明の実施形態3による光学装置用ケース100Cの模式的な断面図である。
図4】本発明の実施形態4による光学装置用ケース100Dの模式的な断面図である。
図5】(a)〜(c)は、本発明の実施形態による光学装置用ケースが有する高分子フィルムの模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態による光学装置用ケースの構造を説明する。本発明の実施形態は、例示する実施形態に限定されるものではない。なお、以下の説明において、同様の機能を有する構成要素には共通の参照符号を付し、説明の重複を避ける。
【0023】
(実施形態1)
図1に本発明の実施形態1による光学装置用ケース100Aの模式的な断面図を示す。ケース100Aは、光学素子(受光素子および/または発光素子)OEを収容する空間12を有する筺体10と透光性の窓部材20Aとを有している。窓部材20Aは、透光性部材22と、透光性部材22の外側表面に設けられた高分子フィルム50と、透光性部材22の内側表面に設けられた抵抗発熱体24とを有している。高分子フィルム50は、例えば、ここで例示するように接着層23を介して、透光性部材22の外側表面に固定されている。もちろん、これに限らず、高分子フィルム50は公知の他の方法で、透光性部材22の外側表面に固定され得る。例えば、高分子フィルム50を熱圧着によって透光性部材22に直接接着してもよい。透光性部材22は、例えば、透明基板(例えばガラス基板またはプラスチック基板)であってよく、また、レンズ(ガラスまたはプラスチックで形成された)であってもよい。
【0024】
高分子フィルム50は、表面にモスアイ構造を有し、表面の水に対する接触角は140°以上である。すなわち、高分子フィルム50は、反射防止機能を有するとともに、超撥水性を有している。高分子フィルム50についての詳細は、図5を参照して後述する。
【0025】
光学素子OEは、例えばLED素子OEであり、LED素子OEを収容した光学装置用ケース100Aの全体は、信号機用ランプであり得る。高分子フィルム50は、超撥水性の表面を有しているので、水滴が付着することを抑制・防止することができる。また、透光性部材22の内側に抵抗発熱体24を有しているので、たとえ高分子フィルム50の表面に雪(氷)が付着したとしても、抵抗発熱体24に電力を供給することによって、融解させることができる。
【0026】
抵抗発熱体24は、例えば、金属薄膜または透明導電膜(酸化物導電膜)を用いて形成される。抵抗発熱体24は、ジュール熱を利用するものであり、抵抗値と電圧(電力)とによって発熱量を制御することができる。例えば、LED信号機用ランプの場合、120V(15W)程度で、十分に融雪できるように、透光性部材22の大きさ(透光性部材22の周辺がカバー等によって覆われている場合、実際に光を透過する部分の大きさ)に応じて、抵抗発熱体24の抵抗値(材料、膜厚、パターンの線幅および長さなど)を設定すればよい。金属薄膜の厚さやパターンは、透光性を考慮して決められ得る。透明導電層を用いる場合にはパターニングは不要で、例えば、成膜条件や膜厚で抵抗値を容易に制御できる。
【0027】
抵抗発熱体24は、透光性部材22に接触しているので、特許文献2に記載の遠赤外線面状発熱体を用いるよりも確実に透光性部材22を加熱することができる。また、抵抗発熱体24は、遠赤外線面状発熱体よりも耐久性にも優れている。金属薄膜としては、例えば、Cr(50nm)/Ni(150nm)/はんだ(下層/中層/上層)およびCr(50nm)/Ni(150nm)/Cu(下層/中層/上層)などの積層膜を用いることができる。
【0028】
なお、LED素子OEや抵抗発熱体24に電力を供給する回路(不図示)は、筺体10内に設けられてもよいし、筺体10外に設けられてよい。
【0029】
ここで、光学素子OEが発光素子(LED素子)の場合を説明したが、光学素子OEとして、受光素子(撮像素子、光センサなど)を用いる場合、高分子フィルム50の反射防止機能により、受光できる光量を増大させることできる。モスアイ構造を有する高分子フィルム50は、幅広い入射角および幅広い波長範囲の光に対して優れた反射防止機能を発揮するので、受光素子に良好な状態の光を導くことできる。
【0030】
(実施形態2)
図2に本発明の実施形態2による光学装置用ケース100Bの模式的な断面図を示す。光学装置用ケース100Bは、図1の光学装置用ケース100Aの抵抗発熱体24の内側に設けられた親水性層60Bをさらに有する。親水性層60Bの表面の水に対する接触角は20°以下であり、10°以下であることが好ましい。
【0031】
光学装置用ケース100Bの窓部材20Bの内側表面で結露することがある。結露が発生すると、水滴によって光が散乱されるので、例えば、光学素子OEが撮像素子の場合には、鮮明な画像を取得できない。また、光学素子OEが光センサの場合には、光センサに到達する光強度が低下する。
【0032】
光学装置用ケース100Bは、抵抗発熱体24の内側に親水性層60Bを有するので、結露を抑制することができる。親水性層60Bの表面の親水性が高いほど結露防止効果が高く、親水性層60Bの表面の水に対する接触角は10°以下であることが好ましい。親水性が高い表面上で結露(水蒸気の凝縮)が起こっても、水は親水性表面上で濡れ拡がるので、液滴として残存することがない。その結果、光を散乱することがないので、結露と認識されない。
【0033】
ここで例示する親水性層60Bは、表面にモスアイ構造を有する高分子層60Bである。表面にモスアイ構造を有すると、反射防止機能を発揮するので、窓部材20Bの内側表面における反射も低減される。したがって、光学素子OEが発光素子の場合には、光の取出し効率が向上する。また、光学素子OEが受光素子の場合には、光学装置用ケース100Aよりも良好な状態の光を受光素子に導くことできる。高分子層60Bは、例えば、国際公開第2017/115694号に記載されている反射防止膜の内で、表面の水に対する接触角が20°以下のものを用いることができる。参考のために国際公開第2017/115694号の開示内容のすべてを本明細書に援用する。
【0034】
ここでは、親水性層60Bは、接着層27を介して、抵抗発熱体24に固定されている。もちろん、親水性層60Bを抵抗発熱体24に固定する方法は上記に限られず、公知の種々の方法を用いることができる。
【0035】
(実施形態3)
図3に本発明の実施形態3による光学装置用ケース100Cの模式的な断面図を示す。光学装置用ケース100Cは、図1の光学装置用ケース100Aの抵抗発熱体24の内側に設けられた親水性層60Cをさらに有する。親水性層60Cはポーラスアルミナ層60Cであり、表面の水に対する接触角は10°以下である。
【0036】
ポーラスアルミナ層60Cは、表面に反転されたモスアイ構造を有する。この反転されたモスアイ構造は、モスアイ構造を有する反射防止膜を形成するための型の表面構造と同じである。ポーラスアルミナ層60Cは、以下のようにして形成することが好ましい。
【0037】
透光性部材22に抵抗発熱体24として、透明導電層24を形成する。透明導電層24は、例えば、ITO(インジウムドープスズ酸化物)層である。ITO層の上に、ATO(アンチモンドープスズ酸化物)層および/またはFTO(フッ素ドープスズ酸化物)層を形成してもよい。
【0038】
透明導電層24の上に、Al層またはAl合金層を形成する。透明導電層24を電極として用いて、Al層またはAl合金層を陽極酸化することによって、ポーラスアルミナ層を形成する。この後、エッチングすることによって、細孔径を拡大する。その後、陽極酸化とエッチングとを交互に繰り返し、所望の形状(円錐状)の細孔(微細な凹部)を有するポーラスアルミナ層60Cを得る。陽極酸化とエッチングの繰り返し回数(例えば、陽極酸化5回、エッチング4回)は適宜調整される。ただし、AlまたはAl合金が残らないように、完全に陽極酸化する。窓部材20Cの光透過性能を低下させないためである。透明導電層24を電極として用いることによって、Al層またはAl合金層を完全に陽極酸化することができる。
【0039】
Al合金層として、特許文献6に記載されているように、アルミニウムと、アルミニウムの標準電極電位との差の絶対値が0.64V以下の金属元素(例えば、Ti、Nd、Mn、Mg、Zr、VおよびPb、全体に対する含有率は10質量%未満)とを含むアルミニウム合金層を用いることが好ましい。例えば、Tiを含むアルミニウム合金を好適に用いることができる。あるいは、特許文献7に記載されているように、アルミニウムと、アルミニウム以外の金属元素と、窒素とを含むアルミニウム合金層を用いてもよい。アルミニウム合金層に含まれる窒素の含有率は、0.5質量%以上5.7質量%以下であることが好ましく、アルミニウム合金層中の金属元素(例えばTi)の含有率は、1.0質量%以上1.9質量%以下であることが好ましい。このようなAl合金層は、異常粒子をほとんど含まない。なお、最終的に得られるポーラスアルミナ層には、合金に含まれている金属元素が当然に含まれる。例えば、Tiを含むAl合金を陽極酸化することによって得られたポーラスアルミナ層にはTiが含まれる。
【0040】
なお、エッチング工程において、ITO層とAl合金層との間でガルバニック腐食が起こることがある。ITO層とAl合金層との間に、ATO層および/またはFTO層を形成することによって、これを防止することができる。あるいは、Al合金層の材料として、Al−Ni―La(株式会社コベルコ科研製 DC−Al)またはAl−Ni−B(ACX三井金属社製)を用いてもよい。
【0041】
反転されたモスアイ構造を有するポーラスアルミナ層60Cも、モスアイ構造を有する高分子層60Bよりは若干劣るものの、反射防止性能を有する。また、ポーラスアルミナ層60Cは、熱伝導性が高いので、透光性部材22の温度分布を均一にするように作用する。ポーラスアルミナ層60Cは親水性表面を有しているので、もちろん、結露を抑制する効果も奏する。
【0042】
(実施形態4)
図4に本発明の実施形態4による光学装置用ケース100Dの模式的な断面図を示す。光学装置用ケース100Dの窓部材20Dは、図3の光学装置用ケース100Cの抵抗発熱体24の内側に設けられたポーラスアルミナ層60Cに代えて、ポーラスアルミナ層60Dを有する。ポーラスアルミナ層60Dの表面の水に対する接触角は10°以下である。
【0043】
ポーラスアルミナ層60Dは、図4に模式的に示す様に、円柱状の細孔を有している。したがって、円錐状の細孔を有するポーラスアルミナ層60Cを形成するときのように、エッチングを行う必要はなく、陽極酸化だけでよい。もちろん、Al層またはAl合金層を完全に陽極酸化する点は、実施形態3におけるポーラスアルミナ層60Cと同じである。ポーラスアルミナ層60Dの細孔は円柱状なので、ポーラスアルミナ層60Cよりも反射防止効果は劣るが、その他の効果を得ることができるとともに、形成が容易であるという利点がある。
【0044】
[高分子フィルム]
次に、図5を参照して、高分子フィルム50の構造および製造方法を説明する。高分子フィルム50は、表面にモスアイ構造を有し、表面の水に対する接触角は140°以上である。
【0045】
図5(a)〜(c)に、本発明の実施形態による光学装置用ケースが有する高分子フィルムの模式的な断面図を示す。
【0046】
図5(a)に示す高分子フィルム50Aは、ベースフィルム42Aと、ベースフィルム42A上に形成された光硬化樹脂層34Aとを有している。光硬化樹脂層34Aは、表面に複数の凸部34Apを有しており、複数の凸部34Apは、モスアイ構造を構成している。光硬化樹脂層34Aは、典型的には光硬化性樹脂(Photocurable resin、好ましくは紫外線硬化性樹脂)を硬化させることによって形成されるので、以下では、光硬化樹脂層(Photocured resin layer)34Aという。ただし、熱硬化性樹脂を用いて形成することもできる。
【0047】
ベースフィルム42Aの厚さは、例えば、1μm以上1,000μm以下である。光硬化樹脂層34Aの厚さは、例えば、0.1μm以上100μm以下である。
【0048】
光硬化樹脂層34Aの法線方向から見たとき、凸部34Apの2次元的な大きさDpは20nm超500nm未満の範囲内にある。ここで、凸部34Apの「2次元的な大きさ」とは、表面の法線方向から見たときの凸部34Apの面積円相当径を指す。例えば、凸部34Apが円錐形の場合、凸部34Apの2次元的な大きさは、円錐の底面の直径に相当する。また、凸部34Apの典型的な隣接間距離Dintは20nm超1000nm以下である。図5(a)に例示するように、凸部34Apが密に配列されており、隣接する凸部34Ap間に間隙が存在しない(例えば、円錐の底面が部分的に重なる)場合には、凸部34Apの2次元的な大きさDpは隣接間距離Dintと等しい。凸部34Apの典型的な高さDhは、50nm以上500nm未満である。光硬化樹脂層34Aの厚さtsは、例えば、0.1μm以上100μm以下である。
【0049】
図5(a)に示した光硬化樹脂層34Aは、特許文献3〜7に記載されている反射防止膜と同様のモスアイ構造を有している。反射防止機能を発現させるためには、表面に平坦な部分がなく、凸部34Apが密に配列されていることが好ましい。また、凸部34Apは、空気側からベースフィルム42A側に向かって、断面積(入射光線に直交する面に平行な断面、例えばベースフィルム42Aの面に平行な断面)が増加する形状、例えば、円錐形であることが好ましい。また、光の干渉を抑制するために、凸部34Apを規則性がないように、好ましくはランダムに、配列することが好ましい。
【0050】
図5(a)に例示したようなモスアイ構造を表面に形成するための型(以下、「モスアイ用型」という。)は、モスアイ構造を反転させた、反転されたモスアイ構造を有する。反転されたモスアイ構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナ層をそのまま型として利用すると、モスアイ構造を安価に製造することができる。特に、円筒状のモスアイ用型を用いると、ロール・ツー・ロール方式によりモスアイ構造を効率良く製造することができる。このようなモスアイ用型は、上述した実施形態3のポーラスアルミナ層60Cの形成方法と同様であってよい。ただし、アルミニウム膜またはアルミニウム合金を完全に陽極酸化する必要はない。モスアイ用型およびモスアイ構造を表面に有する合成高分子膜(反射防止膜)の製造方法は、例えば、特許文献3〜7に記載されている方法で製造することができる。モスアイ構造を表面に有する合成高分子膜は、例えば、ベースフィルム上に紫外線硬化性樹脂(例えばアクリル樹脂)を塗布し、紫外線硬化性樹脂をモスアイ用型に押し付けた状態で紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射し、紫外線硬化性樹脂を硬化させる。硬化した紫外線硬化性樹脂の表面にはモスアイ構造が形成されている。
【0051】
図5(a)に示した光硬化樹脂層34Aを形成する光硬化性樹脂(例えばアクリル樹脂)を選択することによって、表面の水に対する接触角が140°以上の撥水性表面を有する光硬化樹脂層34Aを得ることができる。例えば、フッ素系アクリル樹脂あるいはフッ素系離型剤をアクリル樹脂に混合することによって撥水性表面を得ることができる。
【0052】
また、図5(b)および(c)に示す光硬化樹脂層35Bおよび35Cの様に、フッ素の含有率が高い上側樹脂層35bと、フッ素の含有率が低いまたはフッ素を含まない下側樹脂層35aとを有する積層構造としてもよい。このような撥水性表面を有する合成高分子膜の形成方法は、国際公開第2016/174893号に記載されているので、ここでは簡単に説明する。なお、参考のために国際公開第2016/174893号の開示内容のすべてを本明細書に援用する。
【0053】
図5(b)に示す高分子フィルム50Bは、ベースフィルム42Bと、ベースフィルム42B上に形成された光硬化樹脂層35Bとを有している。光硬化樹脂層35Bは、表面に複数の凸部35Bpを有しており、複数の凸部35Bpは、モスアイ構造を構成している。光硬化樹脂層35Bは、下側樹脂層35aと、上側樹脂層35bとを有している。上側樹脂層35bは、フッ素の含有率が高く、強い撥水性を示す。下側樹脂層35aは、フッ素の含有率が上側樹脂層35bよりも低いまたはフッ素を含まない。
【0054】
光硬化樹脂層35Bが有する凸部35Bpは、2次元的な大きさDp、高さDhおよび隣接間距離Dintにおいて、下側樹脂層35aが有する凸部とほぼ等しい。光硬化樹脂層35Bの法線方向から見たとき、凸部35Bpの2次元的な大きさDpは20nm超500nm未満の範囲内にある。上側樹脂層35bの厚さは、例えば10nm以下である。上側樹脂層35bの厚さは、0.1μm以上、15μm以下であることが好ましく、1μm以上、10μm以下であることがより好ましく、2μm以上、8μm以下であることが更に好ましく、5μm以上、8μm以下であることが特に好ましい。上側樹脂層35bの厚さは、光硬化樹脂層35Bの法線方向における厚さをいう。光硬化樹脂層35Bの厚さtsは、例えば、下側樹脂層35aの厚さよりも、上側樹脂層35bの厚さの分だけ大きい。下側樹脂層35aの厚さは、例えば上記の光硬化樹脂層34Aと同じであってよい。
【0055】
高分子フィルム50Bは、例えば以下のようにして形成される。
【0056】
まず、図5(a)に示した高分子フィルム50Aと同様にして、ベースフィルム42B上に下側樹脂層35aを形成する。なお、高分子フィルム50Aの光硬化樹脂層34Aは撥水性の表面を有するのに対し、下側樹脂層35aの表面は撥水性を有する必要が無い。
【0057】
次に、図5(b)に示すように、下側樹脂層35aの上に、フッ素系離型処理剤を含む上側樹脂層35bを形成する。上側樹脂層35bが形成されるとき、下側樹脂層35aは硬化されている。上側樹脂層35bは、下側樹脂層35aが有する複数の凸部の少なくとも一部を覆うように形成される。上側樹脂層35bは、下側樹脂層35aが有する複数の凸部の全てを覆うように形成されていてもよい。
【0058】
フッ素系離型処理剤は、モノマーと反応しない、すなわち樹脂の骨格に直接または間接的に結合(共有結合)を形成しない化合物をいう。フッ素系離型処理剤を有する上側樹脂層35bは、例えばフッ素系離型剤、フッ素系コート剤、フッ素系指紋付着防止剤等として市販されている種々のフッ素系離型処理剤から形成され得る。フッ素系離型処理剤は、例えば、フッ素含有炭化水素鎖と、末端にアルコキシシランとを有する。フッ素系離型処理剤は、アルコキシシランを有するので、ケイ素(Si)元素を含む。フッ素含有炭化水素鎖は、エーテル結合を含んでいてもよい。上側樹脂層35bは、例えば蒸着法またはスプレー法を用いて形成され得る。上側樹脂層35bを形成する樹脂の粘度は、例えば0.1cP〜100cPである。末端にアルコキシシランを有するフッ素系離型処理剤を用いる場合には、フッ素系離型処理剤を下側樹脂層35aの表面に付与する前に、下側樹脂層35aの表面に対して酸素(O)プラズマ処理を施すことが好ましい。
【0059】
図5(c)に示す高分子フィルム50Cは、ベースフィルム42Cと、ベースフィルム42C上に形成された光硬化樹脂層35Cとを有している。光硬化樹脂層35Cは、表面に複数の凸部35Cpを有しており、複数の凸部35Cpは、モスアイ構造を構成している。光硬化樹脂層35Cは、下側樹脂層35aと、上側樹脂層35bと、下側樹脂層35aと上側樹脂層35bとの間に形成された酸化物層39とを有している。上側樹脂層35bは、フッ素の含有率が高く、強い撥水性を示す。下側樹脂層35aは、フッ素の含有率が上側樹脂層35bよりも低いまたはフッ素を含まない。
【0060】
光硬化樹脂層35Cは、上記光硬化樹脂層35Bの形成工程において、下側樹脂層35aを形成した後、かつ、上側樹脂層35bを形成する前に、下側樹脂層35aの上に酸化物層(例えば二酸化ケイ素層)39を形成することによって得られる。酸化物層39を形成する前に、下側樹脂層35aの表面に対して酸素(O)プラズマ処理を施すことが好ましい。酸化物層39は、上側樹脂層35bに含まれるアルコキシシランと反応することにより、上側樹脂層35bと下側樹脂層35aとの接着性を向上させることができる。酸化物層39の厚さは、例えば10nmである。酸化物層39を有する光硬化樹脂層35Cの厚さtsは、例えば、下側樹脂層35aの厚さよりも、上側樹脂層35bの厚さおよび酸化物層39の厚さの和の分だけ大きい。下側樹脂層35aの厚さは、例えば上記の光硬化樹脂層34Aと同じであってよい。
【0061】
上記の他、国際公開第2016/174893号に記載の種々の方法で、例えば図5(b)に示した構造を有する高分子フィルム50Bを作製することができる。例えば、PETフィルム(例えば厚さ:75μm)上に、下側樹脂層35aとなるウレタンアクリレート樹脂を塗布し(例えば厚さ:7μm)、これを硬化することなく、上側樹脂層35bとなるフッ素含有アクリルモノマーと反応性希釈剤(単官能モノマー、例えばアクリロイルモルフォリン)との混合物を付与し(例えば厚さ:1.3μm)した後、所定のモスアイ用型に押し当てた状態で、ベースフィルム側から紫外線(例えば、照射量:200mJ/cm)を照射して、下側樹脂層35aおよび上側樹脂層35bを硬化させることによって、高分子フィルム50Bが得られる。なお、上記の樹脂材料には必要に応じて光重合開始剤が混合される。また、モスアイ用型の表面は、例えば、フッ素系離型剤で処理されてよい。
【0062】
[実験結果]
超撥水性を有する高分子フィルムとして、図5(b)に示した構造を有する試料フィルムを作製した。具体的には、国際公開第2016/174893号に記載の実施例1と同様にして高分子フィルム50Cを作製した。試料フィルムの作製に用いた材料および硬化条件、ならびに試料フィルムが有するモスアイ構造を以下に示す。
(ベースフィルム)
・PET(東レ株式会社製、製品名:ルミラー(登録商標)U34、厚さ75μm)
(下側樹脂層)
・ウレタンアクリレート(新中村化学工業社製、製品名:UA−7100):31重量%
・多官能アクリレート(新中村化学工業社製、製品名:ATM−35E):40重量%
・多官能アクリレート(新中村化学工業社製、製品名:A−TMM−3LM−N):27.5重量%
・光重合開始剤(BASF社製、製品名:IRGACURE819):1.5重量%
(上側樹脂層)
・フッ素含有モノマー(ダイキン工業社製、フッ素系添加剤、製品名:オプツールDAC−HP):10重量%
・反応性希釈剤(アミド基含有モノマー(KJケミカルズ社製、製品名:ACMO)):90重量%
(硬化条件)
所定のモスアイ用型に上側樹脂層を押し付けた状態で、ベースフィルム側から、Fusion UV systems社製のUVランプ(製品名:LIGHT HANMAR6J6P3)を用いて、紫外線(照射量:200mJ/cm)を照射し、下側樹脂層および上側樹脂層を硬化させた。
(試料フィルムのモスアイ構造)
凸部の形状:円錐状(釣鐘状)
凸部の隣接間距離(Dint):200nm
凸部の高さ(Dh):200〜250nm
【0063】
試料フィルムの水に対する接触角は、初期で155°であった。3か月間、屋外暴露した後も水に対する接触角は低下しなかった。高温高湿(60℃、95RH%)環境下における水に対する接触角は初期で150°であり、3か月後も低下がみられなかった。なお、ヘキサデカンに対する接触角は90°以上であった。
【0064】
なお、本明細書中、接触角は、協和界面科学社製のポータブル接触角計(製品名:PCA−1)を用い、θ/2法(θ/2=arctan(h/r)で計算する。θは接触角を示し、rは液滴の半径を示し、hは液滴の高さを示す。)で測定される、3箇所の接触角の平均値を示す。ここで、1箇所目の測定点としては、試料の中央部分を選択し、2および3箇所目の測定点としては、1箇所目の測定点から20mm以上離れ、かつ、1箇所目の測定点に対して互いに点対称な位置にある2点を選択するものとする。
【0065】
試料フィルムは、優れた反射防止性および耐擦傷性を有していた。反射率は、5°正反射率(日本分光株式会社製、V−560、波長範囲250〜850nm)の値で0.1%以下であった。耐擦傷性は、クリーニングクロス(東レ株式会社製、トレシー(登録商標))およびスチールウール(日本スチールウール株式会社製#0000)で、試験機(新東科学株式会社製、14FW)を用いて、直径11mm、荷重200g/cm、ストローク25mm、速度50mm/secの条件で、高分子フィルムの表面を擦り、摩擦回数と水に対する接触角の変化を調べた。クリーニングクロスを用いた試験では、1000回摩擦した後も水に対する接触は150°(初期値は155°)と高い値を維持していた。スチールウールを用いた試験では、100回で140°に低下し、200回で130°、1000回で100°まで低下した。スチールウールで擦ると100回あたりからモスアイ構造が削り取られた。
【0066】
上記の試料フィルムを用いて、光学装置用ケースの窓部材(試料)を作製し、非着氷雪性、防曇性、耐久性、メンテナンス性、消費電力を評価した。実施例1は、図1に示した窓部材20Aの構造を有し、実施例2は、図3に示した窓部材20Cの構造を有する。参考例1は、基板のおもて面に、市販の撥水コート(水に対する接触角:110°)を付与し、裏面にヒーターを設けた。ここで、ヒーター(抵抗発熱体)としては、ITO層を用いた。ITO層の厚さは、約100nm以下、シート抵抗は約100Ω/sq以下である。シート抵抗は、例えば、24V仕様で約50Ω/sqである。比較のために、窓部材に用いた基板(ポリカーボネート板:厚さ2mm、大きさ100mm×100mm)のみについても併せて評価した。
【0067】
評価結果を表1に示す。
【0068】
非着氷雪性は、試料の表面に水滴を垂らし、冷凍庫で凍結(−5℃、1時間)させ、着氷した氷が軽い衝撃で脱落するかを確認した。○:軽い衝撃で脱落、△:溶解とともに滑り落ちる、×:全く落ちない
【0069】
防曇性は、防曇性評価装置(協和界面科学株式会社製、AFA−1)を用いて評価した。○:評価指数5.0以下、△:評価指数5.0超10以下、×:評価指数20以上
【0070】
耐久性は、3ヶ月の屋外暴露試験後の性能の変化で評価した。○:問題なし、×:著しい性能劣化あり
【0071】
メンテナンス性は、部材交換の必要性で評価した。○:必要なし、△:低頻度の交換(1年以上)、×:高頻度の交換(半年以内)
【0072】
消費電力は、ヒーター駆動時の消費電力で評価した。○:10W以下、△:15W以下、×:16W以上
【0073】
【表1】
【0074】
表1の結果から理解されるように、実施例1および実施例2の窓部材は、非着氷雪性および耐久性に優れている。また、実施例2は、親水性層(ポーラスアルミナ層)を有するので、防曇性にも優れている。実施例1が防曇性にやや劣るのは、結露の対策が十分でないからである。また、実施例1がメンテナス性にやや劣るのは、結露により電極が腐食するおそれがあるからである。実施例1が実施例2よりも消費電力が大きいのは、結露を防止するための電力が余分に必要だからである。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の実施形態は、屋外に設置される種々の光学装置、例えば、各種信号機用ランプ、カメラ(例えば、監視カメラ、車載カメラ)、光学検出装置(例えば、車両検出装置)に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0076】
10 :筺体
12 :空間
20 :抵抗発熱体
20A、20B、20C、20D :窓部材
22 :透光性部材
23、27 :接着層
24 :抵抗発熱体(透明導電層)
34A、35B、35C :光硬化樹脂層
34Ap、35Bp、35Cp :凸部
35a :下側樹脂層
35b :上側樹脂層
39 :酸化物層(二酸化ケイ素層)
42A、42B、42C :ベースフィルム
50、50A、50B、50C :高分子フィルム
60B、60C、60D :親水性層
100A、100B、100C、100D :光学装置用ケース
OE :光学素子(LED素子)
図1
図2
図3
図4
図5